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2006.11.16

続・恵さんの遺書

3日前の日記、「恵さんの遺書」に関して、十数人の読者から、以下のMBCニュースの記事を元に、「すでにご遺族と学校側とは和解しているのでは?」という指摘のメールが届いた。


自殺した教諭の遺族会見「理解し合えた」 2006/11/04

曽於市の中学校教諭が上司による嫌がらせを受けたと訴えて自殺した問題で、きょう遺族が記者会見し、学校側から謝罪があったとして「お互い理解し合えた」という見解を示しました。この問題は、先月29日、曽於市内の公立中学校に勤務していた久留恵さん(32)が、指導力不足とされたことなどをめぐり、上司による嫌がらせ、パワーハラスメントがあったと訴える遺書を残して自殺したものです。自殺から1週間のきょう記者会見した遺族によりますと、校長らがきのう自宅を訪れ「指導がパワーハラスメントと受け取られたなら、申し訳ない」と、謝罪と受け取れる言葉を述べたということです。久留さんの家族は「これで和解したと思っている」という見解を示すとともに、今後、同じような悲劇が起こらないよう、職場環境の改善などに取り組んでほしいと話しました。
http://www.mbc.co.jp/newsfile/news-v/00090122_20061104.shtml


‥‥それで、このMBCのニュース映像でも、あたしにメールをくれた恵さんのお兄様ご本人が、学校側と和解したととれるような発言をしてる。ただし、お兄様の発言は途中で切られていて、和解したととれる部分だけを編集してある可能性が高い‥‥って言うか、一番重要な、ご遺族代表のお兄様のコメントを放送するにしては、しゃべってる最中にカットするってのが理解できない。パソコンなら上記のURLからニュース映像を見られるけど、ケータイからアクセスしてる人のために書いておくと、お兄様のコメントは次のようにカットされている。


「(学校側は)本当のことをやっと言ってくださいました。これで理解しあえたと思い~」


これは、恵さんの自殺から1週間目を迎えた11月4日の会見で、それまでずっと自分たちの非を認めなかった学校側が、ようやく謝罪ととれる言葉を言ってくれたことに対するコメントだ。でも、「これで理解しあえたと思い~」の次に続く言葉が編集でカットされているため、「理解しあえた」「和解した」というニュアンスだけを伝えるための報道になっていて、理解しあえたと思ったから「この先、どうするのか」って部分には、まったく触れられていない。そして、この会見から1週間後の11日に、お兄様から、あたしのところに最初のメールが届いたのだ。

つまり、これらの状況だけを客観的に見ると、4日の時点では、一度は和解の方向へ向いたものが、その後、1週間のうちに、まったく違う状況に変わったってことになる。それで、あたしは、お兄様に、上記のMBCニュースのリンクを添えてメールを送り、詳しい状況を聞いてみた。すると、次の回答が届いた。


おはようございます きっこさま

きっこさま、私達は、最初は裁判をするつもりでした。
それは、鎌田くみ子校長をはじめとした学校側の態度が、あまりにも酷かったためです。

妹の葬式のあと、話し合いのために、校長、教頭、教育長が家に来たのですが、校長は、妹の遺影と遺骨の前で、たった一言の謝罪も無いばかりか、自分達の言い訳に終始し、妹の勤務態度の非を次々と指摘し始め、しまいには妹のことを「非常識な人間だ」と罵ったのです。
かりに妹の勤務態度に問題があったとしても、人1人が自殺したと言うのに、これが本人の遺影の前で、悲しみに暮れる両親の前で言う言葉でしょうか?

このあまりにも酷い校長の態度に、私は怒りの気持ちを抑えることができなくなりましたが、母から「抑えてくれ」と言われ、怒りを押し殺して対応を続けました。
それでも校長側は、自分達の非はまったく認めず、すべては妹の責任だと言い続けるばかりなので、私は仕方なく次のように言いました。

「ではパワハラ、イジメをするつもりはなかったが結果的にそう受け止められる行動をしてしまったということを遺影に謝罪してください」

とこちらから言うと、3人は次のように話しました。


鎌田くみ子校長

「めぐみさん、本当にごめんなさい。私としてはあなたのことを考えて指導してきたつもりなんですけれども、あなた自身が、私の気持ちがあなたに届かなかった、そういうあれもありますけど、あなた自身が私の指導をパワーハラスメントだと考えてそういう風に受け取って。本当に本当に、かけがえのない命を絶ってしまわれたことに対して、申し訳なく思っています。ごめんなさい」


森健一郎教頭

「久留先生。先生に気持ちはうまく伝わらなくて、先生に対する指導がいじめとかそういう風に誤解されてしまって、つらい思いをさせてしまって、すいませんでした」


植村和信教育長

「恵先生。校長先生も教頭先生も私も、大事な娘さんをお父さんから預かって、先生が本当に周りの人から信頼される先生になってがんばっていただきたい一心の思いで、厳しいことを言ったりしたかもしれません。そのことで先生に本当につらい思いをさせてしまったようであります。先生が命をもって教えてくださったことを、私たちは肝に銘じて二度とこういうことがないように、十分言葉遣い、指導のあり方、さらに勉強して、仲間の人たちへの指導のあり方を、研究して参りたいと思います。先生の命をかけての教えを無にしないように誓い、そして本当に大事な命を絶たれるようなことになったことを、心からおわびいたします。ごめんなさい」


まったく自分達の非を認めない学校側に対して、私の方から無理やりに言わせた言葉とはいえ、一応は謝罪ととれる言葉を言ってくれたことと、今後、二度とこのようなことが起こらないように努力する、今後は誠意を持って対応して行くとの約束があったため、私達は、裁判を起こすことだけは取りやめにしました。
これが、MBCニュースで取り上げられた時のことです。

しかし、その後鹿児島では、この事件はまったく終わった話となり、学校での改善、校長の心境、マスコミ等への報告、また校長からの私達へその後の対応などは一切ありません。
妹が命を懸けて訴えたことをまさか焼香に来たときの家族へのただ一回の謝罪で済ませるつもりなのでしょうか?

その時にも私たちは言いました。

「罰をあたえたいわけではない、お金が欲しいわけでもないのです。鹿児島には妹と同じ状況で悩んでいる人が、今現在ギリギリの人がたくさんいます。それを改善してもらうことが目的です」

今後は、このようなパワーハラスメントを無くして欲しいと思い、だからこそあえて実名で訴えたのです。
ところが、少なくとも大学を出て教師になって、その上で校長になったほどの人なのに、こちらから言われて仕方なく口にした、たった一度の心無い謝罪の言葉だけで、この問題を終わったことにしようとしているのです。
あるであろうと思っていた事後の改善報告、日々の家へ訪れての焼香など、反省した大人だったらしなければいけないことはたくさんあるはずです。
今まで妹から聞いていた、部下の教師には散々させていたはずの報告や連絡などはいっさいありません。

それがまったくないということは、まったく心のこもってない形だけの謝罪であって、校長達の中では、もう終わった話と思ってるのでしょう。
人1人殺しておいて、その遺影の前で殺した相手を罵り、遺族に言われて初めて謝罪らしき言葉を口にして、それで終わり・・・

これが教育者の態度でしょうか?
この無責任な学校側の態度に、私達遺族がどれほど腹立たしく思っているか、こちらがそれを言わないと、こちらが指摘しないと分からないのでしょうか?
こっちがお人好しで貧乏なので、このまま放っておいても訴えてこないと思って「一回謝っておけば良い」ぐらいに思っているのでしょうか?

きっこさま、長いメールになってしまいましたが、MBCニュースの記事が出た時点では、こちらから無理やり言わせたとはいえ、一応は謝罪らしき言葉があったために、裁判だけは見送る方向で考えたということです。

そして私の発言の「これで理解しあえたと思い」の後には、今後学校側が責任を持ってきちんと対応してくれるという約束をしてくれたことや、二度とこのようなことが起こらないようにするという言葉が続くのですが、その部分はすべて放送ではカットされ、「謝罪があったから理解し合えた」という部分だけを放送されてしまいました。
これも、きっこさまがいつも言っている偏向報道の一例ではないでしょうか?

そして、それ以降の学校側からの対応が皆無であることを含め、学校側はこの問題を「すでに終わったこと」としてうやむやにしようとしているため、私達は新聞社などに訴えたのですが、新聞社も「すでに終わったこと」として相手にしてくれませんでした。

このままでは、妹の死は本当に無駄になってしまう・・・

私達はそう思い、きっこさまにメールを送ったということなのです。
きっこさまにメールを送ったのは、私だけでなく、父も母も遺族全員が、学校側の非人道的な対応に憤慨しているからです。

家には、妹の事件と同じように、地位を利用したパワーハラスメントの被害者からの電話や、励ましの電話も沢山あります。
妹のためにも、これから後に続く教師を目指す人のためにも、言うべき事は訴え続けていきたいと思っています。

またメールいたします。

久留 彰


‥‥そんなワケで、前回のメールでは、あたしの判断で、お兄様の名前を伏字にしたけど、お兄様から、以下の追伸があったので、今後は、お兄様の実名も掲載することにした。


きっこさま、本当にありがとうございました。

先ほどの原稿ですが、修正希望はありませんので、そのまま掲載してください。

それから私の名前の件ですが、鹿児島では家族全員が顔も名前も出して訴え続けていますので、私の名前は出してもらって構いません。
私達はそれだけの覚悟で臨んでいます。
妹は命をかけて訴えたのですから当然かと思います。

今日昼NHK報道の方が来られました。
話を聞きたいとのことで、いろいろ聞かれていきました。
やはりきっこの日記の影響力に感謝するばかりです。

なにかありましたら又メールいたします。

久留 彰


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