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2005.08.20

恭子の頃

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深田恭子ちゃんが大好きなあたしとしては、深田恭子ちゃんが出てるなら、つまらなそうなドラマでも、たまに見たりする。でも、ちょっと前にやってた、テレビ朝日の「富豪刑事」は、一度も見れないまま終わっちゃった。で、今やってるTBSの「幸せになりたい!」は、何とか見ようと思って、録画をしてた。だけど、最初の第1話と、第3話か第4話のどっちかは録画できたんだけど、それ以外は録画もできなかったし、もちろん、放送を見る時間もなかった。

それで、ゆうべの放送をやっと見ることができたんだけど、サスガに、もう第6話だったから、ストーリーが‥‥って言うか、それぞれの出演者の立場とか状況とか関係とかが、まったく分からなかった。でも、あたしの場合は、ストーリーが分からなくても、可愛い深田恭子ちゃんが見られればそれでいいんだけど、今回のドラマは、なんだか変な服装で、ちっとも可愛くない。ジャスコの衣料品売り場で売ってそうな、アンガールズの大きいほうが着てそうなシャツを着てて、テレビ局のアシスタントプロデューサーの役だってのに、ぜんぜんオシャレじゃない。

それで、録画してあった第1話を見てみることにしたんだけど、そしたら、深田恭子ちゃんは女子高生って設定で、イキナリ、セーラー服で登場しちゃって、いくらなんでも、ちょっと無理がありすぎだった。「ビーバップハイスクール」で、フットボールアワーの変な顔のほうの人が高校生の役をやってるのに比べたら、多少はマシだけど、もう22才なのに、女子高生役は無いだろうって思った恭子‥‥じゃなくて、今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?(笑)


‥‥そんなワケで、あたしは、「幸せになりたい!」の第1話を見て、やっと理解できた。深田恭子ちゃんは、ものすごい貧乏な家の子で、お父さんがヤバイとこから借金したまま死んじゃって、お母さんは病気で、弟が2人いて、高校にも通えなくなり、それで、学校を辞めて、お父さんの残した借金を返済するためと、お母さんの入院費を作るためと、弟たちを食べさせるために、働くことになったのだ。だから、とてもオシャレなんかできる状況じゃなくて、変なファッションをしてたのだ。やっぱりドラマって、たいていは第1話で色んな説明をするから、とにかく第1話を見なかったら、何にも分かんないよね。

それで、同じVに、もう1話録画してあったので、それも続けて見てみたら、何とかストーリーが見えて来た。だけど、たった3話ぶんを見ただけなんだけど、細かい部分に、首を傾げるようなことが色々と出て来て、「ずいぶんいい加減に作られてるドラマだな〜」って感じた。

たとえば、これを言っちゃったら、このドラマの根本否定になっちゃうんだけど、お父さんが借金をして亡くなったのなら、家庭裁判所に「相続放棄」の手続きをすれば、遺族は1円も払う義務は無くなる。これは、該当者が亡くなった日から、3ヶ月以内に手続きをすればOKだ。だから、サラ金やヤミ金は、お金を貸してた相手の死亡を知った場合には、普通は、わざと3ヶ月間は遺族には請求しない。つまり、遺族に「相続放棄」の手続きをされないように、故人に借金があったことは知らせないのだ。そして、3ヶ月が過ぎてから、初めて、おっかない人たちが取り立てに行くのだ。

だけど、このドラマでは、自宅にも、お父さんのお葬式の場にも、ヤクザとチンピラの2人組の借金取りが来る。そして、お父さんと交わした借用書を深田恭子ちゃんに見せて、お香典をみんな持ってっちゃう。だから、お父さんが亡くなった時点で、借金があったことは分かってるワケだ。つまり、家裁で手続きできる時間は、タップリと3ヶ月間もあるのだ。それで、このお葬式の場には、先輩役の谷原章介がいて、一部始終を見てるワケだし、それから色々とあって、深田恭子ちゃんは、谷原章介の働くテレビ局へ行き、最終的にはドラマ班のプロデューサー役の松下由樹の下でアシスタントプロデューサーとして働くことになるんだけど、松下由樹も、深田恭子ちゃんの事情をすべて知ってる。

それなのに、谷原章介も松下由樹も、深田恭子ちゃんの事情を知りながら、借金返済のためのお仕事の世話はするけど、「相続放棄」のような、法律的なアドバイスはいっさいしない。仮に、「相続放棄」を知らなかったとしても、まずは法律的に何か助ける手段はないかって考えるのが普通だし、インターネットで調べれば、「相続放棄」って手段があることは、すぐに分かるはずだ。

だから、もしかしたら、あたしの見てない第2話とかに、この矛盾に対するフォローがあったのかも知れない。たとえば、誰かから「相続放棄」って方法があることを教えられたのにも関わらず、深田恭子ちゃんは、「あたしはそんなことはしたくありません!お父さんの借りたものは、あたしがちゃんと返します!」なんてシーンがあったのかも知れない。そしたら、あたしの言ってることはアホみたいになっちゃうけど、でも、それにしたって、17才(って設定)の女の子が、突然、何百万円もの借金の肩代わりをさせられて、法律的にそれを回避する手段があるのにも関わらず、あえて「私が返します!」なんてのも、ソートー無理のある話だ。

‥‥そんなワケで、根本否定はこれくらいにして、あとは細かい部分なんだけど、深田恭子ちゃんの家は、お父さんが借金を残して亡くなったから貧乏になったんじゃなくて、もともと貧乏だって設定だ。お父さんは、家族を残して蒸発しちゃってて、体の弱いお母さんのわずかなパート代だけで生活してた。川沿いにある崩れそうな狭い家で、築40〜50年って感じだ。破れたフスマにはシールとかが貼ってあって、丸くてボロボロのちゃぶ台は、星一徹がひっくり返したら、一発でバラバラになっちゃうような古さだ。

そして、深田恭子ちゃんは、3匹のメザシを焼き、お母さんと弟2人に1匹ずつ出して、自分はガマンする。それを見た上の弟が、「姉ちゃん、オレのを食べなよ。」って言うと、深田恭子ちゃんは、「あたしはいいの。タケシが食べな。」なんて言う。すると、弟は、「だって姉ちゃん、昨日も食べてないじゃん‥‥」って言う。その弟の言葉に、深田恭子ちゃんは、黙って微笑みながら、弟の頭を撫でてあげる。

他にも、お母さんが入院して、お米も無くなり、お金も無くなった時に、夜、下の弟が、お腹が空いたとダダをこねるシーンがある。困り果てた深田恭子ちゃんが、あちこち探すと、お父さんのお葬式の時の葬式まんじゅうが1個見つかる。そして、「これを食べな。」って言って、弟に渡す。弟の顔はパッと明るくなり、おまんじゅうにかぶりつきそうになるんだけど、そこで一瞬のマがあって、おまんじゅうを2つに割り、半分を深田恭子ちゃんに差し出す。何日も食べてなかった深田恭子ちゃんは、涙をこらえながら、「美味しいね‥‥美味しいね‥‥」って言いながら、2人で食べる‥‥って、ここまででも十分にキテるのに、さらに、フスマの向こうでは、上の弟が、空腹をこらえながら布団にもぐってて、2人の会話を聞いて、「あ、お姉ちゃんが食べてくれた」って思って、嬉しそうな顔をするって言う、トドメの一発までが繰り出される。

あたしの文章じゃ、あんまり伝わらないと思うし、この流れだけ読むと、アホみたいな感じもするかも知れないけど、何しろ、深田恭子ちゃんの演技力は天才的だから、恥ずかしながら、あたしは、このシーンで泣いた。何だか、自分の一番苦しかった時のこととかがオーバーラップしちゃったのと、深田恭子ちゃんがいじらしいのとで、涙が止まらなくなった。

それなのに、嗚呼それなのに、それなのに‥‥って、久しぶりに五七五調で嘆いちゃうけど、これほど貧乏で、これほど苦しい生活をしてるって言う設定なのに、上の弟が、ナナナナナント! 「デブ」なのだ! ドラマやマンガに出て来る貧乏な家の子にアリガチな、白いランニングシャツの汚れたのを着てて、いかにも「貧乏です」ってカッコをしてるのに、ポチャポチャと太ってて、ホッペなんかパンパンで、ぜんぜん貧乏に見えない。お腹が空いてる演技をしてても、「貧乏で食べ物がなくて、お腹が空いてる」って言うよりも、「何でもガツガツと食べるデブが、さっき食べたばかりなのに、またお腹が空いたってワガママを言ってる」ってふうにしか見えないのだ。

‥‥そんなワケで、色んな矛盾を乗り越えて、松下由樹の下で働くことになった深田恭子ちゃんは、ある日、松下由樹が担当するドラマの原作を決めるために、同じ作家の本を図書館に借りに行く。そして、山のように本を抱えて、松下由樹のマンションにやって来る。実際の現場なら、すべての本を書店で買って、領収書を制作に回すだけの話なんだけど、お金の掛からない「図書館で借りて来た」ってことで、「貧乏なのに一生懸命な女の子」ってのを表現したかったんだと思う。

だけど、いつも図書館を利用してるあたしから見たら、20冊以上もの本を「図書館で借りて来た」ってのは、あまりにも無理がある。図書館てのは、何冊でも借りられるワケじゃなくて、地域によって多少の違いはあると思うけど、あたしが利用してる世田谷区の図書館の場合なら、一度に借りられるのは5冊までだ。そして、世田谷区の中には15の図書館があるけど、すべて図書カードが共通してるので、あっちで5冊借りて、こっちでも5冊借りるってことはできない。つまり、今、借りてる5冊を返さない限り、次の5冊は借りられないのだ。

だから、20冊の本を借りるためには、管轄の違う4つ区で図書カードを作り、4つの区の図書館を回らなくちゃならない。だけど、図書カードを作るためには、その区の住民であることを証明するものが必要だから、実際にはこんなことはできないし、誰かから図書カードを借りたとしたって、所持金がほとんど無い深田恭子ちゃんが、バスや電車を使わずに4つの区の図書館を回ることなんてできない。

‥‥そんなワケで、このネタだけで、良くもここまで引っぱれたなって自分でも感心しちゃうけど、このドラマを見たオカゲで、図書館から借りたままになってた本のことを思い出したあたしは、とっくに読み終わってた本に挟んであるレシートみたいなのを見てみたら、なんと、返却日が今日だった! そして、あと数分で、日付けが変わっちゃう。もちろん、夜中だから図書館は閉まってるし、多少オーバーしても謝れば大丈夫だし、あたしが借りてたのは、他に誰も借りないような「森鴎外全集」なんだけど、自分の気持ちとして、どうしても今日中に返したかったので、ネグリジェの上にジャージを着て、真夜中にスクーターに乗って、図書館の夜間返却ポストまで返しに行って来た今日この頃なのだ(笑)

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