ベロカンダ
朝から何も食べてなかったので、お昼ちょっと前に、お腹が空いて来た。それで、何となく、お好み焼きが食べたくなったので、材料があるか調べてみた。そしたら、小麦粉、サクラエビ、チクワ、紅ショウガ、オカカがあったので、あと、キャベツか長ネギがあれば、お好み焼きが作れる。それで、スーパーに行ったら、キャベツが128円、長ネギが148円だったので、キャベツのほうを買うことにした。それから、50円の天カスと100円の青ノリも買った。
帰って来て、さっそく、キャベツたっぷりのお好み焼きを作った。それで、今日のお仕事は夕方からだったので、発泡酒の500を冷蔵庫から出して、お好み焼きを食べながら、ゴクゴクと飲んだ。この組み合わせが、すごく美味しくて、昼間からいい気持ちになって、パクパクと食べていた。それで、夢中になって食べてたら、3分の1くらい食べたとこで、ベロの左側を噛んじゃった。
ベロなんか噛むのは何年ぶりだろう?‥‥なんて思いつつも、そのまま食べ続けてたんだけど、やたらと痛い。それでも、気にせずに食べてて、何口か食べたとこで、クチビルについたソースや青ノリをティッシュで拭いた。そしたら、ソースや青ノリの他に、何か赤いものがティッシュについた。紅ショウガにしちゃあ真っ赤だし、今は口紅はつけてないし‥‥。
あたしは、ここでハッとして、手鏡を見たんだけど、そしたら、下クチビルが真っ赤になってて、口を開けてみたら、なんとベロから大流血してた! 切れてたのは5ミリくらいなんだけど、ジワ〜とかじゃなくで、ボトボトと血が垂れていた。慌てて洗面所に行って、お水で口をゆすいだら、吐き出したお水が真っ赤で、血に弱いあたしは、それを見ただけで貧血を起しそうになった。
それで、食べかけのお好み焼きにラップをして、発泡酒にもラップをして冷蔵庫にしまって、とにかく、ベッドに横になった。血は、拭いても拭いてもキリがないので、口の中でチューチューと吸って、出たぶんの血を体内に戻す作戦にした。だけど、血管に戻すんなら意味があるけど、胃に戻しても、あんまり意味が無いと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごひですか?(笑)
‥‥そんなワケで、「お過ごひですか?」って言うのは、打ち間違いじゃなくて、ベロを噛んじゃった時のセリフっぽくしてみたんだけど、結局、あたしは、1時間以上も血が止まらなかった。ずっと前にベロを噛んで出血した時には、こんなに血は出なかったし、すぐに止まったから、あたしの予想では、ベロの中には細い血管とか太い血管があって、今回は、太い血管のとこを噛んじゃったんだと思う。
あたしって、ケガをした時には、そんなに痛みを感じないのに、それが大変なケガだって分かったとたんに、急に痛くなって、具合が悪くなる。前に、階段から落ちた時も、病院まで自力で行ったし、診察を受けるまでは普通に歩けてたのに、レントゲンの結果、鎖骨にヒビが入ってるって分かったとたんに、気を失いそうになって、その場から立てなくなった。だから、今回も、こんなに出血してるなんて知らなかった時には、ちょっと痛いと思いつつも、平気でパクパクとお好み焼きを食べてたのに、それが、大出血してるって分かったとたんに、立ってられなくなり、ベッドに横になったら、ベロがズキズキとして来て、痛くてガマンできなくなったワケだ。
そして、なかなか血が止まらないから、「病院に行ったほうがいいかな?」って思ったんだけど、でも、「ベロを縫うなんてことになったら、あたしには絶対に無理だ」って思って、でも、「このまま、ずっと血が止まらなかったら、死んじゃうかも知れない‥‥」って思って、でも、「もしもベロを縫うことになったら、きっと、縫う前にベロに麻酔の注射を打つだろうし、そしたら、縫うこと以前に、ベロに注射を打つってことが、すでに、あたしには絶対に無理だ」って思って、さらに、「仮に、ベロの注射もベロを縫うのも死ぬ気でガマンしたとしても、何日かあとに、ベロを抜糸するってのが、あたしには絶対に無理だ」って結論に達して、限界までガマンすることにした。
それで、何とか1時間ちょっとで血が止まったので、あたしは、ベロに注射を打たれたり、ベロを縫われたり、さらに、ベロを抜糸されたりする悪夢から開放されて、あたしを心配してベッドの周りに集まってた小さいきっこたちとともに、Fカップの胸をホッと撫で下ろしたのだった(笑)
やっぱり、ベロと言えば、妖怪人間でもない限り、急所だと思う。何と言っても、味覚を感じるための器官だから、神経とか血管が集中してて、ケガをした時は、手や足をケガした時よりも、遥かにダメージが大きいと思う。だって、指を5ミリくらい切っても、キティちゃんのカットバンでも貼っときゃOKだけど、ベロの場合は、こんなオオゴトになっちゃった。オマケに、ベロには、オロナイン軟膏も塗れないし、カットバンも貼れないし、ひたすら自己治癒能力に頼るしか方法が無いのだ。
‥‥そんなワケで、確か、前々回の放送だったと思うけど、「トリビアの泉」の中の「ガセビア」で、「舌で感じる味覚は場所によって違う‥‥と言うのは、ガセ!」って言うのをやってた。つまり、ベロって、先端のほうでショッパサを感じたり、真ん中あたりで甘みを感じたり、脇のほうで苦みを感じたり‥‥みたいなのはデタラメで、ホントは、ベロ全体ですべての味覚を感じるんだって説明してた。あたしも、子供のころに、ベロは場所によって感じる味覚が違うって教わった気がして、ずっとそう思ってたから、「トリビアの泉」を見て、「ヘェ〜!」って思った。
そしたら、それからしばらくして、5月30日のフジテレビの深夜の「孝太郎プラス」をナニゲに見てたら、太田和彦って言う居酒屋の研究をしてるおじさんがゲストで、コイズミのバカ息子をお薦めの居酒屋に連れてくって企画をやってた。そこで、実際に2人で飲みながら、このおじさんが、お酒の飲み方だとか、オツマミの注文の仕方だとかをあーでもない、こーでもないって、ウンチクってたんだけど、その中で、こんなやり取りがあった。
このおじさんに薦められたお酒を飲んだバカ息子は、口に入れて、すぐに飲み込んで、すぐに「美味しいですね〜」って感想を言った。そしたら、おじさんは、「それじゃあダメだねぇ〜人間の舌ってものはね、場所によって感じる味覚が違うんだよ。だから、口の中にお酒を入れたら、すぐに飲み込まずに、舌全体を使って様々な味を楽しむのが、本当の酒飲みってものだよ」って、得意満面で言っていて、それに対してのバカ息子は、「なるほど〜サスガですねぇ〜」って、この嘘にマンマと騙されていた。
嘘って言っても、このおじさんも、誰かに騙されて、それをそのまま信じ込んでるだけなんだから、正確に言えば、嘘をついてるワケじゃない。だけど、誰かのデタラメを信じ込んで、それをいかにも自分の知識みたいに吹聴する人って、真実を知った状態で見てると、ホントに滑稽だ。オマケに、このおじさんは、居酒屋の紹介の本だとか、居酒屋でのお酒の飲み方の本だとか、色々と出してる人みたいなので、この人の味覚に対する信憑性が、これで一気に無くなっただろう。
だって、いくら誰かに、「舌で感じる味覚は場所によって違う」って教えられたとしたって、実際に自分が色んなお酒を飲んだり、色んな美味しいものを食べて来たりすれば、「舌の味覚はどの部分でも同じだ」ってことに気づくだろう。あたしみたいに、大ザッパに生きてる一般人なら、「トリビアの泉」でホントのことを知るまでは、「そんなもんなのかなぁ〜」って思っててもしょうがないけど、一般人よりも何倍も多くのお店を回って、色んなものを飲んだり食べたりしてて、それも、本にまとめて出版するつもりで研究までしてる人が、こんなことにも気づかないなんて、ハッキリ言って、味覚音痴なんじゃないの?
この、太田和彦って人は、きっと、今までに数え切れないほど、口に含んだお酒をすぐには飲み込まず、舌全体に行き渡らせて、それで、お酒の細かい味を分かったようなツモリになってたんだと思う。まあ、自分ひとりが、くだらないデタラメを信じ込んで、そう思ってただけならいいけど、それを他人に言ったり、本に書いたりなんかしたら、あまりにも恥ずかしいことだろう。
‥‥そんなワケで、ベロから大出血してるって真実を知らなかった時には、大して痛みを感じなかったあたしだけど、鏡に映った真実を知ったとたんに、ズキズキと痛みを感じるようになった。だから、太田和彦の語る、酒飲みに関する講釈も、「舌で感じる味覚は場所によって違う」って言うガセネタが世の中に浸透してた時には、それなりの説得力があったんだろうけど、世の中の人たちが真実を知った今では、シタリ顔で語るセリフのひとつひとつが、あたしのベロの傷よりも、ズキズキと痛かった今日この頃なのだ(笑)
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