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2005.05.30

好きなCM、嫌いなCM

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最近のテレビCMで、あたしが一番好きなのは、アサヒのチューハイ、「Dew」の、酒井若菜のヤツだ。「Dew」のCMは、及川光博のバージョンと酒井若菜のバージョンがあって、及川光博のほうは、お風呂上りに「Dew」がないことに気づいたミッチーが、バスローブのままコンビニへ駆け込むってヤツなんだけど、今どき、ミッチーのバスローブ姿なんて古過ぎるし、まったく新鮮味に欠ける。だけど、酒井若菜のほうは、バツグンに面白い。

会社帰りのOL、酒井若菜が、コンビニでお弁当と「Dew」を買って、さあ、お家に帰って飲もうって感じでコンビニを出るんだけど、途中で、パンプスのヒールが、道路の排水溝の隙間にはさまっちゃう。それで、早く帰って飲みたいから、ものすごいパワーを絞り出して、巨大な鉄の排水溝の鉄枠を引きずりながら、歩いて行くってヤツだ。

これは、短いバージョンだと、ヒールがはさまって踏ん張ってるとこまでしかやらないから、あんまり面白くないんだけど、長いバージョンだと、鉄枠をズルズルと引きずりながら必死に歩いて行くとこまでやるから、すごく面白い。もちろん、ストーリーだけじゃなくて、酒井若菜のスーツ姿もイイし、初めにコンビニで「Dew」を発見した時の表情もイイし、ストーリーの面白さと、タレントとのキャラとの相乗効果で、クオリティーの高い作品に仕上がってる。

酒井若菜って、あたし的には良く分からない存在で、個性がないって言うか、影が薄いって言うか、輪郭がぼやけてるって言うか、芸能人のオーラがゼロって言うか、とにかく、ぜんぜんタレントっぽくなくて、ファンはそこがイイって言うのかも知れないけど、あたしには、まったく理解できない存在だった。ようするに、「酒井若菜じゃなきゃダメな役」なんてものは無くて、酒井若菜でもやれる役なら、他の誰でも代わりがつとまる‥‥ってふうに思ってた今日この頃、皆さん、酒井若菜と酒井彩名と酒井美紀と坂井真紀と水野真紀と水野美紀の区別がつきますか?(笑)


‥‥そんなワケで、あたしは、酒井若菜でもできる役なら、別に酒井若菜じゃなくても、酒井彩名でも、酒井美紀でも、坂井真紀でも、簡単に代役がつとまると思ってた。サスガに、水野真紀や水野美紀じゃ、ちょっとキツイけど、それ以外なら、どれでも似たようなもんで、大差ないと思う。

ちなみに、ぜんぜん区別がつかない人たちのために、簡単に解説しておくと、酒井彩名は、かつて、悪名高きあびる優と、あと誰かもうひとりと、3人で変なアイドルユニットを組んでて、今は、お子様ドラマ「アタックNo.1」で、鮎原こずえの親友の早川みどりの役をやってる。酒井美紀は、昔、ドラマ「白線流し」に出てて、ちょっと前は、「特命リサーチ2000X」に出てた。坂井真紀は、「ココリコ・ミラクルタイプ」に出てて、いしだ壱成の元カノだ。水野真紀は、自民党の後藤田正純と結婚したことでオナジミの整形美人だ。そして、水野美紀は、「踊る大捜査線」に、ナントカ雪乃って役で出てて、その流れで、「交渉人 真下正義」にも出てる。

この説明で、多少は区別がついたと思うけど、とにかく、これら全員が、名前と同じで個性がないため、ほとんどの役が、主役じゃなくて脇役ばかりなのだ。水野真紀に至っては、何をトチ狂ったのか、政治家なんかと結婚しちゃって、人生そのものまで脇役になってしまったほどだ。

‥‥そんなワケで、脇役になるために生まれて、脇役になるために芸能界に入ってきたような酒井若菜なのに、今回の「Dew」のCMで、ついに、主役を演じ切ったのだ。それも、他の誰でも代役がつとまるってものじゃなくて、酒井若菜じゃなきゃダメって感じのハマリ役だから、感慨もヒトシオだろう。

だけど、その役が、華やかなスポットライトを浴びるような役じゃなくて、ひとり暮らしのアパートに帰って、コンビニ弁当と缶チューハイで晩ごはんを済ませるって言う、淋しいOLの役ってとこが、胸にジーンと来る。ようするに、華やかなオーラが出てる女優には、絶対にできない役であって、影の薄い酒井若菜だからこそのキャスティングであり、成功なのだ。

だって、この役を酒井若菜の代わりに、矢田亜希子がやったら、絶対に似合わない。矢田亜希子の帰るお家は、どう考えても親元で、最低でも中流以上の一戸建てで、センスのいい家具に囲まれて暮らしてるイメージで、キレイでやさしそうなお母さんと、頑固だけどステキなお父さんがいそうな雰囲気だからだ。矢田亜希子がアパートでひとり暮らしをしてて、さらに、コンビニ弁当と缶チューハイを晩ごはんにするなんで、あたし的だけじゃなく、世の中的にも、絶対にアリエナイザーだろう。

‥‥そんなワケで、この、酒井若菜が演じたOLのイメージって、とにかく、世の中の女性たちの共感を呼ぶ。朝、バタバタと支度をして、慌ててお化粧をして部屋を飛び出し、満員電車での痴漢に耐え、会社でのお局様のイヤミに耐え、課長のセクハラに耐え、長い1日がやっと終わり、アパートの近くのコンビニで、お弁当と缶チューハイを買って帰る。そして、アパートに着き、疲れるハイヒールを脱ぎ、冷たい缶チューハイをゴクゴクと飲めば、今日1日のイヤなこと、ガマンしてたことも、スーッと流れて行く。

つまり、色んなことをガマンして、1日を終えたOLの姿って、哀愁よりも、開放感へのイメージ喚起力を備えているのだ。ずっと前に、山口美江の「柴漬け食べた〜い!」ってCMがあったけど、アレと同じ世界だ。ちなみに、コント赤信号のリーダー、渡辺正行にフラれて芸能界を引退した山口美江は、今は、横浜の中華街で、「グリーンハウス」って言う小さな雑貨屋さんをやっている。

さて、今やってる別のCMでは、ビオレの「ふくだけコットン」のシリーズが、同じような開放感を表現してる。空港で働いてる女性とか、どっかの編集部みたいなとこで働いてる女性とかが、1日中ずっとメークをしてて、お部屋に帰って真っ先に、ふくだけコットンでメークを落として、サッパリしたってヤツだ。もちろん、ちゃんと化粧直しをして、きちんとしてれば、あんなことにはならないけど、職業によっては、化粧直しもできないくらいに忙しいものもあるから、そう言う女性にしてみたら、1分1秒でも早くサッパリしたいって気持ちになるだろう。

ここでも、ちなみに、あの空港のバージョンに出てる女性は、ROMIちゃんて言って、バツグンにスタイルのいいモデルさんで、東京コレクションとかにも出てる。すごくマニアックだけど、あたしの主食、金ちゃんラーメンの姉妹品、「金ちゃんカップうどん」のCMにも出てたんだけど、これは、地方CMなので、首都圏では見ることができない。

‥‥そんなワケで、現在、放送中のCMの中で、あたしの一番好きなCMは、酒井若菜の「Dew」だけど、じゃあ、一番嫌いなCMは何かって言うと、あたしの感覚じゃ完全に理解不能な、坂口憲二の「キウイ」のCMだ。まず、果物のCMに、あんなにお金をかける意味が理解できない。今までに、イチゴとかのCMも作られたことはあったけど、たいていは、見たことのないシロートみたいなタレントが出て来るだけだし、テレビ東京とかのローカル局でチョロって流す程度だったのに、何で「キウイ」を宣伝するために、大掛かりなCMを制作したんだろう?

なんてことは置いといて、とにかく、あのCM自体が、あたしには理解できない。まず、あの部屋のセットが、どう見てもラブホだ。それも、渋谷とか新宿のラブホじゃなくて、八王子とか町田とか厚木とかの、やたらと無駄なスペースがあるラブホにしか見えない。そして、そのラブホの部屋の真ん中で、小汚い普段着でアグラをかいてキウイを食べてる坂口憲二と、そこに四つん這いで近づいて行く、ドレスを着た犬伏(いぬぶし)まり。犬伏まりって、「CanCam」の専属モデルだけど、正直言って、魚みたいな変な顔をしてるから、四つん這いで近づいて来られたら、ホラー映画そのものだ。そして、トドメが、何の脈略もない、B´zの「愛のバクダン」の炸裂だ。あたしの大っ嫌いな、鳥肌の立ちそうなナルシストヴォーカルの熱唱が響き渡る。

‥‥そんなワケで、坂口憲二と犬伏まりのギャラ、そして、B´zとのタイアップ、これだけの予算を使って、いったい、何百万個のキウイを売れば、モトが取れるんだろう?‥‥なんてことよりも、あたしは、坂口憲二が心配だ。あの、石膏像みたいな顔をした小雪と付き合ってるだけあって、坂口憲二の美的感覚って、あたしにはまったく分からない世界だけど、そんなに生活に困ってるワケじゃないだろうし、あんまりガツガツとお仕事をしないで、少しは選んだらどうなんだろう。あたしから見ると、あのキウイのCMは、坂口憲二が今までにやったお仕事の中で、最大の汚点としか思えない今日この頃なのだ。

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