2016.02.06

ヴォルフガングと悪魔の話

1987年にアメリカのギタリスト、クリス・インペリテリが結成したヘヴィメタルバンド「インペリテリ」は、レインボーやアルカトラスのヴォーカルをつとめて来たグラハム・ボネットを迎えて発表したファーストアルバム「スタンド・イン・ライン」で注目された。そして、1994年にリリースされたサードアルバムのジャケットがこれだ。


It3


何も知らない人が見ても、これが「聖職者と悪魔」を描いたものであることは分かると思うし、よく見ると悪魔のお尻にも顔があることが分かる。実は、この絵は、このアルバムのために描かれたものじゃなくて、15世紀に活躍したミヒャエル・パッヒャー(Michael Pacher)というオーストリアの祭壇画家で彫刻家の作品だ。

この作品には、主に2つのタイトルがある。「St. Augustine and the Devil (聖アウグスチヌスと悪魔)」と「St. Wolfgang and the Devil (聖ヴォルフガングと悪魔)」だ。だから、悪魔は悪魔で間違いないんだけど、聖職者のほうが、聖アウグスチヌスなのか聖ヴォルフガングなのか分からない。で、いろいろと調べてみたら、「The Devil Presenting St. Augustine with the Book of Vices (悪癖の本で聖アウグスチヌスを紹介している悪魔)」という第3のタイトルが見つかった。

聖アウグスチヌスは4世紀、聖ヴォルフガングは10世紀の聖人なので、聖アウグスチヌスのことが書かれている本を聖ヴォルフガングに見せるということは可能だけど、その逆は不可能だ。そして、もっと調べてみたら、これは、当時いろいろと創作されていたキリスト教的な都市伝説みたいなものを絵にした作品だということが分かった。

実際のヴォルフガングは、920年にドイツ南部のスウェーベンの貴族の家に生まれ、修道院にある学校で学び、神学校へと進み、大司教に任命された友人の招きで神学校の校長になる。そして、972年、皇帝オットー2世からレーゲンスブルクの司教に任命される。自身は質素な生活を続けながら、貧しい人々の支援に尽力した。994年に没した後、1052年に聖人となった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、オーストリアの首都ウィーンから南西へ220キロほどの場所に、かつて「アパー湖」と呼ばれていた湖があった。976年、この湖の湖畔でヴォルフガングが修行をしていると、「ヴォルフガングよ、その手にしている斧を投げよ。そして落ちたところに教会を立てよ」という神のお告げがあった。そして、そのお告げに従って建てられたのが「聖ヴォルフガング巡礼教会」だ。

もちろん、これは、あくまでも伝説なので、本当にヴォルフガングが神のお告げを聞いたのかも分からないし、斧を投げたのかも分からないけど、この教会は多くの巡礼者を集め、街は発展し、湖の名前は「アパー湖」から「ヴォルフガング湖」に改められた。残念なことに、この教会は1429年に火事で焼けてしまったけど、1477年に後期ゴシック様式の教会が再建され、年間数万人もの巡礼者が訪れるようになった。この教会の主祭壇は、オーストリアに現存するゴシック式祭壇の中の最高傑作と言われている。そして、1471年から1481年まで、10年を費やしてこの祭壇画を制作したのが、そう、ミヒャエル・パッヒャーなのだ。

で、話はクルリンパと戻るけど、そのミヒャエル・パッヒャーが描き、500年後にアメリカのヘヴィメタルバンド「インペリテリ」がアルバムのジャケットに使用した作品が、3つのタイトルを総合すると、「聖ヴォルフガングに悪癖の本で聖アウグスチヌスを紹介している悪魔」ということになる。

これが、どういうことかというと、1人では教会を建てる力のなかったヴォルフガングに、悪魔が「聖アウグスチヌスは悪魔の力を借りて教会を建てたのだ」という嘘が書いてある本を見せている場面なのだ。ようするに、文字通り「悪魔のささやき」というワケで、ヴォルフガングはこの「悪魔のささやき」に乗っかり、悪魔の力を借りて教会を建てることができた。

悪魔との契約では、教会建設の対価は「完成した教会に最初に足を踏み入れた者の魂」だった。そこで、ヴォルフガングは、教会が完成すると、最初にオオカミを誘導して教会へ入れたのだ。そのため、悪魔はオオカミの魂しか手に入れることができなかった。めでたし、めでたし‥‥って、ちょっと聖職者としては疑問の残る手口だけど、これは皆さんがウスウス気づき始めてるように、ヴォルフガング(Wolfgang)という名前の「ヴォルフ」が、英語では「ウルフ」、つまり「オオカミ」だというところから創作された話なのだ。


‥‥そんなワケで、火事で焼けてしまった聖ヴォルフガング巡礼教会が、後期ゴシック様式で再建され、ミヒャエル・パッヒャーによる祭壇画が納められてから約300年後の1755年11月2日、オーストリアの首都ウィーンで、1人の女性が誕生した。神聖ローマ皇帝のフランツ1世シュテファンとオーストリア女帝のマリア・テレジアの間に生まれたマリア・アントーニア、フランス語読みならマリー・アントワネットだ。

そして、マリー・アントワネットの誕生から3カ月後の1756年1月27日、ザルツブルクでモーツァルトが誕生した。ザルツブルクは、今はオーストリアの都市だけど、当時は神聖ローマ帝国の領土だった。そんなモーツァルトのフルネームは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト‥‥ってなワケで、またまた「ヴォルフガング」が登場した!

幼少時に「天才」や「神童」の名を欲しいままにしたモーツァルトは、音楽家の父親に連れられてパリやロンドンなどを演奏してまわった。そして、1762年10月13日、女帝マリア・テレジアに招かれてウィーンのシェーンブルン宮殿で演奏することになった。この時、当時6歳だったモーツァルトはピカピカに磨き抜かれた床で足を滑らせて尻餅をついてしまったが、サッと手を差し伸べたのが、モーツァルトと同年代の皇女マリア・アントーニア(マリー・アントワネット)だった。

助け起こされたモーツァルトは、その少女の美しさにひと目惚れしてしまい、その場で「大きくなったら僕のお嫁さんになってほしい」と言った。だけど、この時、すでにマリア・アントーニアには婚約者がいた。そう、フランス王太子ルイ・オーギュスト、後のルイ16世だ。

オーストリア系ハプスブルク家とフランス系ブルボン家は、何世紀にもわたって、ドイツ、イタリア、フランドルを戦場としてヨーロッパの覇権を争って来たけど、長年の戦争でお互いに疲弊して来た。その上、正統カトリックを離脱したイギリスがヨーロッパ支配を目論み始め、プロテスタントのプロイセンも強大な王国へと発展して来て、もはやアッチもコッチも危険な状態になった。そこで、ハプスブルク家とブルボン家は、長年にわたる争いに終止符を打ち、手を結ぶことにしたのだ。この両家が手を結べば、その勢力は強大になり、誰もオイソレとは手が出せなくなるからだ。

それが、両家の婚礼、つまり、政略結婚だった。ハプスブルク家の皇女がブルボン家の王太子と結婚すれば、両家、両国は太い絆で結ばれて、周辺の勢力は誰もケンカなど売って来なくなる‥‥ってなワケで、オーストリアの女帝マリア・テレジアの娘マリア・アントーニアは、最初はフランス王太子ルイ・ジョゼフと政略結婚するハズだった。だけど、王太子ルイ・ジョゼフは1961年に結核で亡くなってしまったため、その弟のルイ・オーギュストが王太子となり、結婚相手になったのだ。

こうした大人の事情を後から知らされた6歳のモーツァルトは、生意気にも生まれて初めての失恋に心を痛めてしまい、3年間にも及ぶ傷心ツアーへと旅立った。松本伊代的に言えば「センチメンタル・ジャーニー」ってワケだけど、ミュンヘン、フランクフルト、パリ、ロンドンなどを演奏してまわった。

フランクフルトには3週間ほど滞在し、計4回のコンサートを行なった。姉のナンネルがピアノを弾き、弟のモーツァルトがバイオリンを演奏するというのが定番の演奏スタイルだったけど、コンサートの中ではモーツァルトが目隠しをしてピアノを弾くという見世物カラーの強い出し物もあったので、どちらかというと純粋なコンサートではなく、「天才少年」を売り物にしたショーのような感じだったのかもしれない。そして、このフランクフルトでのコンサートの聴衆の中に、当時14歳だったゲーテがいたのだ。この日から60年以上たった晩年、ゲーテは次のように語っている。


「私は7歳のモーツァルトを見ました。彼は旅の途中で演奏会を開いていたのです。私は当時14歳でしたが、あの小さな人物の調髪と剣を今でもはっきりと覚えています」


‥‥そんなワケで、ゲーテと言えばモーツァルトと同じく名前くらいは誰でも知っているドイツの文豪だけど、そんなゲーテのフルネームは、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ‥‥ってなワケで、またまたまたまた「ヴォルフガング」が登場した!

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトと、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは、まさか「ヴォルフガングつながり」って理由からじゃないだろうけど、お互いを尊敬し合っていた。直接的な交流はなかったけど、お互いの存在や作品は知っていた。そんな中、ゲーテの詩をモーツァルトが歌曲に仕上げた「すみれ」が生まれたワケだけど、この作品にしても、2人の間で何らかのやり取りがあったワケじゃなくて、このゲーテの詩を偶然に目にしたモーツァルトが、勝手に歌曲にしたものだ。

そして、モーツァルトがマリア・アントーニアに失恋してから8年後、14歳になったマリア・アントーニアは、ついにフランス王太子ルイ・オーギュストと結婚することになった。敵対していた国同士の政略結婚なので、一方の顔を潰さないようにと、何から何まで厳格に取り決められた。たとえば、どこで花嫁を引き渡すのか。オーストリアで引き渡せばフランスのメンツが潰れてしまうし、フランスで引き渡せばオーストリアのメンツが潰れてします。そこで、両国の国境を流れるライン川の中州に、花嫁のお引き渡しの儀式を行なう建物を造らせたのだ。

急きょ造られた建物は、市民たちの興味の的になったが、もちろん、中を観ることなどできなかった。でも、儀式まではまだ日にちがあったので、護衛の門番に銀貨の2~3枚でも握らせれば、コッソリと中に入ることができた。そして、たまたまこの地を訪れていた20歳のゲーテも、仲間の学生たちと一緒に建物の中に入った。中は素晴らしい装飾品や壁掛けなどで豪華に飾られていたが、感心する友人たちとは裏腹に、ゲーテは激怒した。

ゲーテの見つめていた壁掛けは、イアソン、メディア、クレウーサの神話を描いたものだった。魔女メディアはイアソンの妻となるが、イアソンが新しい妻としてクレウーサを迎えようとしたため、激怒したメディアはクレウーサを殺し、自分の子どもまで殺してしまうのだ。ギリシャ神話の中でも、特に残酷な結婚絡みの神話なのに、若き王妃のお輿入れの場にこんな縁起の悪いものを飾っているなんて、いったいぜんたいフランスの建築家や室内装飾家は何を考えているのだ!ゲーテの怒りは収まらなかった。

だけど、20歳の学生が王族に進言するワケには行かないし、それ以前に、そんなことをしたら、この建物に入ったことがバレてしまう。それで、ゲーテは、このことを自分の胸の中に仕舞って、口外はしなかった。でも、ゲーテの心配は取り越し苦労で、お引渡しの儀式で建物に入った付添人たちは、オーストリア側もフランス側も、誰1人として壁掛けなどには目もくれず、黙々と自分の仕事をこなし、最後までこの縁起の悪い壁掛けの存在は知られずに済んだのだ。

そして、この1年後、ゲーテが21歳の時に書き始めた「ファウスト」が完成したのは、60年後の81歳の時だった。日本では、手塚治虫の漫画や数々の映画、演劇などで観たことがある人も多いと思うけど、意外と原作を最後まで読んだ人は少ないと言われている。日本語訳は、森鴎外を筆頭にたくさんあるけど、あたしは高橋義孝の訳が好きだ。とっても読みやすくて面白いし、文庫本で上下2巻なのでそれほど長くないから、これから読んでみようと思った人には高橋義孝訳をオススメする。

「ファウスト」は、ザックリ言えば、ドイツに実在したと言われる錬金術師ゲオルグ・ファウストの伝説を下敷きにした創作で、主人公のファウスト博士は、ゲオルグ・ファウストと同じく、自分の魂を対価として悪魔と契約してしまい、最後には自分の魂を悪魔に持って行かれるって話だ。そして、「錬金術」や「対価」などの単語から「鋼の錬金術師」を想像した皆さんの期待通りに、ちゃんとホムンクルス(人造人間)も登場する。


‥‥そんなワケで、聖ヴォルフガングに関する都市伝説的な創作では、悪魔との契約をオオカミの魂でゴマカシて悪魔に一杯食わせることに成功したワケだけど、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの「ファウスト」では、ファウストは悪魔との契約が執行される言葉をうっかりと口にしてしまい、ファウストは死んで魂を悪魔に取られてしまう。でも、天上でファウストは、かつて愛した女性の祈りによって救われるから、バッドエンドとも言い切れない。それどころか、世の中に絶望して自殺しようとしていた老博士が、悪魔と契約してまで若返ったのに、現実世界では次々と不幸が起こり、ギリシャ神話の世界に行っても次々と不幸が起こり、結局、死をもってようやく永遠の安息を手に入れたという流れは、ある意味、ハッピーエンドと言ってもいいような気がする今日この頃なのだ。


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いします!
  ↓



 

|

2016.02.03

ありがとう!プリンセスプリキュア!

1年間、楽しませてもらった「Go!プリンセスプリキュア」が、1月31日放送の50話で最終回を迎えた。これまでのプリキュアシリーズは、ほとんどが全47~49話で、全50話に到達したのは2009年から2010年に放送された6作目の「フレッシュプリキュア!」だけなので、一応、歴代タイ記録ということになる。そして、2月1日にスタートして翌年の1月31日に終わるという「ピッタリ365日」というのも、「フレッシュプリキュア!」以来となった。

プリキュアを愛するあたし的には、これまで、それなりに楽しみつつも、最近のプリキュアシリーズの劣化ぶりには、ちょっと残念な思いも感じてた。初代と二代目の「ボーイッシュな子とフェミニンな子」というコンビから、4人以上のグループに変わった時に感じた「百合フレーバーの消失」も残念だったけど、それより何より、ここ数年のかっこ悪いプリキュアたちが残念だった。

だって、プリキュアは女の子たちの憧れの存在だったハズなのに、「史上最弱のプリキュア」だの「成績が学年最下位のプリキュア」だのって、いったいどこを狙ってるのか、あたしには制作サイドの意図がまったく理解できなかった。こういうプリキュアが登場するたびに、あたしは、かつての強くて可愛くてかっこ良かったプリキュアたちを思い出し、溜め息をついてた。

それで、あたしは、何年も前から鷲尾天(たかし)プロデューサーの復活を望んでた。初代の「ふたりはプリキュア」から5作目の「YES!プリキュア 5 GoGo!」までを手掛けた「プリキュアの生みの親」である鷲尾プロデューサーが制作陣に戻って来てくれたら、また、来週の放送が楽しみになるような強くて可愛くてかっこいいプリキュアを制作してくれる、あたしはそう信じてた。

だから、スーパーバイザーという形でも、鷲尾プロデューサーが6年ぶりに戻って来てくれた今回の「Go!プリンセスプリキュア」は、あたしにとって待ちに待った作品だったワケで、期待度もMAX HEARTだった。それに、このタイトル!「YES!プリキュア 5 GoGo!」を最後にプリキュアシリーズを去った鷲尾プロデューサーが、今度は「Go!」から始まるタイトルの新作で戻って来てくれたなんて、ちゃんとつながってて最高じゃん!

そして、去年の2月1日に第1話がスタートして、第2話、第3話と続いて行くうちに、あたしは、あまりの素晴らしさに感動して、久しぶりにプリキュアに夢中になった。毎週の放送が楽しみになり、ワクワクするようになった。プリキュアでこのワクワク感を味わえたのは、ホントに何年ぶりかだった。テレビのないあたしは、友達に録画を頼んでて、それを自分のPCで観てるんだけど、以前は月曜日や火曜日に受け取りに行ってたのを、早く観たくて日曜日の夜に受け取りに行くようになった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、今日は、とっても楽しかった「Go!プリンセスプリキュア」の最終回について、ガンガンにネタバレ満載で感想を書いてくので、まだ録画を観てない人とか、放送が1週間遅れとかの一部地域の皆さんは、ここから先は読まないでほしい。あらすじだけでなく、シーンやセリフまで細かく書いてくので、まだ最終回を観てない人は、「ネタバレ上等」の人以外は、ここから先は読まないでほしい。

で、さっそく始めちゃうけど、ラス前の第49話は、敵のラスボスのディスピアとの戦いで、ディスピアの幹部3人のうち、シャットとロックがプリキュア側につき、ディスピアは残ったクローズを胸のとこに取り込んでパワーアップした。でも、ついにグランプリンセスになることができた4人のプリキュア戦士がディスピアを倒し、学園にも世界にも平和が戻ってくる‥‥というストーリーだった。

そして、今回の第50話、最終回では、ディスピアから絶望の意志を受け継いだクローズが復活した。だから、「プリキュア戦士4人の最後の戦いが始るのか?」と思ったのもトコノマ、戦おうとするトゥインクルをフローラが制止した。「俺たちは戦い続ける運命なんだぜ」と挑発するクローズを見上げながら、「このまま戦っても、きっと、何も変わらない」と言うフローラ。「どうするつもりですの?」と聞くスカーレットに、「分からない、でも、だから、話さなきゃ!クローズと!」と言い、1人でクローズのところへ向かうフローラ。

そう、フローラは、終わりのない戦いの連鎖を断ち切るために、敵との対話を望んだのだ。そして、ここで注目しておいてほしいのが、このフローラのセリフの中の「でも、だから」だ。自分たちが何よりも大切にしてる「夢」を、「絶望」で消し去ろうとしているディスダークとの終わりのない戦い。これを終わらせるために、フローラは、どうすればいいのか分からない。でも、だからこそ、敵であるクローズと対話することが必要なんだ。そう感じたんだろう。

たった1人で自分のところに来たフローラと戦うために、クローズは自分たちのまわりにイバラを使って巨大な球体を生み出し、誰にもジャマされない空間を作った。そして、ディスピアの力を受け継いだクローズは、これまで以上のパワーで攻撃して来た。クローズの攻撃を食らってしまい、意識が薄れて行くフローラ。


クローズ「夢がある限り、絶望は消えない!永遠にな!」

フローラ「絶望は消えない‥‥絶望って何?‥‥絶望‥‥絶望‥‥絶望‥‥」


フローラの頭の中に、小さかったころからの記憶が走馬灯のように流れて行く。大好きな絵本の「花のプリンセス」に憧れて、花のプリンセスになりたくて努力して来た日々、辛かったこと、楽しかったことが、次々と流れて行く。そして、ようやくフローラは気づき、意識を取り戻した。。


フローラ「そう、絶望は消せない‥‥」

クローズ「えっ?」

フローラ「絶望は、どこにでもある。今までずっと、辛いことはたくさんあった。でも、それをなかったことになんかできない。ううん、なくしたくない!」

クローズ「何を言っている!」


ディスピアの意志を受け継いだだけでなく、ストップとフリーズも取り込んだクローズは、次々と強力な攻撃を繰り出して来るが、落ち着いて防御しながら、自分の思いを伝えようとするフローラ。


フローラ「楽しいことと辛いことは背中合わせ、でも、だから、今のわたしがいる!」


はい!ここでも出ました!「でも、だから」が!


クローズ「ふざけるなー!」

フローラ「夢も、絶望も、その両方がわたしを育ててくれた!」

クローズ「黙れー!」

フローラ「嬉しいこと、悲しいこと、全部ひっくるめて夢ってことなのかな」

クローズ「黙れー!」


クローズの強力な攻撃をしのいだフローラは、クローズの胸の鍵穴に両手を当てて、至近距離から「プリキュア・フローラル・トルビヨン」を放った。これは、両手に集めた花びらを放って相手を浄化する技だ。クローズは攻撃を止め、ようやくフローラの話に耳を傾けた。


フローラ「絶望は消えない‥‥」

クローズ「そうだ、これからも現われ続けるぜ」

フローラ「乗り越えて行くよ。時々、負けちゃうことだってあるけど、何度でも前を向ける。だって、わたしたちには‥‥」

クローズ「夢があるから‥‥」

フローラ「えへ、夢だって消せないよ。絶望がある限り、夢だって輝き続ける、いつまでも‥‥」

クローズ「強く優しく美しく、か‥‥」


フローラの笑顔を見て、溜め息をつくクローズ。


クローズ「やめだ、お前の相手は。これ以上、やってらんねえぜ。消えてやるよ、今はな‥‥あばよ‥‥」


クルッと向きを変え、ディスダークへと帰って行くクローズ。


クローズ「またな」

フローラ「ごきげんよう」


‥‥そんなワケで、悲しい戦いの連鎖を終わらせるために、どうすればいいか分からなかったフローラだったけど、クローズの攻撃を受けながら、「夢」と「絶望」とは表裏一体であり、どちらか一方だけを消し去ることなんてできないのだと気づいたのだ。「絶望」があったからこそ、それを乗り越えるために自分は成長することが出来て、自分の「夢」に向かって階段を上って来られたのだと気づいたのだ。そして、その気づきは、敵であるクローズにも届いたのだ。

そして、学園にも世界にも平和が戻り、ホープキングダムも元に戻り、トワはご両親と涙の再開を果たした。学園のみんなも、それぞれの夢に向かって歩き出した。はるかのルームメイトで親友、プリキュアの4人を支えて来た七瀬ゆいは、絵本作家になるという夢のために、寮の部屋で絵を描いてる。左を向いたキュアフローラの絵だ。そして、窓から青い空を見上げる。

浜辺に立つ白衣の女性、海洋学者の北風あすかのところに、海藤みなみがやって来る。海の獣医になりたいという夢のために、北風あすかの元で海洋学を学ぶためだ。笑顔で挨拶する2人と、みなみの夢への第一歩を祝福するかのように、海面から大きくジャンプするイルカのティナ。

天ノ川きららは、トップモデルになるという夢のため、ファッションショーの真っ最中。ランウェイを颯爽と歩き、ポーズを決めるきららを、自分の立ち上げたパリのブランドの専属モデルに招いてるボロロ・ボアンヌと、母親でスーパーモデルのステラが見つめてる。

ホープキングダムへ帰った妖精たちも、それぞれの夢へ向かって歩き出した。クロロはロイヤルティーチャーを目指してミス・シャムールの指導を受けてるし、メイド見習いのパフはメイドを目指してがんばってる。そして、パフの兄であり執事見習いのアロマは、王子であるカナタに付いてがんばってる。

そして、カナタが丘へ行くと、そこには妹のトワが。人間界では紅城 トワと名乗ってキュアスカーレットとして活躍してたけど、ホープキングダムでは王女であり、本名は「プリンセス・ホープ・ディライト・トワ」だ。そう、4人のプリンセスプリキュアの中で、本物のプリンセスだったのはトワだけなのだ‥‥なんてのも織り込みつつ、カナタとトワは久しぶりに2人でバイオリンを奏で始める。

カナタは、最後のお別れを言うために、はるかの元を訪ねる。はるかが小さかったころに、初めて出会った花咲く丘の上だ。丘の上には、手に乗せたドレスアップキーを見つめてるはるか。


はるか「本当に、今まで楽しかったよ。辛いこともあったけど、このキーがあったから、あたし、ここまで来られたよ」

カナタ「キーはきっかけに過ぎない。ほんの少し、君の背中を押しただけだ。すべては君の、はるかの力だよ」

はるか「そうかな?‥‥カナタがそう言ってくれるなら、そうかも‥‥。うん!あたし、がんばった!えへへ、それなら、あたしはもう大丈夫だよ。このキーがなくても歩いて行ける。これからも、あたしの夢、あたしだけのプリンセスを目指して!」

カナタ「ありがとう。はるか、君に出会えて良かった」

はるか「あたしも!ありがとう、カナタ!‥‥また会えるよね?」

カナタ「ああ、会いたいと‥‥」

はるか「心から望めば‥‥」


一瞬、驚き、笑顔になるカナタ。そして、はるかからキーを受け取ったカナタは、ホープキングダムへと帰って行った。はるかは最後まで笑顔だったけど、カナタが消えたあと、泣きじゃくった。最後は笑顔で別れようって、がんばってたんだね。はるかがいじらしくて、あたしも、もらい泣きした。

ひとしきり泣いたはるかは、何かを決心したように笑顔になり、また元気に歩きだした。そして、はるかの声でナレーションが入る。


「これは、遥か彼方へ走り続ける少女たちの物語、夢へ向かって、GO!プリンセスプリキュア!」


いつものOPテーマ曲が流れ始め、大きくジャンプしたはるかから青空へ、そしてED曲へ‥‥って流れで終わったと思ったのもイタノマ、ED曲のあとに、最高のシーンが待ってたのだ。ED曲が終わると、また花咲く丘の場面になり、いつもはるかがいた場所に、小さな女の子が座ってて、絵本を読んでる。


女の子「こうしてプリンセスたちの夢の旅は続くのでした」


絵本の最後の一節を読み上げた女の子を、お母さんが迎えに来る。「あ、ママ!」と言って立ち上がる女の子、閉じた絵本の表紙には、「プリンセスと夢の鍵」というタイトルと左を向いたキュアフローラの絵、そして、「ななせゆい」という作者名。


「プリンセスたちは、もう会えないのかなあ?」という女の子の独り言を受けて、お母さんの元へと駆けて行く女の子の背中を見ながら、丘の上に現われたはるかが言った。


はるか「大丈夫、夢に向かって走り続ければ、その心の中にまた、キーは生まれる」


はるかの手には、カナタに返したハズのキーがある。そして、後ろ姿だけで顔は見えない。でも、肩よりも短かった髪がずっと長くなってて、背も伸びてて、何年後かの成長したはるかだということが分かる。もちろん、ゆいの絵本が発売されてたことからも、それは推測できた。

はるかのこの言葉を受けて、場面は浜辺に立つ白衣の女性の後ろ姿に変わる。長い髪を三つ編みにして1つにまとめてるけど、その髪の色から、成長したみなみであることが分かる。海洋学者の北風あすかが立っていた場所に、今は同じ白衣を着たみなみが立ってるのだ。そして、みなみの手にもキーがある。

場面は夜のパリに変わり、ライトアップされたエッフェル塔を見つめてるのは、もちろん、きららだ。これも顔は見えないけど、背中の真ん中くらいまであった長くてボリュームのある髪は肩より少し長いくらいにスッキリとカットされ、キーを持つ右手には太いゴールドのバングルと長いネイル、そして、ゴールドのピアスと肩に掛けたバッグから、数年が経過して成長したきららであること、ボロロ・ボアンヌの立ち上げた新ブランドの専属モデルとして、パリで活躍してることが分かる。

そして、ホープキングダムで王女として暮してるトワも、キーを手にした後ろ姿が美しい。この3つの場面は静止画で、ほんの数秒ずつしか映らないけど、ホントに素晴らしかった。特に、あたしの大好きなきららの成長した姿のカットは、あまりにも素晴らしすぎて、思わずPCの壁紙にしてしまったほどだ。


Krr2


長々と説明しちゃったけど、この3つの場面は、はるかの言葉を受けてのものだから、はるかの元へと場面は戻る。はるかは、今度は正面を向いてるけど、顔は下半分だけしか見えない。でも、シャープになったアゴのラインなどで、やっぱり成長したことが見てとれる。つまり、今回のラストシーンは、ED曲をはさんで、それぞれの夢に向かって歩き出した春野はるか、海藤みなみ、天ノ川きらら、プリンセス・ホープ・ディライト・トワの4人と、その何年後かの成長した姿を見せてくれたのだ。そして、そのベースになってるのが、七瀬ゆいの描いた絵本であり、その絵本を読んでた女の子の座ってた場所は、十数年前に小さかったはるかが夢中で「花のプリンセス」を読んでた場所なのだ。

もしかしたら、この女の子も、ゆいの描いた絵本の中に自分の夢を見つけるかも知れないし、この場所で異世界の王子と出会うかもしれない。そして、もしかしたら、この女の子が、何年後かのプリキュアになるかもしれない。少女たちの夢は続いて行く。少女たちの夢はリレーして行く。そう感じさせてくれる、最高のラストシーンだった。


‥‥そんなワケで、プリキュアを愛するあまりに、時には辛口にもなってしまうあたしだけど、今回の「Go!プリンセスプリキュア」に関しては、最初から最後まで文句のつけようがなかった。細部にわたって丁寧に作られてて、制作陣のプリキュア愛がヒシヒシと感じられて、シリーズ最高と言ってもいいほどのクオリティーだった。

だけど、不思議なことに、視聴率は悪かった。プリキュアシリーズの平均視聴率は、初代と2作目が7~8%、3作目から9作目までが5~7%だったけど、10作目の「ドキドキ!プリキュア」が初めて5%を割って4%台後半となり、11作目の「ハピネスチャージプリキュア!」はさらに下がって4%台半ばになった。そして、今回の「Go!プリンセスプリキュア」は、第1話から第49話までが3%台から4%台前半を行ったり来たりだったので、たぶん平均視聴率は歴代最下位になると思う。

きっと、前々作と前作の不振で進行しちゃった「プリキュア離れ」の影響もあるのかもしれないけど、これはとっても残念な結果だ。プリキュアシリーズを全作すべて1話も欠かさずに観て来たプリキュアマニアのあたし的には、シリーズのトップ3に数えてもいいと思ってるほど素晴らしい今回の作品なのに、まさか、こんなにも低い視聴率だなんて、ちょっと意外だ。

視聴率が高かろうが低かろうが、あたしには直接は関係ないことだけど、視聴率はメインスポンサーが販売してる「関連玩具の売り上げ」に直結してるから、制作サイドにとっては大問題だ。そして、このまま低迷が続けば、そのうち「プリキュアシリーズの打ち切り」ということになり、あたしにとっても悲しいことになっちゃう。


‥‥そんなワケで、低迷する視聴率を回復させるために生み出されたのが、2月7日からスタートする新作、通算13作目にして11代目のプリキュア、「魔法使いプリキュア!」だ。一世を風靡したものの、人気が下降気味のプリキュアシリーズに、いつの時代でも子どもたちに人気のある「魔法使い」の要素を組み合わせるという、ある意味、起死回生の策なんだろう。でも、このタイトルを知った時、あたしは、「あ~あ、とうとうパンドラの箱を開けちゃったよ」と思った。プリキュアにはプリキュアならではの世界観があるのに、ここに魔法を持ち込んだら、それが壊れてしまう。正直、魔法モノをやりたいのなら、プリキュアシリーズはお休みするか、潔く打ち切りにして、「おジャ魔女どれみ」の続編をやればいいじゃないか。最後の「おジャ魔女どれみ ドッカ~ン!」の3年後の高校生になったどれみたちを描いたライトノベル「おジャ魔女どれみ 16」のシリーズをアニメ化すればいいじゃないか。あたしはそう思った‥‥とか言いつつ、今度の「魔法使いプリキュア!」も第1話からシッカリ観て行こうと思った今日この頃なのだ♪


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いします!
  ↓


|

2016.02.01

ネットのニュースの落とし穴

あたしはテレビを持ってないし新聞も購読してないので、ニュースはもっぱらネットで読んでるんだけど、ネットのニュースには落とし穴がある。その1つが、見出しだけを見て、記事を読まずに「思い込んでしまう」という落とし穴だ。

どこのポータルサイトにアクセスしても、まずは新着の主要ニュースの見出しが並んでて、その後に「社会」「政治」「経済」「海外」「エンタメ」「スポーツ」などのジャンル別の項目が並んでる。これらのニュースの見出しは、ポータルサイトによって多少の違いはあるけど、だいたい13文字から17文字くらいで、平均すると15文字ほどだ。

そして、多くの人は見出しを流して読み、その中で自分の興味のある記事しか読まないから、それ以外のニュースは見出しだけを「思い込んでしまう」ということがある。たとえば、しばらく前に、あるポータルサイトの主要ニュースの見出しの中に、こんなのがあった。


「嫌いな政治家、2位に山本太郎氏」


このニュースに興味がなく、見出しだけ読んだ人の記憶には「山本太郎って嫌われてるんだ」という情報だけが刷り込まれただろう。ちなみに、見出しをクリックして記事を読んでみたら、これは「週刊プレイボーイ」のアンケート結果の記事で、「嫌いな政治家」のダントツの1位は安倍晋三、ずいぶんと差があって2位が山本太郎、3位が麻生太郎だった。

これらの見出しはそれぞれのポータルサイトの担当者が書いてるから、同じ記事の見出しでもポータルサイトによってカラーが違ってくる。このポータルサイトの担当者が、どうして1位ではなく2位を見出しに使ったのか、あたしにはその意図は分からない。でも、見出しだけ読んだ人たちの記憶に「何」が刷り込まれたのかは、あたしでも分かる。

わずか15文字前後のキャパで、記事の内容を的確に伝えなきゃならないのがネットニュースの見出しの役割であり、それぞれのポータルサイトの担当者のセンスが光る場だ。だけど、その一方で、その担当者やポータルサイト運営会社のカラーが意図的に反映されることもあると思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、昨日、いつものようにポータルサイト巡りをしてニュースの見出しをチェキしてたら、あるポータルサイトの主要ニュースのとこに驚くべき見出しを見つけた。


「NYタイムズがヒラリー氏支持」


アメリカの新聞で購読者数3位を誇るニューヨークタイムズが、アメリカ大統領選で、この時期に民主党を支持すると表明しちゃったのか?ま、ニューヨークタイムズは昔からヒラリー贔屓(びいき)だけど、ビックリしてすぐに見出しをクリックしたら、時事通信の以下の記事だった。


「クリントン氏支持を表明=米大統領選でNYタイムズ」時事通信
【ニューヨーク時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は30日、大統領選の民主党候補としてヒラリー・クリントン前国務長官(68)を支持する立場を表明した。同紙はクリントン氏について、上院議員や国務長官としての実績や、大統領夫人としての経験を評価。労働者の権利を重視する経済政策に加え、銃規制や女性の地位向上などの取り組みにも期待できるとして「近代史上、最適任の大統領候補の一人」と評した。(2016/01/31-06:45)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201601/2016013100025&g=int


この記事を読んで、いくらヒラリー贔屓のニューヨーク・タイムズでも、ホントにこの時期にこんな記事を書いたのかと疑問に思ったあたしは、さっそく実際のニューヨーク・タイムズの元記事を読んでみた。そしたら、ホントに書いてあった。


「Hillary Clinton for the Democratic Nomination」
http://www.nytimes.com/2016/01/31/opinion/sunday/hillary-clinton-endorsement.html?ref=opinion


元記事の全文を読んだけど、時事通信の記事の内容は元記事の内容を的確に短くまとめてあって、何も問題ないことが分かった。だけど、トップページの、このヒラリーの記事の下に、「A Chance to Reset the Republican Race」という共和党に関する記事が並んでて、見出しの下のリード文には次のように書いてあった。


「ジョン・ケーシック知事は、トップを走る過激な候補者たちに疲弊している共和党にとって、唯一の妥当な選択だ」


Nt2


それで、この記事を読んでみたら、共和党のドナルド・トランプとテッド・クルースによる大統領候補争いを「汚くて野蛮だ」と一刀両断してた。最初はドナルド・トランプを批判し、続いてテッド・クルースを批判した上で、「オハイオ州のジョン・ケーシック知事は、(現時点では2人に)完全に負けているが、今回の候補選で過激さと経験不足さばかり見せられて飽き飽きしている有権者にとって、唯一の妥当な選択だ」と書いてた。そして、ジョン・ケーシック知事の良くない点もキチンと揚げながら、良い点や実績などを書き綴り、なぜ「唯一の妥当な選択」なのかを説明してた。


「A Chance to Reset the Republican Race」
http://www.nytimes.com/2016/01/31/opinion/sunday/a-chance-to-reset-the-republican-race.html?ref=opinion


‥‥そんなワケで、「ニューヨークタイムズが民主党支持を表明した」というのは、あたしの早トチリで、正しくは「民主党候補の中ではヒラリー・クリントンを支持した&共和党候補の中ではジョン・ケーシックを支持した」ということだった。最初に読んだ時事通信の記事にも、ちゃんと「大統領選の民主党候補としてヒラリー・クリントン前国務長官を支持する立場を表明した」と書かれてるから、この記事に関しては何も問題ない。悪いのはあたしだ。

だけど、時事通信は、後述の共和党のジョン・ケーシック知事の記事は紹介していない。これってどうなんだろう?ニューヨークタイムズは民主党と共和党のそれぞれの候補選について並列した記事を書き、それぞれ支持する候補者の名前を挙げてるのに、その一方の記事だけしか紹介しないのって、どうなんだろう?これだと、あたしみたく早トチリしちゃった人も多いんじゃないだろうか?‥‥なんてことをモヤモヤと思いつつ、いろんなニュースサイトを見て回ってたら、米CNNの日本語サイトに、こんな記事を発見した。


「米NYT紙が民主クリントン氏、共和ケーシック氏の支持表明」
米紙ニューヨーク・タイムズは30日、今年の米大統領選の立候補者では民主党のヒラリー・クリントン前国務長官、共和党ではオハイオ州のジョン・ケーシック知事を支持するとの論説を掲載した。有力紙とされる同紙の支持表明は、来月1日に民主、共和両党の指名候補争いの初戦となるアイオワ州の党員集会に臨む両氏に追い風となる可能性がある。
http://www.cnn.co.jp/usa/35077113.html?tag=top;topStories


全文はリンク先の記事を読んでもらうとして、あたしはこの記事を見つけた時、「これだよ!あたしが言いたかったことは!」と思って、モヤモヤしてた気分が一気に晴れ渡った。


‥‥そんなワケで、海外のニュースの中から何を選んで報じるかは報道媒体それぞれの自由だし、それらの記事の中から何を選んで主要ニュースの見出しに並べるかはポータルサイトそれぞれの自由だ。小沢一郎の陸山会問題の時には、疑惑の段階から連日のように犯人扱いで取り上げて大騒ぎし続けたテレビや新聞が、今回の甘利明の口利き疑惑問題では、まるで大臣の辞任ですべて事件が収束したかのように静かになってしまうのも自由だし、甘利明を「潔い」などと称賛した記事を書くのも自由だ。ま、テレビも新聞も報道関係の偉い人たちは、安倍晋三と会食したりゴルフしたりと忙しいみたいだから、あたしは特に期待はしてないけど、今回のニューヨーク・タイムズの記事の例を見れば分かるように、ネットを活用してる人たちは、見出しだけを見ての「思い込み」だけでなく、記事を読んでも疑って掛かること、どうしてこの記事がピックアップされているのかを考えてみることが大切だと感じた今日この頃なのだ。


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いします!
  ↓


|

2016.01.21

プラネット・ナイン

アメリカのカリフォルニア工科大学の天文学者の研究チームが20日、「太陽系の最も外側を回る9番目の巨大惑星が存在する兆候を発見した」と発表した。アメリカの天文学会の専門誌「アストロノミカル・ジャーナル」に論文が掲載されたそうで、あたしは日本とアメリカのニュース記事しか読んでないんだけど、それによると、「プラネット・ナイン」という通称で呼んでいるこの惑星は、地球の約10倍の質量を持っているという。太陽系の一番外側の惑星である海王星は、太陽から約45億kmの位置を公転してるけど、この「プラネット・ナイン」は、さらに20倍も遠い位置を、非常に細長くて異様な楕円形の軌道で公転しているという。

太陽系って、英語だと「ソーラー・システム」なので、なんか「太陽光発電」のことみたいでネーミング的にカッコ悪いけど、この「プラネット・ナイン」はカッコイイよね。日本語の「第9惑星」もそれなりにカッコイイけど、あたし的には、ちょっと複雑だ。だって、あたしが子どものころに学校で習った時には、「水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星」と9つの惑星があって、これを「すいきんちかもく、どってんかいめい」って暗記させられたからだ。

それなのに、2006年の国際天文学連合の総会で、一番外側の冥王星が「惑星にしちゃあ小さい」ってことで、惑星とは認められなくなっちゃったのだ。もう少し詳しく説明すると、2005年に冥王星よりも大きい「エリス」という天体が発見されて、他にもけっこう大きい「ケレス」と「カロン」も発見されてたので、この3つを太陽系の惑星に認定するかどうかが議題だった。

結局、この3つは惑星の定義を満たしていないという意見が多くて認定されなかったんだけど、ここで「エリスが惑星に認定されないなら、エリスよりも小さい冥王星も惑星じゃないじゃん」的な流れになり、冥王星は、言わば巻き添えみたいな感じで惑星から外されちゃったのだ。そして、これらの「惑星になりそこねた天体」は、この時に新設された「準惑星」っていうカテゴリーに入れられたのだ。

新しく発見されたエリス、ケレス、カロンが「準惑星」になったのはいいとしても、それまで「惑星」だった冥王星までもが巻き添えで「準惑星」に格下げされちゃうなんて、なんか、去年のシーズン後半に打撃不振で2軍落ちした日本ハムの西川遥輝選手みたいで、ちょっと残念な気持ちになる。つまり、今回の「プラネット・ナイン」の登場は、あたしが子どものころからずっと1軍で9番を打ってた冥王星が、その座を取り上げられ、そこに別の天体が居座ろうとしてる感じがしちゃうのだ。

子どものころに「いい国つくろう鎌倉幕府」って暗記させられて、ずっと「1192年」だと信じて生きて来たのに、大人になってから「実は1185年でした」なんて言われると、ナニゲにドンヨリした気分になる。子どものころからずっと1月15日だった「成人の日」や10月10日だった「体育の日」が、「第2月曜日」とかに変わり、毎年毎年、日付が違うようになると、どうしてもモヤ~ッとした気分になる。子どものころに「恐竜図鑑」を観て、灰色や深緑色のゴツゴツした皮膚のいろんな恐竜がホントにいたんだと思ってたのに、今になって「恐竜は鳥類の祖先で、身体はカラフルな羽毛に覆われていた」なんて言われると、やっぱり「おいおい!」って気分になっちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、人類の科学力なんて、まだまだ発展途上で、未来のことが分からないのは当然として、過去のことだって分からないことだらけだし、宇宙のことだって分からないことだらけだ。太陽系なんて、宇宙全体から見たら「自分の住んでる家のある町内」みたいなものなのに、その町内にも知らないことや分からないことがマウンテンだ。それどころか、人類は未だに隣りの惑星である火星にも行ったことがない。これは「自宅の門を出て隣りの家に行ったことがない」って感じで、人類が行ったことがあるのは、まだ、自宅の庭の離れにある「月」だけなのだ。

あたしたちがよく観る、ISS(国際宇宙ステーション)からの地球や宇宙の映像は素晴らしいけど、地球からISSまでの距離はわずか400km、東京から大阪までの距離よりも短いのだ。地球儀を見ると日本の小ささが分かるけど、その日本の中の東京から大阪までの距離よりも近いところを回ってるワケだ。だから、地球をサッカーボールだとしたら、ISSがいるのはサッカーボールの表面から1cmくらいの場所ってことになる。

ようするに、これが今の人類の「宇宙の限界」なのだ。もちろん、もっと遥か遠くの「月」にも行ってるけど、人間が一定期間、生活をするとなると、このISSが「宇宙の限界」ってことになる。ちなみに、人類が行ったことのある、一番遠くの「月」までは、地球から38万4400 kmだ。そして、まだ人類が行ったことのない、地球のお隣りの火星は、太陽のまわりを楕円形に公転してるので、地球からの距離は、地球に最接近した時で約5600万km、最も離れた時で約1億km、平均すると約8000万kmだ。

で、この火星が地球から最も離れた時の「1億km」というのを漠然と頭の中に置いておくと、最初に書いた「太陽系の一番外側の惑星である海王星は、太陽から約45億kmの位置を公転してる」というのが、なんとなくイメージできると思う。だけど、今回、兆候が発見された「プラネット・ナイン」に関しては、この「45億km」の20倍だというのだから、なんとなくでもイメージできない。


‥‥そんなワケで、なんとなくイメージすることもできないほどの遥か彼方を、地球の10倍の質量を持つ天体が公転してて、それも異常に細長い楕円形の軌道で、1万年から2万年をかけて太陽のまわりを一周してるだなんて、それこそ想像もできない。だって、2万年前って言ったら、日本列島はまだ大陸と地続きで、日本は縄文時代の前の旧石器時代だったんだよ。「プラネット・ナイン」が太陽のまわりを一周する間に、日本は大陸から切り離されて日本列島ができて、日本人は旧石器時代から現代へと進んだことになる。

そんな「プラネット・ナイン」だけど、「発見した」じゃなくて「兆候を発見した」というのは、まだ直接は観測してないからだ。カリフォルニア工科大学の天文学者の研究チームが、太陽系の外縁部の準惑星や、海王星より外側にある「カイパーベルト」と呼ばれる天体の密集域の天体を調べていたら、太陽からの引力の他に、何か別の引力の影響による動きをしていることが分かり、そこから、これらの天体の外側を公転している「プラネット・ナイン」の存在に気づいたってワケだ。

でも、これらの天体の微妙な動きの変化から、数理モデルとコンピューターシミュレーションによって「プラネット・ナイン」の質量や距離、公転の軌道などまでを導き出したのだから、ホントにすごいよね。カリフォルニア工科大学の惑星天文学のマイク・ブラウン教授の「これは本物の太陽系第9番惑星とみられる。非常に胸が躍ることだ」というコメントや、同大学の惑星学のコンスタンティン・バティギン助教の「これまで150年以上に渡る天文学の世界で初めて、太陽系の惑星探査が不完全だったという確かな証拠が得られた」というコメントからも、今回の発見の確実性、「プラネット・ナイン」の存在の現実性が感じられる。

そして、今回の発見を受けて、早くもハワイのマウナケア山頂にあるW・M・ケック天文台の口径10mの望遠鏡や、同じくマウナケア山頂にある日本の国立天文台のハワイ観測所の口径8.2mすばる望遠鏡が、「プラネット・ナイン」の観測を始めたそうだ。過去の知見などよれば、「数年後までには観測に成功するだろう」とのことで、観測に成功すれば天文学的には今世紀最大の発見になる。


‥‥そんなワケで、47億年前に太陽が誕生した時には、太陽のまわりには今の何倍もの天体があった。小さな岩のようなものから巨大なものまで、数えきれないほどの天体があったけど、太陽の引力に負けたものはどんどん太陽に吸い込まれて行った。そして、太陽の引力と、自身の遠心力とのバランスが奇跡的に取れて、太陽のまわりを同じ軌道でグルグルと回り始めたのが、地球をはじめとした現在の太陽系の天体だ。そんな奇跡的に生き残った天体の中で、これまた多くの奇跡が重なって生命が誕生したのがこの地球なのだから、その地球を統べる人類が戦争や自然破壊を繰り返して、自分たちの未来や地球の寿命を削り続けるほど愚かなことはない。せっかく「奇跡の惑星」に生まれたのだから、子どもたちへ、未来の人たちへ、この地球を少しでも良くしてから手渡したい。太陽系の惑星が8つではなく、最後の海王星の次に、かつての冥王星に代わる新しい第9惑星、「プラネット・ナイン」が登場してから生まれてくる子どもたちが、今より少しでも良い環境で暮らして行けるようにすることが、今を生きるあたしたちの責任だと思った今日この頃なのだ。


【追記】まったくの偶然ですが、「プラネット・ナイン」の論文が発表された1月20日から来月の2月20ごろまでの1カ月間、水星、金星、火星、木星、土星の5つの惑星を一度に観ることができます。これは10年ぶりのことで、夜明けの45分くらい前に肉眼で観ることができます。太陽系の8つの惑星のうち、地球以外の7つのうち5つが一度に観られるなんて、とってもワクワクしますね。詳しくは以下のCNNの記事をお読みください。

http://www.cnn.co.jp/fringe/35076585.html?tag=top;topStories


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いします!
  ↓


|

2016.01.16

きっこの2015年スポーツ感動大賞

1月も半ばを過ぎたのに、今ごろ去年のことを話題にするのもアレだけど、スカパーが全国の15歳から69歳の男女を対象に行なった調査によると、去年1年間のスポーツで感動した出来事のトップ5は、以下の結果になったそうだ。


1位「ラグビー、日本代表がワールドカップで南アフリカに大金星」

2位「フィギュア、羽生結弦がGPシリーズ最終戦で史上初300点超の世界最高得点で優勝」

3位「プロ野球、ヤクルトの山田哲人とソフトバンクの柳田悠岐がトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)達成」

4位「フィギュア、浅田真央が休養から復帰してGPシリーズ復帰戦で優勝」

5位「プロ野球、イチローが日米通算の安打記録で歴代2位を達成」


う~ん、なんか違う‥‥ってのが、あたしの率直な感想だ。どの出来事も知ってるけど、あたしはラグビーやフィギュアは観てなくて、ネットのスポーツニュースやラジオなどで結果を知っただけなので、特に感動はない。プロ野球は好きだから、ペナントレースもCSも日本シリーズもプレミア12もぜんぶ追ってたけど、その中で1番感動したことが「山田哲人と柳田悠岐のトリプルスリー達成」というのは納得できない。

たしかにセ・パ両リーグから1人ずつ、トリプルスリーを達成した選手が出たことは素晴らしい記録だけど、「感動」とはちょっと違う。山田哲人なら、ヤクルトが2連敗で迎えた日本シリーズ第3戦での「3打席連続ホームラン」のほうが遥かに感動したし、それ以前にヤクルトがリーグ優勝した時にも感動したし、CSファイナルで巨人を下した時にも感動した今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは日ハムのファンなので、ペナントレース中の日ハムの試合でも感動する場面はたくさんあった。だけど、あんなに勝ち越していながら、去年はソフトバンクの強さが尋常じゃなかったので、CSでガックリ来たぶん、その後のプレミア12での大谷翔平と中田翔の活躍に、より感動することができた。

でも、去年1年間、パリーグ中心に観て来たあたしにとって、何よりも最高に感動したのは、9月27日の西武ドームでの「西武×楽天」戦、そう、森本稀哲(ひちょり)選手の引退試合だった。森本稀哲は、西武に2年いて、その前は横浜に3年いたけど、その前に12年も日ハムにいたし、やっぱり大活躍した日ハム時代の印象が強いから、日ハムのファンのあたしにとっては、特別に好きな選手のひちょりだった‥‥じゃなくて、ひとりだった(笑)

そんな森本稀哲だけど、去年は結果を出せずに2軍落ちとなり、まだ34歳という若さなのに、潔く引退を決意した。そして、現役最後の引退試合では、西武は先発の十亀剣のピンチを守備が救い、 3回裏には炭谷銀仁朗のソロホームラン、渡辺直人のタイムリーで2点先制。5回表に伊東亮大のソロホームランで1点返されるも、その裏には「おかわり君2号」こと山川穂高のタイムリーで、また2点差に引き離した。

「1-3」の2点リードで迎えた8回表、森本稀哲が登場、7番ライトで守備につき、西武はこの回を0点に抑えた。8回裏、西武の攻撃は1番の秋山翔吾からなので、7番の森本稀哲まで打席を回すことは難しかった。でも、ベンチでは「ひちょりさんまで回せ!」を合言葉に、チーム全員が一丸となって打席をつないだ。

1番の秋山翔吾がツーベースヒット、2番の渡辺直人がデッドボールでノーアウト1、2塁。3番の浅村栄斗が送りバント、楽天のキャッチャー伊志嶺忠の悪送球で1塁セーフで1点追加。4番の中村剛也が犠牲フライで1点追加、「1-5」と点差は広がったけどワンアウト。そして、5番のメヒアはサードゴロ、2塁はアウトになるもメヒアが必死に走って1塁はセーフ。いつものメヒアなら、ダブルプレーでスリーアウト、森本稀哲まで回らずに終わっていたところだ。

4点も勝っているから、9回表で同点に追いつかれるか逆転されない限り、9回裏はない。つまり、森本稀哲の打席はない。だけど、メヒアが必死に走って、次の6番、栗山巧につないだのだ!栗山巧が塁に出れば、次は森本稀哲だ!栗山巧は、粘りに粘ってフォアボールを選んで1塁へ向かった。ネクストバッターズサークルにいた森本稀哲は、目頭を押さえて号泣している。泣きながらバッターボックスへ向かう森本稀哲。

目を真っ赤にして打席に入った森本稀哲は、涙でボールが見えなかったのか、1球目は大きく空振り。ベンチでは渡辺直人も泣いている。そして、2球目のボールを見送り、3球目を打ってサードゴロ。1塁まで全力疾走する森本稀哲に、球場中からの大歓声。ベンチに戻る森本稀哲を選手全員がハイタッチで迎えた。西武のファンだけでなく、他チームのファンからも愛された森本稀哲らしい感動の最終打席だった。


‥‥そんなワケで、去年のスポーツであたしが1番感動したのは、この試合で17年間の現役生活に終止符を打って引退する森本稀哲のために、西武のチームメイトたちが一丸となって打席をつないだ8回裏だった。そして、この奇跡のリレーの先頭を切ってくれたのが、1番の秋山翔吾だったワケだけど、この秋山翔吾も去年はたくさんの感動をくれた。連続試合安打31試合は、1979年当時、広島の高橋慶彦が打ち立てた日本最長記録33試合に届かなかったけど、歴代3位タイとなり、左打者としては歴代1位になった。

開幕から63試合目に100安打を達成したのは、オリックス時代のイチローの60試合目、南海ホークス時代の広瀬叔功の61試合目に次ぐ歴代3位。2カ月連続での40安打達成は、イチロー以来の史上2人目。そして、史上6人目(7度目)となるシーズン200安打を達成し、最終的には、イチローの210安打を破り、阪神のマートンが持っていた日本記録の214安打を破り、216安打という日本新記録を打ち立てた。

秋山翔吾のお父さんは、息子をプロ野球選手にするために、小さいころから陸上部に入れて足腰を鍛えさせたり、右利きの秋山翔吾に左でのバッティングを教えたりと、とても厳しく育てたという。秋山翔吾本人も、小学校の時の作文に「将来はプロ野球選手になりたい。イチロー選手のようにたくさん打ちたい」と書いていたほど、プロ野球選手、イチロー選手に憧れていたのだ。

でも、秋山翔吾が小学6年生の時に、お父さんが癌で他界してしまった。すると、今度はお母さんがその意志を継ぎ、秋山翔吾のキャッチボールの相手をしたという。それも、硬球でのキャッチボールだ。お父さんが亡くなって母子家庭になっただけでも大変なのに、息子の夢を叶えるために硬球でのキャッチボールを続けただなんて、この話を聞いただけでも、あたしは目頭が熱くなってしまう。だから、2010年のドラフト会議で西武から3位指名を受けた時、秋山翔吾のお母さんが大喜びしている映像を見て、あたしは涙が止まらなくなった。

そんな秋山翔吾だけど、夢だったプロ野球選手になれた2011年からは、打撃不振や故障などで1軍と2軍を行ったり来たり、全試合に先発出場できたのは3年目の2013年になってからだった。だけど、翌2014年には、また打撃不振に陥り、打率は前年の2.70を下回る2.59に落ち込んだ。

こんな流れからの去年2015年、秋山翔吾は今までの高く構えるバッティングフォームをやめ、低く構えるようにした。今までは美しいフォームで美しいヒットを打って塁に出ることを理想としていたが、キレイゴトは捨て、ポテンヒットだろうがゴロだろうが必死に走って塁に出る、泥だらけになっても塁に出る、という考え方にシフトした。そして、去年の大活躍と大記録を達成したのだ。

チーム自体は2年連続でBクラスという残念な結果になったけど、秋山翔吾がイチローを超える素晴らしい記録を打ち立てただけでなく、「おかわり君」こと中村剛也も満塁本塁打を16本打ち、王貞治の持っていた満塁本塁打15本という日本記録を塗り替えた。それどころか中村剛也は、本塁打王と打点王も獲得している。


‥‥そんなワケで、秋山翔吾は、9月13日のロッテ戦の第3打席で涌井秀章からタイムリーを打って史上6人目(7度目)の200安打を達成したワケだけど、日ハムのファンのあたし的には、この前日の「西武×日ハム」戦のほうが印象に残ってる。秋山翔吾が第1打席で先頭打者ホームラン、すぐに日ハムは猛攻で6点も獲ったのに、その裏に3点返されて、日ハムも追加点をあげたんだけど、6回裏に秋山翔吾の3安打目となるタイムリースリーベースと脇谷亮太のタイムリーツーベスの連打で「7-7」の同点にされた。

このタイムリースリーベースが秋山翔吾の199安打目で、延長10回裏に200安打目の打席が回って来たんだけど、ここは日ハムの7人目、増井浩俊が三振に打ち取った。そして11回の表、日ハムは中田翔のタイムリーで「8-7」と勝ち越した。それなのに、嗚呼それなのに、それなのに‥‥、11回裏、マウンドに上がった日ハム8人目の宮西尚生は、3番の浅村栄斗をフォアボールで出塁させ、続く4番の中村剛也に逆転サヨナラツーランを食らってしまった‥‥。文化放送「ライオンズナイター」を聴いていたあたしの心に、実況の高橋将市アナの歓喜の大絶叫が虚しく響き続けた‥‥。

あ、ついつい脱線しちゃったけど、この時も、もしもあたしが西武のファンだったとしたら、きっと感動してたと思う。そして、翌日のロッテ戦で200安打を達成した秋山翔吾は、試合のあとにこんなコメントをしたのだ。


「これまでいろいろな場面でつないでもらい、自分が多く打席に立つチャンスをくれたチームメイトたちに感謝しています」


‥‥そんなワケで、小学生の時からイチローに憧れていた野球少年が、亡くなったお父さんの夢を叶えるために、お母さんと二人三脚でプロ野球選手を目指し、ついにイチローの記録と並んだ時に言ったのが、チームメイトたちへの感謝の言葉であり、みんなで「つなぐ」ということの大切さだったのだ。そして、この200安打達成から2週間後の9月27日、秋山翔吾は、自分が先頭を切って森本稀哲へとバトンをつないだのだ。これほど感動することがあるだろうか。あたしにとっての「2015年スポーツ感動大賞」は、やっぱり「森本稀哲の引退試合」に決定した今日この頃なのだ!


【8回裏、ツーアウトから栗山巧がフォアボールを選んで森本稀哲に打席を回した感動のシーン】
https://www.youtube.com/watch?v=aFeZJNTEChY


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いします!
  ↓


|

«新成人の意識調査