猫用フレグランス
ちょっと前に、知り合いから、ポンカンをたくさんいただいた。すごく甘くて美味しくて、母さんもとっても喜んでる。皮と身の間がスカスカなので、ミカンみたいな皮の剥き方をしなくても、お尻に親指を突っ込んで、パカッて開くと、左右2つに分かれて、身をまとめて取り出せる。袋も白い筋も柔らかいので、丸ごと食べて種だけ出せばいいから、とっても食べやすい。
それで、1個食べると、半球型の皮が2つ残る。2個食べると、半球型の皮が4つ残る。だから、母さんと2個ずつ食べると、当然、半球型の皮が8つ残る。果物の皮なんか、普通は捨てちゃうんだろうけど、ミカンの皮みたいに細かくならなくて、すごく立派な半球型だし、すごくいい香りがするので、捨てるのがもったいなくなった。それで、何かに利用することにした。
もしかしたら、マーマレードにしたら美味しいかな?って思ったんだけど、ポンカンは、まだたくさんあるので、マーマーレードはあとからでも作れる。それで、とりあえず手元にある半球型の皮、16個は、お風呂に入れてみることにした。湯舟に、ぬるめのお湯をためて、そこに、取っておいたポンカンの皮をぜんぶ入れて、それから追い焚きをした。5分ほどしてからフタを開けると、湯気と一緒に、ポンカンのいい香りが、バスルームいっぱいに広がった。
さっそく、髪をパパッとまとめて、湯舟に浸かると、すっごく気持ちいい! 目を閉じて鼻から息を吸うと、ポンカンの香りが体いっぱいに入って来る。体を包み込んでるお湯も、顔の周りの空気も、肺の中も、すべてがポンカンの香りに満ちていて、全身ポンカンパラダイスって感じな今日この頃、皆さん、最近パラダってますか?(笑)
‥‥そんなワケで、これが、おとといの夜のことで、あんまり気持ちが良かったので、ゆうべも沸かし返して、ポンカン湯に入った。そして、今夜も沸かし返そうと思って湯舟を覗いてみたら、サスガに3日目にもなると、昨日まではプカプカと浮かんでたポンカンの皮が、ぜんぶ水を吸って沈んでいて、その代わりに、お湯の色が、ビミョーに薄茶色くなってた。
あたしは、一瞬、お湯を入れ替えようかとも思ったんだけど、別に汚くなってるワケじゃないし、香りはいいまんまだし、何よりも、その、ビミョーに薄茶色なお湯がなんだか体に良さそうな感じがしたから、またまた沸かし返して入ってみることにした。そしたら、そのお湯がバツグンに気持ち良くて、ポンカンの香りも前の日の何倍にもなってたんだけど、それ以上に、お湯自体の感触がすごく良くて、あたしは、1時間以上も浸かってた。お肌もスベスベになったし、お風呂からあがってもずっとポカポカしてるし、ポンカン湯はすごくいいってことを発見したのだ。
部屋着に着替えて、焼酎のローズヒップティー割りを作って、ソファーに座ると、自分の体からほんのりとポンカンの香りがして、すごくリラックスする。体がポカポカするだけじゃなくて、何だか、心も満たされたみたいな感じで、すごくいい気分だ。大好きなOPMのセカンドアルバムを聴きながら、2杯目の焼酎のローズヒップティー割りを飲み干した時に、あたしは、ハッと思い出した。猫たちの晩ご飯、今週は、マンションの1階の奥さんの当番だったんだけど、その奥さんから、今夜だけ代わってくれるように頼まれてたんだ!
時計を見ると、もう10時半、あたしはアセッて、部屋着の上にカーディガンを羽織って、「猫ランチセット」を持って、駐車場に降りて行った。ちなみに、晩ご飯なのに、なんで「猫ランチセット」なのかについては、去年の11月3日の日記に書いてあるので、不用意にツッコム前に、そちらを読んで欲しい(笑)
‥‥そんなワケで、あたしが駐車場に降りて行くと、あっと言う間に、マックスとジジが飛んで来て、少し遅れて、マイケル、ハナコ、小林君、カルボナーラがやって来た。あたしは、大急ぎでキャットフードを器に入れて、あたしの車の脇に、等間隔に並べて行った。それから、お水を汲みに行って、戻って来たら、偽マックスとペペロンチーノとジジの兄弟も来てたので、あわてて器の数を増やした。
そうこうしてるうちに、一番最初に食べ始めたマックスが食べ終わり、お水も飲んで、手や背中を舐め始めた。それで、あたしは、マックスのところへ行き、抱き上げた。いつもなら、あたしの顔を舐めてくれたり、グルグル言いながら甘えてくれるんだけど、今夜は様子がおかしくて、やたらとあたしの匂いを嗅いで、イヤな顔をする。それで、両手であたしのことをギューって押して、離れようとする。仕方ないので、地面に降ろしてあげたら、スタスタッと歩いて行って、少し離れたとこで、また、体を舐め始めた。
そしたら、今度は、ジジがご飯を食べ終わったので、あたしは、ジジを抱いて膝に乗せた。そしたら、ジジも、あたしの匂いをクンクン嗅ぎ出して、膝から降りようとする。それで、あたしは、ジジが一番喜ぶ首のとこを掻いてあげながら、ギュッて抱いたら、ジジが突然、「ウギャギャギャギャ~!」って叫びながら、あたしの腕から抜け出して、あたしの肩を超えて、背中のほうへと駆け抜けて行った! ジジったら、爪を全開にしてたもんだから、あたしも、「ウギャギャギャギャ~!」って叫びながら、その場に崩れ落ちた! あたしは、薄手のニットに上に、ザクザク編みのカーデを羽織っただけだったから、ジジの鋭い爪は、あたしの胸から肩、そして背中にかけて、ザクザクと突き刺さって行ったのだ。
飼い猫は、爪を切ったりするけど、野良猫の場合は、爪は重要な武器だから、切ったりすると大変なことになる。自分の縄張りに入って来るヨソモノと戦う時に、爪が尖ってないと負けちゃうのだ。だから、あたしは、猫たちの爪を切ったりはしないので、みんな、恐ろしいほど、鋭い爪をしてる。
‥‥そんなワケで、しばらくして、やっと復活したあたしは、今度は、マイケルを抱き上げた。マイケルは、すごく甘えん坊で、急に暴れ出したりはしないので、安心して抱き上げた。そしたら、マイケルは、マックスやジジと同じように、あたしの匂いをクンクンと嗅ぎ始めて、やっぱり同じようにイヤな顔をした。マイケルの両ワキを抱えて、あたしの顔の高さまで持ち上げて、「マイケル、どうしたの?」って言いながら顔を近づけたら、あの大人しいマイケルが、突然、耳を平たくして、威嚇の顔をして、あたしの胸にネコキックを連発した。
ここで初めて、あたしは、「あっ! ポンカンの香りだ!」って気づいた。例外もあるけど、猫は、基本的に柑橘系の香りが嫌いなので、猫よけスプレーの中にも、柑橘系の成分を使ったものが多いのだ。
あたしは、コスメは無香料のものしか使わないけど、フレグランスはいつも使ってる。ほとんど毎日、シャネルのアリュールを使ってるけど、猫たちに嫌がられたことはない。それどころか、あたしはアリュールを長年愛用してるので、猫たちはアリュールの香りをあたしの香りだと思ってるフシもある。だから、香水の香りに比べれば、ポンカン湯に浸かって体についた香りなんか微々たるものなのに、それでも嫌がるってことは、柑橘系の香りがよほど嫌いなんだろう。だから、猫が嫌いな人たちは、ポンカン湯に入るといいかも知れない。
‥‥そんなワケで、柑橘系の香水をつけたりしたら、ポンカン湯の何倍もの香りがするから、きっと猫たちからは、ブーイング&ネコパンチ&ネコキックの嵐が巻き起こるかも知れないと思う今日この頃、ここはひとつ、ニボシやカツオブシやマタタビの香りをブレンドしたオリジナルの香水でも考案して、あたしが歩けば街中の猫たちがついて来る、なんてのはどうかな?(笑)
| 固定リンク