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2005.11.29

冬の夜空

orion 夏の星座にぶらさがって、上から花火を見下ろしたのは、あたしとお誕生日が同じなaikoだけど、この、aikoがぶらさがった星座って、いったい何座なんだろう?‥‥って、今は冬なのに、何で夏の星座の話なのかって言うと、ちゃんとアトから冬の話に流れてくから、安心してちゃぶだい。で、今日はこんな早いうちから、頭脳は子供でもベッドでは大人、迷探偵キッコナンに登場してもらって、サクサクと調べて行こうと思う。

 

夏の星座の代表って言えば、何と言っても「サソリ座」だ。それに、あたしの星座はサソリ座なので、あたしと同じお誕生日のaikoも、当然「サソリ座の女」ってワケで、自分の星座を想像して、この歌を作った可能性が高い。だけど、現実的に考えてみると、サソリ座ってのは南の空の低い場所に見える星座だから、サソリ座にぶらさがっても、上から花火を見下ろすってより、横から花火を眺めるって感じになっちゃう。そうなると、aikoの世界じゃなくて、岩井俊二の世界になっちゃう。

 

ニポンが世界に誇れる唯一の映画監督、岩井俊二は、かつて、フジテレビの「If もしも」ってオムニバスドラマで、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」って言う傑作を発表した。あたし的には、「打ち揚げ花火」を「打ち上げ花火」って表記した点だけが不満だけど、それ以外は何ひとつ文句の無い秀作だ。「If もしも」ってドラマは、AとBの2通りの結末を用意してある単発シリーズで、物語の途中に、主人公がAかBかを選択する分岐点がある。それで、この作品の場合は、打ち揚げ花火を下から見ようとしたAと、横から見ようとしたBで、結末が違って来るのだ。すごく有名な作品だし、アトから映画になったりビデオやDVDになったりしたから、観たことのある人もいっぱいいると思うけど、初期の岩井俊二の感性がミズミズしい作品だ‥‥なんて、スタート早々、ダッフンしちゃった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?

 

 

‥‥そんなワケで、この作品がテレビで放映されたのが1993年なんだけど、岩井俊二は、この6年後の1999年に、「少年たちは花火を横から見たかった」って言うドキュメンタリーを発表してる。この6年の間に、岩井俊二は何本もの秀作を生み出してるけど、特に、Charaの魅力が全開の「PiCNiC」と、さらにCharaの魅力が全開な上に、もう何から何まで言うこと無しの大傑作、「スワロウテイル」を発表してる。これで、岩井俊二の世界観は不動のものになったワケだけど、そこで制作されたのが「少年たちは花火を横から見たかった」なんだから、つまりは、自分の世界観を確立した岩井俊二の出した答えが、打ち揚げ花火は下からじゃなくて、「横から見たかった」ってことなのだ。

 

だから、打ち揚げ花火を横から見るのは「岩井俊二スタイル」ってワケで、南の空の低い場所に見えるサソリ座にぶらさがっちゃったら、「aikoスタイル」にはならないってワケだ。そこで、夏の夜空のもっと高い場所を見上げてみた迷探偵キッコナンの目に映ったのは、「琴(こと)座」「鷲(わし)座」「白鳥座」の3つの星座だ。これは、2005年7月7日の日記、「七夕の夜」にも書いたけど、琴座の1等星「ベガ」がオリヒメちゃん、鷲座の1等星「アルタイル」がケンギュウ君で、この2つの星の不条理な恋物語が「七夕伝説」なのだ。そして、この2つの星に、白鳥座の「デネブ」が加わると、「夏の大三角」になる。

 

だけど、ハッキリ言って、東京だとこれらの星座がすべてキレイに見えることなんかマレで、見えたとしても1等星だけってことのほうが多い。だから、東京に住んでるあたしの感覚だと、「夏の大三角にぶらさがって上から花火を見下ろして」だったら、すごく現実的に感じる。でも、「夏の大三角」は星座じゃないし、第一、「それを言っちゃあオシマイだよ」って寅さんに言われちゃうけど、「星座にぶらさがる」なんて不可能だ。だから、こんな話題の時に、「現実的かどうか」って基準で考えること自体に無理がある。

 

だから、ソコソコに現実的な考察を入れつつ、非現実的な話題を進めてるワケだけど、やっぱり、aikoがぶらさがったのは、「琴座」か「鷲座」か「白鳥座」のどれかってことになる。それは、この歌の中に、「三角の目をした羽ある天使が」とか「三角の耳した羽ある天使は」とか、ヤタラと「三角」って言葉が出て来るので、やっぱり「夏の大三角」に絡んだ星座なんじゃないかって言う、推理‥‥と言う名のコジツケなんだけど(笑)

 

それで、鷲と白鳥は鳥だから、羽ばたいて飛んでるイメージで、これにぶらさがるのは危険だし、どっちかって言うと、首のあたりにまたがって乗ってるって感じがする。だから、「ぶらさがる」となると「琴座」ってことになる。それに、「琴座」なら、オリヒメちゃんの星「ベガ」もあるから、恋をする女の子にピッタリだ。だから、aiko的には、もしかしたらサソリ座のシッポのあたりにぶらさがったイメージで、この歌の詩を書いたのかも知れないけど、迷探偵キッコナン的には、「琴座」って結論に達したのだ。

 

‥‥そんなワケで、aikoには、この「花火」の他にも、「アンドロメダ」「天の川」「星物語」って言う、タイトルからして「星」に関係した歌が多いし、MAXの新曲「あなたを想うほど」がリリースされる11月30日には、aikoも新曲をリリースするんだけど、その名もズバリ、「スター」だ。これは、オオカミとヤギの不思議な友情を描いた絵本、「あらしのよるに」が映画化されたんだけど、それの主題歌になってる。歌詞の中には「星」は出て来なくて、愛する人の光を「星の光」に見立てた表現をしてるけど、こごえて赤くなった手とかの描写も出て来るし、PVも雪山をバックにコートを着て歌ってるaikoが出て来るから、間違いなく「冬の星」をイメージして書いたんだと思う。

 

で、冬の星座って言えば、夏のサソリ座に対抗して、オリオン座ってことになる。オリオン座は、誰でも知ってる有名な星座だと思うけど、春には西の空に低く見えるし、秋には東の空に低く見える。それで、高い位置にハッキリと見えるのが冬なので、冬を代表する星座になってる。aikoと同じ大阪出身で、名前も同じ北原愛子の「冬うらら」って曲でも、「オリオンの灯〜月冴ゆり出すころ〜」って歌い出しなので、冬と言えばオリオンだろう。

 

オリオン座と言えば、真ん中に並んだ「三ツ星」が目印になる。冬の夜空を見上げて、まずは「三ツ星」を探して、その左上にある赤っぽい1等星が「ベテルギウス」、右下にある青白い1等星が「リゲル」で、残りの星を探して、ボンゴとかコンガとかトーキングドラムとかニポンのツヅミみたいな形になれば、オリオンの胴体の出来上がりだ。ちなみに、禁酒中のあたしとしては書くのかツライんだけど、オリオンビールの缶の上のとこにある3つの赤い星のマークは、もちろん、この「三ツ星」をデザインしたものだ。

 

都心だとキビシイけど、空気がキレイで街の明りの少ない場所に行くと、三ツ星の下に、さらにタテに3つ並んだ星が見える。これは「小三ツ星」って呼ばれてて、良く見ると、真ん中の星だけがボヤ〜ッとしてる。これは、実は星じゃなくて、「オリオン座大星雲」て言う星雲なのだ。肉眼だと、サンコンさんみたいに視力が「6.0」くらいないと見えないけど、バードウォッチング用の小型の双眼鏡でも十分に見えるから、機会があったら見てみて欲しい。

 

‥‥そんなワケで、ニポンでは、源平合戦の赤旗、白旗になぞらえて、赤いベテルギウスを「平家星」、白いリゲルを「源氏星」って呼んだりもするんだけど、この色の違いは、星の年令によるものなのだ。ベテルギウスは、直径が太陽の1000倍もある想像を絶するほどのデッカイ恒星なんだけど、恒星の一生の晩年に差し掛かってるので、表面温度は3000度しかなくて、それで赤っぽい色に見える。だけど、リゲルのほうは、誕生してから数百万年しか経ってない若い星だから、まだまだ元気に燃え盛ってて、表面温度は12000度もある。だから白っぽく見えるのだ。このリゲルの光量は、太陽の3万倍だから、もしも今の太陽の場所にリゲルがあったら、あたしたちは一瞬で焼け死んじゃう‥‥って言うか、太陽系なんてフッ飛んじゃうだろう。

 

こんなにスゴイ1等星が2つもある上に、残りの5つの星はぜんぶ2等星だから、冬のオリオン座だけは東京でもハッキリと見える。だけど、正確に言えば、これはオリオンの胴体の部分で、ホントは、コンボウを振り上げてる右手と、タテを持ってる左手があるんだけど、これは東京だとなかなか見えない。それで、オリオン座の胴体だけを見れば、ベテルギウスは左上にあるんだけど、ベテルギウスってのは「ワキの下」って意味で、手が見えればちゃんとワキの下になるのだ。そして、右下のリゲルってのは、「巨人の足」って言う意味がある。

 

で、オリオンはコンボウとタテを持ってるから、ナニゲに「闘う人」っぽいんだけど、実は優秀な狩人なのだ。だからって、「あずさ2号」に乗って来たワケじゃないけど、コンボウとタテで狩をするなんて、クマと素手で闘った大山マスタツとかウイリー・ウィリアムスとかのレベルの達人なんだろう‥‥なんて言ったら、オリオンがアントニオ猪木みたいなイメージになっちゃうから、この喩えはやめとこう(笑)

 

そんなオリオンだけど、ギリシャ神話によれば、「体が大きくて優秀な狩人」だけど「ものすごく美しい青年」って設定なので、顔が福山雅治で体がセーム・シュルトって感じかな?‥‥って、それはそれで不気味だけど、とにかく、イイ男なのに腕も立つ男だった。だけど、2005年7月26日の日記、「恐怖のテュポン」を読んでくれた人なら分かると思うけど、ギリシャ神話に出て来るヤツラって、ようするにみんな神様で、とにかくデカイ。だから、このオリオンも、あたしたちが普通に考えるセーム・シュルトやチェ・ホンマンみたいな「大きな人」のレベルじゃなくて、「巨人の足」って意味のリゲルが足のとこにあることからも分かるように、ウルトラマンとか怪獣とかのレベルの大きさなのだ。ちなみに、ウルトラマンの故郷、「M78星雲」てのも、このオリオン座の中にある。三ツ星のちょっと上あたりなので、天体望遠鏡が無くても、双眼鏡とかでも、ウルトラマンの故郷を見ることができる。

‥‥そんなワケで、いつものことながらアチコチにダッフンしながら進んでくけど、このオリオンてのは、海の神様「ポセイドン」と女神「エウリュアレ」との間に生まれた子供で、海の上を自由に歩きまわれる巨人だった。それで、月の女神「アルテミス」が、オリオンの狩の腕を認めて自分の部下にした‥‥って、ここまでは、どのギリシャ神話でも同じなんだけど、ここから先が、フジテレビの「If もしも」みたいに、複数のストーリーが存在するのだ。細かい設定を除けば、大きく分けて2つのストーリーがあるんだけど、1つは、オリオンとアルテミスの恋愛系、もう1つは、オリオンが誰かの恨みを買う系に分けられる。

 

「恋愛系」のほうは、オリオンが自分の雇い主のアルテミスのことを好きになっちゃって、結婚を申し込む。だけど、身分の違う男に求婚されたアルテミスが怒り、大地の女神「ガイア」に頼んで、オリオンを殺させる‥‥ってストーリーとか、これとは情況が反対で、アルテミスのほうが自分の部下のオリオンに恋をしちゃって、だけど、オリオンは、曙(あけぼの)の女神「オーロラ」と恋に落ちちゃって、それに嫉妬したアルテミスが、自分の手でオリオンを殺すってストーリーもある。「恨みを買う系」のほうは、アルテミスの兄のアポロンが、自分の妹と仲良くしてるオリオンを良く思わずに殺しちゃうって言うストーリーとか、自分の腕前を自慢してばかりいるオリオンにムカついた女神「ヘラ」が、オリオンの暗殺を企てるって言うストーリーとか、色んなパターンがある。

 

それで、色んなパターンのストーリーがあるワケだけど、唯一、共通してるのは、オリオンを殺害する方法なのだ。どのストーリーでも、みんな一緒で、「猛毒を持った巨大なサソリをオリオンのもとへ送り込み、その毒で殺す」って言う方法なのだ。ここで、賢明なる「きっこの日記」の読者諸兄は、「ナルホド!」って気づいたと思うけど、このサソリこそが、夏を代表する星座、「サソリ座」ってワケなのだ。だから、オリオンは何よりもサソリを恐がってて、今でも、サソリ座が西の地平線に沈んでから、オリオン座が東の地平線から出て来るし、サソリ座が東の地平線に現れる前に、オリオン座は西の地平線に隠れる‥‥って言うか、こう言った星座の動きのほうがモトで、それを見て古代ギリシャの人が神話を作ったんだろうけど、こうして考えてみると、何千年も前のギリシャ人たちが見てた星座を現代のあたしたちも見てるってことを改めて感じられて、とっても不思議な気持ちになる。

 

このオリオンの物語は、オリオン座とサソリ座とが天球上の反対の位置にあって、同時には見ることができないってことから生まれたって言われてる。だから、漠然と夏のサソリ座や冬のオリオン座を見るんじゃなくて、夏のサソリ座を見上げる時には、地球の反対側にコソコソと隠れてるオリオンのことを思い出してみたり、冬のオリオン座を見上げる時には、サソリの留守中にホッとして羽を伸ばしてるオリオンの気持ちになってみたりすると、とっても楽しいと思う。そして、たくさんの星が見られる空気のキレイな場所に行けば、オリオンの連れている猟犬、「おおいぬ座」が左下に、「こいぬ座」が左に見えるし、足元には獲物の「うさぎ座」も見える。そして、おおいぬ座とこいぬ座が逃げないように、オリオンの赤い1等星、ベテルギウスから、おおいぬ座のシリウスと、こいぬ座のプロキオンに、それぞれリーダーをつなぐと、キレイな三角形が出来上がるけど、これが、「冬の大三角」だ。

 

‥‥そんなワケで、冬の星座にぶらさがっても花火を見ることはできないけど、冬の星座そのものが、人工的な花火なんかよりも遥かに美しいんだから、足早に家路を急ぐだけじゃなくて、タマには、立ち止まって夜空を見上げてみたらどうだろう。こんなにヒドイ世の中だけど、それは誰のセイでもなくて、夜空を見上げる心の余裕すらなくなっちゃった自分たちのセイなのかも知れない‥‥なんて思う今日この頃なのだ。

 

 

 

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