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2005.11.19

In Her Shoes

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最初だけ昨日の続きをチョロっと書くけど、昨日は、映画「イン・ハー・シューズ」を観て来た。期待通り‥‥って言いたいんだけど、あたしは期待しすぎてたので、ちょっと不満もあった。だけど、それを書くとネタバレになっちゃって、これから観る人に対してマズイので、ストーリーに関連した不満点は書けない。だから、ストーリーに関係無い部分での不満点を書くけど、何と言っても、ストーリー以外での一番の楽しみだった「靴」が、パッパッて映るだけでジックリと見ることができなかったのだ。キャメロン・ディアス演じる破天荒な妹のマギーと、トニ・コレット演じるマジメな姉のローズが主人公なんだけど、ローズの唯一の趣味が靴のコレクションで‥‥って言うか、嫌なことやつらいことがあるたびに、そのナグサメに自分に靴を買うんだけど、その結果が、専用のクローゼットにズラーッと並ぶジミーチュウやマノロブラニク、クリスチャンラクロワやシャネル、スチュアートワイツマンやコールハーンなどなどなどなどなど〜って感じのヨダレがナイヤガラ状態になっちゃうモノスゴイ靴たちで、それがまた、ほとんど一度も履いてないって設定なのだ!なのだったら、なのなのだ!(笑)

それで、靴が大好きなあたしとしては、今年の1月6日の日記、「ピチュウ・ピカチュウ・ジミーチュウ」にも書いたように、何よりもジミーチュウの靴が大好きなので、この映画のストーリーとは別に、たくさんの靴を見られることを楽しみにしてた。だけど、靴はあくまでも小道具のひとつで、それぞれの靴をジックリ映したりしなかったのだ。そりゃあ、靴のコレクションを紹介するビデオとかじゃないんだから、ストーリーを無視して靴ばっか映してるワケには行かないってことは分かるけど、なんて言うか、もうちょっとウマイ具合に、「セックス・アンド・ザ・シティー」のサラ・ジェシカ・パーカー扮するキャリーの登場するシーンみたいに靴を扱ってくれたらなあ‥‥って思った。そうすれば、どこのデザイナーのどんな靴なのか、もうちょっと細かく判断できたのに‥‥なんてことも言ってみた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、「イン・ハー・シューズ」の話は「最初だけ昨日の続きをチョロっと書く」ハズだったんだけど、またまた収まらなくなっちゃったので、もうちょっとだけお付き合いください‥‥ってことで、この映画は、2時間11分もあった。あたしは、自分の日記はダラダラと無駄に長いクセに、長い映画を見るのが苦手で、5〜6年前に「グリーンマイル」を観に行った時には、3時間の内、前半の1時間と後半の1時間は観てたんだけど、真ん中の1時間は爆睡しちゃって、ストーリーがぜんぜん分からなかった。それで、あたしの限界はだいたい2時間なので、「イン・ハー・シューズ」が2時間11分って聞いた時には、リトル不安だった。だけど、これが、まったく長さを感じさせなくて、最初から最後まですごく楽しめた。ただ、ホントにストーリーの内容だけで2時間11分を充実させてるワケじゃなくて、色んな脇役が次々と出て来たり、どこかで見たようなギャグを折り込んだりしての、具だくさんの2時間11分って感じで、幕の内弁当的な映画だった。まあ、ラストがすごく良かったから、そこまでの道のりはすべて結果オーライって感じで、観終わったあとは、とっても幸せな気分になった。

でも、誰でも楽しめる映画って感じじゃなくて、原作が20代から30代の独身女性をターゲットにした小説なので、やっぱり映画も同じような層に共感されると思う。もちろん、男性でも既婚者でも、感受性の強い人なら、色んな感動を覚えると思うし、胸がジーン・ケリーって言えば「雨に唄えば」‥‥じゃなくて、胸がジーンとするシーンもあると思うけど、基本的には女性向けの映画だと思う。だから、映画館に来てたお客さんのほとんどが女性で、男性は1割くらいしか来てなかった。だけど、いくら女性が多かったとは言え、サスガに、女性7人で遠足みたいにゾロゾロと観に行ったのは、あたしたちくらいだったと思う(笑)

それで、ストーリー関連のことが書けないので、すごく良かったシーンとかエピソードとかを書けないのがつらいんだけど、サシサワリの無い範囲で書かせてもらうと、妹のマギーが姉のローズに「ある詩人の詩」を朗読するシーンがあって、ある程度は予想のつく展開なんだけど、あたしは大感動で涙がこぼれた。久しぶりに、胸がジーン・ハックマンって言えば「ポセイドン・アドベンチャー」‥‥じゃなくて、胸がジーンとしちゃった。

それから、マギーとローズのおばあちゃん、エラを演じてるシャーリー・マクレーンがとにかく良かった。おばあちゃんのエラがローズに「あるプレゼント」をするんだけど、そのシーンがホントに素晴らしくて、あたしは、胸がジーン・シモンズって言えば、ここまでの流れからイギリスの女優のことだと思うだろうけど、あたし的には、「KISS」のボーカルでベースのジーン・シモンズのこと‥‥じゃなくて、胸がジーンとしちゃった。

‥‥そんなワケで、あまりにも凝りすぎて何を言ってんだか分からなくなりそうだから、ここからはギャグ抜きで書くけど、「In Her Shoes」ってタイトルは、直訳すれば「彼女の靴を履いて」って意味だ。だけど、英語圏では「彼女の気持ちになって」って言う言い回しとして使われてる。ようするに、「相手の靴を自分が履けば、相手の気持ちが分かる」って意味で、煎じ詰めれば「心が通じ合う」って意味になる。

ネタバレにならない程度に、映画のオフィシャルサイトに書かれてる範囲でチョコっと触れると、姉のローズは弁護士としてキチンと生活してるんだけど、破天荒な妹のマギーは、学歴も何の資格も無くて無職、その上、「難読症」で苦労してる。難読症って言うのは、病気じゃないし、知能とかに問題があるワケでもないのに、ヒトコトで説明するのは難しいんだけど、自分の気持ちを瞬時に言葉に変換することができなかったり、文章を読んでてもある部分だけが理解できなかったりする状態を持った人のことだ。

それで、色んな意味で大変なマギーなんだけど、姉のローズと違ってセクシーでグラマーだから、男関係だけは‥‥なんて調子に乗って書くワケには行かないので、この辺でやめとくけど、こんなマギーが色んな困難を乗り越えて、「自分にピッタリの靴」、ようするに、「自分が一番自分らしくいられる人生」を見つけるまでのストーリーってワケだ。もちろん、マギーだけじゃなくて、姉のローズも、おばあちゃんのエラも、三者三様の「靴」を見つける。

‥‥そんなワケで、自分にとっての「幸せ」って言うのは、その人自身が見つけるもので、誰かのマネをしたって意味が無い。最近は、一部の人たちの間で、若いうちから会社を作ったり株をやったりして、六本木ヒルズに住むようになるのが「幸せ」とか「成功」みたいな風潮があるけど、ホントに心からそう思ってる人もいれば、自分で考えたり判断したりする能力が欠落してて、単なる流行に踊らされてるだけの人もいるだろう。

だけど、今日、18日付けのロイター通信によると、大阪大学の筒井義郎教授の研究チームが実施した「日本人の幸福感に関する調査」で、ニポン人の多くは「収入が多いほど幸福」だって思ってることが分かったそうだ。そして、アンケートをとった4224人のうち、大多数が自分の人生について「満足」「まあ満足」って答えてて、「満足でない」って答えたのは、わずか13%だったそうだ。だけど、「収入が多いほど幸福」だと思ってるのは、自分の収入に満足してない人たちだけで、逆に、自分の収入に満足してるって答えた「収入が最高ランク」の少数の人たちは、自分の人生に対しては「満足でない」って答えてたそうだ。

つまり、自分が満足できるだけの収入を得られるまでは、「お金さえあれば幸せになれる」って思ってる人たちが多いけど、実際に自分がその収入ランクにまで上りつめたら、今度は「いくらお金があっても幸せじゃない」って感じるってことなのだ。ようするに、無いものねだりって言うか、人間の欲望にはキリが無いって言うか、結局は、「お金さえあれば幸せになれる」なんて思ってるようなレベルの人たちは、こんなもんなんだろう。まあ、ライブドアのイノシシ社長だの、村上ファン怒の欽ちゃんだの、楽天のセサミストリートだの、今の世の中は、自分は何の苦労もしないで、他人のフンドシで相撲をとる守銭奴ブームだから、こんな考え方しかできない気の毒な一般市民が増殖しちゃったんだと思うけど、なんだか、若い人たちがお金のことばっかに振り回されてるのって、すごく切ない気持ちになって来る。

‥‥そんなワケで、六本木なんて人間の住む場所じゃなくて、たまに遊びに行ったり映画を観に行ったりする場所だと思ってるあたしとしては、あんなに空気の悪いとこに住みたがる人の気持ちなんかまったく理解できないワケだけど、人の価値観はそれぞれだから、あたしは否定はしない。アメリカのコトワザにも、「He is happy that thinks he is so.」ってのがあって、そのまんま、「自分が幸せだって思える人は幸せだ」ってことだから、みんな自分が幸せだと思う道を勝手に進めばいいだけだ。

だけど、単純なアングロサクソンの何倍も賢い中国には、「人間万事塞翁が馬」ってコトワザがある。ニポンでは「にんげんばんじさいおうがうま」って読まれてるけど、ニポンに伝わったころは「じんかんばんじさいおうがうま」って読まれてた。これは、基本的には「He is happy that thinks he is so.」と同じような意味なんだけど、その深さはまったく違う。


遥か昔のこと、中国の北のはずれの山に、塞翁(さいおう)って言う占い師のおじいさんが住んでいた。そして、その山より北には国境があって、別の民族が住んでいた。ある日、おじいさんの大切にしてた馬が逃げちゃって、北の国境を越えて行っちゃった。南に逃げたのなら、自分の国の中だから捕まえることもできたんだけど、北の国境を越えちゃったから、もう追いかけることはできない。当時、馬は大切な財産だったから、このおじいさんはすごく悲しんでると思って、村の人たちがみんなで、なぐさめに行った。そしたら、おじいさんは、別に悲しんでる様子もなく、ケロッとしてて、みんなに向かってこう言った。


「馬が逃げてしまったことをなぜ不幸なことだと決めつけるんじゃ?もしかしたら幸福なことかも知れんじゃろ?」


そしたら、それから何日か過ぎたある日、逃げた馬がヒョッコリと帰って来た。それも、北の国の馬をゾロゾロと何頭も引き連れて帰って来たのだ。おじいさんは、この馬たちを売れば大金を手に入れることができる。それで、今度は、村の人たちがみんなでお祝いを言いに行った。そしたら、おじいさんは、別に喜んでる様子もなく、ケロッとしてて、みんなに向かってこう言った。


「馬が何頭も手に入ったことをなぜ幸福なことだと決めつけるんじゃ?もしかしたら不幸なことかも知れんじゃろ?」


そして、おじいさんには息子がひとりいたんだけど、その息子が馬を欲しがった。それで、息子は、何頭もいる中の一番脚の速い馬をもらうことにした。だけど、息子がその馬に乗って野山を走り回ってたら、あまりの俊足で振り落とされてしまい、足を複雑骨折しちゃった。そして、当時は外科手術とかもないから、キチンとした治療ができずに、その息子は一生歩けない体になっちゃった。それで、今度は、村の人たちがみんなで、なぐさめに行った。そしたら、おじいさんは、別に悲しんでる様子もなく、ケロッとしてて、みんなに向かってこう言った。


「息子が歩けなくなったことをなぜ不幸なことだと決めつけるんじゃ?もしかしたら幸福なことかも知れんじゃろ?」


そしたら、それからしばらくして、このおじいさんの国と北の国とで、大きな戦争が起こっちゃった。それで、この国の男たちはみんな徴兵されて、国境で死闘を繰り広げて、何とか戦争に勝つことはできたんだけど、多くの人たちが死んでしまった。だけど、このおじいさんの息子だけは、歩けないから徴兵されずに済み、死なずに済んだのだ。


‥‥そんなワケで、「人間万事塞翁が馬」ってのは、こんなお話なんだけど、ようするに、「幸福だと思うことが必ずしも幸福ではなく、不幸だと思うことが必ずしも不幸じゃない」ってことなのだ。そして、目先の出来事に一喜一憂して、おじいさんをなぐさめたりお祝いしたりしてた村人たちの多くは死んじゃったけど、目先の出来事にとらわれずに、常に泰然自若としてたおじいさんとその息子は、結局、最後まで生き残ったってワケだ。

だから、「お金さえあれば幸せになれる」なんて思って、たった一度の大切な人生をお金に振り回されて生きて、やっとのことでお金持ちになれたとこで、戦争が起こったとしたらどうなるだろう? 土地や財産はすべて国に没収され、札束や株券はすべて紙切れになり、挙句の果てにはビルの密集する六本木なんかに住んでたオカゲで、大陸間弾道ミサイルのカッコーのマトになっちゃって、一瞬で吹っ飛ばされるのがオチだろう。

‥‥そんなワケで、サルを大統領に選ぶようなアングロサクソンのコトワザ、「He is happy that thinks he is so.」のほうを信じるのも、あたしたちニポン人と同じ優秀なるモンゴリアンのコトワザ、「人間万事塞翁が馬」のほうを信じるのも、人それぞれ自由だけど、たったひとつだけ言えることは、自分にピッタリの靴は、自分の力で見つけるしかないってことだ。誰かのマネをして、二番煎じや三番煎じをしてるようなヤツラは、結局は誰かの靴を履こうとしてるだけで、いつまで経っても自分にピッタリの靴を見つけることはできないだろう‥‥なんて感じでマトメてみた今日この頃なのだ。


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