東京タワー
東京の名所の中で、東京で生まれ育った人が一番行かないところが、東京タワーだ。たいていは、小学校の社会科見学とか遠足とかで1回くらい、あとは、大人になるまでにもう1回くらい、合計で2回くらいしか行ってないと思う。だって、行ったとこで、意味のまったく分からない蝋人形館と、地方のお土産屋さんみたいな売店と、田舎の駅にあるみたいな記念スタンプと、変なプリクラと、熱帯魚屋さんみたいなショボイ水族館があるだけだからだ。でも、こんな施設はともかく、高い場所から見る東京の夜景はキレイだから、ホントだったら、夜景を見るためだけでも行きたいと思う。
だけど、オイソレとは行けない理由がある。それは、納得できないほどの料金の高さだ。だって、真ん中にある大展望台までエレベーターで上るだけで820円、その上にある特別展望台まで上ると、プラス600円も取るのだ。エレベーターに乗るだけで、2人で約3000円だ。「じゃあ、階段で行くからいいです!」って言っても、「お客さま、申し訳ありませんが、一般の方は階段はご利用になれないのです。上へ行くには、エレベーターに乗るしかないのです。」って言われちゃう。
さらに、あたしのお部屋の水槽と変わんないみたいな水槽が並んでるだけで、どう見ても熱帯魚屋さんにしか見えないような部屋を「水族館」と呼び、なんと、別料金で1000円もふんだくってるのだ。その上、駐車場も、30分で290円。30分単位だから、たとえば、1時間を1分過ぎただけでも、1時間半の料金になって、870円も取られる。だから、2人で東京タワーに行って、特別展望台まで上って、帰りに水族館を見て、2時間ほど駐車したとしたら、それだけで6000円、2時間を1分でも過ぎたら、6290円だ。中で何か食べて、お土産を買ったりプリクラを撮ったりしたら、1万円コースになっちゃう今日この頃、皆さん、東京タワーに上ったことはありますか?
‥‥そんなワケで、いくら東京は物価が高いって言っても、東京タワーの金額設定は、あまりにもデタラメだ。都内の水族館の中で、あたしが一番好きなのは、品川水族館なんだけど、ここは、大人が1100円で、東京タワーの水族館と100円しか変わらない。だけど、規模は、100倍以上だ。全面が高圧ガラスになってる水槽トンネルは、頭の上を巨大なジンベイザメやイトマキエイが泳ぎ、迫力満点だ。他の水槽も素晴らしいし、イルカやアシカのショーもやってるし、地下に下りるとイルカのプールを水中から見ることもできる。売店に並んでるお土産も、かわいいものばかりで、あたしは、イルカの携帯ストラップを持ってる。駐車場も、広くて停めやすい上に、20分100円だから、1時間停めても300円だし、20分単位だから、ちょこっと過ぎちゃってもそんなに損はしない。
この品川水族館を100点満点とすると、サンシャイン水族館が60点、東京タワー水族館が2点って感じだ。サンシャイン水族館は、なかなかムードがあって好きなんだけど、値段が高いこと、規模が小さいこと、場所が下品な池袋にあることなど、マイナス点も多いのだ。
‥‥そんなワケで、東京に住んでる人は、誰も行かない東京タワーだけど、じゃあ、東京に住んでる人に、東京タワーを嫌いかって聞くと、みんな、好きだって言う。あたしも、東京タワーが大好きだ。言ってることが違うじゃん!‥‥って思うかも知れないけど、これは、中に入るのは嫌いだけど、遠くから見るのは好きってことだ。ニポンのシンボル、富士山も、遠くから見てると素晴らしいけど、富士山まで行くと、ゴミだらけ、観光客だらけで、ウンザリしちゃう。東京タワーも同じで、決して近づかずに、ちょっと離れた場所から眺めてるほうがいいのだ。
夜になって、オレンジ色に輝き出す東京タワーは、やっぱり、東京のシンボルだ。千葉や埼玉方面にお仕事に行った時は、帰りの首都高で、東京タワーが見えて来ると、「ああ、帰って来たな」って気持ちになる。それに、333mって言う高さも、確変決定!って感じで、縁起がいい(笑)
‥‥そんなワケで、今、「東京タワー」って言う映画をやってるけど、ここから先は、この映画のネタバレ的な内容を多々ふくんでるので、これから見に行く予定の人は、読まないようにするか、読んで、見に行くのをやめるか、2つに1つしか道はない(笑)
さて、「東京タワー」は、1月15日からやってるんだけど、黒木瞳とV6の岡田准一のカップルと、寺島しのぶと嵐の松本潤のカップルって言う、気持ち悪い2組のカップルのドロドロした恋愛映画だ。岡田准一と松本潤は、高校時代からの同級生で、21才って言う設定、黒木瞳が41才、寺島しのぶが35才って言う設定で、ようするに、熟女好きな若い男の子2人と、若い男好きなオバサン2人の‥‥って言うか、この2組のカップルに、さらに、松本潤の彼女役の加藤ローサや、自分の母親に手を出した松本潤に思いを寄せる平山あやなどが入り乱れ、ノーシンを飲んでも頭痛も生理痛もおさまらないほどの肉欲愛憎劇が繰り広げられるのだ。
自分の親友の息子である岡田准一にドップリと浸かっちゃう黒木瞳の腰の動きは、ピストンが波打つV6エンジンだ! そして、特にスサマジイのが、岡田准一や松本潤や加藤ローサたちが集まってるプールバーに、松本潤に入れ込んじゃった主婦役の寺島しのぶが、エプロン姿で乱入して来るシーンだ。家庭があるのに、ダンナや生活に対する不満から、若い男の子に入れ込んじゃって、ナリフリ構わずに暴走する主婦パワーは、まさに、嵐!(笑)
そして、熟女とお子ちゃまのおぞましいベッドシーンの悪夢も覚めないうちに、エンディングで流れる山下達郎の「FOEVER MINE」は、あの、背中にバターを塗られるみたいな山下達郎の声と歌い方で、背筋がゾッとして、思わずオシッコが漏れそうになる。だけど、途中で流れるノラ・ジョーンズの「スリープレス・ナイト」は、アーバン・カウボーイって言うか、都会の大人の夜をイメージさせていて、すごく良かった。彼女の声も歌い方も、やわらかな気だるさがあって、東京の夜のイメージにピッタリだ。
なんで、「東京タワー」って言うタイトルなのかって言うと、岡田准一の住んでるマンションの窓から東京タワーが見えるってだけなんだけど、その窓からの映像が、印象的に織り込まれていく編集は、なかなか巧いと思った。これで、ジャニタレなんかじゃなくて、ちゃんとした役者が出てれば、もう少しマシな映画になってたのに‥‥。映画の趣味は人それぞれなので、何とも言えないけど、最近流行りの純愛映画や、感動の押し売り映画なんかが好きな人は、見ないほうがいいだろう。
‥‥そんなワケで、あたしは、昨日、お仕事の用事が色々とあって、車で都内を走り回ってた。車のラジオは、ずっと、TOKYO FM をつけっぱなしだったので、運転中は、色んな番組を断片的に聞いていた。
朝9時から11時までの柴田玲の「Supreme」をちょこっと聴いて、そのあとの恵俊影の「ディア・フレンズ」とアンナの「HAPPY-GO-LUCKY」の時間は事務所にいたから聴いてなくて、13時から16時までの坂上みきの「Beautiful」は、真ん中あたりをちょこっと聴いて、16時から19時までの荘口彰久の「MUSIC VIBES」は、終わりのほうをちょこっと聴いた。時間にすると、3本の番組をそれぞれ15分から20分くらいずつ、聴いてただけだ。
それなのに、午前中に事務所に向かう時に聴いてた「Supreme」は、ちょうどゲストの松本潤が来てた時間帯で、映画「東京タワー」についてのトークをしてたのだ。柴田玲は、1人でも多くのリスナーが映画館へ足を運ぶようにと、一生懸命に映画のいいところを聞き出そうとしてたのに、松本潤たら、サスガ、ジャニタレだ。
「ボクは、撮影中は、黒木瞳さんには一度も会ってないんですよ。黒木さんに会ったのは、最初の顔合わせの時と、この前、映画の初日の舞台アイサツの時の2回だけなんです。ぜんぶバラバラに撮影して、あとから編集でつなぎ合わせて作ったから、ボクは試写を見るまで、どんなストーリーなのかぜんぜん分かりませんでした。あはははは~!」
このコメントで、見に行くつもりだったリスナーが、1000人ほど減っただろう。そして、夕方の6時半ころ、あたしは、1日の予定が終わり、車に乗ってエンジンをかけた。そしたら、今度は、「MUSIC VIBES」に、黒木瞳がゲストで出てたのだ。それで、荘口彰久も、「Supreme」の柴田玲と同じように、映画のいいところを聞き出そうとしてたのに、黒木瞳ったら、こんなことをノタマッた。
「撮影したのは去年の夏だったんですけど、去年の夏って猛暑だったから、コートを着てる雪のシーンも、ものすごく暑い中で撮影してたんです。だから、汗をかかないようにするのが大変でした。」
このコメントでも、見に行くつもりだったリスナーが、1000人ほど減っただろう。このシーンは、雪の降る日の岡田准一とのデートシーンで、黒木瞳は、ものすごくステキなヴィトンの白のファーコートを着てて、中のお洋服やバッグ類もすべてヴィトンの新作のシックなものを身につけてて、身震いするほどステキだったのに‥‥。
出演者のこんな裏話を聞かされると、リスナーたちはシラケて見る気がなくなっちゃうと思うけど、それでも、見に行くような義理堅い人がいるのなら、松本潤は、映画のストーリーも知らずに、丸暗記したセリフをしゃべってるだけ、黒木瞳の雪の日のデートシーンは、実は気温が35度の猛暑で、ヴィトンの145万円のコートの中は汗びっしょりだってことを想像しながら、タップリと楽しんで欲しいと思う(笑)
‥‥そんなワケで、それでも、1500円も払って本物の東京タワーに上るよりは、1500円払って映画「東京タワー」を見たほうが、多少はマシかも知れないって思う今日この頃、松本潤や平山あやの学芸会みたいな演技よりも、映画じゃなくて2時間ドラマとしか思えない陳腐なストーリーよりも、ナメクジの大群が脚を這い上って来るような山下達郎の歌よりも、何よりもあたしが耐えられなかったのは、寺島しのぶ扮する男狂いの欲求不満の主婦の名前が、「きみこ」だったってことなのだ!(笑)
| 固定リンク