きっこ文体の確立
最近、チマタのスミッコのハシッコのほうで、「きっこ文体」ってのが流行ってるらしい。ようするに、あたしの文体をマネしてブログを書いたり、日常会話の中に取り入れてみたりってことらしいんだけど、特に多いのが、夫婦とか恋人同士とかが、2人とも「きっこの日記」を読んでる場合に、多いみたいだ。たとえば、カノジョがおへそを曲げちゃった時とかに、カレシが、「最近、ゴキゲンナナメみたいな今日この頃、○○さん、いかがお過ごしですか?」って言うと、カノジョのほうは、「‥‥そんなワケで、あたしは、サマンサのバッグを買ってくれれば、ゴキゲンが直るのだ!」とか言って、それを聞いたカレシは、すかさず「おお〜っ! ビックル一気飲み〜っ!」って言うらしい。
だけど、ブログならともかく、コレって話してる言葉だから、「文体」って言ってもいいのかな? でも、あたしの文体って、基本的には話し言葉風味で書いてるワケだから、ま、いっか‥‥ってワケで、いつかは、MAXの玲奈ちゃんが、テレビで「ビックル一気飲み〜っ!」って言ってくれることを期待しつつも、スポンサーがサントリーの番組じゃないとヤバイから、事前に要チェキって感じだろうな。あとは、児島玲子ちゃんが、釣りの合間に栄養ドリンクを飲んだりするけど、アレをビックルでやってくれたら嬉しいな。でも、あの栄養ドリンクって、魚聖さんが準備してってるような感じだから、魚聖さんに「次回はビックルでよろしく!」ってお願いしとかないとダメだろうな。
で、ブログのほうはどうかと思って、試しに「ビックル一気飲み」で検索してみたら、ナナナナナント! それこそビックル一気飲みしちゃうくらい、たくさんヒットした! もちろん、この「きっこの日記」もいっぱい含まれてたけど、ぜんぜん知らない人たちが、あちこちで「ビックル一気飲み」を使ってた。中には、「ビックル一気飲みしちゃうくらいリトル驚いた」なんて言う間違った使い方をしてる人もいて、思わず、イエローカードを出しそうになった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、この「きっこの日記」は、あくまでも、あたしの個人の日記だし、あたしの好きなことや気になったことをつれづれに書くためのツールであって、間違ってもジャーナリズムなんかじゃないし、新聞記事や大学の卒論でもない。だから、真面目な話題の時とかは、それなりに硬い文体になるけど、それ以外の場合には、極めて話し言葉に近い感覚の「きっこ文体」になる。何でかって言うと、この文体なら、どんなに長文でも疲れない上に、しゃべってるのと同じくらいのスピードで打てるからだ。
とは言っても、あたしは、ふだんから、「そんなワケで」とか、「ビックル一気飲み」とか言ってるワケじゃなくて、この「きっこ文体」は、長いこと日記を書き続けてるうちに、少しずつ出来上がって来たもので、ようするに、この日記の中だけの「話し言葉風味の書き言葉」って感じなのだ。だから、書いてるあたしもラクだけど、読んでる人も、ワリとラクだと思う。
文体って、ホントに不思議なもんで、堅苦しくてつまんない文体だと、たった数行読んだだけでも、もう読むのがイヤになって来る。だけど、ラクに読める文体だと、本1冊をアッと言う間に読めちゃう。そして、カンジンの内容は、全文を読まなくちゃ分かんない。つまり、どんなに素晴らしい内容だったとしても、文体が堅苦しくてつまんなかったら、最後まで読んでもらえない可能性が高くなって、結局は、その素晴らしい内容も伝わらないってことになる。逆に、ロクでもない内容でも、ラクに読める文体だったら、読み始めた人は、つい最後まで読んじゃう。コレが、「きっこの日記」の秘密だったりする‥‥かも知れない。
‥‥そんなワケで、今回は、同じ内容でも、文体によってどれほど変わるのかってことを実験してみようと思う‥‥とは言っても、あたしは、堅苦しくてつまんない文体の本は読まないから、ラクに読める文体の中での比較ってことになっちゃうけど、自分で思いついたワリには面白そうなので、さっそく全身タイツに着替えて、実験くんをしてみようと思う。
で、色々と考えた結果、この「きっこの日記」には、お色気が足りないから、できるだけエッチなシーンってことで、男女のセックス描写を書き比べてミルコ・クロコップにした。まずは、見本として、セックス描写と言えば、この人、山田詠美風味で書いてみる。
アルコールとコカインで虚ろな目をしたジョーは、その黒くて臭い巨体を雨に濡れた重い皮ジャンのように突然私に覆いかぶせて来た。
「NO!やめてよジョー!」
「アグリーなジャップのくせに黙ってファックさせろ!」
「やめて!やめてよ!」
私は思い切りジョーのみぞおちに蹴りを入れた。
「OH!SHIT!俺のディックがお前のプッシィを欲しがってるんだ!」
「それなら勝手に強姦しなよ!」
私はジョーに背中を向けて覚悟を決めた。壊れかけたスピーカーからセロニアス・モンクのピアノが雨音のように流れていた。
‥‥って、こんな感じだ。山田詠美の文章の特徴は、句読点が異常に少ない‥‥って言うか、山田詠美は、最小限の句読点しか使わない。あたしは、句読点マニアだから、物理的な部分としては、ココが大きく違う。あとは、とにかく「コカイン」だとか「マリファナ」だとか「ファック」だとか「SHIT!」だとか「ガッデム!」だとかをジャンジャン使っとけば、山田詠美っぽい文章になる。そして、これが、内田春菊だと、こんな感じになる。
さち子がテレビを見てたら、いつものようにたか士がうしろから抱きついてきた。スカートの中に入ってきたたか士の指は、さち子の肉付きの薄い性器の入り口を左右に広げ、ゆっくりと指を動かしはじめた。さち子は一瞬体を硬直させたあと、自分の性器が濡れていくのを感じた。
「おい、すごいな、びしょびしょだぜ」
「ああ‥‥」
「びくんびくんしてるなあ」
「ああん‥‥びくんびくんしてるのお‥‥」
「これはこれはこれはこれは‥‥」
「さすがさすがさすがさすが‥‥」
さち子はここで初めてたか士の顔を見た。そしたらたか士じゃなくて満雄だった。いったいぜんたい、何なのあんた!? 隣りの部屋のつけっぱなしのテレビから、ナンシー関のナンシー体操がどすんどすんと聞こえて来た。
‥‥って、こんな感じだ。内田春菊の文章の特徴は、ヒトコトじゃ言えない。それは、内田春菊って、書くテーマによって文体を使い分けるのが巧いからだ。同じセックス描写でも、放送禁止用語を連発してるエロエロのもあれば、ギャグ満載のもある。だから、今回は、前半をエロモードの内田春菊、後半をギャグモードの内田春菊で書いてみた。で、続いては、リトル趣向を変えて、テレビの2時間サスペンスの原作でオナジミの山村美紗風味で行ってみる。
ここは、東京湾を一望するお台場のホテルの一室。恋人同士の浜口一郎とキャサリンは、夏の短い休暇の最後の日を過ごしていた。キャサリンが目を覚ますと、突然、浜口が抱きついてきた。
「キャシイ、君を愛しているよ」
「イエス。私もよ、イチロー」
浜口は、キャサリンにキスをしながら、彼女の腰に腕をまわした。そのとき、キャサリンは、ベッドからするりと腕をのばし、大きなバッグから時刻表を取り出した。
「えーと、午後の約束までに京都に戻るには、10時6分発のひかり407号に乗れば12時43分着、10時13分発ののぞみ49号に乗れば12時33分着だから、このどちらかに乗らないと間に合わないわ。イチロー、こうしてはいられないわ」
キャサリンは、浜口の体をはねのけると、ベッドから飛び起きた。浜口は、苦笑しながらテレビをつけた。
‥‥って、こんな感じだ。山村美紗は、山田詠美や内田春菊のように気分で句読点を使ってるんじゃなくて、きちんと正しく使ってる。だけど、文学的な描写はほとんどなく、必要なことだけを事務的に書いてるだけなので、ものすごくブッキラボーだし、何かの書類を読んでるような気持ちになって来る。他の作家なら、この最後の「浜口は、苦笑しながらテレビをつけた。」のあとに、「晩夏の眩しい日差しが、真っ白なカーテンに乱反射していた。」とか何とか、それっぽい一節を付け足して、余韻を演出するとこだけど、山村美紗の場合は、そう言うことは絶対にしない。悪く言えば、時間を掛けずに書きっぱなしにしてるって感じだ。だから、カンジンの殺人の謎解きの部分にも、ツジツマの合わない部分とか、すごくムリを感じる部分とかが、時々ある。
‥‥そんなワケで、あたしは、書くことが大好きだし、だからこそ、毎日こんなに長い日記を休まずに書いてるワケだけど、いくら書くことが大好きでも、それだけじゃ続けられない。何と言っても、あたしが書き続けられてる一番のポイントは、自分がラクに書ける文体を使ってるからだと思う。だから、あたしは、「きっこ文体」の確立を目指して、これからもビックルを飲みながら、書き続けて行こうと思う今日この頃なのだ。
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