F1界のナベツネ
昨日のF1第5戦、スペインGPは、BARホンダの2台が出場停止、さらに、ミナルディの2台が、スタートで仲良くエンジンストールして、たった16台のサッパリしたレースだった。その上、あたしの応援してるバリチェロ(フェラーリ)は、またまたレース前にエンジンを交換したために、規定により最後尾からのスタートだったから、ほとんどテレビに映らなかったし、3番グリッドからスタートしたアロンソ(ルノー)は、スタートで2位に躍り出たけど、熱狂的な地元のファンたちの前で、どうしても表彰台に上りたかったのか、終始、守りに入った安全運転で、前を行くライコネン(マクラーレン)を抜くどころか、後ろに大渋滞を作る始末。
政治的な圧力によって違反を告発され、出場停止になったBARホンダだけじゃなく、各チーム、各ドライバーの思惑がドロドロと渦巻く、やたらと不健康なレースで、とてもモータースポーツなんて呼べるシロモノじゃなかったし、優勝はライコネン(マクラーレン)、2位はアロンソ(ルノー)、3位はトゥルーリ(トヨタ)って言う、別にどーでもいいや‥‥って感じの結果だった。
こんなつまらないレースよりも、今回のF1では、違反をしたBARホンダがどんな処分を受けるのかって言う場外レースのほうが興味津々だったあたしは、「2レースの出場停止、及び、前回のサンマリノGPの失格」「1年間を謹慎期間とし、この間に再度違反が発覚した場合は、6ヶ月間の出場停止にする」って言うパリのFIA国際裁判所の判決に、色んな意味で、なんだかなぁ〜って感じだった。この判決によって、前回のサンマリノで、3位に入ったバトンと5位に入った佐藤琢磨は、2人ともポイントを剥奪され、チームポイント、ドライバーズポイントともに、BARホンダは、事実上の最下位になっちゃった今日この頃、皆さん、相変わらずF1には興味無いですか?(笑)
‥‥そんなワケで、BARホンダも佐藤琢磨も嫌いなあたしとしては、「ザマーミロ!」って言いたいとこなんだけど、今回の裁定には、あまりにもおかしなことが満載で、ホンダ嫌いなあたしでも、ちょっと首をひねってしまった。
F1の最低重量は「600kg」って決まってて、これは、マシンとドライバーを足した重さが、600kg以上にならなきゃいけないって言う規則がある。だけど、BARホンダは、中が二重になってる特殊形状のガソリンタンクを使ったことによって、この規定に違反したって判断を下された。内側の小型タンクには、約15リットルのガソリンが入るんだけど、本来、ガソリンをすべて抜いた車重を「マシンの重量」とすべきところ、BARホンダのマシンは、小型タンクのガソリンを抜かずに申告したのだ。ようするに、一見、ガソリンタンクは空っぽに見えるけど、実はその中に、まだ、約15リットルのガソリンが入ってるってワケで、その小型タンクの中のガソリンを抜けば、そのぶん軽いマシンになり、レースは有利になる。
でも、BARホンダ側の言いぶんとしては、その小型タンクは、コーナーなどで横Gが掛かった時に、ガソリンタンク内でガソリンが偏らないように、油面を安定させるためのもので、「燃料ではなく、部品である」ってことなのだ。でも、それなら、わざわざ疑いをかけられるような二重タンクなんかにしないで、別のものを使うとかすればいいじゃん‥‥って思うかも知れないけど、ガソリンタンクの規定によって、ガソリン以外のものを入れることはできない。だから、このガソリンタンクは、規定に違反してるワケじゃなくて、同じシステムのものを他のチームも使ってる。
つまり、このタンクを使ってても、すべてのガソリンを抜いた状態で、マシンとドライバーを足した重さが600kg以上あれば、何の問題もなかったってワケだ。でも、BARホンダは、レース後の車重測定で、小型タンクのガソリンを抜かずに計量を受けた。そして、一度はパスしたんだけど、小型タンクのガソリンを抜いていないことを指摘され、それも抜いてから計量し直したら、600kg以下だった。だから、「故意に違反をしていて、それを隠そうとした」って言うふうに解釈されたのだ。
でも、ここでおかしいのは、計量したのはバトンのマシンだけで、琢磨のマシンは計ってないのに、バトンも琢磨も2人とも処罰の対象になったってことだ。それどころか、同じタイプのガソリンタンクを使ってるチームは、他にも複数あるのに、どのマシンも計量していないのだ。ようするに、「とにかく、BARホンダを出場停止にしたい」って意志が強く働いてることが明白な、あまりにも偏った計量だった。
元はと言えば、もともとホンダを嫌ってるFIAのモズレー会長に、「ホンダがインチキしてまっせ!」ってチクッたヤツがいたワケで、そのチクリによって行なわれたバトンのマシンの検査だけど、モズレー会長自体、「このタンクは他のチームも使っているもので、何も問題は無い。問題なのは、予備タンクのガソリンを抜かずに車重をごまかそうとした行為だ。」って言ってる。そして、バトンのマシンだけを検査したことについては、「BARホンダは、何らかの違反があると思ったから検査したんだよ。他のチームには、違反なんかする理由なんてないだろ?」と、これまた、「ホンダ嫌い」が丸出しの、ミもフタもないコメントだった。
だけど、通常は、この予備タンクのガソリンは抜かずに計量することになっていて、過去の計量でも、「予備タンクまで抜け!」なんて言った例はないのだ。それは、構造上の問題として、予備タンクの中のガソリンは使えないもので、これを使っちゃうと、他にガソリンがちゃんと入っていても、マシンは動かなくなるからだ。つまり、予備タンクの中のガソリンは、「使えないガソリン」であって、使えないガソリンは、「燃料でなく、部品である」って言うホンダ側の言いぶんは、ホンダが勝手に言ってるんじゃなくて、モータースポーツの世界では、今まで当たり前のこととして通用して来た言いぶんなのだ。
だから、この、ホンダ排除のためとしか思えない、重箱の隅をつつくような裁定が下ったことによって、他のチームは、みんなアセって、別の形状のガソリンタンクに交換したのだ。この事実が、どのチームも同じことをやってたって証拠だし、モズレー会長が、他のチームのマシンを計量しなかったのも、ほとんどのマシンが車重違反になっちゃって、嫌いなホンダだけに厳罰を与えることができなくなるからだ。
ちなみに、どこよりも早くガソリンタンクを交換したのが、マクラーレンチームなので、あたしは、モズレー会長にチクッたのは、マクラーレンのヤツラじゃないかって睨んでる。オマケに、今回のスペインGPでは、マクラーレンのコスイネン‥‥じゃなくて、ライコネンが優勝してるから、いよいよ怪しい(笑)
‥‥そんなワケで、ニポン嫌い、ホンダ嫌いのモズレー会長は、FIA国際裁判所に対して、「BARホンダチームの今シーズンの残りすべての出場停止」と、「最低100万ユーロ(約1億3500万円)の罰金」を科すよう求めて提訴した。それに対して、ホンダ側は、レース中に規定重量を下回った事実がないことを科学的、理論的に証明できるデータを提出して、無罪を訴えた。
そして、裁判所は、ハッキリと、「BARホンダには、故意の不正の事実はなかった」と断定した上で、モズレー会長の顔も立てて、両者の言いぶんの中間とも取れる判決を下したワケだけど、ホンダ側にしてみれば、何も悪いことをしてないのに、突然、ヤクザからインネンつけられたような話だから、この判決には大いに不服だし、ホンダ嫌いのモズレー会長としては、「甘過ぎる判決だ!」って言って、ヒステリックに憤慨してる。
結局、ホンダ側は、この裁定に大いに不満があるけど、時間的に控訴する余裕が無かったために、この裁定を甘んじて受け入れた。でも、自分たちには何の落ち度もないってことを証明するために、オフィシャルサイト上にすべてのデータを公開して、自分たちの正当性をアピールした。それに対して、モズレー会長は、まるで小学生並みの反論をして、自分の知能の低さを全世界にアピールした。
「今どき、こんなにも原始的で子供じみたインチキなど、そこらの草レースでしかやってないよ。F1でこんなことをするバカがいたとは、私は頭がおかしくなりそうだよ、まったく。」
「だいたい、BARホンダがインチキしてるってのは、パドックじゃモッパラの噂で、知らないヤツはいないよ。それに、アメリカのモータースポーツ関係者からも、BARホンダの悪い噂は聞いている。だから、私は、今シーズンが始まる前から、BARホンダの悪行を暴いてやろうと思って、チャンスを狙ってたのさ。シーズン前にBARホンダの技術者に注意、指導することもできたけど、それじゃあ制裁を加えられないだろ? だから私は、あえて忠告しないで、わざとレースに参戦させて、それで証拠を掴んでから告発したんだよ、わっはっは!」
「去年の成績だって、インチキによって得たものに違いない。こんなにも悪どい不正を平然と続けて来た上に、それがバレたら、素直に自分たちの罪を認めるどころか、必死になって弁解を繰り返す。こんなチームには、2レースどころか、残りの全レースに出て欲しくないね。」
これらの発言を聞けば、モズレー会長が、いかにBARホンダを嫌ってるかってことも分かるし、FIA国際裁判所への訴えが、通常の「レギュレーション違反」じゃなくて、「詐欺」だって言う異常さも納得できる。
この、あまりにも偏見的で独裁的なモズレー会長の異常な行為に、他のチームのドライバーたちからも、その背後にある政治的な圧力を確信する者が相次ぎ、その多くは、自分たちに火の粉が降りかからないようにと、余計なことは口にしないような、異様な空気が流れ始めた。ルノーのアロンソは、「今回の違反は、バトン自身がしたことじゃない。早くレースに復帰して欲しいよ。」と、バトンに同情しつつも、FIAを敵に回さないような良い子のコメントだった。そんな中で、フェラーリのシューマッハだけが、「強いBARのマシンがグリッドに並ばないと言うのは、ライバルとしてとても残念なことだけど、今回のことはあまりにも政治的なものだから、個人的には何もコメントはできないよ。せっかくのサンマリノでのポイントが無効にされてしまったバトンは気の毒だけど、次のチャンスにまた頑張って欲しいね。」と、政治的な圧力があったことを認める発言をした。これは、モズレー会長に可愛がられてるフェラーリのドライバーだからこその発言で、他のチームのドライバーがこんなことを言ったら、今度は、そのチームが、モズレー会長に潰されてしまうだろう。
そして、あまりにも未完成なニューマシンと、あまりにもお粗末なブリジストンタイヤのせいで、まったくダメな今季のシューマッハだけど、やっぱり、他のチームのドライバーから見れば、雲の上の人だ。こんなに危険な発言をサラッとしちゃう上に、プライベート・ジェット機を新しいものに買い換えた。今度のジェットは、「ファルコン2000EX」って言う最新型で、ノーマルなら26億円なんだけど、シューマッハのは、ベッドルームだのバスルームだの、色んな特別装備がついてて、37億円もするそうだ。サスガ、スマトラ沖地震の被災地に、1000万ドル(10億4000万円)も、ポンと寄付するほどの男だ。
こんなノンキな皇帝様とは違って、「明日は我が身」の他チームのドライバーたちの中には、このチャンスを利用して、モズレー会長に擦り寄っておきたいって考えてるような者も何人かいる。その代表格が、トヨタのトゥルーリで、「BARホンダは不正を働いたんだから、サンマリノだけじゃなく、他の結果についても取り消されるのが当然だよ。去年のBARホンダの好成績だって、不正があったとしか思えないね。」って、極端にモズレー会長寄りの発言をしてる。これは、モズレー会長の「日本嫌い」に対して、ホンダの次はトヨタが狙われるって言うモッパラの噂なので、そうなる前に、モズレー会長のゴキゲンをとっておこうって言う考えが見え見えな発言で、トゥルーリ個人の発言と言うよりは、チームの首脳陣が原稿を書き、トゥルーリにコメントさせたって言う、トヨタの場外チームプレイなんじゃないだろうか?(笑)
‥‥そんなワケで、エドツワキと原田知世、藤井隆と乙葉、中村獅童と竹内結子と、ニポンの芸能界ではオメデタ続きだけど、ニポン製のエンジンを積んだBARホンダは、F1界のナベツネ、モズレー会長に嫌われてるせいで、涙が出るほどの不幸続きだ。特に、ジェンソン・バトンは、自分には何の責任もないのに、せっかくのドライバーズポイントを剥奪され、2レースも出場できなくなった上に、婚約者で人気歌手のルイース・グリフィスにフラれちゃって、この8月に予定してた結婚式をキャンセルするハメになっちゃった。だけど、BARホンダにはホントに申し訳ないけど、佐藤琢磨が大嫌いなあたしとしては、BARホンダが出場停止になってくれたオカゲで、「タクマ! タクマ! ニッポンのサトウタクマ!」って叫び続ける、フジテレビのバカ実況を聞かなくて済むので、次のモナコGPが、すごく楽しみになった今日この頃なのだ(笑)
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