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2006.03.31

人命より重い警視庁のメンツ

Pipo
昔から、「人の噂も75日」って言われてるけど、どんなに大きな事件であっても、たいていは、2~3ヶ月もすれば、世の中の興味は薄れて行く。その事件の被害者とか当事者にしてみれば、まだまだ続いてる問題なのに、世の中の興味は、新しく起こった事件のほうへと移ってしまう。あれほどニポン中を騒がせた「耐震偽装問題」にしても、何ひとつ解決してないのに、世の中からは忘れ去られようとしてる。数多くの被害者たちも、とんでもない悪徳企業の加害者どもも、そして、その悪徳企業と癒着して、やりたい放題だった自民党森派の守銭奴議員どもも、何ひとつ変わらない状態だってのに、事件は忘れ去られて行く。伊藤公介の問題も、安倍晋三の疑惑も、すべてウヤムヤになって行く。

ま、安倍晋三の場合は、ヒューザーをはじめとした建設業界との癒着の他にも、家族ぐるみで熱心に信仰してるイカレタ洗脳宗教の問題もあるし、地元のホニャララ団との癒着の問題もあるし、沖縄開発計画に絡んだ数々の企業との癒着の疑惑も浮上してるし、ある照明機器メーカーからの闇献金疑惑も浮上してるし、ツッコミどころが満載なので、もう逃げ場は無いだろう。だけど、伊藤公介に関しては、耐震偽装問題でツッコミを入れとかなかったら、あとはショボイ献金問題くらいしか出て来ないから、あのハムスター野郎をとっちめるためには、耐震偽装問題を忘れるワケには行かないのだ。

で、3月28日の朝5時すぎに、姉歯元建築士の奥さんが、自宅の近くのマンションの7階から、飛び降り自殺をした。このニュースを聞いて、多くの人が、「そう言えば、耐震偽装問題って、どうなってるのかな?」って思ったハズだ。そして、姉歯元建築士にしても、ヒューザーにしても、木村建設にしても、総合経営研究所にしても、未だに何の処罰もされてなかったってことを知って、「いったい、警察は何をやってんだ?」って思ったハズだ。だけど、これには、警察の呆れ果てた実態があった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、優秀なる警視庁は、湯水のように税金を使った去年の12月20日の一斉捜査から、人の噂も75日どころか、すでに100日も経ってるってのに、まだ、姉歯元建築士ひとりさえ立件していない。あたしたちの血税を何十億円も使ってるクセに、いったい何やってんの?って感じだけど、これは、警視庁生活安全部のオハコ、「功利主義」によるものなのだ。警視庁は、姉歯元建築士を「建築基準法違反」で立件するのなら、いつでもできる。だけど、たかだか「50万円以下の罰金」なんて言う法律で逮捕しても、全国からブーイングの嵐が巻き起こる上に、警察の無能さをさらけ出すことになっちゃう。だから、警視庁としては、何としても、罪の重い「詐欺」で立件したいってワケだ。

そして、警視庁生活安全部が狙ってるのは、姉歯元建築士と、ヒューザーの小嶋進と幹部数名、木村建設の木村盛好と幹部数名、そして、数社の設計事務所の社長などを同時に、詐欺罪で逮捕することなのだ。そのため、なかなか全員の逮捕状をそろえられない。そして、総合経営研究所に関してだけは、警視庁じゃなくて、国税局が叩くことになってる。ようするに、警察が扱っても大した罪には問えないので、国税局に委ねて、会社や個人の資産を差し押さえるって方式に切り替えたそうだ。全員でグルになって、悪事の限りを尽くして来た会社なのに、A社とB社は警視庁、C社は国税局って言う扱いだから、捜査がなかなか進まないってワケだ。

だけど、警視庁がどんなやり方をしたって構わないけど、たったひとつだけ根本的に間違ってるのは、姉歯元建築士に対するやり方だ。警視庁は、自分たちの無能さをゴマカスためと、世間に対するアピールのためと、お得意の功利主義を実践するために、今日にも姉歯を逮捕する、明日にも姉歯を逮捕するってノリで、マスコミをたきつけながら、実際には、逮捕を先へ先へと延ばし続けて来た。何としてでも「詐欺」で逮捕したいからって、ズルズルと逮捕を先延ばしにして、結局、そのプレッシャーが、自宅にひとり残されていた奥さんへの重圧となって行ったのだ。

姉歯元建築士は、自宅にはまったく帰らず、最初はあちこちのホテルに泊まってたけど、お金も無くなって来て、今はウイークリーマンションを転々としている。そして、2人の息子は、ともに成人してるのに、2人ともフリーターだそうだ。息子たちは、自宅へは深夜に寝に帰るだけで、朝から夜遅くまで自宅にいたのは、奥さんひとりだったそうだ。この奥さんは、数年前から「うつ病」のような症状があり、精神科の病院に入退院を繰り返していた。姉歯元建築士が、国会の証人喚問で、「病気がちの妻が入退院を繰り返していたので、偽装を断れなかった」って証言してたけど、これはホントのことだった。2人の息子は、この母親のことを疎ましく思っていて、今回の事件が起こる前から、疎遠な関係だったそうだ。だから、奥さんの病院代などは、姉歯元建築士がひとりで稼ぐしかなかった。

でも、姉歯元建築士にしたって、証人喚問の時には、「ヒューザーの物件から偽装を始めた」って言ってたけど、実際には、その前から偽装をしてたワケで、こんなヤツの言うことを鵜呑みにはできない。「病気がちの妻が入退院を繰り返していたので~」ってセリフにしたって、真実であったとしても、少しでも心象を良くしようと思っての発言に決まってる。だけど、姉歯元建築士が、どんな心づもりで、この発言をしたかってことは置いといて、現実だけを見てみれば、奥さんが入退院を繰り返してたってことは事実だし、そのために多額のお金が必要だったってことも事実なのだ。

そして、今回の事件が起こり、姉歯元建築士は自宅に帰って来れなくなり、2人の息子とも、さらに疎遠になった奥さんは、たったひとりで、この重圧に耐え続けて来た。2月の時点では、スポーツ紙などのインタビューを受けていて、やつれた様子だったとは言え、ちゃんと受け答えをしていたので、極限までひどい状態じゃなかったと思う。だけど、3月に入ってからは、どんどん病状が悪化し、食事やトイレなどの日常的なことすら、ひとりではできない状態になってしまった。これは、どこも報じていないことだけど、奥さんは、トイレに行くこともできなくなり、大人用の紙オムツをはかされていた。そして、紙オムツをはいて、パジャマのまま、何も分からないような状態で、あちこちを徘徊していたのだ。奥さんが、こんな状態になってしまっても、自宅に帰って来ることのできない姉歯元建築士、そして、深夜にしか帰って来ない2人の息子。奥さんは、入院するお金などなく、日々、たったひとりで苦しみ続けていたのだ。

奥さんの遺体は、搬送先の病院に駆けつけた息子が引き取って行ったって言われてるけど、昨日までの時点では、葬儀場に家族の姿は無かった。遺族が誰も来ないため、遺族に代わって、葬儀場の係員がお線香の管理をしている。そして、奥さんの亡骸は、誰にも見送られることもなく、ただ荼毘にふす日を迎えようとしている。何よりも気の毒なのは、この葬儀の申し入れが、姉歯家からではなく、奥さんの実家の父親から出されているってことだ。嫁がせた娘が、自殺と言う最悪の最期を迎えたって言うのに、ダンナの他に、成人した息子が2人もいるって言うのに、何が悲しくて、実家の父親が葬儀を出さなくちゃならないんだろう。

‥‥そんなワケで、警視庁は、姉歯元建築士に対して、当初は「詐欺で行ける」って踏んだワケだけど、一斉捜査で押収した資料の中には、詐欺罪を立件できるだけの証拠が何ひとつ見つからなかった。そりゃあそうだ。一斉捜査の日時を事前に知らせて、何週間も証拠を隠す時間まで与えて、それからガサ入れなんかしたって、有力な証拠なんか出て来るワケがない。だけど、大々的にガサ入れをやった以上、今さら、微罪なんかで逮捕できないから、姉歯元建築士の自宅だけ、もう一度、ガサ入れをしたけど、それでも何も出て来なかった。それで、結局、今さら建築基準法違反なんかじゃ逮捕できないし、だからって、詐欺じゃ立件できないし‥‥って言うジレンマの中、逮捕する、逮捕するって言う情報ばかりをマスコミに流し続け、時間稼ぎをして来たってワケだ。警視庁が、点数稼ぎや時間稼ぎなどせずに、姉歯元建築士をしかるべき時期に逮捕し、しかるべき処分を下していれば、こんなことにはならなかっただろう。逮捕する、逮捕すると言いながら、3ヶ月以上も延ばし延ばしにして来たことが、奥さんにとって、どれほどの重圧だったのか。どこにも逃げ場などなく、たったひとりで自宅を守っていた奥さんにとって、マスコミを通して聞かされ続けて来た様々な情報が、どれほどの重圧だったのか。それらの重圧から解放される手段は、もはや、自らの命を絶つことしかなかったんだろう。あたしは、これは、極端な言い方をすれば、警察とマスコミによる殺人なんじゃないかって思う今日この頃なのだ。


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