リバーサイドストーリー(前編)
今日は、朝早くからのお仕事で、お昼過ぎに帰って来た。それで、ずいぶん涼しくなって来たので、久しぶりに多摩川へ行ってみることにした。梅干のおにぎりを2個作って、ペットボトルにお茶を入れて、懸賞で当たった双眼鏡を持って、自転車で出かけた。家から多摩川までは、のんびり歩いて3分、急いで歩いて1分、自転車で30秒、うさぎ跳びで5分、ホフク前進で10分って感じなんだけど、ちょうど駅前なので、人が多くて落ち着かない。だから、多摩川の土手沿いのサイクリングコースを上流へ向かった。
気持ちいい川風を感じながら、10分ほど自転車で走って行くと、あたしがいつもバードウォッチングをするポイントがある。多摩川の本流は、それなりに流れが速いんだけど、手前のほうに細い支流があって、すごく流れがゆるやかになってる。そして、水深も浅いので、色んな鳥たちが水浴びにやって来る。あたしは、水浴びをしてる鳥を見るのが大好きなので、この場所に良く来る。特別な鳥じゃなくて、どこでも見かけるスズメでも、水浴びしてる姿は、ホントに可愛い。
多摩川って、1本の太い川じゃなくて、途中で2本とか3本とかに分かれて、また1本に戻ったりしてるし、数え切れないほどの支流もある。だけど、本来なら、本流から分かれた支流はどんどん伸びてくはずなんだけど、多摩川は東京と神奈川の境を流れてる川なので、都市部は行政によって両岸を護岸されちゃってて、支流は伸びてくことができない。だから、本流から分かれた支流が、本流に沿って流れて行き、また本流に戻る。そして、場所によっては、その支流の途中が小さな池になったりしてて、そう言う場所に、色んなお魚が集まって来て、鳥たちも集まって来て、小さな社会ができあがる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、人間の社会では、偏った教育によって完全に洗脳され、自分の意思で判断することを放棄してしまった有象無象が、狂った欲望に駆られた独裁者を祀り上げ、破滅への道をつき進んでいるけど、自然界には、「自然の摂理」って言う絶対的な力が働いているから、矛盾や不条理を生み出すバカもいなければ、それによって、マトモな者がイライラさせられることもない。善も悪も無く、すべては平安だ。だいたい、「善と悪」って言う観念自体が、すべてを自分たちの都合だけで考えてる人間が創り出した幻想であって、本来、この宇宙には、そんな観念は無い。ミミズを食べる魚がいたら、ミミズは善で魚は悪なのか。魚を食べる鳥がいたら、魚は善で鳥は悪なのか。鳥を食べるキツネがいたら、鳥は善でキツネは悪なのか。そんなワケはない。逆に、人間が創り出したこの「善と悪」って言う幻想にあてはめて考えたら、人間こそが、地球上で唯一の「悪」ってことになる。
なんて難しい話はやめといて、この辺りの河原は、洪水対策のために、3段階になってる。まず、川の周りに普通の河原があって、その脇がテトラポッドやブロックなどで護岸されてて、そこからコンクリートブロックの斜面が、2段目の河原へと上って行く。2段目の河原は、場所によっては、子供たちが遊べるように整地してあったり、ベンチが設置してあったり、自然散策路が作られてたりして、すごく良く管理されてる。そして、そのスペースの脇に最後の土手が作られてて、その上がサイクリングロードになってる。正確には、「河原」ってのは川の両岸の砂利とか石とかの部分だけで、2段目や3段目の部分は「河原」とは呼ばないと思うんだけど、だからって、何て呼ぶのか分かんないので、ここでは一応、オール「河原」ってことでご容赦してちゃぶだい‥‥で、多摩川は、この3段階の河原のオカゲで、洪水があっても大丈夫だ。多少の洪水があっても、2段目のとこまでで何とかなるし、ものすごい洪水になっても、3段目の土手で堰き止められる‥‥ハズだ。
今から30年以上前の1974年の9月1日に、その年の台風16号の影響で多摩川が決壊して、狛江市の19戸の民家が濁流に流された災害があった。これは、「浅間山荘事件」と同じように、テレビで生中継されて、民家が流れて行くところなどが映し出されて、多くの人たちがテレビにクギヅケになったそうだ。そして、後に「岸辺のアルバム」って言うドラマのネタにも使われたので、覚えてる人や知ってる人も多いだろう。あたしは、すでに生まれてたけど、まだベイベーだったので、リアルタイムの記憶は無い。だけど、母さんが良く話してくれたので、何となくテレビで見たような記憶が残ってる。これは、今になって考えると、たぶん、母さんから繰り返し繰り返し聞かされたせいで、自分もテレビを見てたような錯覚を脳に刷り込まれたナントカ効果で、「郵政民営化」を繰り返して国民を洗脳したコイズミと同じ‥‥って、もう、これはやめとこう(笑)
で、この洪水があった時は、今と違って、ちゃんとニポンのことを考えてくれてた田中角栄が総理大臣だったから、すぐに多摩川の整備に特別予算を割り当ててくれて、すぐに工事に着手してくれた。そのオカゲで、同じワダチを踏むことは無くなった。だけど、その後、ジャニーズの新人タレントに性的なイタズラをするのが趣味の変態総理、中曽根が出て来てからは、全国の河川で、必要の無い工事が次々と計画され、天下りした元官僚のいる土建会社が談合しながら、取り返しのつかない自然破壊を続けて来た‥‥って、もう、これもやめとこう(笑)
‥‥そんなワケで、薄汚い人間社会から離れて、美しい自然界を見回すと、多摩川の河原にはススキが広がってて、やわらかい風に波打っていた。自転車を停めて、のんびりと歩いて行くと、ところどころに黄色い可愛らしいお花が咲いていて、近づいて見てみたら、キクイモの花だった。猫が怒った時のシッポに似てるチカラシバの穂は、秋の日差しを浴びて、淡いムラサキ色に見えた。あちこちにトンボが飛んでて、合体しながら飛んでるエッチトンボもいた。あたしは、エッチトンボを見るたびに、「ああ、自然界は平和だなぁ〜」って思う。だって、空を飛びながらセックスする生き物なんて、他にいないでしょ?
そして、平和を感じたあたしは、河原の2段目の場所の端っこに行って、草葉のカゲ‥‥じゃなくて、草のカゲから、1段目の河原や支流にやって来る鳥たちを見下ろす感じで観察した。鳥って、すごく警戒心が強いんだけど、多摩川にやって来る鳥たちは、あんがいノンキで、こっちがよほど大きな声を出したり、河原をバイクで爆走したり、酔っぱらってコンクリートブロックを転がり落ちたりしない限り、飛んで逃げたりしない。だから、わざわざ草のカゲに身を隠す必要はないんだけど、ずっと立ってると疲れるのでしゃがむ、しゃがむと草のカゲに隠れちゃう‥‥ってワケだ。あとは、何かのモノカゲに隠れて双眼鏡を覗いてると、何だか悪いことをしてるみたいで、ワクワクドキドキして来るってのもあるけど(笑)
それで、しばらく、アオサギやカルガモなんかのいつもの常連さんたちを見てたら、あたしの大好きなアジサシが飛んで来た。そして、すぐに着地しないで、支流の上を行ったり来たりしてる。それで、だんだん低空飛行になって来て、最後には、水面に小石を投げてピョンピョン跳ばす水切りみたいに、水面をチチチチチチッて感じで滑走した。5mくらい滑走すると、またそのまま飛び立ち、上空をクルッと回って戻って来て、同じことを繰り返す。あたしは、きっとお魚を獲ってるんだと思って、双眼鏡でアジサシを追い続けた。飛ぶのが早いから、双眼鏡で追い続けるのは大変だったけど、お魚を狙ってるポイントが決まってたので、見失ったら、すぐに水面に双眼鏡を向ければ、また視野に戻って来た。そして、また水面を滑走して、飛び上がる時に、キラッて光る小魚を足にぶらさげてるのを確認できた。アジサシは、そのまま本流のほうへ飛んで行って、すごく離れた場所で食べてたみたいだった。
‥‥そんなワケで、アジサシもゴハンを食べてるんだから、あたしも食べようって思って、ベンチに座って、ちょっと遅いランチにした。外で食べると、梅干のおにぎりでも、タラコのおにぎりと同じくらい美味しく感じるから不思議だ。で、食べ終わってから、まだ3時前だったので、もっとバードウォッチングをしようと思って、さっきとは違う場所に行くことにした。それで、あたしは、自転車を引きながら少し上流に向かって行ったんだけど、まったく予想もしてなかったことが起こっちゃって、バードウォッチングどころじゃないスゴイ経験をすることになった。だから、ホントは、ここから先がメインの日記なんだけど、ここまでがあまりにも長過ぎちゃったので、明日に続く!‥‥なんて思う今日この頃なのだ。
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