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2006.10.24

ありがとう、マイケル!

F1sa
タララタラタラタラタラタラッタ~~タタ~~タタ~~♪‥‥ってなワケで、Tスクエアが電子尺八で演奏する「うさぎのダンス」が流れ始めて、いよいよ! ついに! At last! 今シーズン最後のレースにして、ミシュランタイヤ最後のレースにして、シューマッハ兄の最後のレース、2006年ブラジルGPがスタートした! 「ブラジル」って言えば、もちろん、ブラジャーが入ってるお味噌汁のことで‥‥なんて言うと、タカ アンド トシの右側の人から「南米かっ!」ってツッコミを入れられちゃうけど、実際に「南米」なんだからジンジャエールの麦茶割りだ。

で、このブラジルGPが行われるのは、通称「インテルラゴス・サーキット」って言うんだけど、正式な名前は、ポルトガル語で、「アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ」って言って、なんか、「あしたのジョー」の対戦相手とニッサンの社長が合体したみたいな名前だけど、これは、1970年代のブラジルのサンパウロ出身のF1レーサー、ホセ・カルロス・パーチェの名前から来てる。ようするに、カナダGPが行われてる「ル・サーキット・ジル・ヴィルヌーヴ」とおんなじようなもんなんだけど、ホセ・カルロス・パーチェの場合は、マシンにも恵まれず、若くして飛行機の墜落事故で亡くなっちゃったから、生涯のレース出走数も少ないし、生涯で優勝したのは1回だけで、それが、この地元のサーキットなのだ。

このサーキットの泉質は、珍しい「左回り」、効能は、「アップダウンの多いバンピー」ってワケで、温泉の紹介みたく、レオタード姿の小さいきっこにプラカードを持ってもらって説明してもらったけど、ようするに、ジャジャ馬なコースってワケで、すごく走りにくい。その上、サーキット自体の整備とかも「南米のノリ」で、年に一度のF1が開催されるってのに、コースの上はゴミだらけだし、コースの脇のカンバンは飛んで来るし、タカ アンド トシにツッコミを入れてもらうくらいじゃぜんぜん足りない。何年か前には、後藤久美子のダンナのジャン・アレジが、予選の走行中に、飛んで来たカンバンの直撃を食らっちゃって、「タカ アンド トシのツッコミよりも厳しかったよ‥‥トホホホホ‥‥」ってコメントしたとかしないとか‥‥ってな感じの今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、ニポン中のモータースポーツファンが、シューマッハ兄の最後の「アゴ勇」‥‥じゃなくて、最後の「勇姿」を目に焼きつけるために、今日のお仕事のことを忘れて徹夜をしたと思うけど、最初っから言っちゃうと、皆さん、眠い目をこすりながら起きてて、ホントに良かったねぇ~♪ もう、これは、今年のベストレースとしか言いようがなかったし、どのドライバーのファンも、どのチームのファンも、観てた人はみんなそう思っただろうし、何よりも、シューマッハ兄のパフォーマンスがサイコーだった♪


1.マッサ(フェラーリ)
2.ライコネン(マクラーレン)
3.トゥルーリ(トヨタ)
4.アロンソ(ルノー)
5.バリチェロ(ホンダ)
6.フィジケラ(ルノー)
7.シューマッハ弟(トヨタ)
8.ハイドフェルド(ザウバー)
9.クビサ(ザウバー)
10.シューマッハ兄(フェラーリ)
11.ウェバー(ウィリアムズ)
12.デラロサ(マクラーレン)
13.ロズベルグ(ウィリアムズ)
14.バトン(ホンダ)
15.リウッツィ(トロロッソ)
16.スピード(トロロッソ)
17.アルバース(ミッドランド)
18.クルサード(レッドブル)
19.佐藤琢磨(スーパーアグリ)
20.山本左近(スーパーアグリ)
21.モンテイロ(ミッドランド)
22.ドーンボス(レッドブル)


シューマッハ兄が、ワールドチャンプになって勇退するためには、前回のニポンGPとは正反対、つまり、シューマッハ兄が優勝して、アロンソが0ポイントってケースしかなかったから、こんな感じのスターティンググリッドからは、望みはモト冬樹の頭だった。それ以前に、シューマッハ兄自身も、「チーム優勝を目指す」ってコメントしてたから、自分のワールドチャンプの目は考えてなかったんだろう。だって、どんなに自分ががんばって、玲奈ちゃん、りっちゃん、ナナさん、アキちゃんの4人の幸運の女神が、空からハレホレと舞い降りて来て優勝できたとしたって、アロンソが8位以上に入賞したら、ワールドチャンプの座は消えちゃうんだから。

つまり、シューマッハ兄がワールドチャンプを狙うんなら、自分がベストを尽くすと同時に、アロンソのミスやアクシデントが必要になる。この、自分の努力だけじゃなくて、相手のミスやアクシデントがないとチャンプになれないのにそれを狙うってのは、シューマッハ兄のキャラじゃない。そんなことは関係無しに、とにかく、16年間の最後のレースを思いっきり走りきる! それだけだ! だけだったら、だけだけだ!‥‥なんて、「なのなのだ!」のニュータイプも飛び出したとこで、レースのほうもスタートして、地元のマッサが、テレビ局の大道具さんが作ったみたいな仮設スタンドを埋め尽くしたファンたちの歓声の中、イキオイ良く飛び出した。

予選でのマシントラブルで、麻布十番グリッドからのスタートとなったシューマッハ兄も、浪花家総本店で鯛焼きを買いつつも、ミゴトなスタートで3台抜きを見せて、やる気マンマンの吉田照美だ。だけど、オープニングラップの最終コーナーで、ウィリアムズの2台、ウェバーとロズベルグが大クラッシュしちゃって、コース上にパーツが飛び散り、ソッコーでセーフティーカーが入った。で、6周目にレースが再開されて、トップのマッサはガンガン飛ばすし、シューマッハ兄も、前のフィジケラをアオリイカのエギングだし、こりゃあ表彰台が真っ赤に染まるかも?‥‥なんて思ったのもお茶の間、8周目のストレートで、フィジケラをパスして6番手に上がった2コーナーで、シューマッハ兄の左のリアタイヤがバーストしちゃった‥‥。

急いでタイヤを交換しようとしたけど、シューマッハ兄が持ってたのは、麻布十番の浪花家総本店で買った鯛焼きだけだったので、いくら他のお店の鯛焼きよりも硬いからって、これじゃあバンピーなコースは走れない。だから、ピットインして、石橋タイヤに交換したんだけど、これで、シューマッハ兄は、もちろん最後尾になっちゃったワケで、全世界のシューマッハ兄のファンやF1ファンは、「なんてこったい!」って思ったことだろう。

だけど、ここからがスゴかった! シューマッハ兄は、F1生活16年のすべてを出し切り、教師生活25年の町田先生も大泣きするほどの熱い走りで、次々と前のマシンを抜いて行く。ミッドランドやスーパーアグリなんかは、アゴから‥‥じゃなくて、鼻っから相手にしてないけど、恐るべき速さで、他のドライバーたちに格の違いを見せつけて、周回ごとに順位を上げて行く。そして、大幅にハショルけど、40周を超えてレースも中盤を過ぎたころには、すでにポイント圏内の7番手まで浮上してた。トップを独走してるマッサよりも、それを追うアロンソやライコネンやバトンよりも、もう、シューマッハ兄の独壇場って言うか、シューマッハ兄のためのレースだ、これは!

そして、46周目にバリチェロがピットインしたのを皮切りに、47周目にシューマッハ兄が、49周目にフィジケラが、50周目にバトンが、51周目にライコネンが、52周目にマッサが、54周目にアロンソがピットインして、それぞれのマシンが、それぞれの思いを乗せて、今シーズン最後のチェッカーを目指した。ここで、トップを独走のマッサに続いて、アロンソ、バトン、ライコネン、フィジケラ、クビサ、バリチェロ、シューマッハ兄って感じで、順位はビミョ~に入れ替わったけど、ここから5周ほどで、シューマッハ兄は、バリチェロとクビサをパスして、6番手に踊り出た‥‥って言っても、別にパラパラとかを踊りながら前に出たワケじゃなくて、ちゃんとステアリングを握って運転してたことは言うまでもない。

で、60周を過ぎてからのラスト10周が、ホントに熱かった! 前を走る5番手のフィジケラを何度もアオリマクリマクリスティーで、精神的プレッシャーをかけて、コーナーでパス。そして、ラスト3周で、次なる獲物、4番手のライコネンに襲いかかった。「そんな走りじゃ、オレのアトガマには座れないぜ!」って感じで、王者の風格でインをとらえる。ライコネンも耐えたんだけど、来シーズンも走る男の「ラスト3周」と、16年間のレース人生の「ラスト3周」とじゃ、重さも迫力も違いすぎる。

そして、ライコネンを抜き去って4番手に浮上したシューマッハ兄は、残り2周じゃ3番手のバトンには届くワケはないけど、これ以上は無いってほどの完璧なドライブを魅せてくれて、ナナナナナント!最後の最後にファステストラップ、「1'12"162」を叩き出した! そして、そのまま4位でフィニッシュ! 10番グリッドからスタートして、一度は7番手まで浮上するも、タイヤのバーストで最後尾まで落ちたシューマッハ兄。だけど、そこから這い上がり、4位に入賞したってことは、他のマシンのリタイヤとか、ピット作業の作戦とかもあるけど、とにかく、19台のマシンを抜いたってワケだ。そして、最後の最後にファステストラップを叩き出すなんて、もう、優勝するよりカッコイイ♪

‥‥そんなワケで、優勝は地元のマッサ(フェラーリ)が故郷に錦を飾り、2位はアロンソ(ルノー)でワールドチャンプを決め、3位は14番手スタートのバトン(ホンダ)で、この3人が表彰台に上った。そして、人生最後のF1で、4位に入賞して、5ポイントを獲得したシューマッハ兄(フェラーリ)。この5ポイントは、優勝したマッサの10ポイントよりも、遥かに重い金メダルだ。そして、5位は、来シーズンからシューマッハ兄に代わってフェラーリのシートに座るライコネン(マクラーレン)、6位はルノーに残留するフィジケラ(ルノー)、7位は今日もパッとしなかった釣りバカ日誌のハマちゃん‥‥じゃなくて、F1バカ日誌のバリちゃん(ホンダ)、ちゃっかりと8位に滑り込んで1ポイントをGET MY LOVE!したのはデラロサ(マクラーレン)。あとは、アンテナが1本も立たないポイント圏外で、クビサ(ザウバー)、タクマ(スーパーアグリ)、スピード(トロロッソ)、ドーンボス(レッドブル)、リウッツィ(トロロッソ)、アルバース(ミッドランド)、モンテイロ(ミッドランド)、サコン(スーパーアグリ)までが完走扱いだった。

ちなみに、今年のワールドチャンプになったアロンソは、シューマッハ兄の最後のレースに対して、こうコメントした。


「彼は、いくつものトラブルに遭いながら、彼らしい勇敢なレースを見せてくれた。今日のレースは、彼にとって、とても名誉あるものだと思う。そして、彼のような強敵がいながら、ボクがワールドチャンプになれたのは、本当にラッキーだったと思ってる。ボクは、幸いにもワールドチャンプになれたけど、それは、シューマッハと争って勝ち得たからこそ大きな意味があるんだ。ボクは、彼と同じ時代にレースできたことを誇りに思う。」


そして、シューマッハ兄は、自身の最後のレースについて、こうコメントした。


「とにかく、チームメイトのフェリペ(マッサ)が素晴らしいレースをすることができたので、すごく嬉しいよ。インテルラゴス・サーキットでブラジル人のドライバーが優勝したのは、アイルトン・セナ以来のことだから、フェリペにとっては何よりも素晴らしいことだね。ボクも一緒に表彰台に上れたら、もっと良かったんだけどね。それから、フェルナンド(アロンソ)にも、コングラチュレーションと言いたいよ。今回、ボクは、レース序盤でタイヤがバーストしてしまい、苦しいレース展開になったけど、そのあとは、マシンの調子もタイヤの調子も良くて、ずいぶん挽回することができた。今日でボクのレース人生は終わるけど、素晴らしいフェラーリのスタッフたちと今日まで過ごせたことを誇りに思ってる。スタッフたちに言いたいことは、たくさんありすぎて、とてもヒトコトじゃ言い表わせないよ。」


‥‥そんなワケで、今回のブラジルGPは、ホントの意味で、シューマッハ兄にとってのサイコーのレースだったのかもしんない。特に、ラスト10周の猛攻は、もはや神がかり的だったし、極限のスピードとGの中でバトルを繰り広げてるのに、シューマッハ兄は、なんだか楽しんでるように見えた。まるで、初めて自転車を買ってもらった子供みたいに、はしゃいでるように見えた。あたしは、いつも言ってるように、シューマッハ兄のことはそんなに好きじゃないけど、2005年のサンマリノとか、カッコイイと思ったレースはたくさんある。だけど、優勝したレースよりも、ワールドチャンプを決めたレースよりも、今回のレースが、一番カッコイイと思った。だから、今までずっと「シューマッハ兄」って書いて来たけど、最後に、感謝と尊敬を込めて、こう呼ばせてもらう。

「ありがとう、マイケル!」


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