無口なカニ祭
去年の1月のことだから、もう1年以上も前のことなんだけど、あたしは、その時からずっと、みうらじゅんに苦しめられて来た。みうらじゅんってのは、マンガ家なのか、ミュージシャンなのか、ハニワのコレクターなのか、仏像を見て歩く人なのか、イマイチ良く分かんないけど、20年くらい同じヘアスタイルで、20年くらい同じサングラスを掛けてる、お兄さんみたいなおじさんだ。で、その、みうらじゅんに、あたしが、どんなふうに苦しめられて来たのかって言うと、詳しくは、2005年1月25日の日記、「カニブーム到来」を読んでもらえれば分かるんだけど、過去ログなんか読むのはメンドクサイ!‥‥って人のために、簡単に説明しとく。
当時、あたしは、カニが食べたくて食べたくてジンジャエールだったんだけど、そんなお金があるワケもなく、できるだけカニのことは考えないように生活してた。それなのに、「タモリ倶楽部」を見てたら、タモリが、みうらじゅんの事務所兼自宅に行って、そこで、みうらじゅんは、「変なものコレクション」のひとつとして、駅前とかに置いてある「かに食べ放題北陸ツアー」とかの、カニのパンフレットのタバを見せたのだ。そして、それを広げて、「カニのパンフレットで部屋中が真っ赤に染まると、ああ、冬だなぁ~って思うんですよ。ひゃひゃひゃひゃひゃ!」って笑ったのだ! さらには、その何日かあとの「メレンゲの気持ち」でも、みうらじゅんは、このパンフレットのタバを見せびらかして、あたしを挑発した!
それで、あたしは、カニが食べたくて食べたくて食べたくて食べたくて、もうガマンできなくなったんだけど、やっぱりお金が無いから、カニカマボコを買って来て食べたり、カニパンを買って来て食べたり、パチンコの大海物語でカニを見たりしつつ、それから1年4ヶ月もガマンして来た。正確に言えば、去年の5月に、母さんと箱根に行った時に、カニの入った茶碗蒸しが出たり、どこかで食べた仕出し弁当に、カニクリームコロッケが入ってたり、そう言うことはあったけど、あたしが食べたかったのは、あくまでも、カニのパンフレットの表紙の写真みたいな、1匹丸ごとのカニだった。つまり、あたしは、みうらじゅんのセイで、1年4ヶ月も苦しんで来た今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、ずっとカニが食べたかったって言っても、この1年4ヶ月、ずっと同じレベルで食べたかったワケじゃない。みうらじゅんも、「ああ、冬だなぁ~って思うんですよ。ひゃひゃひゃひゃひゃ!」って言ってるように、あたしの体内の「カニ食べたいメーター」の針は、冬場には9とか10とかを指すんだけど、暖かくなって来るに従ってだんだん下がって来て、真夏になれば3とか4とかになる。だから、1月、2月がピークで、だんだん下がって来て、今は7くらいの感じだった。
そんな先週、ナナナナナント! お仕事でお世話になってる人から、カニが送られて来た! それも、カニの詰め合わせだ! こっちから何か送るんなら分かるけど、ふだん、お世話になってる人から、カニまでお世話になっちゃったってワケだ。それで、さっそく発泡スチロールの箱を開けてみると、ズワイガニが2匹と、タラバガニが1匹入ってた。ホントは、カニって、1パイ、2ハイ、3バイって数えるみたいだけど、そんな単位は使い慣れてないので、1匹、2匹、3匹で行くけど、夢にまで見たカニが、3匹も入ってた!‥‥って言うか、厳密に言えば、カニが2匹とヤドカリが1匹だ。「カニブーム到来」にも書いてあるけど、色んなカニの種類がある中で、タラバガニとハナサキガニは、カニ科じゃなくてヤドカリ科に分類されてるのだ。
こう言うのって、タマにある。たとえば、「サンゴは植物じゃなくて動物」ってのとか、あとは、危険なガケの岩に生えてる「岩茸(イワタケ)」って言うキクラゲみたいなキノコがある。ロープを伝ってガケを降りてって、命がけで採るから、すごく貴重で高価な珍味になってるけど、コレって、ホントはキノコじゃなくて、地衣(ちい)類って言う菌類の一種なのだ。簡単に説明すると、キノコは単体の生物だけど、イワタケの場合は、「藻(も)」と「菌」の共生植物なのだ。菌は空気中から得た水分を藻に供給して、藻は光合成で得た栄養素を菌に供給して、2つの生物が助け合って生きてるってワケだ‥‥なんてプチ情報も折り込みつつ、あたしは、さっそく、夢だった「カニ祭」を開催することにした。
「カニ祭」って言っても、ただ、カニを食べるだけだし、昔から「カニを食べると無口になる」って言われてるように、「祭」って呼ぶには静かすぎて盛り上がりには欠けると思うけど、とにかく、冷蔵庫からとっておきの「スーパードライ」を2本出して、いつものスーパーで「のどごし生」を4本買って、チャリで母さんのとこに向かった。母さんもあたしもカニは大好きだし、母さんもあたしもずいぶん丸ごとのカニなんて食べてないから、2人ともワクワクだった。
ちなみに、ズワイガニの漁期って、11月6日から3月末までって決まってるから、このカニは、少なくとも1ヶ月以上前に水揚げされたもので、生きてるうちに大きなお鍋で茹でられて、そのまま冷凍されて、あたしに食べられるために、巨大な冷凍室の中でじっとしてたってワケだ。そして、ついに、あたしに食べられる日がやって来たってワケだ。よ~し! そこまで言うんなら、期待に応えてシッカリと食べてやろうじゃないか!‥‥って、別に、誰も何も言ってないんだけど、イキゴミとしては、こんな感じだった。
‥‥そんなワケで、あたしは、母さんと、ズワイガニを1匹ずつ食べた。足にはプリプリの身がタップリと詰まってたし、胴体には身もカニミソもタップリ詰まってたし、ものすごく美味しかった。ただ、丸ごとのカニなんて食べたのは何年ぶりかなので、箱に入ってた「カニの美味しい食べた方ガイドブック」の説明を見ながら、久しぶりに胴体をガバッと外したら、中が、ナニゲにエイリアンの幼虫の時みたいで、ナニゲに昆虫チックで、不気味な感じがした。
だから、あたしは、頭の中に浮かんだエイリアンの幼虫とか、カブトムシを裏から見たとこの絵とかを掻き消して、ガンダムとかを思い浮かべた。生き物だと思うから、想像が昆虫系に流れちゃうのであって、ロボットだと思えば、何も恐くない‥‥って言うか、ガンダムはロボットじゃなくてモビルスーツだから、ガバッと外した胴体の一番上のとこの気持ち悪い部分は、アムロってワケだ(笑)
それで、あたしは、ガイドブックの説明通りに、カニを分解したワケだけど、この説明書は、カニの種類によって、それぞれの分解の手順が、写真つきで親切に書いてあった。ここまで親切なら、表紙に「永久保存版」て書いてあったのもうなづけるってもんだ。で、あたしは、このガイドブックのオカゲで、カニのお腹の下のとこの、キャタピラみたいな、お店を閉店する時のシャッターみたいな部分を「ふんどし」って呼ぶことを知ったし、エラのことを「ガニ」って呼ぶことも知った。
「ボイルズワイガニのさばき方」
1 「足を切り離します。」
まず軍手などをはめ、足の付け根にハサミを入れ、切り離します。
2 「ふんどし・甲羅を外します。」
ふんどし(腹部の三角の部分)を切り取ります。腹部を押さえ、甲羅に親指をかけ、カニミソがこぼれないように気を付けて甲羅を外します。
3 「ガニを切り取ります。」
足の付け根にある「ガニ」と呼ばれるエラ(灰色のビラビラしたもの)は食べられませんので、ハサミで切り離します。
4 「抱き身を切ります。」
抱き身に付いている目、口などを切り取り、半分になるように切ります。足の切り口に対して縦になるように、更に半分に切ります。
5 「足に切れ目を入れます。」
細い部分は裏側に1本切れ目を入れます。太い部分は、表側に2本の切れ目を入れます。
6 「殻を剥きます。」
太い部分の殻を、足先から剥がします。身が取れないように気を付けてください。
7 「カニ爪を半分に切ります。」
カニ爪の部分は、表側に2本の切れ目を入れ、上側に殻を折り取ります。殻が固いので気を付けてください。
8 「盛り付けて出来上がり。」
後は盛り付けて、お好みでお召し上がりください。お好みでレモンやカニ酢などを添えて。ミソを食べた後の甲羅に日本酒を入れてコンロを温めると、美味しい甲羅酒が楽しめます。
‥‥そんなワケで、あたしは、甲羅酒は飲まなかったけど、食べ終わったカラを大きなお鍋に入れて、お水を入れて、コトコトと煮込んで、カニのダシをとった。それで、そのダシを使って、カニ雑炊を作った。これがまた美味しくて、母さんと2人でお腹がパンパンになった。さらに、次の日には、あたしのアイデアで、このカニのダシを使って、サッポロ一番の塩ラーメンを作ってみた。沸騰させたカニのダシで麺を茹でて、そこに粉スープを入れた。それで、ドンブリに移してから、長ネギと、ノリと、紅ショウガと、白ゴマをトッピングした。そしたら、これがまたまた美味しくて、ちゃんとカニ味の塩ラーメンになって、母さんにも好評だった。これで、1年4ヶ月にも及ぶ、あたしの夢だった「カニ祭」は終焉を迎えたワケだけど、フリーザーには、まだ、「タラバガニ」がある。だから、近いうちに、母さんと、今度は「ヤドカリ祭」を開催しようと思う今日この頃なのだ(笑)
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