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2005.05.28

追星

oikawa4
ちょっと前に気づいたんだけど、一番大きいクチボソの口のまわりに、小さな白いブツブツができた。気になってたんだけど、元気に泳ぎ回ってるし、エサもパクパク食べるし、放っとけば直るかな?って思って、そのままにしてた。お水もチョコチョコとキレイにしてるし、藻も青々としてるし、濾過器のフィルターも交換したから、あたしは安心してた。それで、そんな状態のまま、母さんと旅行に行ったので、帰って来てから、ジックリと観察してみた。そしたら、大変なことになってたのだ。ブツブツの数が増えてて、口のまわりだけじゃなくて、エラのほうにもできてるし、それどころか、二番目の大きさのクチボソにまで感染してたのだ。

こりゃあ大変だってことになり、とりあえずインターネットで、「クチボソの病気」って検索してみたんだけど、1件もヒットしなかった。それで、「金魚の病気」で検索してみたら、いっぱいヒットしたので、写真を掲載してるサイトを覗いてみた。そしたら、金魚の色んな病気と、その治療法が紹介されてたので、クチボソと似たような症状がないか、良く見てみた。「白点病」とか、「白雲病」とか、「水カビ病」とかが、体に白いブツブツができるんだけど、どの病気も、体とか、尾びれとか、全体的に白いブツブツができてて、うちのクチボソみたいに、顔だけにブツブツができる病気は見つからなかった。

それで、あたしは、とにかく、じっとしてられなくて、原チャリに乗って、いつもエサや濾過器のフィルターを買いに行くペットショップへと、ウイリーしながらダッシュした。そしたら、いつも色々とアドバイスしてくれる観賞魚担当のお兄さんが、ちょうど店頭で、藻の仕分け作業をしてたので、あたしは状況を説明した。

「あの〜大変なんです! クチボソたちのうち、大きいの2匹が、口のまわりとか、目の下のエラのとことかに、白いブツブツができちゃったんです! 何の病気でしょうか?」

「体は?」

「体は、2匹ともキレイです。顔の部分だけなんです。」

「それはね、追星だよ。病気じゃないよ。」

「え? オイボシ?」

「そう、それは追星って言ってね、魚が元気な証拠だから、大丈夫だよ。」

‥‥ってことで、とりあえず、あたしは、ヌーブラでワンサイズアップしてる胸をホッと撫で下ろした今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?(笑)


‥‥そんなワケで、そのお兄さんに詳しく教えてもらったんだけど、「追星」って言うのは、春から夏にかけての恋のシーズンになると、オイカワとかクチボソとかタナゴとかの淡水魚のオスだけに現れるもので、オスが発情を始めた印だそうだ。だから、そのお兄さんは、「思春期にできる魚のニキビみたいなもんだよ。良く観察してごらん。顔のブツブツはきちんと左右対称になってるはずだから。病気だったら、きちんと左右対称になるはずないだろ。」って教えてくれた。

あたしは、すぐにお家に戻り、2匹のクチボソを良く観察したら、ホントに、白いブツブツは、左右対称だった。2匹とも、口のまわりも、目の下のエラのとこも、右と左の同じとこに、同じくらいの大きさのものが、同じように並んでた。そして、2匹で追いかけっこをしたり、小さいクチボソを突っついたりしてて、言われてみれば、恋のシーズンになって、ちょっと発情してるって感じだった。

あたしは、クチボソたちが病気じゃなかったって分かった安心感よりも、「追星」なんて言う不思議なことを知った喜びで、鏡でチェキしたワケじゃないけど、きっと、目がランランと輝いてたと思う。あたしって、ちっちゃいころから、生き物の観察とかが大好きで、公園に行っても、ブランコや滑り台でお友達と遊ぶよりも、周りの植え込みの中をひとりで探検するような性格だった。それで、木の実を見つければ、拾って帰って何の木なのか図鑑で調べたり、変な色のキノコを見つければ、やたらとコーフンしたりしてた。だから、今回の「追星」は、あたしの観察ゴコロに火をつけた上に、自分の可愛い子供たちが思春期に入ったって言う、リトル複雑な親ゴコロにも火をつけ、あたしの頭の中では、The Doors の「Light my fire」が流れ出し、ラブ・サイケデリコな世界がキラキラと回り出した。

‥‥そんなワケで、あたしは、手始めに、インターネットで「追星」「追い星」って検索してみたら、たくさんのサイトがヒットしたので、色々と覗いてみた。それで分かったことは、同じ「追星」でも、クチボソみたいに顔だけに出るんじゃなくて、魚の種類によっては、胸ビレのところに斑点が出るものとか、それぞれ違いがあるってこと、それから、基本的にはオスにだけ出るものだけど、コイとかは、メスにも少しだけ出るってこと、アユの場合は、クチボソみたいなブツブツじゃなくて、エラの後ろあたりにある楕円形の紋が追星で、シーズンになると、その紋の色が濃くなるってことなど、色んなことが分かって来た。

特に、クチボソと同じような顔の追星が顕著に見られるのは、オイカワだってことも分かって、オイカワのことが詳しく書いてあるサイトの、「美しい婚姻色に変化した雄のオイカワは、顔に追星が現れ‥‥」ってとこを読んだ時、あたしは、ハッとした。そう、しばらく前に、チョコQで、「婚姻色のオイカワ」をGET MY LOVE!したあたしは、おトイレの中の「チョコQ棚」に飾っていたのだ。それで、すぐにおトイレに見に行ってみたら、フィギュアのオイカワの顔には、うちのクチボソと同じ白いブツブツが、ちゃんとできていた。そして、チョコQの説明書を読み直してみたら、こう書いてあった。

「(前略)婚姻色のほか、コイの仲間は繁殖期になると顔を中心に白いニキビのような追星ができるものが多く、とくにオイカワの追星は大きくてよく目立つ。」

あたしは、チョコQを食べながら、説明書にも、ちゃんと目を通したつもりになってたんだけど、欲しかった婚姻色のオイカワが当たったことばかりにコーフンしてて、あんまりきちんと読んでなかったんだ。きちんと読んでたら、その時に、オイカワの顔の追星にも注目してたし、この「追星」って言葉を調べたりしてたはずで、そうしてたら、うちのクチボソの顔に白いブツブツを発見した時に、こんなに慌てなかったはずだ。

‥‥そんなワケで、あたしは、いつも「クチボソ」って呼んでたけど、これは関東での呼び名で、全国的な名前だと、「モツゴ」って言うことも分かった。そして、このモツゴには、普通のモツゴの他に、ウシモツゴとシナイモツゴって言うのがいて、外見はほとんど同じなのに、ウシモツゴは天然記念物になってて、1匹が数千円で取り引きされてるそうだ。天然記念物なんだから、もちろん、闇取り引きでの価格なんだと思うけど、クチボソが何千円もするなんて、ブラックジャックのピノコに言わせれば、アッチョンブリケな世の中になったもんだ。

うちのクチボソは、多摩川で獲って来たんだから、何でもない普通のモツゴだと思うけど、可愛さでは、天然記念物以上だ。あたし的には、人間国宝って言いたいとこだけど、残念ながら人間じゃないので、とりあえず、「クチボソ国宝」ってことにしておこう(笑)

他に分かったことは、クチボソは、追星ができるだけじゃなくて、体が黒っぽくなって来て、攻撃的になって来るってことだ。それで、追星も、ただのニキビって言うだけじゃなくて、ライバルのオスを攻撃するための武器だと言う。1mmくらいの白いブツブツが口のまわりやエラのところに並んでるだけで、見た目は柔らかそうな感じなんだけど、実はそれが硬くて、相手に頭から体当たりして、その硬いブツブツでダメージを与えるそうだ。やられた相手は、ウロコが剥がれたりするそうだから、大きくて硬いブツブツができたオスのほうが、強いってことになる。それで、もう一度、水槽を見てみたら、確かに、小さい1匹と比べると、追星のできた2匹は、何となく黒っぽくなってて、やたらと体をぶつけ合ってた。

そして、何よりもあたしの興味を引いたのは、あるサイトで、「シナイモツゴのオス」の恋のシーズンの変化について書かれてた一文だ。そこには、「成熟すると体色が黒化し、頭部前面に追星(白点)ができます。さらに、眼が鋭い半月形となり、とても精悍です。」と書かれていた。そして、ちゃんと、半月形の目をしたモツゴの写真が載っていたのだ。ほとんど、マンガの世界みたいだけど、オリコカードのCMで、ガクトとダーツ対決をするネコのぬいぐるみ、アレと同じ目の形をしてて、ホントに精悍な顔のモツゴだった。

でも、これはシナイモツゴで、うちのは普通のモツゴだから、うちのは半月形の目にならないかも知れないけど、外見は区別がつかないくらい似てるし、体が黒くなったのも、追星ができたのも同じだから、目の形も同じになる可能性も高いと思う。だから、これからは、クチボソの目の形にも注目しながら、観察を続けたいと思う。

‥‥そんなワケで、あたしの観察ゴコロ的には、すごくワクワクして来たんだけど、親ゴコロ的には、ちょっと困ったことになった。追星は、オスにしか現れないってことは、この大きい2匹はオスってことで、小さい1匹がメスだとしたら、水槽の中で、三角関係のシュラバラバンバが繰り広げられちゃうってことになる。でも、それならまだいいけど、もしも小さい1匹もオスで、たまたま成長が遅くて、まだ追星が現れてない状態だったとしたら、もっと大変なことになっちゃう可能性がある。

それまでは女性にしか興味のなかった普通の男性でも、ジャニーズ事務所に入ったり、自衛隊に入ったり、刑務所に入ったりすると、ホモになっちゃう人が出て来るように、男性しかいない場所にずっといると、性欲の対象が変化するケースが多々ある。だから、顔にニキビができて、体の色が代わり、半月形の目で女性を物色するような、性欲マンマンの若い男性なのに、同性しかいない水槽の中にずっといたら、「女性がいないからガマンしよう」って言う理性よりも、「この際、相手は誰でもいいや!」って言う本能が優り、ホモ行為に走っちゃうことにもなりかねない。そして、もっと恐ろしいのは、水槽には、たくさんの黒メダカたちも共存してるから、メスに飢えてるニキビ面のクチボソ2匹は、黒メダカのメスを襲っちゃうかも知れない。これは、同世代の女性に相手にされない男が、自分の言うことを聞きそうな、幼い少女に手を出すようなもんだ。

‥‥そんなワケで、こんなことにでもなったら、「大変なこと」って言うよりも、「変態なこと」になっちゃうから、あたしの可愛いクチボソたちを性犯罪者にしないためにも、できるだけ早く、メスのクチボソを捕まえて来ないとならない。だから、2〜3日のうちに、朝早く起きて、多摩川に行って、お年頃でセクシーなボディーラインのクチボソレディーを探してみようと思う今日この頃なのだ(笑)

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