さよならタクマ
来シーズンから、バリチェロがファーストドライバーとしてシートに座るBARホンダだけど、もう1人のオマケドライバーって言うか、パシリドライバーって言うか、セカンドドライバーがなかなか決まらなくて‥‥って言うか、水面下では決まってたんだろうけど、なかなか公式発表されなくて、バトンファン、タクマファン、BARホンダファンなど、それぞれがそれぞれの立場で、ヒキコモゴモの思いを巡らせながら、正式発表されるって言われてる「21日」を待ってると思うけど、こう言うニュースってのは、何日か前には流出しちゃうもんで、すでに複数の海外メディアでは、19日付けで発表されちゃった。
1紙だけの発表なら、ガセってこともアリエールだけど、イギリスで一番信頼できるモータースポーツ専門誌の「オートスポーツ」のインターネット版をはじめ、イギリスのNHKとも言えるBBC放送、ロイター通信、ITV局など、複数の信頼できるメディアが、いっせいに報じたんだから、間違い無いだろう。そして、その内容ってのは、「2006年もジェンソン・バトンがBARホンダに留まることを保証された」って言う、あたし的にはグッドニュース、タクマファンにとってはバッドニュースだった。
もうちょっと詳しく言うと、BARホンダが、ウィリアムズへ2000万ポンド(約40億円)を払って、バトンの移籍契約をチャラにしてもらったって内容なんだけど、BARホンダもウィリアムズも、まだ正式発表はしてなくて、このニュースを報道した各紙、各局は、そろって、「契約は16日に済んでいるが、両チームからの正式発表は21日である」って伝えてる。とにかく、あたし的にはバンバンバカンス‥‥じゃなくて、バンバンビガロ‥‥じゃなくて、バンバンジー‥‥じゃなくて、バンバンザイな結果になって、ホントに良かった。これで、カートよりも遅くなっちゃう来シーズンのF1も、「タクマ!タクマ!」の雑音無しで観戦できるから、ちょっとは楽しめるだろう‥‥なんて思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、F1の開催国でありながら、自国のマシンや選手が参加していながら、その自国の選手の進退問題に関わる大ニュースでありながら、まったく報道しないニポンのマスコミ。まったくって言うか、どっかでちょっとは報道したんだろうけど、少なくとも、テレビではぜんぜん報道しなかった。まあ、ニポンはモータースポーツに関する扱いが低すぎる後進国だから仕方ないけど、こんな大ニュースを無視して、「料亭に行ける!」「グリーン車に乗り放題!」「2500万円ももらえる!」ってハシャギまくってるオツムの弱そうな兄ちゃんだとか、ピンクのスーツを着たオッサンみたいなオバサンだとか、ワケの分かんない奇人変人なんかを何度も何度も取り上げるんなら、ちょこっとでいいからマトモなニュースも放送して欲しい。
たとえば、先週のベルギーGPで、タクマがシューマッハ兄にツッコミを入れてリタイヤさせちゃった問題なんか、海外メディアでは、ものすごい舌戦が繰り広げられてて、すべてを報道して行けば絶対に面白いはずだ。後ろからツッコミを入れたタクマに対しては、すでに次のブラジルGPでの「10グリッド降格」のペナルティが発表されてるんだから、悪いのはタクマで、シューマッハ兄は被害者って結論が出てる。だけど、それだけで終わらないのが、モータースポーツに対して熱い国の人たちだ。
今回は、何と言っても、どう考えてもタクマが悪いのにも関わらず、レース後のインタビューで、タクマったら、「シューマッハのブレーキングが早すぎたのが事故の原因だ」なんて言っちゃったもんだから、シューマッハのファンのみならず、多くの敵を作ることになった。それに対して、怒りのおさまらないシューマッハは、自国ドイツのテレビ取材に対して、「タクマには今まで何度もこう言ったハラキリ行為(自殺行為)を受けてるけど、今回も彼のハラキリ行為のオカゲで、僕の大切なレースがパーになったよ!彼には以前にも話をしたんだけど、まったく分かってない!話しても分からない彼のような人間には、もはや治療法など無いんだろうね!彼のような人間のせいでマトモに走っていた僕がレースを終えなきゃならないなんて、あまりにもバカげてるよ!」と、頭から湯気を立てながら吐き捨てるように語った。
だけど、いくらタクマが悪いって言っても、事故後すぐにタクマのマシンに近づき、顔を近づけて文句を言ったあと、タクマのヘルメットを軽く叩いたシューマッハの行動は、全世界へ配信されちゃったから、紳士のスポーツであるF1的には、あまりホメられたものでもなかった。それで、世界的なF1サイト、「プラネットF1」では、「事故の原因はタクマ」だとした上で、事故後のシューマッハの行動に対しては、「これがシューマッハの好きなサツカーの試合だったら、すぐにレッドカードで退場処分である」って書いて、シューマッハを非難した。
この記事に腹を立てたのが、フェラーリチームのジャン・トッド監督だ。「シューマッハにとって、今回のコースも、今回のウエットコンディションも、両方とも得意なもので、彼にとっては大きなチャンスとなるレースだった。それをタクマによってブチ壊しにされたんだから、彼の怒りは当然だよ」と、シューマッハの行動を擁護した。そりゃあ、監督が自分のチームのドライバーを擁護するのは当たり前のことだけど、今回の場合は、タクマの態度に問題がありすぎた。タクマは、表向きには素直に謝ってるんだけど、あちこちのメディアに不満をこぼしててるのだ。
たとえば、イギリスのモータースポーツ専門サイト、「クラッシュネット」に対しては、タクマは、「シューマッハに対しては非常に申し訳なく思う」と謝罪の言葉を述べながらも、「目の前はシューマッハ、左はジョーダン、右はピットウォールで、僕は四方を囲まれた状態で逃げ場が無かった。そんな状態でシューマッハが早すぎるブレーキングをしたもんだから、僕は慌ててブレーキを踏んだけど、タイヤがロックして突っ込んじゃったんだよ」って、まるでシューマッハが悪いような言い方をしてる。こう言ったことって、少しのニュアンスでも表現のイメージが変わるから、たとえば、タクマとシューマッハが直接に話し合えば、変な誤解は生まれなかったかも知れない。だけど、長いインタビューの中の話を部分的に使われれば、正しく伝わらないこともある。
その上、大ゲサな書き方でオナジミの「クラッシュネット」だから、タクマの伝えたかった通りには書かれてないだろう。だけど、フェラーリサイドの人間たちは、その記事を読み、そのまま理解するのが世の中のツネってもんだ。そして、この記事の中のタクマのセリフに怒ったのが、フェラーリのお膝元のイタリアのスポーツ新聞、「トゥット・スポルト」紙だ。このスポーツ紙では、「タクマにムカツイたシューマッハ」って見出しで、これ以上のひどい書き方は無いってくらいの文章で、タクマのことをボロクソにコキ下ろした。
「せっかくのレースが、14周目のタクマの呆れ返る行為のせいで、最悪の結果になってしまった。タクマの行為は、サーキットから追放されても当然のひどい行為だった。なんと、タクマは、元ワールドチャンプであるフェラーリのシューマッハに対して、一度ならず二度までもマシンをぶつけてリタイヤさせたのだ。これが戦争中なら、タクマは軍法会議にかけられ、間違いなくギロチン刑になり、首を斬り落とされているだろう。タクマの有罪は誰の目にも明らかであり、当然の結果として、タクマは次のブラジルGPで10グリッド降格のペナルティを科せられた」と、激しくタクマを非難した上で、「タクマは、今シーズンの残り3レースを走ったら、あとは『元F1ドライバー』と呼ばれることになるだろう」ってトドメを刺してる。
‥‥そんなワケで、このトゥット・スポルト紙の最後のトドメの言葉が、現実になっちゃったワケだけど、タクマには、F1のシートを失ったあと、一応、2つの道がある。1つは、このままBARホンダに残り、テストドライバーを務める道、そしてもう1つは、新しく始まる「A1グランプリ」に参戦するって道だ。まあ、どっちにしても、あたしには興味の無いことだからどうでもいいんだけど、男だったらギャンブラーになって、カートにでも乗ってみればいいのに‥‥なんて言ってみても、男は子供ができると「守り」に入るって言うから、タクマにはカートに乗る根性は無いだろうな‥‥なんて余計なことまで考えちゃう今日この頃なのだ(笑)
| 固定リンク