染井吉野から山桜へ
明日の東京のお天気は、「曇り時々雨」で、花散らしの雨になりそうだから、今日、多摩川の土手の桜を見に行って来た。土手沿いの「玉堤通り」は良く使うので、車の運転をしながらは眺めてたんだけど、今年は、まだ、歩いてのんびりと見に行ってなかったので、午後から行って来た。だけど、夕方からお仕事の打ち合わせがあったので、お酒を飲むワケにもいかないから、小ペットボトルにお茶を入れて、ブラブラと行って来た。
土曜日なので、いつもよりは人はいたけど、それでも、上野公園や井の頭公園や昭和記念公園みたいに、酔っぱらってバカ騒ぎをしてるような無粋な連中はいなかったから、静かに桜を愛でることができた。桜並木に沿って、土手の上の道を10分ほど歩いて行くと、あたしの一番好きな桜の木がある。他の木よりも、ふたまわりほど大きくて、風格が違う。あたしは、土手の上からその木の見下ろして、今度は、土手を下りて行って、下から見上げた。やっぱり、桜は見上げるほうがキレイだけど、ずっと見上げてるのは首が疲れちゃうから、ちょっと離れたとこに腰を下ろして、ボケーッと見てた。そしたら、おばあさん‥‥って言っても、ニポン的なおばあちゃんじゃなくて、オシャレな洋装のおばあさんが、あたしのとこにやって来て、話しかけて来た。
「あなたもこの桜が好きなの?」
「はい」
「私は、子供のころから、毎年この桜を見に来ているのよ」
「そうなんですか、あたしもですよ」
こんな感じのナニゲない会話だったけど、土手沿いにたくさんの桜の木がある中で、あたしの一番好きな桜の木を他にも好きな人がいて、毎年、同じように愛でていたんだ‥‥って思ったら、なんだか胸がジーンとした。それで、ふたりで並んで、その桜をずっと見てた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、お酒も飲まなかったし、カラオケも歌わなかったし、ハダカ踊りもしなかったけど、ちゃんと「お花見」をした。それに、この桜は、ニポンを代表する「染井吉野」だから、品種としても、お花見の王道だ。あたしは、今までに何度か書いてるけど、お花の中では梅が一番好きで、梅と比べると、桜はそれほど好きじゃない。だから、桜に対しては、それほどコダワリがなくて、どこでも見られる染井吉野で、十分に満足できる。しいて言えば、カタマリでボトボトと散る八重桜は、散り方が汚いから嫌いだし、花と葉が一緒に出る山桜は、野趣があふれてて好きだけど、「お花見」には向いてないと思う。あとは、樹齢何百年なんて言う立派な枝垂桜は、妖艶で美しいと思うけど、わざわざどっかまで見に行かなきゃなんないから、そんな余裕はないし、あとは、冬桜はすごく好きだけど、時季が冬だから、お花見にはならない。だから、染井吉野でオッケーなのだ。
こんな感じで、あたしの桜の種類に対する知識は、染井吉野、八重桜、山桜、枝垂桜、冬桜って言う5種類程度なんだけど、たいていの人は、こんなもんだと思うし、多くても10種類くらいしか知らないと思う。だけど、調べてみたら、桜って、ナナナナナント! 350種類もあるんだって! でも、そのうちの30種類くらいが、もともとあった野生の種類で、残りの300種以上は、みんな人間が作った園芸品種だそうだ。そして、今でも新種を作り出してるから、毎年、種類が増え続けてるそうだ。ちなみに、ニポンに自生してる野性種は、山桜、大山桜、深山(みやま)桜、大島桜、霞(かすみ)桜、豆桜、江戸彼岸、丁字(ちょうじ)桜、峰桜の9種類だそうだ。「だそうだ」「だそうだ」って書いてるのを見れば分かるように、この9種類を目の前に並べられても、あたしには、どれがナニザクラなんだか、分かんないと思う。ただ、お花が一番小さいのが、たぶん、豆桜じゃないかって、カンで言ってみるのが精一杯で、あとはぜんぜん分かんない。
それにしても、犬や猫も、人間が作り出した種類が多いけど、こう言うのって、どうなのかな? たとえば、冷害に強い野菜を作るために品種改良するとか、そう言うのだったら、まだ理解できるんだけど、人間を慰めるためのペットとか、人間が見て楽しむための植物とか、そう言ったものを次々に作り出すのって、なんか、間違ってるような気がする。なんか、自然の摂理に沿ってないような気がする。あたしは、金魚の「ランチュウ」ってのが、ものすごく怖いんだけど、あんな醜い姿のお魚を作り出して、それを観賞する感覚が、あたしには理解できない。あたしは、お魚が好きで、観賞するのも好きで、自分でも飼ってるけど、ランチュウだけはカンベンだ。言っちゃ悪いけど、アレッて、ようするに奇形みたいなもんで、それを見て楽しむなんて、あたしにはムリだ。やっぱり、自然の川や池や海にいるお魚のほうが、ダンゼン可愛いと思う。
‥‥そんなワケで、話を桜に戻すけど、ニポンには、だいたい350種類くらいの桜があるんだけど、これは、あくまでもちゃんと分類されてて、ちゃんと名前のついてる桜だけのことで、名前のついてない桜も含めると、この倍くらいの種類があるそうだ。てことは、700種類もの桜があるワケで、正直、これをすべて判別できる人なんて、どこにもいないだろう。700種類もの桜を見分けることなんて、植物の博士でもムリだと思うし、水道橋博士でもムリだと思うし、葉加瀬太郎でもムリだと思う。だけど、こんなに種類のある桜なのに、ニポン全国の桜のうち、約8割が染井吉野なのだ。つまり、染井吉野以外の何百種類もの桜は、残りの2割に凝縮されてるってワケで、こんな状態なら、桜が350種類あろうが700種類あろうが、「桜=染井吉野」ってことで、ナシクズシ的にはオッケーて感じがしちゃう。
で、その桜の代表、染井吉野ってのは、大島桜と江戸彼岸とを交配して作った品種だそうだ。江戸時代の末期に、染井村(今の東京の豊島区駒込)の植木屋さんが作って、売り出したって言われてる。葉っぱが出る前に花が咲くので、山桜よりも豪華に見えるし、育つのが早くて、10年もすれば立派な木になるし、他の桜よりも若いうちから花を咲かせるから、アッと言う間に人気の品種になって、全国へと広がって行った。それで、この桜は、最初は「吉野桜」って名前で売られてた。桜と言えば、奈良県の吉野が有名なので、ホントは吉野とは関係なかったのに、この植木屋さんが名前だけパクッたってワケだ。
だけど、ものすごい人気の品種になっちゃったので、吉野方面からクレームが来そうだってことで、明治時代に入ってからは、「東京の染井村で売ってるほうの吉野桜」ってことで、「染井吉野」って名前に変えたってワケだ。だから、この「染井吉野」って名前は、言うなれば、ホントの銀座とは何も関係ないのに、「銀座」って言うブランド名を拝借した「戸越銀座」みたいなもんで、あんまりカッコイイもんじゃない。だけど、染井吉野が作られてから200年近くが経ち、今や、全国の桜の8割を占めるようになり、本家本元の吉野の桜よりもメジャーになっちゃったから、この「染井吉野」って名前自体が、ひとつのブランド名になったってワケだ。
‥‥そんなワケで、たまたま染井村の植木屋さんだったから「染井吉野」になったけど、戸越村の植木屋さんだったら「戸越吉野」になってたワケだし、アメリカのミッキー村の植木屋さんだったら「ミッキー吉野」になってたワケだし、木村の植木屋さんだったら「木村佳乃」になってたワケ‥‥ねえだろ!(笑)‥‥なんてことも言ってみつつ、あたしとしては、やっぱり、たかだか200年の歴史しかない染井吉野よりも、古来からニポンに自生してた山桜を愛でるのが、ホントのお花見のような気がして来た今日この頃なのだ。
★今日も最後まで読んでくれてありがとう♪
★読んだついでにランキングのクリックにも協力してね!
↓ ↓
人気blogランキング
| 固定リンク