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2006.05.06

亀ちゃんとエビちゃん

今日、夜の7時すぎにテレビをつけたら、だんご3兄弟‥‥じゃなくて、マルちゃん四兄弟‥‥じゃなくて、亀田3兄弟のボクシングが始まったとこだった。色んなバラエティーとかで、チンピラみたいなカッコで威勢のいいタンカをきってるとこは見たことがあるけど、ボクシングの試合は見たことなかったから、ホントにそんなに強いのかどうか、ちょっと見てみることにした。それで、最初は、弟のほうの試合だったんだけど、頭を低くしてもぐり込んで来た相手に対して、右のグローブで後頭部を押さえつけて、相手の背中のほうから、ワキ腹をガンガン殴って、ダウンさせた。

あたしは、ボクシングのことは良く知らないけど、必ず正面から打たなくちゃいけなくて、横からとか後ろから打つのは反則だってことや、片方の手で押さえつけて打つのも反則だってことくらいは知ってる。だから、「あらららら~反則じゃん!」なんて思ったのもトコノマ、何だか知らないけど、レフェリーは反則をとるどころか、そこで試合をストップさせちゃって、亀田弟のTKO勝ちだって! なんだこりゃ? 挙句の果てには、リングの上で歌まで歌いだしたもんだから、あたしは、あまりにもバカバカしくなって、チャンネルを替えちゃった。そのあとには、亀田兄のほうの試合があったみたいだけど、こんな子供騙しの八百長なんか、バカらしくて見てらんない。

あたしは、ボクシングだったら、ユーリ・アルバチャコフとか、大橋秀行とかみたいな、テクニックとスピードと根性がそろってるボクサーが好きだから、ガキのケンカみたいなのは見たくない。どんな格闘技でも、相手をリスペクトして、試合が終わったら抱き合ったり、握手したりするのがスポーツマンシップであって、倒した相手にガンを飛ばすなんて、コンビニの前にタムロッてるガキどもと変わらないと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、知らない人のために説明しとくと、ロシアにはプロボクシングがない。だから、ユーリ・アルバチャコフは、わざわざニポンに来て、ニポンの協栄ジムに所属して、ニポンの選手として試合をしてた。それで、ニポンの選手として試合をするのに、「アルバチャコフ」って名前がニポン人には覚えにくいってことで、協栄ジムから出た世界王者、海老原博幸にあやかって、「ユーリ海老原」って名前にしてた時期がある。本人はイヤがったんだけど、会長さんがつけたらしい。

それで、何で本人はイヤがったのかって言うと、ロシア語で「エビ」ってのは、「女性の性器」のことだからだ。大昔に、ボボ・ブラジルって言うプロレスラーがいて、この「ボボ」ってのが、九州のほうの方言で「女性の性器」のことだったから、九州で試合をする時はたいへんだったなんて話を聞くけど、「ユーリ海老原」ってのは、これとは反対で、試合を見てるニポン人たちには普通の名前なのに、試合をしてる本人のほうが、イヤでイヤでたまんない名前だったのだ。

他にも、ニッサンのワンボックスカーで、「キャラバン」と「ホーミー」ってのがある。同じ形なんだけど、販売店の違いで、名前だけが違う兄弟車だ。それで、ずいぶん前のことだけど、何人かでブラブラしてた時に、その中に、沖縄から東京に来たばかりの男の子がひとりいた。それで、道路のワキに停まってたニッサンのホーミーを見つけて、「東京の車はすごい名前だね!」って言うから、何のことなのか聞いてみたら、沖縄の言葉では、「セックス」のことを「ホーミ」って言うって教えてくれた。だから、歌で、「Hold me tight」とか「Hold me touch me」とかって歌詞は、「ホ~ミ~タ~イ」とか「ホ~ミ~タッチミ~」とかって聞こえるから、沖縄の人にとっては、たいへんなことらしい。

で、逆に沖縄では、東京での「女性の性器」の呼び名は使わないから、「漫湖(まんこ)」って言うものすごい湖がある。そして、この湖のあるところは、「漫湖公園」て言う公園になってる。それで、この湖の名前だけでもブットビなのに、りっちゃんの通ってた学校が、この湖の近くだったから、学校の校歌が、「漫湖のほとりにそびえ立つ~」とかって歌詞だったらしい。何がそびえ立ってんじゃい?って聞かれても、それはもちろん「校舎」なんだろうけど、あまりにもデンジャーすぎる校歌だ。だけど、校庭に全校生徒が並んで、この校歌を歌ってたんだよね‥‥って言うか、りっちゃん、MAXのメンバーとしてデビューしてからも、この校歌をテレビで歌ってたし(笑)

ちなみに、この話は前にも書いたことがあるんだけど、この湖は、ヘドロみたいなので汚れてて、これじゃあいけない!って思った地元の人たちが、何年か前に、「漫湖をきれいに!」ってスローガンのもと、クリーン作戦を始めたのだ。だから、色んな場所に、「漫湖をきれいに!」って貼り紙がしてあったそうだ。まあ、漢字で書いてあるからいいけど、言葉に出して読まれちゃった日にゃあ、東京からの観光客はたいへんなことになっちゃって、思わず、「いんぶビーチ」に泳ぎに行っちゃうことウケアイだ。

‥‥そんなワケで、話はクルリンパと戻って、ボクサーのユーリ海老原だけど、どうしても自分の名前の中に「女性の性器」が入ってることがイヤでイヤでたまんなくて、会長さんに何度も頼み込んで、とうとう「ユーリ・アルバチャコフ」って名前に戻してもらった。それで、ちょっとでもニポン人ぽくするために、「勇利アルバチャコフ」ってアテ字にした。

だけど、そのものズバリの「エビ」じゃなくて、「エビハラ」って名前だったんだから、名前の一部に入ってるだけなのに、それでもこんなにイヤがったのは、どうしてだろう?って思ったんだけど、その答えは簡単に分かった。ニポンの場合なら、同じ「女性の性器」でも、東京での呼び名、大阪での呼び名、九州での呼び名、沖縄での呼び名、それぞれが違う。他にも、地方によって、色んな呼び名があると思う。だから、「ボボ・ブラジル」って言っても、恥ずかしがるのは九州の人だけで、東京のあたしはぜんぜん恥ずかしくもないし、他の地方の人も同じだろう。つまり、一部の地域の人だけが恥ずかしい言葉で、それ以外の多くの人たちは恥ずかしくないってことになる。

だけど、ロシアにおける「エビ」ってのは、全国的に「女性の性器」のことなワケで、ロシア人だったら誰にでも通じるワケで、ボルシチだとかピロシキだとかと同じように、すごくメジャーな「女性の性器」なのだ。だから、ロシアからニポンに来て、がんばってボクシングをしてたユーリ・アルバチャコフとしては、母国ロシアを背負って来てるくらいの意気込みなのに、そのリングネームが「女性の性器」じゃあ、母国で応援してくれてる人たちに顔向けができないって感じだったんだと思う。

‥‥そんなワケで、ものすごく強くて、ものすごくカッコイイ試合を見せてくれたユーリ・アルバチャコフは、無事に名前も元通りになったし、もうとっくに引退してんだから、今さらトヤカク言うこともない。だけど、あたしが、ひとつだけ心配してるのは、あの、死ぬほどまずいマックの「エビバーガー」は、ロシアの人たちから見たら「女性器バーガー」ってワケだし、それを宣伝してる「エビちゃん」は、ロシアの人たちから見たら「女性器ちゃん」ってワケだし、「エビちゃん!エビちゃん!」て騒いでる女の子たちは、ロシアの人たちから見たら「女性器ちゃん!女性器ちゃん!」て騒いでるワケだ。だから、騒ぐのは自由だけど、一度、周囲を見回して、ロシアの人がいないかどうか確かめてから、大声で、「エビちゃん!エビちゃん!」て騒いで欲しいと思う今日この頃なのだ(笑)


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