2018.02.24

「1票の格差」と「1票の差」

国政選挙において、選挙区ごとに有権者数が違うため、1人の候補者が当選するのに必要な得票数に地域差ができてしまう「1票の格差」の問題は、皆さん、ご存知だと思う。たとえば、Aの選挙区では最低でも50万票を獲得しないと当選できないのに、Bの選挙区では10万票で当選できる場合、同じ「1票」なのに、その価値に5倍もの違いがある。これは憲法が保障する「法の下の平等」に反するんじゃないか?‥‥という問題だ。

この問題に対して、多くの裁判所は「合憲」でも「違憲」でもない「違憲状態」という曖昧な判断をしてきたけど、今回は、この「1票の格差」の問題と似て非なる「1票の差」の問題について取り上げてみたいと思う。それは、2月21日に東京都選挙管理委員会の裁決が出た「葛飾区議選」の問題だ。東京都民なら誰でも読める「葛飾区」だけど、念のために書いておくと、寅さんでお馴染みの「かつしか区」だ。で、あたしは、今回の東京都選挙管理委員会の裁決について、どうしても納得できない点があったため、問題提起の意味も込めて、ここで取り上げてみようと思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、まずは、どんな問題なのかまったく知らない人もいると思うので、以下、毎日新聞の記事をリンクしておく。


「葛飾区議選 1票差当選、無効と裁決 「当落」入れ替わる」(毎日新聞)
昨年11月12日の葛飾区議選について、東京都選挙管理委員会は21日、1票差で落選し票の再点検を求めていた会田浩貞氏(77)の審査申し立てを認め、最下位当選した大森有希子氏(35)の当選を「無効」と裁決した。都選管が票を再点検し、葛飾区選管が大森氏の有効票とした2票を「無効票」と判断。会田氏と大森氏の「当落」が入れ替わった。大森氏は裁決を不服として東京高裁に提訴する方針だ。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20180222/k00/00m/010/091000c


リンク先の毎日新聞の記事には、「決定を不服とした会田氏の審査請求を受け、都選管は3日、全16万2399票を再点検。区選管が大森氏の有効票と判断した「大森ひでこ」「大森ようこ」の2票について、下の名前が同じ他候補への票と判別できないとして無効票と判断した。この結果、会田氏は2175票、大森氏は2174票となり、会田氏の票が上回った。」と書いてあった。そこで、あたしは、葛飾区の公式の開票状況(開票率100%)を確認してみた。以下がそれで、頭に「当」の字がついているのが「当選」という意味、右端の数字が「得票数」だ。


「葛飾区議会議員選挙の開票状況」(開票率100%)

当 小林ひとし(日本維新の会) 7321
当 かわごえ誠一(民進党) 4315
当 くぼ洋子(公明党) 4093
当 梅沢とよかず(自民党) 4066
当 池田ひさよし(自民党) 4058
当 中村しんご(共産党) 4055
当 みねぎし良至(自民党) 3797
当 出口よしゆき(公明党) 3734
当 筒井たかひさ(自民党) 3674
当 三小田准一(共産党) 3654
当 安西俊一(自民党) 3651
当 中村けいこ(民進党) 3597
当 山本ひろみ(公明党) 3591
当 秋家さとあき(自民党) 3538
当 伊藤よしのり(自民党) 3508
当 倉沢よう次(自民党) 3502
当 米山真吾(無所属) 3415
当 かみむらやす子(公明党) 3365
当 中江秀夫(共産党) 3351
当 むらまつ勝康(無所属) 3331
当 木村ひでこ(共産党) 3294
当 むかえすみえ(公明党) 3253
当 つたえりな(無所属) 3212
当 黒柳じょうじ(公明党) 3187
当 工藤きくじ(自民党) 3113
当 平田みつよし(自民党) 3030
当 小山たつや(公明党) 3029
当 大高たく(無所属) 3010
当 江口ひさみ(公明党) 2987
当 おりかさ明実(共産党) 2981
当 うてな英明(都民ファースト) 2965
当 秋本とよえ(自民党) 2958
当 立花孝志(NHKから国民を守る党) 2954
当 牛山ただし(公明党) 2946
当 うめだ信利(無所属) 2612
当 鈴木信行(無所属) 2587
当 みずま雪絵(無所属) 2516
当 高木のぶあき(自民党) 2329
当 きょうづか理香子(無所属) 2248
当 大森ゆきこ(無所属) 2176
  会田ひろさだ(無所属) 2175
  樋口まこと(共産党) 2166
  内山みのる(自民党) 2152
  あまの友太(自民党) 2079
  しばはし宏子(都民ファースト) 1863
  村田こうじ(自民党) 1849
  渡辺ふみや(都民ファースト) 1725
  せき智之(自民党) 1683
  かみなが誠(都民ファースト) 1524
  おみみわ(都民ファースト) 1425
  谷野せいしろう(無所属) 1092
  川和かずたか(無所属) 1051
  武田まさき(無所属) 746
  かすみ良人(無所属) 562
  まえしろ正太(若者と少数派の党) 473
  多村寿理(無所属) 379
  仲ひろひと(無所属) 362
  浜野げんき(無所属) 326
  おおり則枝(無所属) 306


‥‥そんなワケで、こうして改めて「葛飾区議選」の結果をすべて見てみると、今回の問題とは関係ないけど、 2点、気づいたことがある。それは、「さすが公明党は創価学会員にうまく投票配分させて候補者全員をきちんと当選させてるな~」ということと、「都民ファーストの会は5人も擁立したのに小池百合子都知事のせいで1人しか当選しなかったのね~」ということだ。

ま、それはそれとして、今回の問題だけど、40議席中40番目の最下位当選を果たした無所属の「大森ゆきこ」氏の「当選」に対して、わずか1票差で落選した無所属の「会田ひろさだ」氏が、東京都選挙管理委員会に「票の再点検」を求めたワケだ。これは、あたしにも理解できる。自分が同じ立場になったらと想像してみれば、50票も100票も差がついて落選したのなら諦めるけど、たった1票の差なんだから、中には無効票を数えてしまったケースがあるかもしれないと思い、あたしも「票の再点検」を求めると思う。

で、会田氏からの請求を受けた都選管は、全16万2399票を再点検した結果、大森氏が得票した2176票のうち2票を「無効」と判断し、この2人の当選と落選が逆転する裁決を下したのだ。記事によると、大森氏の得票のうち「無効」とされたのは「大森ひでこ」「大森ようこ」の2票で、その理由として都選管は「下の名前が同じ他候補への票と判別できない」と述べている。この「下の名前が同じ他候補」というのは、さっきの一覧を見てみると、21位で当選した共産党の「木村ひでこ」氏と、3位で当選した公明党の「くぼ洋子」氏のことだろう。

そして、今回の新聞報道だけを読むと、この2票だけが「無効」なんだから、大森氏の他の得票は、どれもきちんと「大森ゆきこ」とか「大森有希子」とか書かれていたと思うだろう。でも、これが驚いたことに、ぜんぜんそんな話じゃなかったのだ。今回の問題について、ご本人の大森ゆきこ氏が自身のブログで公開した実際の投票用紙の画像を見て、あたしはぶっ飛んでしまった。


Oy1

Oy2
※大森ゆきこ氏のブログより
https://ameblo.jp/yukikoomori/entry-12354782704.html


この画像を見れば分かるように、都選管が「無効」とした「大森ひでこ」「大森ようこ」の2票の他にも、「大森ゆかり」「大森みゆき」「大森たつこ」「大森よしこ」「大森みつこ」「大森ゆきえ」「大森あきこ」‥‥って、おいおいおいおいおーーーーい!挙句の果てには「大森」という苗字だけのものまである。でも、これらはすべて「無効」ではなく、ちゃんと「大森ゆきこ」氏の得票としてカウントされてるワケだから、ようするに、当初は苗字が「大森」と書かれているものは基本的にすべて「大森ゆきこ」氏への投票としてカウントしたワケだ。

大森ゆきこ氏は、比較として「会田ひろさだ」氏への実際の投票用紙の画像もブログで公開してるけど、こちらも同様に「会田さだひろ」「会田ひろゆき」「会田ひろし」など、下の名前が間違っているものがたくさんある上に、苗字が「会田」ではなく「合田」と書かれているものまであった。


‥‥そんなワケで、今回の都選管の判断基準は「下の名前が同じ他候補への票と判別できない」というものだけど、これって、どうなんだろう?一覧を見れば分かるように、大森氏は「大森ゆきこ」と表記しているので、「大森ひでこ」という誤記が共産党の「木村ひでこ」氏への投票と判別できない‥‥とい理屈は、そうとう強引だけど、まあギリギリで理解できないワケでもない。大森の「大」と木村の「木」も似てることだし。でも、「大森ようこ」という誤記が、正反対に苗字がひらがなで名前が漢字で表記された公明党の「くぼ洋子」氏への投票と判別できない‥‥という理屈は、いくら何でも無理がありすぎる。

それに、「くぼ洋子」氏の下の名前は漢字表記なんだから、知らない人には「ようこ」なのか「ひろこ」なのか分からない。百歩ゆずって「大森洋子」という誤記であれば都選管の理屈も多少は通用するかもしれないけど、ひらがな表記の「ようこ」を「洋子」のことだと類推するのは飛躍しすぎている。

一度でも投票に行ったことがある人なら誰でも知ってるように、投票用紙に候補者の名前を書き込むスペースには必ず「候補者一覧」が貼ってあり、今回の「葛飾区議選」であれば、その一覧には「くぼ洋子」「大森ゆきこ」と明記されてたハズだ。そして、これまた一度でも投票に行ったことがある人なら誰でも経験があると思うけど、投票用紙に候補者の名前を書き込む時は、漢字の間違いなどがあって無効になったら大変なので、念のために目の前の一覧を見て、そこに書かれている通りにきちんと書くのが普通だ。

そんな状況で、公明党の「くぼ洋子」候補に投票しようと思った人が、間違えて「大森ようこ」と書くなんて、いくら何でも普通は考えられないし、第一、しっかり教育されている創価学会員が、自分の書くべき候補者の名前を誤記するなんてことはアリエナイザーだ‥‥って、思わず何年ぶりかで「アリエナイザー」を使っちゃったけど、とにかく、あたしは、「大森ゆかり」も「大森みゆき」も「大森たつこ」も「大森よしこ」も「大森みつこ」も「大森ゆきえ」も「大森あきこ」OKなのに、「大森ようこ」が「無効」だという今回の都選管の裁決は理解できない。

それに、こんな無理のある理由で「無効」にされるのなら、もしも今回の区議選に、他に「ゆかり」や「みゆき」や「たつこ」や「よしこ」や「みつこ」や「ゆきえ」や「あきこ」という名前の女性候補者が出馬してた場合、その人たちの名前が漢字表記であったとしても、大森氏のこれらの得票はすべて「無効」にされてたことになる。こんなの、どう考えてもおかしいじゃん。


‥‥そんなワケで、あたしは、「大森ようこ」という誤記が、きちんと「大森」という苗字が書かれているのにも関わらず、下の名前が同じ公明党の「くぼ洋子」氏への投票と判別できない‥‥という今回の都選管の判断は、どう考えてもおかしいと思う。また、もう一方の「無効」とされた誤記である「大森ひでこ」にしても、これほどハッキリ「大森」と書かれてるんだから、やっぱり「大森ゆきこ」としてカウントすべきだと思う。それに、こんな前例を作ってしまったら、「ゆきこ」とか「ようこ」とか「ゆうこ」とか、一般的に「よくある名前」の候補者ばかり「無効票」が多くなってしまい、選挙における公平性にも問題が出てくると思う今日この頃なのだ。


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