ニポンのラッパー
数ある音楽のジャンルの中でも、他人の楽曲をパクることに対して、まったく罪悪感など持たず、それどころか、カヴァーと盗作の違い、サンプリングと盗作の違いすら理解できていないアホが勢ぞろいしてるのが、ニポンのヒップホップの世界だ。最近では、洋楽をパクるだけじゃ飽き足らず、ニポンの同業者の曲を平然とパクるようなサルマネラッパーたちも続々と湧き出て来て、まさに、安倍なつみかネットオークションのルイヴィトンかって言うほどの著作権無法地帯と化してしまった。もはや、どの曲が原曲なのかも分からないくらい、似たような曲、似たようなアレンジ、似たようなリリックスが氾濫しまくってるニポンのヒップホップは、ニューヨークのラッパーたちから見ると、香港の偽ブランドショップの店頭を見てるようだと言う。
音楽に限らず、映画だって、小説だって、ファッションだって、何かを作り出すことをナリワイとしてたら、本来、何よりも大切なのは、オリジナリティーだと思う。それは、アーティストである前に、クリエイターとしてのプライドがあるはずだからだ。だけど、最近の多くの人たちは、アーティストである前に、金儲けのことしか頭にない商人みたいな人たちが増えて来てしまい、他人の作品をパクろうが、サルマネをしようが、ようするに「売れりゃいい」って考え方だけでモノを作るようになって来た。だから、そう言った人たちの作り出す音楽や映画や小説やファッションは、「作品」ではなく、ただの「商品」であって、その価値は、オリジナリティーやクオリティーなどは二の次で、「どれだけ売れたか」「どれだけ儲かったか」って言うことだけで評価、判断される。
本来なら、今まで誰も作ったことの無いような音楽や、誰も観たことの無いような映画を作り出し、そう言った作品を世に送り出すことによって、「流行」を発信して行くべき立場のクリエイターたちのはずなのに、すでに流行している既成の作品をパクったり、サルマネしたりして、柳の下の2匹目のドジョウを狙うような、二番煎じ、三番煎じばかりになってしまった今日この頃、皆さん、ニポンのラップを聴いてると恥ずかしくなって来ませんか?(笑)
‥‥そんなワケで、安倍なつみ並みのお粗末な盗作ばかりが氾濫するニポンのラップの中で、唯一、アーティストとして、クリエイターとしてのプライドを持ち、確固たるオリジナリティーがあり、ニューヨークのラッパーたちにも堂々と聴かせられるニポンのラップと言えば、ただ1曲、吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」だけだろう。今の厚顔無恥なサルマネラッパーたちが、アオッパナを垂らしてた20年も前に、吉幾三は、誰のパクリでもなく、完全なオリジナルで、「ハァ〜テレビもねぇ〜ラジオもねぇ〜車もそれほど走ってねぇ〜」ってやってたんだから、これこそ、あたしたちニポン人が、堂々と海外に紹介できるニポンの文化だろう。
さらに、この曲は、歌詞の中に、「おまわり」って言う不適切用語と、「レーザーディスク」って言う登録商標名が出て来るため、NHKでは放送できない。NHKで歌う場合は、この2ヶ所を別の当たり障りない言葉に差し替えないと、歌わせてもらえないのだ。これって、ある意味、パンクだと思う。ニポン中で大ヒットした曲なのに、NHKが不適切だって判断した言葉が2つも入ってて、そのままの歌詞じゃ歌えないなんて、カッコ良すぎる。
‥‥そんなワケで、たとえば、他人の楽曲のパクリじゃなくて、吉幾三みたいに、ちゃんとしたオリジナル曲をリリースしたとしても、その曲がヒットすると、次の曲も、その次の曲も、似たような曲ばかり出すミュージシャンが多い。そりゃあ、せっかく売れたんだし、次の曲も何とかヒットさせたいって気持ちも分かるけど、バカのひとつ覚えじゃあるまいし、同じような曲ばかり出すなんて、クリエイターとしてのプライドよりも、商人としての感覚が優ってるって証拠だろう。本物のクリエイターであれば、ひとつのパターンで成功したら、もうそのパターンの作品は作らずに、次の世界に目を向けるものだと思う。そして、常に新しい作品を生み出し、流行の最先端を走って、時代をリードして行くものだ。
そう言った点でも、吉幾三のスピリッツは素晴らしい。「俺ら東京さ行ぐだ」が大ヒットしたからって、似たような曲を出すんじゃなくて、今度は、本格的な演歌、「雪国」で故郷を歌い上げて、新境地を開拓した。そして、同じ演歌でも、似たようなテーマばかりを歌うんじゃなくて、「酒よ」で、また新しい一面を見せた。これらの曲の大ヒットで、演歌の大御所の仲間入りをした吉幾三に対して、多くの人たちは、もう、このまま、演歌一本で行くと思っただろう。もちろん、あたしも、「吉幾三は演歌歌手」って言う固定観念を持っていた。
‥‥そんなワケで、いつも最後に書いてると、10人のうち2〜3人しかクリックしてくれないから、コレ、今日は真ん中に置いてみました。クリックしてから、続きをお読みください(笑)
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さて、続きだけど、吉幾三は、今度は、「新日本ハウス」のCMソング、「Dream」で、さらに新しい顔を見せてくれた。そして、続く「ワークマン」のCMソング、「風に吹かれて…」で、この新ジャンルも不動のものにしつつ、一方では、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌や、挿入曲を歌い、さらなる分野を目指した。この時点での吉幾三は、演歌歌手として完全に成功を収めていて、新しい冒険をする必要なんか、まったく無かった。他の演歌歌手だったら、やっと成功して、あとはテキトーに演歌だけを歌ってりゃ、この先ずっと、ゼイタクな暮らしを続けて行けるって状況で、自分の作り上げて来たイメージを壊す恐れのあるような冒険なんか、するワケがない。ようするに、ぬるま湯から出て来られなくなるってことだ。
だけど、吉幾三の場合は、本物のクリエイターとしてのプライドがあるから、そんな、ぬるま湯的な生活などに甘んじることなく、さらに上を目指した。NHKの「みんなのうた」では、今や世界的な食品の仲間入りをしたニポンのお豆腐を題材にしたラテンの曲、「TOFU(豆腐)」を発表して、「トーフ、トーフ、トーフ、トーフ、ベサメムーチョ!アミーゴ!」なんて感じで歌って、お豆腐が大好きなあたしのハートに火をつけた。1年くらい前にリリースされた、「吉幾三のおもちゃ箱」って言うアルバムは、「俺ら東京さ行ぐだ」も、「Dream」や「風に吹かれて…」などのCMソングも、「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌や挿入歌も、この「TOFU」も入ってるし、他にも、面白い歌がいっぱい入ってて、あたしにとっては、吉幾三のベストアルバムだ。興味がある人は、お近くのTSUTAYAで借りて、聴いてみて欲しい。
吉幾三の色んな曲をまとめて聴くと、ひとつのことに気づく。それは、あの独特の東北アクセントだ。「俺ら東京さ行ぐだ」のラップ調の歌詞も、「雪国」などの正統派の演歌も、「Dream」などのCMソングも、「TOFU」のようなラテンも、音楽のジャンルはバラバラなのに、すべて、同じ訛りで歌ってるから、そこに「吉幾三カラー」が出ているのだ。色んなジャンルの作品を作っても、そこに、その作者ならではのオリジナリティーが表現されていなければ、それは、ただの器用な人ってだけで、本物のクリエイターとは言えない。だけど、吉幾三の場合は、どんなジャンルであっても、常に自分らしさを失わず、それが、オリジナリティーの確立へと結びついている。だから、聴き慣れた「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌も、吉幾三が歌うと、独特の味わいが生まれ、それは、ただのカヴァーって言うだけのレベルではなくなるのだ。
最近のサルマネラッパーたちに、ツメのアカを煎じて飲ませてやりたいほどの本物のクリエイター、吉幾三だけど、その快進撃は止まらない。今では、「CR吉幾三」って言うパチンコ台まで出て、「1」から「9」までの数字の他に、「吉」「幾」「三」の3文字までが、液晶画面をクルクルと回り続けている。そして、リーチアクションで、「幾三バズーカチャンス」に発展すると、バズーカ砲をかついだ吉幾三が登場して、「俺ら東京さ行ぐだ」の替え歌で、「これいらねえ!」「消えちまえ!」って歌いながら、次々に数字を破壊して行く。もちろん、この替え歌は、このパチンコ台のためにレコーディングしたものだし、他にも、通常画面での予告で、突然、吉幾三が現れて、色んなセリフを言ったりするのも、すべて、新しくレコーディングしたものだ。そして、大当たりすると、「雪国」「酒よ」「俺ら東京さ行ぐだ」の中から、好きなBGMをセレクトできる。
‥‥そんなワケで、歌手やタレント、プロレスラーなど、有名人をキャラクターにしたパチンコ台が、次々に開発されて、世に出て来る。イエローキャブの巨乳軍団から、なんと、ハマコーまで、そのイキオイは止まらない。そんな中でも、松居直美、和田アキ子、北島三郎などをはじめとした、歌手を使ったものが、一番多い。これは、その歌手のヒット曲をBGMとして使えるメリットがあるからだろう。しかし、数ある歌手のパチンコ台の中でも、パチンコ台のためだけに、わざわざ替え歌をレコーディングしたのは、吉幾三だけなのだ。こんな部分にも、常に新しい作品を発表しようとする吉幾三のクリエイター魂が垣間見られ、これからも益々、吉幾三から目が離せないと感じた今日この頃なのだ(笑)
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