釣りバカきっこ危機一髪
あたしは、映画の「釣りバカ日誌」が好きだし、テレビの釣り番組を見るのも好きだし、釣りのゲームをするのも好きだし、マンガの「釣りキチ三平」も好きなんだけど、実際の魚釣りは、数えるほどしかしたことがない。やっぱり、周りに魚釣りを趣味にしてる人がいないからなんだけど、せっかく多摩川の近くに住んでるんだから、魚釣りができたら楽しいだろうなって思う。多摩川は、海に近い下流のほうはハゼやスズキが釣れるし、うんと上流の奥多摩のほうはヤマメやイワナが釣れるみたいだけど、あたしが住んでる中流は、コイとかアユとかブラックバスを釣ってる人が多い。コイ釣りのおじさんは、1人で5本も6本も釣竿を並べて釣っている。大きなリールがついた長い釣り竿で、先のほうに鈴がついてて、コイがエサを食べると鈴が鳴るようになってる。それで、おじさんは、寝っころがってスポーツ新聞を読んだり、お昼寝をしたりしてて、鈴がリンリンと鳴り出すと、ガバッと起き上がってリールを巻く。釣れるコイは、だいたい50〜60cmくらいだけど、たまに1m以上の大物も釣れる。あたしは、仲良くしてるおじさんがいて、リールを巻かせてもらったことがあるんだけど、ものすごい力で引っぱられて、最後まで巻くことができなかった。その時のコイは、60cmくらいだった。
アユ釣りは、中流と上流で解禁日が違うんだけど、あたしの住んでるあたりは、6月1日が解禁日だ。アユ釣りのおじさんたちの中にも、仲良くしてる人がいて、たまにアユをくれたりする。だけど、アユ釣りは、川の中まで入って行って釣るから、あたしにはできない。だから、おじさんが釣ってるとこを見物させてもらってる。アユの釣り方は「友釣り」って言って、アユの縄張り意識を利用した方法だ。釣り針をつけたオトリのアユを泳がせると、自分の縄張りにヨソモノが入って来たと思って、そこにいたアユが体当たりして来る。それで、釣り針に引っ掛かるってスンポーだ。もともと、その場所を縄張りにしてたアユのところに、ぜんぜん関係無いヨソモノのアユを送り込んで戦わせるなんて、まるで、コイズミの「刺客作戦」みたいで、あんまりいい気持ちはしない今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?(笑)
‥‥そんなワケで、テレビのキャスターやコメンテーターのほとんどは、「刺客」のこと「しきゃく」って言ってるけど、どうしても耳になじまない。もちろん、「しきゃく」でも正しいんだけど、「子連れ狼」の大五郎だって「ちゃんの仕事はシカクぞな」って言ってんだから、できることなら「しかく」って言って欲しい。ちなみに、テレビ版「子連れ狼」の初代の大五郎を演じた元新潟県白根市議、西川和孝(当時32才)は、強盗殺人で無期懲役の実刑判決を受けて刑務所に入ってるし、映画版「子連れ狼」で大五郎を演じた富川晶宏(当時35才)は、軍事ヲタクが高じちゃって、ピストルを密輸してネット販売してて、銃刀法違反で逮捕された。
なんてダッフンもしつつ、話は進んで行くんだけど、今日、午前中に打ち合わせが1本あって、お昼過ぎに帰って来たら、駐車場にジジとペペロンチーノがいた。それで、順番にダッコして鼻と鼻をくっつけたり、肉球プニプニをしたりしてから、ブラッシングをしてた。そしたら、マンションの1階に住んでる小学4年生の航平(こうへい)がやって来た。それで、一緒に猫と遊んでたら、今度は、航平のお母さんがやって来た。お母さんは、「航ちゃん、これから買い物に行くけど、一緒に行く?」って聞いたんだけど、航平は、「行かないよ。お姉ちゃんと遊んでるから。」って答えやがった! あたしに何も聞かないで!(笑)
で、航平のお母さんは自転車でお買い物に行ったワケで‥‥あたしは航平とその場に残されたワケで‥‥富良野の夏は短いワケで‥‥。あたしとしては、今日は早く帰って来れたからお洗濯しようと思ってたんだけど、航平と遊ぶことになっちゃったので、「何して遊ぶ?」って聞いてみた。でも、あたしは、航平に聞きつつも、いつもみたいに、航平の部屋でゲームの相手をすればいいんだろうってタカをくくってた。そしたら、航平ったら、「釣りがしたい!」なんて言い出した。だから、あたしは、「じゃあ、ブラックバス釣りのゲーム持ってるから、一緒にやろうか?」って言ったんだけど、「ゲームじゃなくて、ホントの釣りがしたい!」って言う。
だけど、航平もあたしも魚釣りの道具を持ってないから、多摩川に釣りに行くことはできない。それで、「お姉ちゃんも釣り竿を持ってないから、魚釣りには行けないよ。」って言ったら、「わんぱく太郎に行こうよ!」って言い出した。「わんぱく太郎」ってのは、地元の「ねこたま」って言うアミューズメントパークの中にある釣り堀のことだ。それで、あたしは、「そっか!その手があったね!」って思いつつ、「そっか!その手があったね!」って答えた(笑)
あたしは、航平のお母さんのケータイに電話して、釣り堀に連れて行く許可をもらった。そして、魚釣りが好きなのに、実際にはほとんど魚釣りをしたことのないあたしは、思わぬ展開から、魚釣りに行くことになったのだ。「ねこたま」の中には、猫と遊べる「ねこたま」と、犬と遊べる「いぬたま」と、フェレットがいる「たまいたち」があって、釣り堀の「わんぱく太郎」は「たまいたち」と同じ場所にある。それで、マンションから歩いて5分もかからないんだけど、あたしは、ここ3年くらいは行ってなかった。なんか、地元にあって、いつでも行けると思うと、あんがい行かないもんだ。
‥‥そんなワケで、あたしは、3年くらい前までは、「わんぱく太郎」に時々息抜きに行ってたんだけど、最近は、その存在すら忘れかけてた。「わんぱく太郎」は、釣り堀って言っても、屋外だし、木のベンチに腰掛けてのんびりできるし、とにかく、エサが水面についた瞬間にお魚がパクッて飛びついて来るから、いくらでも釣れる。だから、釣りの上手な人には物足りないかも知れないけど、あたしとか、ちっちゃい子供とかには、すごく楽しめる釣り堀だ‥‥って言うのは、3年前のあたしの感想だ。
だけど、今日行ってみたら、なかなか釣れないのだ。エサが水面につくと、何匹かのコイとか金魚とかが集まって来るんだけど、エサを突っつくだけで、パクッとは食べてくれない。それで、エサが沈んで行って、今度はウキがピクピク動くんだけど、釣り竿を持ち上げると、エサだけが取れてるのだ。でも、航平は上手で、釣り始めて2〜3分で、20cmくらいのコイを釣り上げた。そのあとも、同じくらいの大きさのコイや、10cmくらいの金魚を釣り上げて、そのたびに、あたしに自慢する。結局、釣り始めてから10分で、航平は5匹、あたしは0匹‥‥。
じっとウキを見てると、右のほうからアブラゼミ、左のほうからミンミンゼミ、正面のほうからツクツクボウシの声が聞こえて来て、「ああ、色んなセミがいるんだな‥‥」なんてボーッとしてると、突然、ウキがピクピクッと動いて、あわてて釣り竿を持ち上げると、エサだけが無くなってる。それで、エサをつけて投げ込み、また、ボーッとウキを見る。この繰り返しだ。そして、こんなことを何十回も繰り返してたら、ピクピクッと動いたウキが、真横にスーッと消えて行った。それで、反射的に釣り竿を持ち上げたら、ブルブルとお魚の引きが伝わって来て、あたしは、「やったーっ!」って思った。だけど、何だかすごく大きなコイで、釣り竿はグングン引っぱられるし、右へ行ったり左へ行ったり逃げまわるし、無理に引いたら糸が切れちゃいそうな感じだった。それで、すごく慎重にやり取りをして、コイの動きが静かになった時に、「えいっ!」って引っぱった。そしたら、コイはあたしの足元に飛んで来て、手を押さえようとしたら、ものすごく大暴れしちゃって、なかなか捕まえることができなかった。
やっとのことでコイを捕まえて、ビクに入れたんだけど、大きさは35cm以上もある大物だった。多摩川だったら小さなコイだけど、この釣り堀だと最大サイズだ。それで、何とかコツが分かって来たあたしは、40分間で、4匹釣ることができた。この大物の他は、20cmくらいのコイを2匹と、10cmくらいの金魚を1匹だった。何で「40分」なのかって言うと、ホントは30分で500円なんだけど、空いてる時は、5分か10分、サービスしてくれるからだ。それで、あたしは4匹だったけど、航平は18匹も釣ってて、あたしの完敗だった。聞いたら、航平は、ふだんでも毎月1回は釣りに来てるし、夏休み中には何度も来てて、今日で6回目だって言ってた。それじゃあ、かなうワケがない。
結局、3年くらい前までよりもお客さんが増えて来たからなのか、夏休みで毎日子供たちが来てたからなのか、お魚たちが学習しちゃって、釣り針についたエサを見抜くようになったのかも知れない。だけど、前みたいにどんどん釣れるよりも、なかなか釣れないほうが面白いってことに気づいたのは、あたし的には大発見だった。じっとウキを見てると、ピクピクしてる時はお魚が突っついてるだけで、スーッと消えた時がエサをくわえた時だとか、ウキの動きでお魚の動きが少しだけ分かるようになった。ここはひとつ、チョコチョコと「わんぱく太郎」に通って、本格的にやってみようかな?‥‥なんて思ってたら、「お姉ちゃん、ガリガリ君は?」って言う航平の声がした。そう、あたしは、釣り勝負で負けたら、ガリガリ君をおごってあげるって約束してたのだ。
‥‥そんなワケで、帰り道を遠回りして、コンビニに寄ったら、「Wグレープ」って言う新しいガリガリ君が出てたので、それを2本買って、食べながら帰って来た。サスガに、1人でガリガリ君を食べながら駅前は歩けないけど、子供を連れてると恥ずかしくなくなる。こんな時、子供って便利なアイテムだ。あたしの年だと、小学生の子供がいてもおかしくないし、だいたいからして、航平のお母さんとあたしは、年がちょっとしか違わない。だから、航平から見ると、あたしは「ママと同年代」であって、完全に「オバサン」なのだ。だから、「お姉ちゃん」って呼ばせるために、今までずいぶんガリガリ君をおごってやった(笑)‥‥なんてことも言いつつ、31日の「釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪」を楽しみにしてる今日この頃なのだ。
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