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2006.03.22

God Save the Queen

A-122
あたしが高校生の時に、「おやじギャル」って言葉が流行った。流行ったって言っても、チマタで流行ってただけで、学校では流行らなかったんだけど、何て言うか、テレビとか雑誌とかではヒンパンに使われてた。それで、あたし以上の年令の人なら、「おやじギャル」の意味を知ってると思うけど、若い子たちは知らないだろうから、念のために説明しとくけど、オッサンみたいな趣味や生活をしてる若い女性のことを「おやじ」みたいな「ギャル」ってことで、「おやじギャル」って言ってた。で、今、「ギャル」って言うと、中学生から高校生くらいの女の子を指すけど、この「おやじギャル」の「ギャル」は、20代の女性を指す。だから、今の感覚だと、とても「ギャル」とは言えなくて、「ババア」ってことになるし、この、20代の女性を「ギャル」って呼んでたこと自体が、時代を感じさせる。

で、具体的にどんなのかって言うと、20代の女性なのに、ゴルフとか競馬とか株とか、いかにもオッサン臭のするダサイ趣味を持ち、縄のれんの居酒屋でチューハイを飲み、スポーツ新聞を読む‥‥って言うのを「おやじギャル」って呼んでた。だけど、今、これを聞いても、「え?」ってことになる。今は、ゴルフや競馬や株が趣味の若い女性はいっぱいいるし、居酒屋さんにだって、女の子だけで普通に行く。これは、どういうことかって言うと、この十数年の間に、世の中の感覚が変化して来たってことだ。

たとえば、競馬場とか場外馬券売り場とかは、当時は、マンガ家のエビスさんみたいな薄汚いオッサンばっかがタムロしてて、とても若い女性が近寄れる場所じゃなかった。競馬で一家離散したとか、サラ金に手を出して自殺したとか、そう言った暗いイメージが強かった。だけど、今は、JRAの必死の宣伝によって、ヘタするとサラブレッドの「サワヤカ」なイメージまで生まれちゃった。何よりもイメージの悪かった公営の大井競馬場にしたって、「TOKYO CITY KEIBA」とか言っちゃって、トゥインクルレースだの何だのって、やってることは法外なテラ銭をむしり取る悪どいギャンブルに変わりないのに、女性向けにオシャレにしちゃった。だから、十数年前には、20代の女性が、「趣味は競馬です」なんて、口が裂けても言えなかったけど、今なら普通に言えちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、競馬以外でも、パチンコ屋さんのレディースデーやレディースコーナー、カップルシートしかり、オッサン臭が全開の競輪や競艇までもが、若いタレントを使ったCMやサワヤカなCMを流して、女性客の取り込みに必死になってる。マージャンだって、若くて可愛いアイドル雀士(じゃんし)がいっぱい出て来て、ぜんぜんイメージが変わって来た。去年のことだけど、あたしは、あるマージャンのイベントのポスター撮りのお仕事をやったんだけど、どの子もみんな美人で、あたしはビックルを一気飲みした。だって、どの子も、とてもプロ雀士には見えなくて、グラビアアイドルみたいだったからだ。唯一、プロ雀士だと感じたのは、その中のひとりの子が、マージャンパイのネイルアートをしてたことくらいだ(笑)

そして、居酒屋さんにしても、「おやじギャル」って言葉が流行った十数年前には、それこそ、おやじ専用の飲み屋さんだった。だからこそ、そんなとこに行く女性のことを「おやじギャル」って呼んでたワケだ。だけど、今では、居酒屋さんも、オシャレな内装やメニューなど、女性にターゲットを絞ったお店がメインになって来て、どっちかって言うと、おやじだけで入れる居酒屋さんのほうが少なくなって来たくらいだ。新橋だとか、有楽町だとか、サラリーマンのタマリ場には、今でも昔ながらの居酒屋さんが残ってるけど、若者が集まる街では、女性客を呼べなかったら商売として成り立たないし、女性客さえ呼べれば、男性客はいくらでも来るから、女性ウケする居酒屋さんが林立するようになって来た。だから、あたしたちも、1杯の飲み物が1000円もするようなお店よりも、安くて美味しいものをたくさん飲んだり食べたりできるオシャレな居酒屋さんに行くようになって来た。

そして、居酒屋さんだけじゃなく、飲むお酒に対するイメージも変わって来た。「おやじギャル」って言葉が流行った十数年前は、サスガにあたしは今みたいにはお酒は飲んでなかったけど、「焼酎」って聞くと、「おやじ専用のお酒」ってイメージを持ってた。あたしは、高校生の時に、居酒屋さん‥‥って言うか、正確には「おでん屋さん」なんだけど、おでんの他にも何種類かのオツマミを出してた飲み屋さんで、年をごまかしてバイトしてた。そこに来るお客さんは、ほとんどが男性で、サラリーマンで、会社の帰りに立ち寄るって感じだから、高校生のあたしから見ると、20代でも30代でも、スーツを着た男性は、みんなオッサンに見えた。

そして、たいていは、「とりあえずビール」から「ニポン酒」か「焼酎」へと流れるパターンだったんだけど、焼酎は2000円以下でボトルキープをしてたから、常連さんのほとんどがボトルを入れてた。それで、ボトルを出す時は、ロックで飲む人、お茶割りにする人、お湯割りで梅干しを入れる人ってふうに、お客さんによって飲み方があるから、馴れて来たころには、顔を見ただけで用意するものが分かるようになった。

あたしは、18才ってことにして働いてたんだけど、ママさんとバイトのお兄さんとあたしの3人だけの小さなお店だったから、カウンターのお客さんから、「1杯飲まない?」って言われることが多かった。それで、そのつど、ママさんに聞くんだけど、ママさんが「いただけば?」って言った時には、飲むことになってた。これも、お仕事の一環だからだ。それで、ビールなら良かったんだけど、サスガに焼酎はキビシクて、早い時間帯から焼酎を何杯か飲まされると、最後までバイトができなくなったり、帰りに自転車で人の家の垣根にツッコミを入れたりしたこともあった。だから、このころは、あたしにとっての「焼酎」ってのは、「オッサン専用のヤバイお酒」ってイメージしかなくて、若い女性が焼酎をガブガブ飲むなんて、まさしく「おやじギャル」って感じに思ってた。

だけど、それからずっとして、大手の某広告代理店が「焼酎ブーム」を仕掛けて、「安くてすぐに酔っぱらうお酒」ってイメージから、なんだか「高級なお酒」ってイメージに変わって行った。その上、それまで言われてた「二日酔いになりにくい」って長所の他に、「ニポン酒よりもカロリーが低くて太らない」とかも言われるようになって、焼酎を飲む女性が急増したってワケだ。そして、そう言った女性客を取り込もうと、オシャレな居酒屋さんも急増したってワケだ。

‥‥そんなワケで、今、20代の女性が、「趣味は競馬です」「趣味はパチンコです」「趣味は株です」「居酒屋さんに良く行きます」「焼酎が好きです」って言っても、ちっともおかしくないし、別に「おやじ」とは思われない。これは、若い女性客を取り込むことによって、ギャンブルや安いお酒が持ってた悪いイメージを一掃するって言う、大掛かりな作戦によるもので、その結果、昼間から平然とギャンブルのCMが流れたり、缶チューハイのCMが流れても、誰も不思議に思わないような時代になっちゃったのだ。

スマップの中絶強要最低男、中居正広が、競馬のCMとかに出てるけど、十数年前のジャニーズ事務所だったら、いくら大金を積まれても、所属タレントをギャンブルのCMなどには絶対に出演させなかった。それは、どこよりも所属タレントのイメージダウンを嫌う事務所だからだ。それが、今では、稼ぎ頭の中居を競馬のCMにホイホイと出してんだから、ギャンブルに対する世の中の見方が大きく変わったってことだろう。ひと昔前には、株や先物取引は、守銭奴以外には見向きもされない閉鎖的な世界だったのに、今じゃ小学生までもが株に手を出してる上に、それを異常なことだと思わない世の中になっちゃった。あたしから見れば、この世の中の感覚こそが、十分に異常なことだと思うけど。

あたしは、競馬はやらないけど、パチンコは好きだし、マージャンも時々やるし、居酒屋さんにも行くし、焼酎も飲む。これは、膨大な選択肢の中から、自分の好みや自分の収入に合わせて、自分の判断で選択してることで、どれも法律に触れてないから、誰にも文句を言われるスジアイはない。だから、あたしは、小学生が株をやってることに対しても、文句を言ってるんじゃなくて、「異常だと思う」って言う感想を述べてるだけだ。ま、他人のことだからどうでもいいし、自分の子供をイノシシみたいな犯罪者に育てたいと思うのは、親の勝手だろう。

‥‥そんなワケで、あたしは、「グリーンデイ」が大好きなんだけど、グラミー賞の最優秀レコード賞をはじめ、数々の賞を獲りまくってるグリーンデイは、大っ嫌いだ‥‥って言うか、パンクバンドなんかにグラミー賞を与えるファッキンな世の中が大っ嫌いだ。そして、そんな腐った賞なんかをありがたく受け取ってるグリーンデイが嫌いだ。アカデミー賞に対するラジー賞みたいに、グラミー賞の正反対の「今年一番ファッキンなくそったれレコードに贈る賞」みたいなのがあって、それをグリーンデイが受賞したってのなら、大喜びで受け取ればいいし、そしたら、あたしは、グリーンデイをますます大好きになる。だけど、グラミー賞の最優秀レコード賞だなんて、あまりにもカッコ悪すぎる。こんなもん、バカなラッパーとかにやっときゃいいのに‥‥。そして、グリーンデイは、当然、受賞を拒否するのかと思ってたら、大喜びで受け取りやがった。これには、全世界のファンがヒザカックンになっちゃったハズだ。

1976年にデビューした「セックスピストルズ」は、連日、新聞の一面で、ボロクソに叩かれ続けた。テレビでも、週刊誌でも、メチャクチャに叩かれ続けた。今のニポンのネット右翼と同じに、「愛国」って意味を根本的にカン違いしてるバカどもから、テッテーテキに叩かれ続けた。セックスピストルズの悪口を書くこと、言うことが、「愛国」のステイタスのようなバカゲた風潮が巻き起こり、30ヶ所のツアーを組んでも、そのうちの27ヶ所からキャンセルを食らった。そして、残りの3ヶ所のステージに立てば、客席からビール瓶が投げつけられた。ピストルズのライブをぶち壊すために、低脳な右翼が観客の中に混じっていたからだ。だから、ピストルズのメンバーは、そいつらと乱闘しながらライブを続け、一般のファンたちは、演奏だけじゃなく、その乱闘にもコーフンした。

権威ある音楽雑誌は、こぞって、「聴くに耐えないほどヘタクソ」「あんなものは音楽じゃない」って、ボロクソに書き続けた。どのレコード会社も、ピストルズとの契約を嫌がり、やっと契約しても、すぐに問題を起こして契約を破棄された。一番ひどかったのは、ようやく大手のレコード会社との契約にこぎつけたってのに、その契約の席に、ベロベロに泥酔したメンバーが現われ、その席をメチャクチャにしちゃって、「小切手をくれてやるからトットと帰ってくれ!」と叩き出されたこともあった。そして、ファーストアルバム「勝手にしやがれ!」をリリースするまでに、いくつものレコード会社を渡り歩き、数え切れないほどの事件を起こし、音楽として「最低最悪」と言われ続けただけじゃなく、社会問題としてもボロクソに罵倒し続けられたピストルズ。だけど、そのピストルズのレコードは、ロッド・スチュワートよりも、エルトン・ジョンよりも、遥かに売れ続けた。チャートでは、常に1位を独走し、多くの若者たちに支持された。

あたしは、これこそが、パンクバンドだと思う。もしも、この時、セックスピストルズが、グラミー賞の最優秀レコード賞を受賞したとしたら、メンバー全員がベロベロに泥酔した状態で会場に現われて、テレビカメラに向かって放送禁止用語を連発し、プレゼンターに抱きついて暴言を吐いてから、トロフィーを叩き壊して帰って来ただろう。

‥‥そんなワケで、もっと詳しく言えば、セックスピストルズなんて、ちゃんとしたバンドじゃなくて、プロデューサーでマネージャーのマルコム・マクラレンによって作られた虚構のヒーローだった。メンバーたちにデタラメな行動を取らせたのも、すべてはマクラレンによる巧妙な宣伝で、これによって、ピストルズの伝説は作られて行った。だから、「ビートルズが好きだ」って発言したベースのグレンは、この発言が原因で、ピストルズをクビにされた。反社会的なスタイルを売りにしたバンドのメンバーとしては、ビートルズなんて優等生の音楽を好きだなんてことは、口が裂けても言っちゃいけなかったのだ。

そして、マクラレンが、グレンの代わりに加入させたシドは、ほとんどベースが弾けなかったけど、見た目が「いかにも悪そうだ」って理由で選ばれてる。つまりは、ピストルズ自体が、マクラレンによって作られた虚構のアイドルだったってワケで、ジャニタレやモーウザイ娘たちと何ら変わらない。だけど、ひとつだけ違ってたことは、ホントに悪いヤツラを集めて、テッテーテキに悪いことをさせてたってことだ。だからこそ、たった1年ちょっとで解散しちゃったワケだし、シドは死んじゃったワケだし、ジョンは今でもバカなことをやり続けてるってワケだ。

妊娠させた彼女を強制的に中絶させたり、未成年なのにタバコやお酒はやりたい放題、夜な夜な男のマンションに行ってセックス三昧なら、セックスピストルズみたいに、「悪いアイドル」として売り出せばいい。それだったら、あたしは、ジャニタレもモーウザイ娘も認めてやる。だけど、こいつらは、見えないとこじゃ悪いことをやりまくってるクセに、テレビに出て来た時だけ優等生アイドルをやってるから、見ててムカツクのだ。やるんだったら、ゆうこりんみたいに、テッテーテキにキャラを作って、どこで誰に見られてもいいように、24時間体勢で常にアイドルを演じてろ!

社会から罵倒されてナンボのパンクバンドが、グラミー賞なんかもらってニコニコしちゃったり、社会の闇の部分であるハズのギャンブルが、堂々と市民権を得ちゃったりって、まるで世の中のすべてが、巨大な広告代理店の力によって、大掛かりな印象操作をされてるみたいになって来た。挙句の果てには、政府と企業とホニャララ団がベッタリと癒着して、人の命まで奪って、沖縄にカジノを作ろうだなんて、とても正気の沙汰とは思えないようなデタラメが平然とまかり通ってる。そして、何よりも怖いのは、こんな異常なことが行なわれてるのに、それを異常なことだとは思わない人間ばかりになっちゃったってことだ。

タバコにしたって、中学生や高校生の時に、学校のトイレや屋上で隠れて吸ってたから、ドキドキして楽しかったワケで、成人した今、ちゃんとした喫煙場所で吸ってても、あのころの味はしない。パチンコにしたって、コソコソと隠れて行くから楽しいんであって、そりゃあ、レディースデーやレディースコーナーはありがたいけど、あまりにも健全さをアピールしすぎてるパチンコ屋さんは、敬遠したくなる。それは、ギャンブルの持つ不健全さが楽しめなくなるからだ。焼酎にしたって、あたしは、お金が無いけど酔いたくて、それで飲んでるのに、1本5000円だの1万円だのなんて言う幻の焼酎とかが出て来ちゃって、その上、焼酎のウンチクを傾けるような、うっとうしいヤツラまで増殖して来ちゃった日にゃあ、せっかくの酔いも醒めちまう。

タバコに関してだけは、ヤタラと悪いものだって言う社会的風潮が広まって来たけど、反対に、ギャンブルに関しては、国をあげての優遇ぶりで、不健全さなんかまるで無くなっちゃった。これも、自民党のカジノ計画のための定石作りなんだろうけど、ギャンブルってのは、いくら法律で認められてるものでも、コソコソと行って、なんか悪いことをしてるみたいな気分でやるから楽しいんであって、南の島で明るく健全なギャンブルだなんて、ふざけるのもタイガイにしろ! そこまでして、国民の身ぐるみを剥がしたいのか?

‥‥そんなワケで、あたしの感覚で言えば、20代の女性が、競馬だのパチンコだの株だののギャンブルをやってたり、居酒屋さんで焼酎を飲んでたりすることが、「普通」のことじゃなくて、やっぱり「おやじ臭い」って思われるような世の中こそ、マトモなんだと思う。若い女性が、「趣味はゴルフです」って言ったら、周りから笑われちゃうような世の中こそ、マトモなんだと思う。若いOLが、お昼休みにスポーツ新聞を読んでたら、同僚たちから笑われちゃうような世の中こそ、マトモなんだと思う。だって、どう考えたって、ギャンブルとか、焼酎とか、ゴルフとか、スポーツ新聞とかって、思いっきりおやじ臭いんだもの。だから、あたしは、おやじ臭いものをムリヤリにオシャレにするんじゃなくて、おやじ臭いものはおやじ臭いものとして、堂々と楽しんで行こうと思う。なんたって、おやじ臭いものを女性がやるからこそ楽しいんだし、これこそが、パンクの精神だと思う今日この頃なのだ。


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