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2005.07.13

クワマンの名解答

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「悪名高きライブドアの子持ち広報、乙部綾子の出版記念会に、フジテレビだけが来なかった」って言う、どーでもいいニュースで、ちょっと古い話なんだけど、思い出したことがあるので、一応、触れておこうと思う。フジテレビの木曜深夜の「北野タレント名鑑」で、確か、6月2日にOAしたぶんだと思うんだけど、ノーギャラの出演者たちがクイズに答えて、正解するたびに曇りガラスの向こうのイスが下がって来て、成績がいいと顔を出して自分の宣伝ができるって言うアレ。この日の出演者は、自分の本を宣伝に来た具志堅用高と桑野信義、あと、さんまの「恋のから騒ぎ」にずっと前に出てた「クエ」こと吉原久恵、崖っぷちを売り物にしてるくまきりあさ美、あと1人、誰だったかな?

まあ、とりあえず、そんなメンバーだったんだけど、何問目かのクイズで、プロ野球界の金正日、ナベツネのクソジジイが、あまりにも勝てないジャイアンツに対して、当世、勝てないものの代名詞と言って、「巨人、楽天、●●●●●だな」と言う名言を吐きました。巨人と楽天と、さて、何でしょう?‥‥てのが出題された。正解は、「巨人、楽天、ハルウララ」なんだけど、MCのガダルカナル・タカは、ヒントとして、「カタカナで5文字ですよ〜!」とか、「出る試合、出る試合、次々に負けちゃうんですよ〜!」とか、ギャグじゃなくて、マトモなヒントを連発してた。

これは、天然ボケの解答でなかなか得点が上がらない具志堅やクエ、成績よりも笑いを優先させてるクワマンに対して、必死の解答であとちょっとのとこまで来てたくまきりあさ美に、何とか正解させてやろうって言うガダルカナル・タカのハカライだ。もちろん、これは、くまきりのためじゃなく、ただ単に、水着の女の子を正解させて、その姿を殿に見せようって言うタイコモチ根性と、深夜ワクってことを考えた番組的な理由と、自分の趣味とをすべてチャンプルーした結果のハカライなんだけど、その努力が叶って、ガダルカナル・タカの思惑通りに、結果は、くまきりだけが「ハルウララ」って言う正解をボードに書いてた今日この頃、皆さん、深夜番組はお好きですか?(笑)


‥‥そんなワケで、この番組では、水着の女の子は右端に座ることが多いので、くまきりも右端だった。そして、解答のオープンは左からなので、まずは左端の具志堅の解答が映された。そこには、書きなぐったような文字で、「ちょっちゅね」って書かれていた。ガダルカナル・タカは、どうツッコんでいいんだか困り果てた様子で、お得意の「サラッと流しちゃえ」的な対応で、「具志堅さん、カタカナで5文字って言ったでしょう!まったく、もぉ〜!」とか言いつつ、すぐに隣りのクワマンの解答へと流した。だけど、この具志堅の解答には、深い理由があったのだ。

この番組では、約3万人もの名前が登録してあるタレント名鑑を見ながら、ガダルカナル・タカが、番組中に直接、タレントの所属事務所に電話をして、出演交渉をする。そして、そのやり取りも、面白いとこだけを編集して、番組の最後に放送する。それで、以前の放送で、具志堅にオファーを取った時のぶんを放送してたんだけど、ノーギャラだし、顔も出ないかも知れないって言うガダルカナル・タカの説明に対して、最初に電話に出た具志堅の事務所のオッサンは、「彼はお金が欲しくてチャンピオンになったんだから、ノーギャラなら出演しませんよ。」とか言ってた。

でも、そのあとに、この番組のことを良く知ってそうな女性が電話に出て、「出演します。」ってことになった。ようするに、具志堅が、「ちょっちゅね〜」って言うタイトルの本を出したから、それを番組で宣伝しようってことになったんだろう。だから、クイズも後半になり、今までの珍解答のせいで、顔を出すこと、本の宣伝をすることは無理だって思った具志堅は、クイズなんか無視して、自分の本のタイトルをボードに書いたのだ。

‥‥そんなワケで、この日の出演者の中で、唯一、ちゃんとした笑いのツボを押さえてるのは、クワマンだけだった。天然ボケの具志堅やクエの解答は当たり外れがあるけど、クワマンだけは、自分だってホントは顔を出して本の宣伝をしたいだろうに、成績よりもウケを狙って、なかなかクオリティーの高い珍解答を続けてた。それは、まるで、「タシロ無き今、ラッツの笑いの精神を後世へと伝承して行くのは自分しかいない!」と言う、確固たる覚悟が見え隠れするような、壮絶な男の生き様を垣間見た瞬間でもあった‥‥なんてことも言ってみつつ、具志堅の「ちょっちゅね」をサラッと流したガダルカナル・タカ自身も、クワマンの解答にはそれなりに期待してたみたいだった。

それなのに、「さあ、クワマンの解答は?」って、あたしが思った瞬間、クワマンの部分はサクっと全面カットされて、その隣りのつまんない解答へと移って行った。そして、その後も当たり障りなく進み、くまきりだけが正解って言う、味気ないものだった。他の出演者の解答が、ぜんぜん面白くなかったのに、それでもクワマンがカットされたってことは、クワマンの解答はもっとつまんなかったのかな?って思ったあたしは、ソッコーでリモコンの録画ボタンを押して、くまきりがしゃべってる前後の1分間くらいを録画した。そして、番組が終わったあとに、曇りガラスの下にチラチラと見えるクワマンの解答ボードを拡大して見てみた。それで、クワマンの解答を知ったあたしは、大笑いするとともに、全面カットにされた理由も良く分かった。クワマンのボードには、こう書かれていたのだ。


 「ホリエモン」


「カタカナで5文字ですよ〜!」「出る試合、出る試合、次々に負けちゃうんですよ〜!」って言うガダルカナル・タカのヒントをきちんと踏まえてるし、フジテレビの番組だってことも踏まえてるし、「ライブドア」って書くと会社名なので問題が生じる可能性もあるってことも踏まえてる。さらに、「巨人、楽天、ホリエモン」って並べてみると、イノシシ社長が買収に失敗した「楽天」の下に置かれるって言う風刺や諧謔まで備えてて、完璧とも言える名解答だ。

そして、収録は5月の中旬だったから、プロ野球チームの買収に失敗した上に、ニッポン放送の乗っ取りにも失敗した矢先で、ヤルことナスこと想定外なエロゲーム会社、ライブドアの本質を的確に突いている。結局、イノシシ社長の数々の大言壮語は、すべてマネーゲームのためだったってことが白日のもとに曝され、脂ぎった守銭奴が大恥をかいた時期なので、あまりにもナイスな名解答だと言えるだろう。サスガ、クワマン、タシロのぶんまでがんばろうって言う心意気を感じる。

これほどの名解答なんだから、収録では、ガダルカナル・タカだけじゃなく、たけしからも色んなツッコミがあったはずだし、絶対に盛り上がったはずだ。そして、番組的にも、この名解答は、絶対に残したかった部分だろう。だけど、この番組は、同じフジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー」や「平成教育予備校」、テレビ東京の「たけしの誰でもピカソ」など、オフィス北野とベッタリの「イースト」の制作なので、番組自体の面白さよりも何よりも、たけしに迷惑の掛からないような編集をしなくちゃならない。だから、現在、フジテレビに敷かれている「ライブドア完全無視」の戒厳令には、絶対に従わなくちゃならないのだ。

‥‥そんなワケで、下請けの制作会社ってのは、色々と気苦労が多くて、ホントに大変なのだ。視聴率さえ取れれば何でもアリ‥‥なんて考えてるのは、現場を知らない人たちだけで、たとえば、ロケ映像に、番組のスポンサーのライバル会社の看板が見切れてただけで、担当を下ろされたディレクターもいる。だから、そんな下請けの、さらに下請けのあたしとかは、現場では、絶対に余計なことは言わないように、ものすごく気を使ってる今日この頃、そんなストレスを発散できるのは、この日記だけなのだ(笑)

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