裸のランナー
先週は、F1のフランスGPのあとに、Fポンの第5戦の鈴鹿があったので、夜更かししちゃったけど、ゆうべは、イギリスGPのあとに、インディの第8戦のカンザスGPがあったので、またまた夜更かししちゃった。前にも書いたと思うけど、あたしは、インディはあんまり好きじゃない。ああ言う、何にでもケチャップをぶっかけて食べる鈍感なアングロサクソンが好きそうなものは、繊細なモンゴロイドのあたしの肌には合わないからだ。
ただのオーバルコースをバカのひとつ覚えみたいにグルグルと200周も回り続け、次々にウォールに突っ込んでクラッシュして、せっかくがんばって後続車に差をつけても、誰かがクラッシュしてイエローフラッグが振られたら、ノロノロ運転をしなくちゃならないから、すぐにダンゴ状態になっちゃう。つまり、テクニックよりも、運が左右するレースで、純粋なモータースポーツって言うよりも、競輪とか競馬みたいな感じで、ギャンブル性が高い。だから、純粋なモータースポーツファンのあたし的には、あんまり興味がわかないのだ。
じゃあ、夜更かしして見てないで、トットと寝ろよ!‥‥なんて言われそうだけど、今シーズンからデビューした女性ドライバー、ダニカ・パトリックの走りを見たいので、レース自体はつまんないんだけど、ついつい見ちゃう。ようするに、番組自体は面白くもなんともない「HEY!HEY!HEY!」とか「ミュージックステーション」でも、MAXが出る時には、MAXを見るためだけの目的でチャンネルを合わせちゃうってことと同じで、ダニカの走りを見たいがために、あたしは夜更かしをしちゃう。特に、ゆうべは、予選でダニカがポールを取ったって言う事前情報があったから、ある意味、F1と同じくらいワクワクドキドキしてた今日この頃、皆さん、F1すら見てないのに、インディなんか見てるワケないですよね?(笑)
‥‥そんなワケで、あたしは、ゆうべ夜更かししてたので、今朝、目覚ましが鳴ったのにも気づかずに、お仕事に遅刻しそうになった。無意識に目覚ましのスイッチを切っちゃったみたいで、そのあとも夢と現実のハザマカンペイを行ったり来たりしてたら、枕元のケータイのメール着メロが鳴ったので、ハッとして起きたのだ。そしたら、あたしの情報元の1人からのメールで、「プロレスラーの橋本真也が急死。死因は脳内出血。享年40才。」って内容だった。あたしは、どんなスポーツでも、ガチンコにしか興味無いので、プロレスは問題外だ。プロレスを見るくらいなら、酔っ払いのケンカを見てたほうが楽しい。だから、このネタには、ぜんぜん触手が動かなかった。まあ、そんなことは置いといて、とにかく、あたしは、ダッシュでシャワーを浴びて、着替えて、お化粧して、ギリギリでお仕事に間に合った。
で、今、帰って来たワケだけど、話は戻って、カートの女性ドライバーって言うと、前に、サラ・フィッシャーがいた。だけど、サラは、周りがチヤホヤしてるワリには、走りはイマイチで、「所詮は女だから」って見られ方をしてた。でも、ダニカの場合は、155cm、45kgの小さな体で、男性顔負けのドライブをする。長い黒髪もステキだし、とっても可愛い。
あたしが、初めてダニカを見たのは、「ツインリンクもてぎ」での今年の第4戦だ。これは、ニポンでのレースなので、深夜じゃなくて、日曜日のレース当日に、数時間遅れで、夕方に放送してた。あたしは、確か、どっかの事務所でお留守番をしてて、ヒツマブシにウナギを食べてたら‥‥じゃなくて、ヒマツブシにテレビを見てたら、カートが始まったので、他のチャンネルよりはマシだから見てたんだと思う。そしたら、ダニカ・パトリックって言う紅一点にスポットを当てて、色々と解説をしてたので、興味を持つようになった。そう言えば、髪の毛の人口密度が極端に過疎化してる掛布雅之が、ダニカにインタビューしてた。内容は忘れちゃったけど、どうせ掛布だから、ロクなことは聞いてないと思う(笑)
この日、ダニカは、予選で、23台の出走車のうち、21台のラップをブチ抜いて、決勝のスタートではフロントローにつけた。あたしは、コーフンした。そして、決勝では、4位でフィニッシュした。あたしは、さらにコーフンした。それで、すごく好きになっちゃったんだけど、なんせ、レース自体がつまんないカートだから、それほど本腰を入れて見てるワケじゃなかった。そのダニカが、今回の第8戦、カンザスGPでは、ついにポールを取ったって言うから、あたしは、すごく楽しみにしてたのだ。
で、結果を言うと、ダニカは9位だった。ポールからのスタートで、精神的に舞い上がっちゃってたみたいで、何でもないストレートでフラついたり、ピットから出る時には、他のチームのクルーを轢きそうになっちゃったり、まるで、アンガールズ並みにグダグダの内容だった。でも、時速300km以上で爆走するダニカのマシンからのオンボード映像を見てたら、「あたしよりも小柄な女性が、こんなすごいスピードで走ってるんだ‥‥」って思って、言葉にできないような感動に包まれた。
‥‥そんなワケで、前置きはこれくらいにして、いよいよ、F1のイギリスGPなんだけど、今回は、7日にロンドンで連続テロ事件があったので、10日の決勝は、多くの警官や警察犬までが出動すると言う厳戒態勢の中で行なわれた。テロがあった翌日から、シルバーストーンサーキットの構内に入る者は、チームスタッフはおろか、F1ドライバーまでが、バッグの中を検閲されるようになってたんだけど、誰もが、この指示に従ってたのに、シューマッハ兄だけはバッグの検閲を最後まで拒否して、「あいつ、何かヤバイ物でも持ってるんじゃないのか?」って周り中から疑われてた(笑)
そんなシューマッハ兄も、テロがあった当日には、奥さんとロンドンにいたので、テロに巻き込まれてた可能性もあったワケだ。そのことについて、記者に質問されると、シューマッハ兄は、「こんな世の中なんだから、世界中どこにいたって、危険なのは同じさ。」と、皇帝の余裕を見せたそうだ。
さて、今回のイギリスGPでは、あたしの楽しみは、決勝や予選の他に、もうひとつあった‥‥って言うか、その「もうひとつ」ってのが、一番の楽しみだったって言っても過言じゃない。
‥‥そんなワケで、話は、1年前にさかのぼる。2004年のシーズン開幕から、マクラ―レンチームは、ひどい状態が続いてた。ライコネンは、開幕から、リタイア、リタイア、リタイア、8位、11位、リタイア、リタイア‥‥って言う最悪の状態だし、クルサードも、8位、6位、リタイア、12位、10位、リタイア、リタイア‥‥って言う、まるで、今年の佐藤琢磨みたいなヒドサだった。それで、シーズン中盤の去年の7月に、イギリスのジャーナリストのボブ・マッケンジーって言うおじさんが、イギリスの「デイリーエキスプレス紙」に、マクラーレンのダメっぷりを長々と書いた上に、トドメのセリフとして、「今シーズンの残りのレースで、一度でもマクラ―レンが優勝するようなことがあったら、オレはシルバーストーンサーキットを裸で走ってやるよ!」って書いたのだ。
そしたら、それから1ヶ月後のベルギーGPで、ライコネンが優勝しちゃったのだ。レース後のインタビューで、「もしもマクラーレンが優勝したら、裸でシルバーストーンを走るって言ったイギリス人のジャーナリストがいたけど、あなたは見物に行きますか?」って聞かれたライコネンは、「あはははは〜!もちろん見に行くよ!できれば、その日が、土砂降りの大雨にでもなったら、サイコーだね!彼がちゃんと約束を守る男だといいんだけどね!」って答えて、周りの記者たちを笑わせていた。でも、この話は、これで終わっちゃったみたいで、その後は、この話題に触れる人はいなかった。だから、あたしは、ただのジョークだったのかと思ってた。
ところが、一方的にバカにされっぱなしだったマクラ―レンチームのロン・デニス代表が、この約束を忘れてるはずがなかった。1年もして、シルバーストーンサーキットで行われる今回のイギリスGPが近づいて来たある日、ロン・デニス代表が自ら、ボブ・マッケンジーに電話をして、「そろそろ、あの約束を実行してもらう日が近づいて来たよ」と伝えたのだ。そう、ロン・デニス代表は、誰もいないサーキットを裸で走らせても面白くないので、今年のイギリスGPまで1年間ガマンして、何万人もの観客の前でストリーキングをやらせようって作戦だったのだ。サスガ、策士、ロン・デニス!(笑)
それで、チームの代表からジキジキに電話が来ちゃったもんで、もう、ボブ・マッケンジーも逃げるワケに行かず、覚悟を決めて、「よし!オレも男だ!約束したんだから、ホントに裸で走ってやるよ!」ってことになったのだ。だけど、シューマッハ兄がフェラーリをドライブすれば、たった1分18秒台で1周しちゃうシルバーストーンだけど、1周で5.141kmもあるんだから、人間が走るとなると、ちょっと大変だと思う。特に、運動不足のおじさんが、5km以上も走れるんだろうか? フルチューンのF1マシンなら、空気抵抗も少ないけど、フルチ―ンのおじさんの場合は、ブラブラした謎の物体によって、空気抵抗が悪すぎる(笑)
‥‥そんなワケで、マクラーレンチームは、この企画をただの罰ゲームで終わらせるんじゃなくて、せっかくだからチャリティーイベントにしようって考えた。それで、オフィシャルホームページに、特設ページを設けて、アンケートを公開した。内容は、「ボブはどんなカッコでシルバーストーンを走るべきか?」ってやつで、Aは「裸」、Bは「下着姿」って感じで、誰でもが「裸」に投票したってことは、あたしももちろん「裸」に投票したから、良く分かる(笑)
ボブ自身も、どうせ恥をかくんならと、「走ってる時間、1分につき、1ポンド(約200円)をチャリティーに寄付する!」って言い出して、この企画は、どんどんふくらんで行った。だけど、いくらチャリティーとは言え、決勝の当日にストリーキングをするワケには行かないから、予選の前日の6日に、行なわれることになった。
‥‥ってとこで、あたしの情報はストップしてて、このストリーキングが行なわれたのか、どうなったのか、何も分からないのだ。テロがあったあとなら、もちろん自粛したと思うんだけど、ストリーキングの予定日はテロの前日だったんだから、何か別の問題が生じない限り、ちゃんと行なわれたと思う。だから、あたしの想像では、ストリーキングは予定通り行なわれたけど、そのあとにテロがあったから、映像を放送することや、その話題に触れることを自粛してるんじゃないかって思う。海外のF1情報でも、どこもヒトコトも触れてないし、マクラーレンの特設ページを見ても、事前のアンケートのままになってて、事後報告とかはいっさい無いし。
‥‥そんなワケで、今回の決勝は、テロの犠牲になった人たちに対しての、1分間の黙祷をしてからスタートしたくらいだから、やっぱり、ストリーキングの映像を流せるような状況じゃないってのは良く分かる。だけど、カンジンのレースのほうは、優勝がモントーヤ(マクラーレン)、2位がアロンソ(ルノー)、3位がライコネン(マクラーレン)で、マクラーレンの2人が表彰台に上がるって言う、ボブ・マッケンジーにとっては皮肉な結果だったから、もしかしたら、プレゼンターとしてボブが登場してたかも知れないし、テロさえなければ、すごく盛り上がってたに違いない。だけど、実際は、表彰台でのシャンパンファイトも自粛してたほどで、あたしは、ガッカリした反面、いつでもどこでもバカ騒ぎができるサッカーファンと違って、F1は紳士のスポーツなんだって再確認することができた今日この頃なのだ。
【本日のオマケ】
ボブ・マッケンジーのストリーキングの様子を紹介したページ、なおさん、kkさん、ねこくぼさんからお知らせいただきました。ボブは、マクラーレンのマシンのカラーにボディペインティングをして、約束通りにサーキットを1周したんですね。なおさんの紹介してくださった、ケンサワさんと言うF1専門のカメラマンのページが、とても面白いので、皆さんもどうぞ♪
http://www.f1sokuho.com/gprpt05/r11/gprpt03.html
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