次の一手
24日、映画監督の豊田利晃(36)が、覚醒剤所持の現行犯で、警視庁組織犯罪対策5課に逮捕された。豊田利晃は、1969年、大阪生まれ。小学生の時から高校卒業まで、将棋奨励会に所属していて、一時はプロ棋士を目指していた異色の映画監督だ。1991年、将棋の経験を生かして、阪本順治監督の映画「王手」の脚本を手がけたことがデビューのきっかけで、その後、同監督の「ビリケン」の脚本なども手がけながら経験を積み、1998年、映画「ポルノスター」で監督としてデビューした。ちなみに、この映画は、渋谷を舞台に、とてもカタギには見えない千原ジュニアが、次々にヤクザを刺し殺しまくると言う、「覚醒剤でもやってんじゃねえのか?」って感じの映画だ。
豊田利晃は、この映画で、その年の日本映画監督協会新人賞を受賞して、将来が約束された。そして、2001年の「アンチェイン」、2002年の「青い春」、2003年の「ナインソウルズ」と、一部のマニアにだけ支持されるようなタイプの映画を発表し続けるかたわら、ゲームソフト「鬼武者2」や「アミノサプリ」などのCMなどを手がけたりと、活動の幅を広げて行った。特に、ミュージシャンとのつながりは深く、豊田利晃の初期の作品から音楽を担当し続けている「dip」のヤマジカズヒデとは、仕事だけでなく、プライベートでも深い交流がある。
だから、あたしは、今回の豊田利晃の逮捕を知った時に、まずヤマジカズヒデがパクられて、そのイモヅルで豊田利晃がガサ入れを食らったんだと思った。そうじゃなければ、「アジアン・カンフー・ジェネレーション」のほうのスジかな?‥‥とか、とにかく、真っ先に想像したのは、ミュージシャン関係だった。でも、チョロっと裏を取ってみたら、とんでもないスジからの逮捕だってことが分かった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、今年の10月に、豊田利晃の監督作品、「空中庭園」が公開になる‥‥予定だった。今、この日記を書いてる時点では、公開中止になるんだか、公開延期になるんだか、それとも、シカトしてナニゴトも無かったかのように平然と公開しちゃうんだか分からないけど、「空中庭園」のオフィシャルホームページを見ても、何も告知されてないので、どうしようか考え中なんだろう。
で、あたしがチョロっと調べてみたところ、今回の逮捕は、「同じ時期に公開されるライバル映画の関係者によるリーク」ってことが分かった。もともと、豊田利晃本人には、覚醒剤の噂は無かった。ただ、豊田利晃と深く関わってる周りのミュージシャンたちの中に、そう言った噂のある人物が何人もいて、数年前から麻取(マトリ)のリストには名前が挙がってた。でも、リスト上のランクが一番下だったので、積極的には動いてなかった。
だけど、今回は、麻取じゃなくて、警視庁へのダイレクトのリークだった上に、ものすごく手の込んだやり方だった。なんと、ライバル映画の関係者は、豊田利晃を潰して「空中庭園」を公開中止に追い込むために、私立探偵を雇って、豊田利晃の身辺調査をしたのだ。そして、豊田利晃が覚醒剤を常用してるって事実を掴んだワケだけど、ここから先がスゴイのだ。
たとえば、せっかくガサ入れしても、覚醒剤をちょうど使い終わっちゃって所持してなかったり、持ってたとしても、0.1gとか0.2gとかの微量だったら、たいした罪にはならない。それで、リークする側は、罪ができるだけ重くなるように、ずっと探偵に尾行を続けさせて、豊田利晃が売人から覚醒剤を買ったことを確認してから、ソッコーで警視庁に通報したのだ。そうすれば、ガッツリと持ってるから、罪が重くなる。法律的には、0.1gでも2gでも変わらないんだけど、検察官や裁判官の心証は大きく違って来るので、判決が大きく違って来るのだ。
‥‥そんなワケで、24日のお昼すぎに、東京都狛江市和泉本町にある豊田利晃の「事務所を兼ねた自宅」に踏み込んだ警視庁組織犯罪対策5課の刑事は、本人に捜査令状を見せ、「覚醒剤を所持しているのなら、自分から出せ。出さなければ、これから室内の捜査を開始する。」と告げた。
そうしたところ、豊田利晃はカンネンしたのか、「分かりました。」と言って、ベッドの脇に置いてあった小型のバッグを差し出した。そして、このバッグの中から、5つのパケ(ビニールの小袋)に小分けされた粉末状の覚醒剤らしきものを発見し、その場で鑑定が行なわれ、覚醒剤であることが確認されたため、「覚醒剤所持」の現行犯で逮捕となった。押収量は、合計で約3.9gだった。
ちなみに、この事務所を兼ねた自宅は、以前は自宅として使ってたけど、1年ほど前に都内のマンションに引越したため、現在は事務所として使っていたそうだ。逮捕された時も、奥さんと2人の子供は都内のマンションのほうにいたので、子供たちは、お父さんが警察に逮捕される瞬間を見なくて済んだのだ。
さて、豊田利晃は、昨日の逮捕後の尿検査でも、陽性反応がシッカリと出たので、「覚醒剤使用」でも追起訴できるけど、組織犯罪対策5課としては、所持量が多かったことから、まずは入手ルートの解明を主軸にしつつ、麻取のリストに名前が挙がってるミュージシャンたちとのつながりでイモヅル逮捕に持ってくつもりなので、「覚醒剤使用」での追起訴は、拘留期限を延長するための手段として、9月9日まで取っておくだろう。そして、それまでの間に、地検に3回は呼ばれるから、地検との兼ね合いを見つつ、サクサクッと仲間を逮捕して行き、四谷署や愛宕署あたりに分散させてブチ込んでおくだろう。
‥‥そんなワケで、「アジアン・カンフー・ジェネレーション」のPVでは、その映像センスをイカンナク発揮した豊田利晃。今月の3日には、「新宿URGA」で、ヤマジカズヒデ率いる新バンド「Pharmacy」とのコラボ企画、「LIVE CINEMA」を大成功させた豊田利晃。そして、10月に公開予定だった最新作、「空中庭園」は、直木賞作家の角田光代が原作で、久しぶりのキョンキョンの主演と言うダブル話題作であり、4月からの半年にも及ぶマスコミ試写と言う、異例の宣伝活動をしていた豊田利晃。まさに、寝る時間も無いほどの忙しさで、覚醒剤でもやらなきゃ起きてられなかったのかも知れないけど、今回の逮捕劇での一番の被害者は、この映画に社運を賭けていた配給元の「アスミック・エース」だろう。とにかく、自分の人生の一手先も読めなかったくらいのアホなんだから、プロ棋士を目指すことを断念したのだけは正解だったと思う今日この頃なのだ(笑)
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