« 息抜きするなら水族館 | トップページ | ブルーベリーな朝 »

2006.07.21

表向きの企業理念

Moudouken
「黒の翡翠さま金の恵比寿さま」っていう、盲導犬ユーザーのブログがあるんだけど、そのブログで、ちょっとした問題提起があった。 コトの発端は、このブログを書いてるお父さんが、自分の「目」である愛犬と一緒に「ユニクロ」に行ったら、出て来た女性店員に「入店拒否」されたことから始まる。それで、もともと盲導犬の入店を拒否してるような反社会的な店舗ならともかく、「ユニクロ」は、2001年に「社会貢献・環境活動を専門に行う部門」を設立したそうで、会社のホームページにも、「障害者への取り組み」なんていうコンテンツに、ご立派なことがツラツラと書き連ねてある。その上、全国の「ユニクロ」には、盲導犬を連れて入店できることを示した「介助犬ステッカー」が貼られてるのだ。それなのに、このお父さんは、入店拒否されたのだ。

このお父さんの連れてる盲導犬には、大きく「盲導犬」と書かれた服(ケープ)が着せられていて、対応した女性店員も、「盲導犬ですよね?」と言って近づいて来たそうだ。そして、お父さんが、「そうです、この文字を読んでいただけますか?」と言ってケープの文字を指差したところ、その店員は、「当店は盲導犬でも外でお待ちいただくことになっております」と言い放ち、結局、入店を拒否されたってワケだ。

それで、お父さんは、「ユニクロは盲導犬を連れては入店させてもらえない店」だと理解したため、自宅に帰ってから、ユニクロのカスタマーセンターに、「福祉先進国の英国に進出している企業である事実を自覚して欲しい」というような意見メールを送った。すると、該当店舗の店長から謝罪のメールが返信されて来て、「店長と当事者の女性店員から直接お詫びしたいから都合のいい時間を知らせて欲しい」ということが書かれていた。でも、実際に電話を掛けてみたら、店長としか話すことができずに、カンジンの女性店員はバックレちゃった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、このお父さんのブログを読んで、あたしはガクゼンとした。この女性店員は、店長に対して、「盲導犬だとは気づかなかった」って、大嘘をぶっこいてたのだ。そして、ケープに大きく「盲導犬」と書かれてた事実に関しては、「片側にしか書かれていなかったので気づかなかった」とノタマッたそうだ。前出のお父さんと女性店員のやりとりを見れば、ケープの文字を確認するまでもなく、この女性店員は「盲導犬」であることを認知していたことは明白で、その上で、お父さんは、ケープの文字を指し示してる。そして、女性店員は、ハッキリと、「当店は『盲導犬でも』外でお待ちいただくことになっております」と言ったのだ。それなのに、この女性店員は、店長に呼び出されて、コトの重大さを知った瞬間に、大嘘をついて自己保身に走ったってワケだ。

こんな大嘘をついちゃったら、そりゃあ、お父さんの電話に出ることはできないよね。結局、お父さんは、その場にいなかった店長からだけ、表向きの謝罪の言葉を並べられたみたいだけど、このお父さんとしては、頭にきたから謝罪して欲しくて電話したワケじゃなくて、障害者に対してもっと理解ある企業になって欲しくて、それで電話したワケだ。それで、お父さんは、全国のユニクロの店舗を視覚障害者が利用できるように「介助犬ステッカー」を貼っていただけないかと、店長にお願いしてみた。そしたら、店長から返って来た返事は、ナナナナナント! 「既に貼ってあります」だと!

ここで、お父さんは、初めて、全国のユニクロに「介助犬ステッカー」が貼ってあったってことを知ったのだ。ようするに、あれほどハッキリと、「当店は『盲導犬でも』外でお待ちいただくことになっております」と言われたもんだから、マサカ、1人の女性店員の差別的対応とは思わずに、ユニクロ自体の対応だと思ってたのだ。「介助犬ステッカー」が貼ってありながら盲導犬を連れたお客さんの入店を拒否したなんて、これがアメリカだったら、完全に裁判沙汰になり、莫大な賠償金を取られてるとこだね。

あたしは、無知な女性店員の対応はともかくとして、その後のユニクロの対応にも大きな問題があると思う。本来なら、本社の人間が出て来て、正式に謝罪した上で、今後、末端の従業員まで、きちんと教育を行き届かせることを確約すべきだと思うのに、今回、ユニクロが取った行動は、コイズミと同じ「丸投げ」だ。お父さんは、本社のカスタマーセンターに意見メールを送ったのに、そのカスタマーセンターは何も対応せず、該当店舗の店長に「丸投げ」したってワケだ。だから、何も事情を知らない店長としては、「自分の部下の不適切な対応に対するクレーム」として受け付け、マニュアル通りの謝罪をしただけで、今回のことは、当然、他の店舗や、ユニクロという企業自体には、まったく生かされないだろう。

今回のユニクロの対応に関して、お父さんは、「店長にばかり謝罪させずに、企業として今回のことをどう考えどう対処したいと思っているのか、それも是非とも伺いたいところだった」「これで終わりにするとしたら、外向きの理念ばかり飾り立て、末端教育がきちんとできていないのは企業体質」って書いてるけど、まったくもって、その通りだと思う。

‥‥そんなワケで、「盲導犬」で思い出したんだけど、ずいぶん前に、あたしが、犬に洋服を着せてる人たちを批難するような内容のことを書いた時に、「盲導犬に着せている洋服やケープは、公共の車内や店内などに犬の毛が落ちないようにとの配慮であったり、盲導犬であるということを知らせるためのものです。それなのに、犬に洋服を着せるのは悪い!と決めつけるのは良くないと思います」ってメールをいただいたことを思い出した。だけど、コレって、どうなの? あたしが言ってんのは、あくまでも、ペットとしての犬のことで、飼い主の身勝手で、洋服だのリボンだので生き物を飾り立てる行為に対して「かわいそう」って言ってるだけだ。

こういうパターンって、他にもある。たとえば、スマップの中居正広が、自分の彼女を妊娠させた時、彼女のほうは産みたいって言ったのに、今後のスマップの活動に影響が出るって理由で、強制的に人工中絶させられた事実について、あたしは、「人工中絶は殺人だ」って書いた。胎児だって「命」なんだから、こんなこと当たり前でしょ? それで、あたしは、中居にしろ、元・極楽とんぼの山本にしろ、避妊もしないでセックスをやりまくってるクセに、相手が妊娠したら「人工中絶すれば済む」って思ってるような、無責任なクズ男どものことを「殺人者」だって思ってるし、そう書いた。

その時にも、「きっこさんは人工中絶に反対のようですが、見ず知らずの男からレイプされて、それで妊娠してしまうようなケースだってあるのに、人工中絶はすべて悪いというような書き方はどうかと思います」ってメールが来たんだけど、これも、「盲導犬の洋服」とおんなじだ。世の中のほとんどのことには、「特殊なパターン」てものがあるワケで、あたしは、そんなことは分かった上で書いてるワケだし、読んでる人たちも、そんなことは分かった上で読んでると思ってる。じゃなかったら、何か書くたびに、考えられるすべての特殊なパターンを羅列して、ひとつひとつに注釈を入れなきゃなんないし、そんなことしてたら、何も書けなくなる。

ちょっと前の、ジダンの頭突きの話題の時も、あたしは、「侮辱発言で相手を挑発したマテラッツィは悪いに決まってる」っていう大前提があっての上で、「その挑発に乗って短絡的に暴力行為に出たジダンのほうがもっと悪い」って趣旨のことを書いた。だけど、あたしのとこに届いたメールは、「ジダンだけが悪くて、挑発したほうのマテラッツィは悪くないというのは、納得できません」っていう内容のものがあった。あたしは、「ジダンだけが悪い」なんて書いてないし、「マテラッツィが悪くない」とも書いてない。

あっ! そういえば、FIFAによる双方の事情聴取が終わって、ジダンも「差別的な発言は無かった」って認めて、他の選手も日常的に使ってる「一般的な悪口」だったってことが明らかになったそうだ。結局は、「普通の悪口に対してジダンがカッとして暴力を振るった」ってことだったみたいだけど、今まで、「家族を侮辱されたら暴力も当然」だとか、「ジダンは移民の子だからナンタラ」とかノタマッてた人たち、完全にマト外れだったけど、この結論に対して、どう釈由美子‥‥じゃなくて、どう釈明するんだろう? 無責任な個人ブログとかはどうでもいいけど、ジダン擁護の記事を掲載してたマスコミは、キッチリとフォローの記事を書くべきだろうね。そうしないと、ユニクロの女性店員とおんなじレベルになっちゃうよ。

それにしても、「盲導犬の洋服」しかり、「レイプによる妊娠」しかり、こうなって来ると、幼稚園児に説明するみたいに、なんでもかんでも「1」から書かなくちゃなんないの?‥‥って気持ちになって来る。こっちとしては、たいていの人は「1」から「3」くらいまでのことは分かってるって前提で、「4」から先のことを書いてんのに‥‥。で、幼稚園児にも分かるように、「1」から書いたりすると、今度は、「1」から「3」までの一般常識を持ってる人たちにしてみたら、「分かりきってることをイチイチ書くな!」ってことになっちゃうと思う。だから、あたしとしては、これからも、「たいていの人は分かりきってること」に関しては、イチイチ書くつもりはない。

‥‥そんなワケで、話はクルリンパと戻って、ユニクロの視覚障害者に対する入店拒否の問題だけど、お父さんの考え方に賛同した人たちが、みんなでユニクロのカスタマーセンターに「改善」を要求するメールを送ったことによって、ついに、ユニクロの上層部も動かざるを得なくなった。7月20日付のブログでは、ユニクロの社員研修の担当者とその上司が、お父さんの家を訪問して、直接、謝罪したいという申し出があったと報告されている。社員研修の担当者が来るということは、お父さんの意見が今後の社員教育に生かされる可能性も高いワケで、これが、再生紙の名刺を配りまくるような、大企業お得意の表向きだけのゴマカシなのか、それとも、ホントに反省しての行動なのかは、今後のユニクロの店員の対応を見て決めたいと思う今日この頃なのだ。

 ★身体障害者補助犬法の改正に関する請願署名運動★


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう♪
★ 「障害者自立支援法」を始めとする悪法の数々で、社会的弱者を虐げ続けているのは、コイズミ内閣だけで十分だ! 企業はもっと良識を持て!と思った人は、クリックお願いしま~す!
   ↓   ↓
人気blogランキング

|

« 息抜きするなら水族館 | トップページ | ブルーベリーな朝 »