« 猿と犬との監獄ロック | トップページ | フロッグマンからデンキネコへ »

2006.06.23

能登半島夏景色

Ramen2
昨日、コンビニに行ったら、「釣りバカ日誌ラーメン」ていうカップ麺を発見した。正確に言うと、「映画 釣りバカ日誌ラーメン」なんだけど、フタに、ハマちゃんとスーさんの写真が載ってて、「海鮮醤油味」と「海鮮塩味」の2種類があって、作ってるのはエースコックだった。良く見たら、「映画 釣りバカ日誌17 この夏、全国松竹系にて公開!」って書いてあって、ようするに、今度の「釣りバカ日誌」のタイアップ商品なんだろうけど、今まで通りの普通のカップ麺に、ただ、宣伝をプリントしただけなんだろう‥‥って思ったのもトコノマ、さらに良く見たら、「能登半島の魚醤使用」って書いてあった。今度の「釣りバカ日誌」は、能登半島が舞台なので、ちゃんと能登のものを使ってたのだ。それで、値段を見たら、1個105円だったので、しばらく考えてから、思い切って、両方の味を1個ずつ買うことにした。ホントは、100円のお菓子コーナーで、プチ歌舞伎揚とプチメロンパンを買おうと思ってたんだけど、それをやめにして、大好きな「釣りバカ日誌」のために、1日のオヤツ代をすべて投入することにしたのだ。

それにしても、どんどんくだらなくなってく「釣りバカ日誌」のサブタイトルだけど、今度のヤツは、「あとは能登なれハマとなれ!」って、こりゃないよ‥‥。これじゃあ、「さぶタイトル」って感じだ。前回は、長崎が舞台で、「長崎は今日も雨だった」にカケて、「浜崎は今日もダメだった」だったし、オヤジギャグよりもタチが悪い。このサブタイトルを見ただけで、映画館に行く人の数が減りそうだ。だけど、制作サイドも、サブタイトルのセンスの悪さを自覚してるみたいで、今回は、1000円の前売り券を買うと、オマケに「扇子」がついて来る今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、念のために言っとくけど、今度の「釣りバカ日誌17」の前売り券を買うともらえる「扇子」は、「在庫がなくなり次第、プレゼントは終了します」ってことなので、ご了承ください‥‥ってことも言ってみつつ、「釣りバカ日誌」にヘンテコなサブタイトルがつくようになったのは、「釣りバカ日誌12」からだ。前にも書いたと思うけど、「釣りバカ日誌」って、「6」と「7」の間に「釣りバカ日誌スペシャル」があって、「10」と「11」の間に「花のお江戸の釣りバカ日誌」があるから、「釣りバカ日誌12」って言っても、12作目じゃなくて、14作目ってことになる。だから、今度の「釣りバカ日誌17」は、19作目ってことなのだ。

で、「6」と「7」の間の「釣りバカ日誌スペシャル」だけ、森崎東監督だったんだけど、あとは、1作目から、「釣りバカ日誌10」の次の「花のお江戸の釣りバカ日誌」まで、ずっと、栗山富夫監督だった。それで、何のサブタイトルも無しで、ナンバリングだけだった。だけど、「11」から、本木克英監督に代わったら、トタンに、「釣りバカ日誌イレブン」てタイトルになった。つまり、それまでは「8」「9」「10」って続いて来たのに、その慣習に習って「11」ってしないで、カタカナで「イレブン」て書いたのだ。そして、次の「12」では、ついに、「史上最大の有給休暇」って言うサブタイトルをつけちゃった。これは、「史上最大の作戦」をイメージさせるもので、次の「13」の「ハマちゃん危機一髪!」ってのも、映画のタイトルをイメージさせる。

それで、次の「14」から、今の朝原雄三監督になったんだけど、「14」のサブタイトルは「お遍路大パニック!」で、次の「15」は「ハマちゃんに明日はない!?」ってのだから、これらは、それまでの本木克英監督の流れを汲んでて、映画のタイトルをモジった形になってる。だけど、ここから、「浜崎は今日もダメだった」だの、「あとは能登なれハマとなれ!」だのと、朝原雄三監督の暴走が始まるのだ。有名な映画のタイトルをモジったくらいなら許容範囲だったんだけど、いくらなんでも、この2つは最悪すぎる。会社で、真夏でも冷房が必要ないくらい寒いオヤジギャグを連発してるセクハラ課長とかでも、ここまで寒いギャグは言わないだろう。

‥‥そんなワケで、あたしは、「釣りバカ日誌」が大好きなんだけど、大好きなマニアの立場から言わせてもらうと、特に好きなのは、1作目からスペシャルまでの7作だ。なんでかって言うと、ハマちゃんの奥さんの「みち子さん」が、石田えりだからだ。言っちゃ悪いけど、石田えりと浅田美代子じゃ、演技力のレベルも違いすぎるし、テレビのバラエティーでアホなことばっかやってる浅田美代子には、正直言って食傷気味だ。

あとは、ものすごくプライベートなことだけど、「釣りバカ日誌イレブン」は、あたしのマンションのまん前で撮影をして、あたしがいつもお散歩してる多摩川の土手も映ってるから、すごく近親相姦‥‥じゃなくて、親近感がある。ペットのウサギを持て余してたOLの桜井幸子のマンションに、村田雄浩がバイクに乗ってウサギをもらいに行くシーンのとこだ。村田雄浩が、そのウサギを食べちゃって、桜井幸子がショックを受けるんだけど、それを謝罪しに、ハマちゃんと2人でマンションを訪ねて行くから、2回も映る。その時、先にハマちゃんだけが話をしに行って、その間、村田雄浩は、土手の電信柱のとこで待ってんだけど、その電信柱がどの電信柱なのかも、あたしには分かる。

とにかく、ヘンテコなサブタイトルがつこうが、みち子さんが浅田美代子だろうが、栗山富夫監督、森崎東監督、本木克英監督までは、すごく楽しく観ることができた。だけど、今の朝原雄三監督になってからは、何を言いたいんだか、何を表現したいんだか、ぜんぜん分からなくて、観終わったあとに、ドンヨリした気分になっちゃう。なんて言ったらいいのかな? 焦点が定まってないって言うか、ピントがボヤケてるって言うか、ようするに、何もかもが中途半端な感じなのだ。笑いどころとか、泣きどころとか、どれもが中途半端で、欲求不満になって来る。娯楽映画なのに、観てる人を欲求不満にさせるなんて、サブタイトルと同じで、センスが無さすぎる。

「釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!」は、楽しみのひとつでもある釣りのシーンがほとんどなくて、それなのに、ストーリーも単調で起伏がない。その上、映像も、お遍路で歩いてるシーンを遠くからダラダラと撮り続けてたりで、初めてビデオカメラを持ったお父さんが、子供の運動会を撮ってるみたいなレベルだった。「釣りバカ日誌15 ハマちゃんに明日はない!?」は、せっかく、江角マキコをキャスティングしたってのに、彼女の魅力をぜんぜん引き出してないし、釣りのシーンなんか、わざわざ秋田まで行ってロケをしたってのに、三浦半島の地磯みたいなとこしか映さない。その上、最後に、結婚する江角マキコに、お祝いのタイを釣って持って行くとこで、船じゃなくて地磯からマダイを釣ってるし、それも、例の、魚屋さんで買って来た死んでるマダイみたいなのを釣り上げてるし、なんだかなぁ~って感じだった。細かいシーンにリアリティーがないから、ストーリー自体にも入り込めないし、感動するシーンでも感動できないのだ。

前作の「釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった」 に至っては、ボビー・オロゴンを「アメリカから来た釣りバカ」って設定で起用して、これでもか!これでもか!のギャグを繰り出してるんだけど、なんか、昭和のセンスのお寒いギャグの連発で、笑うに笑えないし、サブタイトルと同様に、なんか、時代錯誤って感じがした。何の感動もないままエンディングを迎えて、見終わったら、ドッと疲れが出ちゃった。

‥‥そんなワケで、今度の「釣りバカ日誌17 あとは能登なれハマとなれ!」も、そのサブタイトルからすると、前作と同様のドタバタ疲労作品なのかな?‥‥って思ったんだけど、朝原雄三監督のコメントを見てみたら、「前回はギャグ的なものを少しやり過ぎましたからね。振り子ではないんですが、今度は人情路線で行こうと。大きな話はありません。生活の細部をしっかりと見つめたい」って書いてあった。だから、あたしは、「おっ!これならリトル期待できるかな?」って思ったんだけど、その先を読んでみたら、この「人情路線」で行くために、恒例のハマちゃんの「宴会芸」も「合体」も、今回は封印したって書いてあった。

ふぅ~‥‥ハマちゃんの「宴会芸」や「合体」があるからこそ、それが調味料になって、他の部分でホロリとできるのに‥‥。言うなれば、毎回登場するハマちゃんの「宴会芸」や「合体」は、スイカにかけるお塩みたいなもんで、だからこそ、メインのスイカの甘さが引き立つのに‥‥って、観る前から悪く書いちゃ失礼だけど、今までの3作のセンスから推測すると、ホニャララって感じだ。でも、「笑い」を狙った前作が「昭和のノリ」で失敗しちゃったけど、「人情路線」を狙った今回も「昭和のノリ」だったとしたら、それは、「昭和の人情」ってことで、寅さんレベルの秀作が期待できるかも知れない。

ハマちゃんも、「これまでと違って、実にしっとりとした話で、木下恵介劇場みたいです。お祭りの場面なんて、カメラがぐーっと動いてまるでミゾグチ(溝口健二)の世界。『この映画、釣りバカだったよね』と思わず確認してしまいました」と言ってるから、もしかすると、ものすごくイイかも知れない。だけど、「しっとりした人情路線」なら、なんで、「あとは能登なれハマとなれ!」なんていうサイテーなサブタイトルをつけたんだろう? 「釣りバカ日誌17 能登旅情」とかにすれば良かったのに‥‥。

実は、あたしは、5月に「釣りバカ日誌17」がクランクインした時から、関係サイトとか、出演者のブログとかをコマメにチェキしてた。ニポン全国の観光協会が、釣りバカ制作関係者に対する接待攻撃を炸裂させる、厳しい誘致合戦に勝利した、能登の観光協会の特別サイトの撮影日記は、更新されるたびにチェキしてた。あとは、ハマちゃんのオフィシャルサイトのロケ写真と、今回のゲストの片岡鶴太郎のブログは、定期的にチェキしてたし、今回のヒロインの石田ゆり子のオフィシャルサイトの「釣りバカ日誌17」に関するコメントもチェキしてた。なんでかって言うと、あたしは、能登半島が好きだからだ。

あたしは、特に、氷見(ひみ)が好きなんだけど、氷見は富山県だから、「釣りバカ日誌17」には出て来ないと思う。でも、金沢をはじめ、大好きな七尾とか輪島とかが出て来るから、すごく楽しみだ。あたしが能登半島に行った時は、完全なプライベートだったから、レンタカーを借りて、ひと通り回った。すごく良く覚えてるのが、能登半島の先っちょの珠洲(すず)ってとこにある、見附島(みつけじま)っていう島だ。これは、弘法大師が、佐渡から能登へ渡る時に「見つけた」から「見附島」って名前にしたそうで、まるで、最近の「釣りバカ日誌」のサブタイトル並みのオヤジギャグだけど、その形が軍艦に似てるとこから、通称「軍艦島」って呼ばれてる。だけど、これが、あたしが見た感じだと、「軍艦」て言うよりも、お寿司の「軍艦巻き」にソックリなのだ。それで、あたしが行った時は、ちょうど干潮の時間だったから、満潮の時には海の中になってる岩場が、島までの通路みたいに現われてて、島の近くまで行けるようになってた。行かなかったけど。

それから、輪島に行って、朝市も見たし、輪島塗のお箸も買ったし、千枚田も見たし、歩くと音がする鳴き砂の琴ヶ浜も歩いた。他にも、色んなとこを見て回ったんだけど、能登半島は、どこもステキな場所ばっかだった。唯一、暗い気持ちになったのが、珠洲の海沿いの道を走ってる時に、「原発反対!」のノボリや横断幕が色んなとこに並んでたことだ。こんなに美しい場所に、原子力発電所をどんどん作って、それで発電した電気がどこで使われるのかって言うと、東京なのだ。珠洲に住んでる人たちにしてみたら、自分たちの使う電気のために原発を作られるんなら、まだ納得もできるだろうけど、東京のために、自分たちの住んでる場所に原発なんか作られるのは、シャレにもなんないだろう。あたしは、自分が東京から来てたから、そのノボリや横断幕を見て、ものすごく申し訳ない気持ちになった。東京のための電気を作る原発なら、皇居の中にでも作ればいいのに。あんなに土地が余ってんだから。

‥‥そんなワケで、あたしが能登半島に行ったのは、もう10年くらい前のことだけど、とにかく、能登半島は、どこへ行っても食べ物が美味しかった。それで、すごく気に入っちゃって、お土産に買って帰って来たのが、最初に書いた「釣りバカ日誌ラーメン」にも入ってる「魚醤(ぎょしょう)」だったのだ。ようするに、お魚を発酵させて作ったお醤油で、タイなら「ナンプラー」、ベトナムなら「ニョクマム」、秋田なら「しょっつる」ってワケなんだけど、能登半島の魚醤は、「いしる」とか「いしり」とか言う。同じ能登半島でも、場所によって、お店のメニューとかに、「いしる鍋」って書いてあったり、「いしり鍋」って書いてあったりしたから、どっちも正しいみたいだ。

それで、「いしる鍋」って言っても、普通に想像するお鍋じゃなくて、ホタテ貝の貝殻を使うのだ。旅館の夕食とかで、1人に1つずつ出るちっちゃなコンロ‥‥って言うか、中に固形燃料が入ってる台みたいなヤツの上に、ホタテ貝の貝殻が1枚乗ってて、そこに、「いしる」を使ったスープがチョコっと入ってて、それに、春菊だとか、エノキだとか、お魚の切り身だとか、貝だとか、イカの輪切りだとか、エビだとかをチョコっと入れて、煮えたら食べる。だから、お鍋って言うよりも、量としては、オヤツみたいな感じだ。だけど、これは、あたしが、ドライブインみたいな食堂で注文した「いしる鍋セット」が、こういうのだったって言うだけで、もしかしたら、ちゃんとした土鍋で、タップリと作る「いしる鍋」も存在するのかも知れない。

で、これが、量はチョコっとだったけど、とにかく美味しかった。それで、あたしは、お店のオバサンに、「いしる」のことを色々と教えてもらって、買って帰ることにした。だけど、ここからが大変だった。あたしが「いしる鍋」を食べたお店は、七尾を過ぎて、珠洲に向かう途中にあったお店で、まだ、旅行の前半だった。それから珠洲、輪島って回ったんだけど、地元で作ってる「いしる」には、当然、防腐剤とかは入ってないだろうから、旅行の途中で買わずに、最後に買おうって思った。それで、珠洲で1泊して、輪島で1泊して、ぜんぶを回ってから、同じルートで戻って来て、最後に、七尾で「いしる」を探した。

そしたら、何軒回っても、あたしの探してる「いしる」は無かったのだ。七尾で売ってた「いしる」は、どのお店のも、焼いたスルメをお醤油に漬けたみたいな味と香りで、あたしが食べた「いしる鍋」の味とは違ったのだ。それで、またまた聞いてみたら、能登の「いしる」は、イカで作ってるものと、イワシとかのお魚で作ってるものと、2種類あって、七尾はイカが中心で、能登半島の先端に行くにしたがって、お魚のものが多くなる‥‥ってことだった。だから、あたしが食べたのは、お魚で作った「いしる」の「いしる鍋」だったってワケだ。

それで、あたしは、お魚の「いしる」を手に入れるために、今来た道をまた戻らなきゃならなくなったんだけど、レンタカーを返す時間とか色々とあったから、七尾のお店で何とか手に入らないか、粘って聞いてみた。そしたら、そこのオジサンがとってもいい人で、自分の家用に買っておいたお魚の「いしる」を分けてくれたのだ。その上、何度言ってもお金を受け取ってもらえずに、タダでもらっちゃった。だから、東京に帰って来てから、お礼状を送ったんだけど、そしたら、今度は、干物を送って来てくれて、あたしは、嬉しいやら申し訳ないやらで、どうしていいか分かんなくなっちゃった。

‥‥そんなワケで、お魚で作った「いしる」は、イカのと違って、クセがない。だから、貝とかエビとか白身魚とかお野菜にベストマッチで、サッパリとしてるのに深みのある味に仕上がる。そして、これが、銀嶺立山に合う。だけど、この、10年前にいただいた「いしる」を使いきってから、あたしは、一度も能登の「いしる」を使ったお料理を食べてないのだ。だから、今、あたしの目の前に2つ並んでる「釣りバカ日誌ラーメン」の「海鮮醤油味」と「海鮮塩味」が、10年ぶりに再会する能登の味ってワケで、ワクワクが止まらない今日この頃なのだ。


★ 今日も最後まで読んでくれてありがと~♪
★ 能登半島の形ってナニゲにセクシーだと思う人は、クリックをお願いしま~す!
   ↓   ↓
人気blogランキング

|

« 猿と犬との監獄ロック | トップページ | フロッグマンからデンキネコへ »