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2005.12.02

今日から師走

ameyoko
今日から12月、師が走ると書いて「師走(しわす)」ってワケだけど、この「師走」の語源には色んな説がある。良く聞くのは、「学校の先生が年末で忙しくてバタバタと走り回るから」って説とか、「おケイコゴトのお師匠さんが走り回るから」って説とか、この「師」は「法師(お坊さん)」のことで、「お坊さんがお経をあげるために色んな家を走り回る」って説とかがある。他にも、「兵隊さんが走り回る」なんてのもあるみたいで、ようするに、「走り回る」って部分は同じだけど、この「師」がどんな「師」なのかってとこに諸説があるってワケだ。

それで、こう言う場合は、迷探偵キッコナンが登場するまでもなく、古い文献を調べればいいんだけど、平安時代末期の「色葉字類抄(いろはじるいしょう)」には、「お坊さんがお経をあげるために走り回る」ことから「師馳す(しはす)」って書かれてる。そして、これが長いうちに「師走」に変化したんじゃないかってのが、一般的な説の中では有力視されてる。だけど他にも、師が趨走(すうそう)するから「師趨(しすう)」となって、それが「師走」に変化したって説もあるし、「大言海」には「歳極(としはつ)」の転じて「師走」になったって書いてある。あと、1年の終わりですべてのことを「為(な)し終えた月」だから「為果つ月(しはつづき)」となって、それが「師走」になったって説もある。

ようするに、インチキマンション問題の国会参考人質問と同じで、どいつもこいつも好き勝手なことを言ってるだけど、どの説もコレと言った決め手に欠ける。まあ、この中じゃ、「色葉字類抄」に書かれてる「師馳す(しはす)」説が一番それらしいけど、でもコレって、ニポン人て歴史のあるものには弱いから、「平安時代の文献に書いてある」って言うと、ただそれだけで信じちゃうフシがあるってだけのことで、常に真実を追究する「きっこの日記」としては、平安時代の文献だって疑ってかかることにしてる今日この頃、皆さん、今日から走り回ってますか?(笑)


‥‥そんなワケで、あたし的にも、明日から3日間、原宿とか青山とか3ヶ所で開催される「広告サミット」と、某デパートでの「コスメフェスティバル」とが重なってて、お得意のハイヒールダッシュで走り回ってるワケだけど、その合間を縫って、今日もシッカリと長文の日記を書いてるのが素晴らしい‥‥なんて自画自賛しつつも、リトル疲れが溜まってるから、あんまりダッフンしないでサクサク進もうと思う。で、歴史のあるものに弱いニポン人としては、平安時代の文献に書いてあるって言うだけで信じちゃうとこがある。

だけどコレって、ただ単に今が2005年だから、830年も前の「色葉字類抄」に書いてあることをそれらしく思うってだけであって、今が平安時代や鎌倉時代だったら、そこらの三流作家の書いたデタラメな本みたいな扱いだったのかも知れないのだ。だって、たとえば、江戸時代の「日本歳時記」には、春夏秋冬と言う四時(しじ)が果てることから「四極月(しはつづき)」ってなって、それが訛って「しはす」になったって書いてある。だから、この本しか読まなかったら、誰でも「四極月が訛ったもの」って思ってたハズだ。だけど、それよりも500年も前の「色葉字類抄」に「師馳す」って書かれてるから、「古いほうが語源だろう」ってことになっただけなのだ。だから、こう言う考え方で行けば、平安時代の「色葉字類抄」よりも、もっと古い文献を調べなくちゃならないワケになる。で、「色葉字類抄」よりも、さらに400年前の「万葉集」を見ると、こんな歌が載っている。


 十二月(しはす)には沫雪(あわゆき)降ると知らねかも梅の花咲く含(ふふ)めらずして


これは「紀郎女(きのいらつめ)」の歌なんだけど、紀郎女ってのは、ケッコー人気のあった女性歌人だ。この時代の女性歌人て言えば、坂上郎女(さかのうえのいらつめ)、笠女郎(かさのいらつめ)、狭野茅上娘子(さののちがみおとめ)の3人がチョー有名だけど、紀郎女もこの3人に負けず劣らずの人気だった。だから、MAXで言えば、坂上郎女がナナさん、笠女郎が玲奈ちゃん、狭野茅上娘子がりっちゃんで、この紀郎女がアキちゃんて感じの位置づけになる‥‥って、言ってるソバからダッフンしちゃったけど、この歌は、「十二月だって言うのに、ツボミのままでいないで、梅の花が咲き始めた。梅は、十二月には沫雪が降ると言うことを知らないのだろうか。」って言う意味だ。

まあ、歌の意味はともかくとして、ここで問題なのは、「師馳」でも「師走」でもなくて、「十二月」って書いてあるってことだ。つまり、この時代には、「十二月」って書いて「しはす」って読んでたワケだ。そして、万葉集よりも、さらに40年ほど前の、日本最古の文献、「日本書紀」には、「十有二月(しはす)」って書かれてる。これより前は調べようがないから、ここまでのデータから推測するしかないんだけど、「日本書紀」(720年頃)には「十有二月」、「万葉集」(750年〜759年)には「十二月」、そして、「色葉字類抄」(1164年〜1180年)には「師馳す」って書いてあるワケで、この流れを見れば、答は一目瞭然だろう。つまり、もともとは、12月のことを「しはす」って言ってただけで、「師馳す」だの「師走」だのってのは、アトからのコジツケだったってことだ。だから、ホントの語源を知るためには、ドラえもんに頼むか、サディスティックミカバンドにお願いするかして、タイムマシンを貸してもらって、まだ「文字」ってものが生まれる前のニポンに行って来るしかないのだ。

‥‥そんなワケで、「トリビアの泉」で言えば、「師走の語源は、お坊さんが忙しく走り回るから、と言うのは‥‥‥‥‥‥ガセ!」ってワケで、「ガセビアの泉」にハガキを沈められちゃった上に、色っぽいお姉さんから「う・そ・つ・き!」って言われちゃうのだ。ついでに言うと、英語の12月の「December」ってのは、ラテン語の「10番目の月」って意味なんだけど、「12月なのに何で10番目なのか?」って疑問に対して、「7月と8月にローマ皇帝の名前を入れたために2つズレた」って言う説がある。だけど、これもガセビアで、ホントは、紀元前まで使われてたローマ歴が、3月を1年のスタートとして数えるものだったからってのが正しい理由だ。

ようするに、西洋では、昔は2ヶ月先の2月が年末だったってことになる。だけどこれは、何月から数え始めるかってことが変わっただけで、DecemberはDecemberのまま、同じ場所にある。だけど、ニポンの場合は、陰暦が陽暦に、つまり、旧暦が新暦に変わったから、今の12月は昔は11月だったワケで、ホントの師走は来年の1月だったのだ。もっと正確に言うと、キッチリと1ヶ月ズレてるワケじゃなくて、約40日くらいのズレがあるんだけど、この陰暦と陽暦の違いってのが、あたしにはものすごくヤッカイなのだ。

堺すすむ的に「なんでか〜?」って言うと、あたしは俳句を詠むからだ。俳句の季語って、基本的に陰暦で作られてる。だから、2月4日の「立春」からは春になるワケだけど、2月なんて言ったら、1年で1番寒い時季で、とても「春」なんて気分にならない。それどころか、8月8日の「立秋」から秋だって言われても、子供たちは夏休みの真っ最中だし、誰がどう考えても「8月は夏」だろう。だけど、俳句の世界では、立秋を過ぎたら、基本的には夏の季語は使えなくなる。だから、真夏の炎天下に汗をかきながら、秋の句を詠まなくちゃならないのだ。自然を体感しながら、季節の移ろいを詠むのが俳句なのに、こんなおかしな話はない。

こんなおかしなことになっちゃったのは、新暦に変わったことによる弊害のひとつなのだ。旧暦のままだったら、今のカレンダーで言うと、3月の中旬くらいが「立春」だし、9月の中旬くらいが「立秋」だし、何の問題もなくなる。だけど、西洋のカレンダーに合わせてに1ヶ月以上も日付けをズラした時に、この「立春」とか「立秋」とかも一緒にズラしちゃったから、まだ寒いのに「春」だとか、まだ暑いのに「秋」だとかってことになり、実際の季節感と暦の上の季節感とにギャップが生まれちゃったのだ。だから、テレビのお天気お姉さんとかは、「暦の上では今日から春ですが〜」とかって、いちいち「暦の上では」って言うマクラ言葉が必要になっちゃった。昔だったら、みんなが春の訪れを感じたころに立春を迎え、みんながそろそろ秋だなぁ〜って感じたら立秋を過ぎてて‥‥って、きっとこんな感じだったと思う。

‥‥そんなワケで、自然の流れに沿った本来の季節感に合せて言えば、「師走」は来月で、今は11月、つまり「霜月(しもつき)」ってことになる。この「霜月」に関しても、「寒くなって霜が降るようになったから」って説の他に、お月様が10月の満月を過ぎて「下月」に入ったからって説とか、「食物月(をしものつき)」が転じた説とか、他にもいくつかの説がある。だけど、「師走」と同じように考えれば、もともとは「十一月」のことを「しもつき」って読んでただけで、「霜月」も「下月」も「食物月」も、アトからのコジツケなんだと思う。でも、朝晩の冷え込みが厳しくなって来た今のイメージとしては、やっぱり、霜が降る「霜月」ってのがベストのコジツケだろう。暦の上では「師走」だけど、暖房の無いこのお部屋では、ホントの季節通りに霜が降りそうなくらい寒いので、今日の日記はこのくらいにしといて、これからお風呂で温まろうと思う今日この頃なのだ。


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