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2005.08.10

ぺぺロンチーノの憂鬱

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今、あたしが世話をしてる野良猫たちのうち、ハナコの避妊手術と、マイケルとマックスの去勢手術は済んでるんだけど、あとの子たちは、まだそのままだ。小林君は、今までに何度かチャレンジしたんだけど、ケージに入れようとすると大暴れして逃げちゃって、それからしばらくは寄りつかなくなる。最初の時、あたしは、鎖骨の上を思いっきり引っ掻かれて、大流血した上に化膿しちゃって、すごく大変だった。車の助手席にケージを置いといて、ゴハンを食べ終わった小林君を抱き上げて、そっと助手席のほうに行くんだけど、小林君は何度もやられてるから、雰囲気で気づいちゃって、あたしの胸のとこで突然、大暴れをして、そのまま逃走しちゃう。

だから、小林君はアト回しにして、先に、ジジとぺぺロンチーノの去勢手術と、カルボナーラの避妊手術をしようと思ってる‥‥とは言っても、お金の問題が、何よりも大変なのだ。オスの場合は、手術自体も簡単だし、1泊の入院で済むから、それほどでもないんだけど、メスの場合は、手術も大変だし、抜糸まで1週間は入院が必要なので、オスの倍以上になる。お部屋で飼ってる猫なら、エリザベスカラーって言うパラボラアンテナみたいな、エリマキトカゲみたいなのを首につけて、首を曲げても傷を舐められないようにすれば、3日目か4日目に一時帰宅して、抜糸の日に連れてくってこともできるし、そうすれば、ちょっとは安くなる。だけど、野良猫だから、それはできない。

ちなみに、あたしがお世話になってる動物病院は、オスが1万4000円、メスが1週間の入院を入れて3万円だ。だけど、たいていの区とか市とかでは、保健所に申請すると、助成金を出してくれる。あたしの住んでる世田谷区の場合は、メスの避妊手術に6000円、オスの去勢手術に3000円出してくれる。その他に、世田谷獣医師会からの助成金もあって、これは、メスに2000円、オスに1000円出してくれる。だから、合計で、メスは8000円、オスは4000円ほど補助してもらえる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、500円玉を貯めてた「猫貯金」が、そろそろ1万円になるので、ジジかぺぺロンチーノのどっちかの去勢手術をしようと思って、しばらく前から秘密裏に行動してた‥‥って言っても、保健所と獣医師会に助成金の申請書を出すだけなんだけど、だいたい1週間くらいかかるから、早めにやっとかないと間に合わなくなっちゃうのだ。それで、昨日、両方の助成金が出たので、今日、ぺぺロンチーノを病院に連れてった。ジジは、動物の本能で危険を察したのか、ゴハンの時間になっても現われなかったから、今回は、ぺぺってことになっちゃった。

ぺぺは、前回の病気の時に、車に乗るのは慣れたはずだから、猫用のキャリーバッグでもOKだと思ったんだけど、今回は病気ってワケじゃないから、少し自由のきくケージに入れて行った。とにかく、ぺペは、車に乗るのを恐がらないので、運転がすごくラクだ。車に乗り慣れてない猫は、車が動き出すと、ケージやバッグの中で大暴れしたり、「ア゛〜〜〜ウ゛〜〜〜」って変な声で鳴き出したり、恐怖でオシッコを漏らしちゃったりする。だから、誰かが付き添っててくれれば何とかなるんだけど、1人で猫の様子を見ながら運転するのは、なかなか大変なのだ。

病院に着くと、ぺぺは、覚悟を決めたのか、それとも、ノンキなのか、ぜんぜん恐がる様子もなく、先生にゴロゴロとノドを鳴らし出した。もしかすると、前回、自分を助けてくれた先生のことをちゃんと覚えてたのかも知れない。あたしは、自分も病院に行く日だったので、先生と診療助手のお姉さんにヨロシクお願いして、ぺぺをギュッと抱いてから、病院をあとにした。

動物病院から、あたしの病院までは、ケッコー距離があって、道路が空いてても45分くらいかかるのに、今日はそれなりに混んでた上に、裏道に入れば工事、裏道に入れば工事って具合で、ハレホレ状態になっちゃった。結局、病院の駐車場に車を入れた時には、1時間半も経ってて、予約時間には間に合わなかった。だけど、どうせ予約時間に着いたって、30分や1時間はアタリマエみたいに待たされるんだから、あんまり関係無いけど。

自分の病院が終わったあたしは、一度、お部屋に帰って来て、少しお昼寝して、夕方からのお仕事に行った。お仕事に行く前に、動物病院に電話をして、ぺぺの様子を聞いたら、「手術が終わって、今はぐっすり寝てますよ」とのことで、ホッとひと安心。で、お仕事が終わって帰って来たら、もう深夜の1時だったので、ちょっと仮眠して、明け方に起きて、今、この日記を書いてるってワケだ。

‥‥そんなワケで、野良猫の避妊や去勢については、色んな意見がある。もともと猫が嫌いで、野良猫を見るたびにイライラしてるような人たちなら、少しでも野良猫を減らして欲しいと思ってるだろうから、野良猫の避妊や去勢には賛成してるだろう。でも、そう言った、極右や極左みたいに偏った人たちの意見てのは、たいていが自分のことしか考えていない。野良猫の避妊や去勢にしたって、「野良猫のため」じゃなくて、「自分のため」に賛成してるだけなのだ。

たとえば、猫嫌いを右翼、猫好きを左翼として考えた場合、極右ってのは、野良猫を殺すような人たちで、極左ってのは、近隣の住人の迷惑など考えずに、避妊や去勢もせずに、無責任に野良猫にゴハンをあげ続けてるような人たちだ。これらは、どっちも、「野良猫のため」じゃなくて、「自分のため」に行動してる人たちだ。

こう言う偏った人たち、自分のことしか考えられない人たちのことは置いといて、マトモな人たちの間でも、あたしみたいに猫が好きな左寄りの人たちの間でも、野良猫の避妊や去勢については、賛否両論がある。だけど、ひとつだけ言えることは、避妊や去勢に賛成してる人たちだって、心から望んで賛成してるんじゃなくて、仕方なく賛成してるってことだ。都会の野良猫たちが、人間と共存して行くために、これ以上、可愛そうな猫たちを増やさないために、すごくつらいけど、仕方なく避妊や去勢に賛成してるのだ。

あたしは、野良猫をワナで捕まえて、片っ端から強制的に避妊や去勢手術をすることが、決して正しいことだとは思っていない。もちろん、それは、倫理的な観点からの考えとしてだ。だけど、現実問題としては、毎年、35万匹以上の野良猫が、あたしたちの税金を使って、保健所に殺されてるのだ。これは、別に、保健所に対して抗議をしてるんじゃなくて、そうしなければならない現状を伝えているだけだ。もしも、保健所が、野良猫の処分をしなかったら、街中は野良猫だらけになり、色んな問題が起こってしまうし、現実に色んな問題が起こってるから、保健所は野良猫狩りをしてるワケだ。

中には、「猫だってバカじゃないから、自然に任せておいても、自分たちの数は自分たちで調整して、増えすぎないようにするだろう」なんて言う理想論をノタマウ人もいるけど、これは、あまりにも現実を知らなさすぎる。こう言う意見を聞くと、昔、ニポンのマイナーなパンクバンドの曲で、「革靴はいたベジタリアン」て歌があったのを思い出す。動物愛護を訴えて、野菜しか食べない人の足元を見たら、革靴を履いてたって内容の歌で、インターネットの世界に氾濫してるエセ評論家たちや口先番長たちは、みんな、「革靴はいたベジタリアン」と言えるだろう。

‥‥そんなワケで、あたしが、自分の気持ちに逆らってまで、世話してる猫たちの避妊や去勢をしてるのは、ただ単に、かわいそうな猫たちを増やしたくないからだけじゃくて、この子たちを病気から守るためだ。今、野良猫たちが直面してる一番の問題は、猫エイズや猫白血病などの不治の病だ。調査機関によって様々な数字が出てるけど、一説には、猫エイズや猫白血病に感染してる野良猫は、全体の7割以上とも言われてる。

あたしがずっと前に飼ってた猫は、春の恋愛のシーズンに、外に出て野良猫と接触したことによって、猫白血病に感染した。そして、そんなことも知らずに、ナニゴトも無く暮らしてたら、1年以上も経ってから、突然、発病した。急に具合の悪くなった猫をすぐに病院に連れて行ったら、「猫白血病」だと言われ、現在では特効薬は無いと言われ、有効だと思われる治療法をすべて尽くしてくれたけど、日ごとに衰弱して行った。最後には、目も見えなくなり、鳴くこともできなくなり、ただ横になってるだけだったのに、あたしが声をかけると、シッポの先だけで返事をしてくれた。そして、発病からたった5日目に、眠るように息をひきとった。

あたしは、その場に泣き崩れて、泣いて泣いて泣きすぎて、具合が悪くなって倒れてしまった。それから2週間、すべてのお仕事をキャンセルして、誰にも会わずに、ずっとお部屋で泣き続けてた。ずっと泣き続けてるのに、どうしてこんなに涙が出るんだろうって思った。「涙が枯れる」なんて言葉は、嘘だと思った。そして、こんな思いは二度としたくないから、生涯、猫は飼わないと心に決めた。

‥‥そんなワケで、あたしは、あたしの大切な子供たちを猫エイズや猫白血病から守るために、避妊や去勢手術をしてる。猫同士のケンカとかで感染するケースもあるけど、そのほとんどは、交尾によるものと母子感染だから、これを避けるためには、手術をするしかないのだ。もちろん、できることなら、こんなかわいそうなことをしなくても、猫たちが幸せに暮らせる世の中になるのが理想だけど、国民のことよりも選挙のことしか考えてない政治家ばかりのこの国では、猫どころか、人間が幸せに暮らせるようになれるのも、いつになるのか分からない今日この頃なのだ‥‥。

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