青山うろうろ風物詩
今日は、青山の某コスメショップに用事があって、そのあとに、スタイリストのH美と待ち合わせをして、撮影で使うインナーを探しに、ショップ回り付き合った。でも、ショップ側が事前にイメージに合ったものを何点か選んでおいてくれたので、3軒回ったけど、2時間もかからないで済んだ。それで、あたしは靴を見たかったから、靴屋さんに付き合ってもらった。
あたしは、「トレトレ」と「ドゥロワー」を見たかったんだけど、青山通りの骨董通り側にいたので、まずは骨董通りにある「ドゥロワー」に行った。ここは、ヨーロッパのインポートと、ドゥロワーのオリジナルのアイテムを扱ってるセレクトショップで、すごく充実してる。ディスプレイもステキだし、客筋もセンスのいい大人が多くて、原宿に集まって来るような小汚いガキがいないので、ゆっくりと見ることができる。
靴だけじゃなくて、お洋服やバッグなども扱ってるけど、あたし的には、「ドゥロワー」と言えば、やっぱり靴だ。あたしの大好きなジミー・チュウやクリスチャン・ルブタンを始め、あたしの琴線を刺激する靴が、これでもか! これでもか!って感じで並んでる。だけど、いくら琴線を刺激されても、金銭が無くて買えない今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?(笑)
‥‥そんなワケで、ちょっと前に、クリスチャン・ルブタンのバレエシューズが30足入荷したんだけど、6万円もするのに、1日でぜんぶ売れちゃって、話題になった。バレエシューズって、ようするに、小学校の上履きって言うか、体育館履きみたいなヤツだけど、あんなもんが6万円! だけど、それがまた可愛いこと、可愛いこと。あたし的には、6万円どころか、6千円でも買えないけど、600円だったら、車を運転する時用の靴として、1足欲しいと思った。
バレエシューズが6万円もするんだから、パンプスはさぞかし高いだろうって思われるけど、そんなに変わらなくて、5万円から10万円前後、ジミー・チュウと同じくらいだ。あたしは、黒のエナメルの9cmヒールを持ってるけど、ニポンで買うと6万円くらいで、あたしはイタリアで買って来てもらったので、3万円弱だった。
あたしは、黒のハイヒールは何足か持ってるけど、このルブタンが一番好きだ。とにかく、サイドからトゥにかけてのなめらかなラインも、トゥの形も、ヒールの細さも、そのすべてが、あたしの理想とする形なのだ。
あたしは、黒のプレーンなパンプスの中では、これ以上セクシーな靴を見たことがない。そして、ルブタンの最大の特徴は、ソールが真っ赤なのだ。細かいことを言えば、ソールだけじゃなくて、ヒールの前の部分も真っ赤なんだけど、もう、たまらない。自分からは見えないけど、あたしが歩いてるとこを後ろから見ると、チラチラと真っ赤なソールが見えるように作られてる。これが、ルブタンのデザインの特徴のひとつ、「立ち去る時の美しさ」なのだ。
恋人と待ち合わせをして、腕を組んで歩いて、映画を観て、食事をして、お酒を飲んでも、相手は、あたしの靴の裏が真っ赤だってことには気づかない。そして、最後に別れる時になって、立ち去るあたしの後姿を見て、初めて気づくのだ。着物の裏地に凝った、粋な江戸っ子みたいな、見えないとこのオシャレ。
あたしのルブタンは黒のエナメルだけど、普通の皮の黒もあって、エナメルよりも高い。でも、何千円かの違いだから、それほどの差じゃない。だけど、痩せても枯れても天下のクリスチャン・ルブタン、同じデザインで、クロコのパンプスがある。それは、あたしはもちろんのこと、お金持ちの人でもオイソレとは買えないような値段で、なんと、45万円!
エナメルが6万円で、ウシが25万円で、それでワニが45万円って言うのなら、折線グラフ的にも納得できるんだけど、エナメルもウシも6万円くらいなのに、ワニだけが突然45万円って、一体‥‥。
たとえば、イリオモテヤマネコの皮を使ってるとか、ヤンバルクイナの羽毛を使ってるとか、そう言うのだったら貴重そうだから分かるけど、ワニなんかたくさんいるのに、なんでこんなに高いんだろう? 伊豆の熱川バナナワニ園に行けば、何万足も作れるくらいワニがいるのに‥‥なんて思ってたら、今日、「ドゥロワー」に行ったら、ルブタンのリザードのパンプスがあって、それは、12万円だった。リザードって、ポケモンにも出て来るけど、ようするに、トカゲのことだ。だけど、その辺をチョロチョロしてるような、10cmくらいのトカゲじャ靴なんか作れないだろうから、たぶん、イグアナとか、コモドオオトカゲとか、そんな感じの、ワシントン条約っぽいヤツなんじゃないかって思う。それにしても、ワニよりはリザードのほうが貴重な感じがするんだけど、値段はワニのほうが3倍も高いのだ。
まあ、値段のことばかり言うのもアレだし、(アレって何だよ!)‥‥ってノリツッコミもはさみつつ、あたし的には、クロコよりもリザードよりも、やっぱり黒はエナメルが好きだから、今持ってるので大満足してる。
だけど、他にも、目に毒な靴がいっぱいありすぎたので、30分ほどでお店を出た。そして、今度は、青山通りの反対側の路地を入って行ったとこにある、「トレトレ」に行った。ここは靴専門のショップで、あまりにも有名だから、女性で知らない人はいないだろう。ここの靴は、ほとんどのファッション誌で使われてるし、ほとんどのスタイリストが利用してるから、行ったことはなくても、お店の名前だけはチョー有名店だ。
ちなみに、コダワリのある人は、「トゥレトゥレ」って発音するみたいだけど、あたしはメンドクサイから、「トレトレ」って言ってる。それに、「トレトレ」って言えば、このあとは、もちろん「ピチピチ」だし、そして、「かに道楽」へと続いて行く。ぜんぶ繋げると、「と~れとれ、ぴ~ちぴち、かに道楽~♪」ってことになり、カニが食べたくてしかたないあたしとしては、道頓堀の動くカニの看板が脳裏に浮かぶ(笑)
45万円あったら、靴を1足買うよりも、やっぱり連日カニ三昧だろう。でも、サスガに45万円ぶんもカニなんか食べられないから、とりあえず、待ってもらってる家賃を払って、電気、ガス、水道、電話代を払って、それから5万円くらいのパンプスを2足買って、それで、残りで温泉に行ってカニ三昧だ。
‥‥そんなワケで、ものすごくダッフンしちゃったけど、この「トレトレ」ってお店は、1Fがワリとリーズナブルなお値段の靴で、2Fが高い靴のコーナーになってる。だから、買う気で行った時は1F、見るだけの時は2Fへ行く(笑)
2Fへ行くと、さっそく、思いっきりあたし好みのパンプスを次から次に発見しちゃったんだけど、6万円だ、8万円だ、9万円だって世界なので、最初からアキラメ気分で見てるので、欲しくならない。欲しくならないって言うか、欲しいんだけど、欲しいって言う気持ちが湧き上がって来る前に、本能がその気持ちを抑圧してるんだと思う。
だけど、ジミー・バルディニーニのスウェードのパンプスで、サイドが輪が連結したみたいなデザインになってて、その穴から足の横の肌が見えるのがあって、ヒールも細い9cmだし、ものすごくステキで、あたしの物欲は、諏訪湖のほとりの間欠泉みたいに、抑えつけてる本能をはね飛ばして、噴き出しそうになった。でも、そこで、「93450円」って言う値札を見たので、あたしの物欲間欠泉は、地下深くへと戻って行ったのだ。
そう、高い値段の売場を見るってことは、この効果を期待しての行動なのだ。それなのに、あたしの背後から、H美の悪魔の囁きが聞こえて来た。
「きっこさん、そのパンプス、すごく可愛いですね! 絶対、きっこさんに似合いますよ!」って、そんなこと、言われなくても分かっちょる! だって、まるで、あたしに履かれるために生まれて来たみたいなデザインなんだもん‥‥。
‥‥そんなワケで、後ろ髪を引かれつつ、魔のコーナー、1Fへと降りた。なんで、魔のコーナーかって言うと、1万円台、2万円台の靴がたくさんあるから、欲しいデザインの靴を見つけちゃうと、クレジットカードの封印を解き放っちゃいそうになるからだ。
そして、その予想通りに、あたしの目に飛び込んで来たのは、すごくステキなパンプスの嵐だった。特に、マルティーナ・エッレのシルバーグレーのプレーンなパンプスは、そのビミョーな色合いと言い、サイドのラインと言い、トゥの形と言い、完全にあたしのツボだった。値段は、19950円。カードで買って、引き落とし日まで死ぬ気で内職すれば、買えない値段じゃない。
でも、こんなとこで物欲なんかに負けるワケには行かない。こんな時には、どんなに小さなことでもいいから、1ヶ所でも気に入らない部分を見つけて、気持ちをその部分に集中させるのだ。
そのパンプスは、ラッキーなことに、ヒールが7.5cmだった。あたしは、9cmから12cmを理想としてるから、ここが気に入らない。ホントは、7.5cmでも、それ以外の部分がすべてツボなので、十分に欲しいレベルに突入してるんだけど、こう言うふうに、気に入らない部分だけをクローズアップして考えると、だんだんアキラメ気分になって来るのだ。
「あ~あ‥‥これで9cmだったら絶対に買ったのに‥‥残念だな‥‥」って思えば、手に持ったパンプスをそっと元の場所に戻す気持ちになる。だけど、ホントに買うつもりで、お金も用意してお店に行った場合は、もちろん、「すみませ~ん! このデザインで9cmはありますか?」って聞くに決まってるし、もしも9cmが無かったとしても、この7.5cmを買うんだけどね(笑)
‥‥そんなワケで、精神的にフラフラになってお店を出たあたしたちは、ついでだから、「ラ・ポルト」に行ってみることにした。「ラ・ポルト」って言っても、フジテレビの社員食堂のことじゃなくて、2月4日にグランドオープンした「ラ・ポルト青山」だ。場所は、ちょうど青山学園の向かいあたりで、全面ガラス張りの、ガンダムみたいな形のビルだ。
入口の横には、パティスリーの「ピエール・エルメ・パリ」が入ってて、バレンタインの前ってこともあってか、ケッコー混んでた。でも、ビルの中に入ってみると、なんだかガラ~ンとしてて、とてもオープンしたばかりとは思えなかった。なにしろ、まだオープンしてないショップが何軒もあって、貼り紙がしてあるし、オープンしてるお店も、まだ商品が揃ってないのか、もともと少ししか商品を置かないコンセプトなんだか知らないけど、店内がガラ~ンとしてて、お客さんもいなくて、生きる気力を感じないって言うか、人間で言うと、中島美嘉みたいな感じだった(笑)
11Fまであるビルなのに、ショップが入ってるのは、地下1Fから地上4Fまでで、それより上は、オフィスや多目的スペースになってる。オマケに、1フロアの面積が狭いから、1フロアあたりの店舗数も少なくて、なんだかパッとしない。テナントのセレクトも、雑賀健治のヘアサロン「TONI&GUY」とか、コスメの「UTOWA」とか、「ポーラ・ドルフ・ビューティースタジオ」とかは、青山らしくていいと思うんだけど、そこに、千代大海の「ちゃんこレストラン」を入れちゃう神経が、あたしには理解できなかった。青山の一等地で、テナントの家賃だってクソ高いのに、カンジンの集客力のあるショップ、目玉のショップが無いから、たぶん、夏までには何店舗かは出て行くだろう。
唯一、ちょっと興味をそそられたのは、「THANN」って言う、タイのナチュラル系スキンケアブランドのショップだ。「レッドライス石鹸」って言う米ぬかオイルの石鹸とか、すべて自然のものから作られたシャンプーやコンディショナー、ジェルやボディミルクなどのラインナップで、パッケージもすごく可愛い。H美が、色んな製品が少しずつ入ったスターターキットを買ったから、使ってみて、どうだったか教えてくれることになった。それから、タイの女の子の店員さんが、すごく感じが良かった。
‥‥そんなワケで、これだけのお店を回ったのに、1円も使わなかったあたしは、スジガネ入りのケチだと思われそうだけど、このあと、カフェに寄って、いつもお世話になってるH美にコーヒーをおごった今日この頃、ちなみに、青山のカフェで飲むコーヒー2杯の値段は、金ちゃんラーメン37杯ぶんに匹敵するのだ!(笑)
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