メーカーのための電気用品安全法
障害者やお年寄り、病人や低所得者など、社会的弱者にばかりに痛みを押しつけ、ひと握りの人間だけがいい思いをする社会、格差の広がる社会へ向けて、一心不乱に暴走し続ける整備不良のポンコツ機関車、「コイズミ・エキスプレス」は、数にモノを言わせた独裁政治で、次々と悪法を可決して行く。そして、何よりもワンダホーなのが、その悪法のネーミングだ。去年の12月3日に、インチキマンション問題や狂牛肉問題のドサクサに紛れてコッソリと可決したのが、史上最悪の「障害者自立支援法案」だけど、この名前だけを見ると、まるで障害者たちの自立を支援するための素晴らしい法案のように思えちゃう。それなら、何で、全国の障害者やその家族たちが、声を嗄らして涙の訴えをしたのか。ようするに、法案の名前と中身とが正反対のものだからだ。もちろん、聞く耳を持たない独裁者コイズミは、これらの声をすべて無視して、この悪法をムリヤリに通したワケだけど、これによって、数え切れないほどの障害者たちが、生きて行くすべを失い、絶望の淵に立たされた。
そして、今度は、またまたワンダホーなネーミングの悪法、その名も「電気用品安全法(PSE法)」が、3月末で猶予期間が終わるために、有無を言わさずに4月1日からムリヤリ施行される。これまた、名前だけを見ると、国民を守るために作られたように感じちゃうけど、この悪法によって利益を得るのは、大手の電化製品メーカーや輸入業者だけで、国民には、そのシワヨセが怒涛のごとく押し寄せるのだ。これが、どんなにファッキンな悪法なのかって言うと、チョー大ザッパに説明すると、「中古の電化製品の売買を禁止する」ってことで、フランク・ザッパの娘のムーン・ザッパに言わせれば、「え〜っ!うっそぉ〜っ!ホントぉ〜?」って感じで、思わず「娘十七売春盛り」を歌い出しちゃうくらいのトンデモ法なのだ! なのだったら、なのなのだ!‥‥なんて、バカ田大学の卒業生ですら呆れ果てちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、中古の電化製品の売買を禁止されると、大きく分けて2つの実害が出る。それは、販売者側の害と消費者側の害だ。たとえば、リサイクルショップとかは、当然、中古の電化製品を販売できなくなるワケだから、電化製品専門のリサイクルショップとかは、完全に商売ができなくなる。そして、とても新品の電化製品なんか買えないあたしみたいな貧乏人は、今まではリサイクルショップとかで中古の冷蔵庫や洗濯機を買ってたのに、もう買えなくなる。それどころか、お金に困った時に、CDラジカセとかをリサイクルショップに売りに行ったりしてたのに、それもできなくなる。だから、消費者が電化製品を買う場合には、新品しか買えなくなるワケで、これによって得をするのは、電化製品メーカーや輸入業者だけってことになる。まあ、これは、あたしみたいにお金の無い人が困るだけで、お金持ちはバンバン新製品を買えばいいんだから、国民の格差を広げたいコイズミ内閣の方針としては、理にかなった法律ってことになる。
だけど、この悪法のもたらす害は、これだけじゃないのだ。中古のギターアンプやシンセサイザー、オーディオ機器やAV機器などの売買も禁止されるから、お金が無いけど音楽をやりたい若い子たちが、中古の安いギターアンプやシンセサイザーを買えなくなるだけじゃなくて、すごく価値のあるヴィンテージ物のギターアンプやオーディオ機器までが、売買できなくなる。つまり、プレミアムがついてて高くなってても、古いギターアンプならではの音を楽しみたいマニアや、古いオーディオでクラシックやジャズを聴くのが好きなマニアも、もう、欲しい機器が買えなくなるのだ。細かく言うと、中古の電化製品だけじゃなくて、新古品、つまり、誰も使ってない新品のまま、ずっと置いてあった古い電化製品の売買も禁止されるため、いわゆる「ヴィンテージ物の新古品」て言うもっとも価値のあるものさえ、売買ができなくなる。さらには、この悪法は、「売買」だけが禁止になるんじゃなくて、「修理」も禁止って言う、あまりにもトンチンカンなものなのだ。つまり、現在、ヴィンテージ物のオーディオを持ってて、それで音楽を楽しんでる人たちも、ターンテーブルやアンプが壊れたら、もう修理に出すことができなくなるってワケだ。
だから、何百万円もするヴィンテージ物のオーディオなんかには無縁のあたしにしたって、今、あたしの家で使ってる電化製品が、どれも修理に出せなくなる。リトル詳しく説明すると、電化製品の種類によって、施行までの猶予期間が、5年、7年、10年の3つに分かれてる。たとえば、テレビや冷蔵庫や洗濯機は5年、クーラーやホットプレートは7年とかって勝手に決められてて、この「電気用品安全法」って言う悪法がスタートしたのが、コイズミ内閣のスタートと同時の2001年4月だから、今月いっぱいで5年の猶予期間が終わるってワケで、つまり、4月1日を過ぎたら、テレビや冷蔵庫や洗濯機は、修理もしてもらえなくなるし、リサイクルショップで中古を買うこともできなくなるってワケだ。だけど、猶予期間が7年のクーラーやホットプレートなら、あと2年は大丈夫ってことなのだ。ま、どっちにしても、勝手に決められたこれらの猶予期間を過ぎたら、リサイクル品も買えなくなるし、使ってる電化製品が壊れても電気屋さんが修理してくれなくなるから、新品を買うしかなくなるのだ。リサイクル品の売買を禁止して、壊れた製品の修理すら禁止して、電化製品が欲しいなら新品を買えだなんて、こんな法律、どう考えたって、メーカーのために作った法律じゃん。
だけど、こんな法律なんか誰も納得しないだろうから、政府は、ものすごいズルイことをしてる。表向きだけは、中古の電化製品を販売することができるってことにしてあるのだ。何が「表向きだけは」なのかって言うと、中古の電化製品を販売したい場合は、販売業者が経済産業省に申請して、経済産業省の決めた検査方法に基づいて自分で検査した上で、「この電化製品を販売したことによって何か問題が発生したら全責任をとります」ってことを約束した上で、「PSEマーク」をもらって電化製品に貼って、やっと販売できる。当然、申請や検査に掛かる費用は、全額、販売業者が負担するワケだし、販売した商品で事故が起きたとしたら、その電化製品のメーカーじゃなくて、販売業者が全責任を負わされるってことだ。こんな法律にされたら、1000円のトースターや3000円のテレビ、5000円の冷蔵庫や洗濯機を並べて売ってるようなリサイクルショップは、ひとつひとつの商品を自費で検査した上に、何かあった時には全責任を負わなくちゃなんないんだから、とても商売なんか成り立たなくなるだろう。つまりは、現実的にはアリエナイザーな、表向きだけのゴマカシってワケだ。
で、どうしてこんなバカげた悪法を政府がゴリ押ししたのかって言うと、何から何まで「官から民へ」って言う無責任改革のタマモノで、今までは国が責任を持って行なってた電化製品の安全基準を民間へ丸投げしたってワケなのだ。ようするに、電化製品の製造メーカーや輸入業者は、自己申請するだけでいいんだけど、それ以外の販売業者は、自己責任で民間検査をして、自己責任で国の有料認定を受けて、自己責任で販売しろ。この手続きさえ踏めば、何を売っても構わないけど、何か問題が起こったり事故が起こっても、国はいっさい責任は持たないから、自己責任で処理してくれ‥‥ってことなのだ。コレって、なんだか、インチキマンション問題をホーフツとさせる匂いを感じるんだけど‥‥。
‥‥そんなワケで、ニポンの環境と生態系を破壊し続けてる環境破壊大臣の小池百合子は、「もったいない」って言うニポン語を世界に広めて、モノを大切にする運動をやってるそうだ。小池百合子は、「私はものを大切に最後まで使い切ることを徹底しています。鉛筆ももてなくなるくらいまで使います。」と前置きして、「20世紀は、大量生産、大量消費、大量廃棄の時代でしたが、21世紀は、『3R』で、どうやって資源を有効に使うか、日本の美徳である『もったいない』へと意識回帰と改革をしていくことが大切です。」ってノタマッてる。ちなみに、この「3R」ってのは、資源の無駄づかいを無くしてゴミを減らす「Reduce」、使えるものを再使用する「Reuse」、資源を再生利用する「Recycle」のことなんだけど、この「3R」を「もったいないの精神」として、推進して行くって言ってる。
ま、小池百合子が言ってるだけならいいんだけど、ナナナナナント! コイズミまでもが、去年の7月にイギリスで開催された「主要国首脳会議」の場で、各国の首脳に対して、この「もったいないの精神」を小池百合子の受け売りで提唱してたのだ。ヨソの国の首脳たちには、いかにも自分たちがモノを大切にしてるかってことをアピールしといて、やってることは、「中古の電化製品の売買と修理の禁止」だってんだから、単なるソトヅラ外交じゃん。他国に向かって「リサイクル」を訴えてる総理大臣が、自国じゃ「リサイクルショップ」を潰す法律を推進してるなんて、これぞ、コイズミの真骨頂、無責任全開のプップクプーだ。どんなに立派なことを言ったって、やってることが正反対じゃ、何の意味も無いどころか、単なるペテン師じゃん。
必要の無い電化製品を持ってる人たちが、それをリサイクルショップに売りに行き、新品の電化製品を買えない人たちが、リサイクルショップでそれを買う。長年、愛用して来た電化製品が壊れたら、それを修理して、大切に大切に使う。これこそが「3R」じゃないの? これこそが「もったいないの精神」じゃないの?
サラリーマンや低所得者を実質増税して、大企業やお金持ちを優遇するコイズミ改革の暴走は、とどまることを知らないワケだけど、今度は、新品の電化製品を買うお金の無いあたしたちに対して、古い電化製品を修理して使い続けることさえも禁止したのだ。不要な電化製品は、どこかに売ったら法律違反で、まだ使えるのにゴミとして捨てなきゃならない。壊れた電化製品は、電気屋さんに修理してもらうと法律違反で、ゴミとして捨てなきゃならない。その上、ゴミとして捨てる時には、何千円もの処分代を払わされる。こんなことの、どこが「もったいないの精神」なんだろう? それとも、「障害者自立支援法」や「電気用品安全法」のネーミングと同じで、この「もったいないの精神」てのも、「物をもったいないと思う精神」じゃなくて、「人からもったいないと思われるような精神」てことなんだろうか?
‥‥そんなワケで、あまりにも企業寄りの、このトンチンカンな悪法に対して、数多くのミュージシャンたちが反対運動を起こしてる。電気楽器、電子楽器、ギターアンプ、レコーディング機器、テープレコーダー、ターンテ ーブル、ステレオアンプ、PA機器など、すべてが、この悪法の対象になってるため、プロ、アマ問わずに、ミュージシャンにとっては、音楽活動そのものに支障をきたしちゃうからだ。それで、JSPA(日本シンセサイザープログラマー協会)の松武秀樹会長の呼びかけに、坂本龍一や高中正義をはじめとした数々のミュージシャンや文化人たちが賛同して、対象機器の規制緩和をお願いする署名活動をしてる。だから、この悪法によって、あたしみたいに生活そのものが圧迫されちゃうって人も、お金は持ってるけどヴィンテージ物の音響機器が買えなくなると困るって人も、純粋に音楽を愛してるって人も、リサイクルショップや中古機器販売をナリワイにしててマジで困ってる人も、皆さん、署名にご協力を!‥‥ってワケな今日この頃なのだ。
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