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2005.06.17

おじさんの境界線

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ゆうべ、ちょっと急ぎのお仕事が入ったので、2時間だけ仮眠してから、朝まで徹夜で、メークパターンのリストを作ってた。あれ?仮眠したんだから、徹夜とは言わないか‥‥なんてことは置いといて、パソコンの性能がアップしたので、作業はサクサクと進み、朝の5時ころにはパターンリストが出来上がり、必要枚数のプリントも終った。

それから、コーヒーをいれて、ナニゲにテレビをつけたら、日テレの「ズームイン!スーパー」で、辛坊治郎が新聞各紙の記事を紹介してた。辛坊さんて、何か感覚がズレてるから、あたしはあんまり好きじゃないんだけど、一緒に出てる女子アナ、西尾由佳理が、最近ちょっと気になってるので、平日の早朝は日テレを見ることが多い。とにかく、朝イチからみのもんたは胸焼けしちゃうし、フジテレビのバカ女子アナはユル過ぎるし、早朝のテレ朝はやかまし過ぎるから、そう言った意味でも、日テレを見ることが多い。だけど、あたしは、羽鳥慎一が暑苦しくて嫌いなので、羽鳥が映ると他にチャンネルを替えて、しばらくしてから日テレに戻すってパターンが定着しつつある。

で、今朝の「ズームイン!」では、たまたま2つの新聞に、「お兄さんとおじさんの境界線」みたいな感じの、似たような記事が出てるって言って、辛坊さんが紹介してた。そのうちのひとつが、「i Pod」に代表されるみたいな、小型の音楽を聴く機械を持ってるのがお兄さんで、持ってないのがおじさんって言う記事だった。それで、辛坊さんが、西尾由佳理に、「i Pod」を持ってるか聞いたら、西尾由佳理は、「あったり前じゃないですかぁ〜!辛坊さんは持ってないんですかぁ〜?」って言って、辛坊さんは、「ボクはおじさんですから、古いカセットテープのヤツしか持ってません‥‥」って答えてたけど、あたしも、「i Pod」はおろか、MDのもCDのも持ってなくて、カセットテープのウォークマンしか持ってないから、おばさんなんだろうか?‥‥なんて思う今日この頃、皆さん、「i Pod」は持ってますか?


‥‥そんなワケで、まず念を押しとくけど、この場合の「おじさん」「おばさん」って言うのは、ようするに、「ダサイおじさん」「ダサイおばさん」って意味だ。だから、明らかにおじさんやおばさんの年令に達してても、カッコイイおじさやステキなおばさんは含まない。逆に、10代でも20代でも、ファッションや流行に鈍感で、ダサイ服を着て、世の中とズレまくってるようなヤツラは、おじさん、おばさんだ。

だから、あたしとしては、「i Pod」を持ってるかどうかじゃなくて、それで何を聴いてるのかが問題だと思う。最先端の「i Pod」を持ってても、それで、サザンオールスターズとかチューブとかミスチルとかを聴いてれば、どう考えたって、おじさん、おばさんだし、古くさいCDやカセットテープのウォークマンを使ってたって、新しくてセンスのいい音楽を聴いてれば、おじさん、おばさんとは呼べないと思う。ちなみに、サザンオールスターズとチューブとミスチルって言うのは、あたしが決めたんじゃなくて、若い女性向けの雑誌の読者アンケートで、「カラオケで男性に歌われると、おじさん臭いな〜って思うアーティスト」のワースト3だ。

そう言えば、ずっと前に、「SPA」か何かに、「セカンドバッグを持つようになったらおじさん」とか、「小銭入れを持つようになったらおじさん」とか書いてあった。確かに、セカンドバッグなんか持って歩いてるのは、ダサイおじさんとヤクザくらいだろうけど、小銭入れを持ったらおじさんなのかな?って、その時は思った。だけど、あたしが、憧れてる男性から食事に誘われたとして、帰りのお会計の時に、ポケットから小銭入れを出されて、お会計の端数を払うために10円玉とか5円玉とかをチャリチャリやられちゃったらって脳内シュミレーションしてみたら、やっぱり、一気に冷めちゃうことだけは確かだった。

だけど、もしも、福山雅治が、セカンドバッグと小銭入れを持ってたとしても、「i Pod」でサザンオールスターズを聴いてたとしても、それなら許せる。でも、それは、セカンドバッグや小銭入れなんか持ってないほうがいいし、音楽だって、もっとセンスのいいものを聴いてたほうが何倍もステキだけど、これだけのマイナスポイントがあったとしても、それでも福山雅治のカッコ良さが勝ってるってだけの話だ。つまり、福山雅治のカッコ良さをプラス100だとしたら、セカンドバッグを持つことのカッコ悪さがマイナス20、小銭入れがマイナス10、サザンオールスターズがマイナス20くらいの感じで、それでも、プラス50のカッコ良さが残ってるから許せるってワケだ。

だから、もともと、プラス20とか30とかの男性が、この三種の神器を身につけたら、トータルでマイナスになっちゃうから、少なくとも、若い女の子たちからは、「ダサ〜イ!」って思われることになるだろう。だけど、もともとがマイナス30の男性だって、その人の魅力を引き出すファッションを身につけて、カッコイイ音楽を聴いて、カードでスパッと支払いを済ませれば、プラス50の男性になれるんだから、ようは本人のセンスの問題で、世の中のせいじゃない。

‥‥そんなワケで、5〜6年くらい前のことなんだけど、ある新進ファッションデザイナーのコレクションショーの企画会議の席で、ショーのBGMを何にするか、色々と話し合っていた。あたしは、事務所から独立して、ようやく軌道に乗り始めて来たころだったんだけど、ショーのお仕事の経験は浅かったので、自分の担当するヘアメークのこと以外は、何も言わずに黙って座ってた。そしたら、なかなかBGMが決まらなかったために、ショーディレクターが、ずっと黙ってたあたしに、「きっこちゃんは、最近、どんな音楽を聴いてるの?」って感じで振って来た。

あたしは、レゲエやアフリカンコンテンポラリーをメインに聴いてたんだけど、ショーのBGMの参考にするための質問だってことはサルにでも分かるから、レゲエやアフリカン以外で、当時、ハマってた音楽の中で、ショーでも使えそうなものを瞬間的に考えて、「最近は、ベックですね」って答えた。そのころ、ベックの「ミッドナイト・ヴァルチャーズ」が大ヒットしてて、あまりのカッコ良さに、メッタにCDを買わないあたしでさえも、歌詞カードとノーツが欲しくて、高いニポン盤を買ってたくらいなのだ。

それで、あたしの言葉を聞いて、他の人も、「うん!ベック、いいよね!」なんて感じで、2人の人が同意してくれた。そしたら、ディレクターが、「へえ〜、みんな、ベックなんか聴いてんだ?ボクも昔は聴いてたけど、最近は聴かないな〜」って言い出した。それで、何だか噛み合わない会話がしばらく続き、あたしは、途中で気がついた。そう、ディレクターは、ベックを「ジェフ・ベック」のことだと勘違いしてたのだ。それで、あたしは、ジェフ・ベックじゃなくて、ベックだってことを言って、それから少しだけ、ベックについての説明をした。

それにしても、当時で、デビューしてから7〜8年もたってて、その間に、ビルボードで何週も連続で1位を記録したり、グラミー賞を受賞したり、ワールドツアーを大成功させたり、来日公演のチケットは、すべて即日完売のトップアーティストだったって言うのに、そのベックをまったく知らなかったなんて、あたしには信じられなかった。それも、サラリーマンのおじさんとかならともかく、仮にも、ファッション業界の人なんだから、音楽の流行にもそれなりにアンテナを張ってるのが普通だろうって思った。それに、ワケの分かんないインディーズなんかじゃなくて、音楽に興味の無い人だって名前くらいは知ってて当然のトップアーティストなのに、それを知らなかったなんて、この時、あたしは、ものすごい年令の壁を感じた。

これが、あたしが実感した「おじさんの境界線」だ。つまり、ミュージシャンの名前として、「ベック」って言った時に、「ジェフ・ベック」を思い浮かべるのが、おじさん。そのまま「ベック」を思い浮かべるのが、お兄さん。そして、ハロルド作石の描いたバンドごっこのマンガ、「ベック」を思い浮かべるのが、お子様ってことだ。ちなみに、ハロルド作石と言えば、「ゴリラーマン」でオナジミだけど、「ゴリラーマン」を実写版でやるとしたら、誰でもが、ガレッジセールのゴリを主役に推薦すると思う。

‥‥そんなワケで、ジェフ・ベックと言えば、7月に来日するので、ファンのおじさんたちは大騒ぎしてるけど、ロッド・スチュワートやロン・ウッドを好きなあたしとしては、ジェフ・ベックは人間的に嫌いなので、音楽にもまったく興味が無い。ただ、こう言ったタイプのミュージシャンには、ある意味、宗教的なファンが多いから、サスガのあたしも、恐くて悪口が書けない今日この頃なのだ(笑)

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