来年の干支は?
ものすごくコンポンテキな問題として、「来年の干支はイノシシだから」ってのは、大きな間違いだ。それを言うなら、「来年の干支は丁亥(ひのとい)だから」って言わなくちゃなんない。ニポンでは、「干支」と「十二支」のことをゴッチャにしてて、「あなたの干支は?」って聞かれたら、「サルです」とか「イヌです」とか答える人が多い。そして、それ以前に、質問するほうも、そのつもりで質問してる場合がほとんどだ。だけど、正しくは、「あなたの十二支は?」って聞かれたら、「サルです」とか「イヌです」とかって答えて正解なんだけど、これは、「干支」とは違う。
「干支」ってのは、「十干十二支(じっかんじゅうにし)」のことで、つまり、「十干」と「十二支」を合わせたものだ。この「十二支」のほうは、オナジミの「ネ、ウシ、トラ、ウ、タツ、ミ、ウマ、ヒツジ、サル、トリ、イヌ、イ」ってヤツで、漢字で書くと、「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」ってなる。だから、あたしたちが、「サルです」とか「イヌです」とか言ってるのは、「干支」のうちの「支」のほうのことで、「干」のほう、つまり、「十干」については触れてないってことになる。で、その「十干」はどんなのかって言うと、「甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)」の10個になる。そして、この「十干」のうちの1つと、「干支」の12個のうちの1つを組み合わせたものが、正式な「干支」ってことになる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、来年は、十干のほうは「丁」、十二支のほうは「亥」なので、「来年の干支は?」って聞かれたら、「丁亥(ひのとい)」って答えないと間違いってことになる。で、「十干」のほうは10個だから10年で1周するし、「十二支」のほうは12個だから12年で1周する。つまり、12年ごとに「イノシシ年」は回って来るけど、来年のイノシシ年と、その12年後のイノシシ年とでは、上にくっつく十干のほうが違って来るってワケだ。
ちなみに、あたしの干支は「壬子(みずのえね)」なんだけど、あたしとおんなじネズミ年でも、あたしより12才年上の人は「庚子(かのえね)」だし、あたしより12才年下の人は「甲子(きのえね)」になる。だから、自分と12才違いの人に対して、よく、「おんなじ干支ですね」とかって言うけど、それは間違いで、正しくは、「おんなじ十二支ですね」って言わなくちゃなんない。十干も十二支も一緒の「おんなじ干支」ってのは、60年に1回だから、今年60才になった人と、今年生まれた赤ちゃんとが、やっとこさ「おんなじ干支ですよね」ってことになるのだ。
で、話をリトル巻き戻すけど、あたしより12才年下の人の「甲子」って文字を見て、すぐに「甲子園球場」を連想した人も多いと思う。それで、この甲子園球場が作られたのが、今から80年以上も前の大正13年(1924年)なんだけど、この年の十干が「甲」、十二支が「子」、つまり、干支が「甲子」だったので、それで「甲子園球場」って名づけられて、球場の周りの一帯も「甲子園」て言う地名になったのだ。ちなみに、「甲子」の前の年は「癸亥(みずのとい)」で、次の年は「乙丑(きのとうし)」だから、もしも甲子園球場が作られたのが1年早かったとしたら、「癸亥園(きがいえん)」て命名されてたのかもしんないし、1年遅かったとしたら、「乙丑園(いっちゅうえん)」て命名されてたのかもしんない。タイガースファンの皆さん、「イッチュウエン球場」なんて名前になんなくて良かったですね(笑)
それに、ガッカリしちゃうのはタイガースファンだけじゃなくて、全国の高校野球の球児たちもだ。球児たちが厳しい練習に耐えてがんばってるのは、やっぱり「甲子園」を目指してるからであって、目標が「イッチュウエン」だったら、とてもじゃないけど足腰に力が入らないだろう。そして、「甲子園」に行けなかったら悔しいだろうけど、「イッチュウエン」なんかに行けなかったら、あまりの情けなさに、連続ヒザカックンされたみたくなっちゃうと思う。だけど、おんなじ球児でも、全国にたった1人だけ、「イッチュウエン」だろうと「キガイエン」だろうとお構いなしで、春になったらゲロゲーロ、ゲロゲーロって鳴き出しちゃう球児がいるけど、その話は、また今度(笑)
‥‥そんなワケで、話はクルリンパと戻って、「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」って言う十二支だけど、どうして、この12種類の動物が、この順番で並んでるのかって言うと、ニポンの民話では、元旦に神様のとこに新年のアイサツをしに行った順番てことになってる。これは、すごく有名な民話で、絵本にもなってるし、テレビアニメの「日本むかしばなし」でも何度もやってるから、知ってる人のほうが多いと思うけど、念のために、ものすごくハショッて書いてみる。
むかぁ~しむかしのことじゃったぁ~~~神様はぁ~~~動物たちとぉ~~~出会ったぁ~~~って、これじゃあ「世界ウルルン滞在記」になっちゃうから、下条アトムには引っこんでもらって、常田富士男にバトンタッチしてもらって最初からやり直すけど、むか~しむかしのことじゃった~年の暮れに~神様が~動物たちを集めて~こう言ったそうな~って、常田富士男でも時間が掛かりすぎちゃうから、やっぱ、きっこ節で行くことにする。
「年が明けて元日になったら、私のところに新年のアイサツをしに来るように。そしたら、早く来たものから順に、12番目のものまで、1年ずつ、その年の大将にしてやろう」
その話を聞いた動物たちは、われこそが神様のとこに一番乗りしようと、それぞれ作戦を練りながら、年が明けるのを待っていた。それで、年が明けたんだけど、ウシは歩くのが遅いからって、まだ、みんなが寝てる真夜中のうちに、ひと足先に出発することにした。そして、その様子を牛小屋の天井から見てたネズミは、ウシに気づかれないように、ウシの背中に飛び乗った。
結局、他の動物たちより何時間も早く出発したウシが、1番に神様のとこに到着したんだけど、神様のお屋敷の門のとこに着いたトタンに、ネズミはウシの背中から飛び降りて、タターッと走って行き、1番になっちゃった。そして、ウシは2番になり、続いて、トラ、ウサギ、リュウ、ヘビ、ウマ、ヒツジ、サル、トリ、イヌ、イノシシの順に到着した。
で、次の日になって、13番目に、ネコがやって来た。ネコは、神様のとこにアイサツに行く日をド忘れしちゃって、ネズミに聞いたのだ。そしたら、ネズミはウソをついて、1日遅れの日にちを教えたからだ。それで、1月2日になって、ノンキにやって来たネコに向かって、怒った神様は、こう怒鳴りつけた。
「こらっ! 今ごろやって来るとはナニゴトだ! 顔を洗って出直して来い!」
それで、十二支に入れてもらえなかったネコは、神様に言われた通りに顔を洗うようになった上に、今でも、ウソをついたネズミを恨んで追いかけまわしてるってワケだ。めでたし、めでたし‥‥って、ぜんぜんめでたくないけど、とにかく、十二支の動物の中で、もっとも優秀だったのがネズミってワケで、ネズミ年のあたしとしては、ウド鈴木にソックリなどっかの八百長ボクサーみたく、「どんなもんじゃ焼き~!」って叫んでみようかと思う。
‥‥そんなワケで、ニポンも、中国も、韓国も、この十二支はみんなおんなじなんだけど、それは、もともとが、中国で作られたものだからだ。ニポンの十二支は、紀元前11世紀ころの中国の殷(いん)の時代に、王充(おういつ)って人が考えたもので、それが、韓国に伝わって、それからニポンに伝わった。だから、ニポンの十二支が、中国や韓国の十二支とおんなじなのは当たり前っちゃ当たり前なのだ。
だけど、誰が言い出したのか、チベットやタイの十二支は、4番目のウサギの代わりにネコが入ってて、最後のイノシシの代わりにブタが入ってるって言うデマが広がってる。これは、八百長ボクシングの茶番試合を視聴率稼ぎにしてることでオナジミのTBSの「はなまるマーケット」で、去年、放送してたんだけど、こんなデタラメを全国に放送するなんて、サスガ、みのもんたに頭が上がらない放送局だけのことはある。まあ、イノシシ被告の代わりに武部ブタが入閣してるってのは、兄弟であり親子でもあるんだから別に構わないけど‥‥じゃなくて、イノシシの代わりにブタが入ってるってのは、大して変わらないことだから別にいいんだけど、ウサギの代わりにネコが入ってるってのは、すごく大きな違いだと思う。
だって、ネズミとネコが敵対関係にあるからこそ、ネズミがネコを騙してナンダカンダって言うストーリーが成り立ってるワケで、そのオカゲで、ネコは顔を洗うようになっただとか、ネコは今でもネズミを追いかけまわしてるんだとかって言うオチが存在してんだから、ネコがネズミに騙されずに、4番目なんて言う、そこそこグッドなポジションに入賞しちゃってたら、これらのオチはすべて使えなくなっちゃう。
で、何でこれがデマなのかって言うと、あたしは、ちゃんとタイ人の知り合いに聞いてみたからだ。タイのバンコク出身の人も、パタヤ出身の人も、アユタヤ出身の人も、みんな、タイでもニポンとおんなじ十二支だって言ってたし、自分の出身地以外でも、ウサギの代わりにネコを十二支に入れてる地域なんて、バンコクとパタヤの人は、「そんなの聞いたこともない」って言ってた。そして、アユタヤの人だけが、「タイのどこかに、ウサギの代わりにネコを入れてる地域があるって話は聞いたことがあるけど、一般的にはタイでもウサギだ」って言ってた。
もちろん、あたしは、この3人に聞いただけで、タイ中のすべての地域の人に聞いたワケじゃないから、タイのどっかの外れのちっちゃな村とかで、ウサギの代わりにネコを入れてる人たちがいることは事実みたいなんだけど、それを「タイの十二支はウサギの代わりにネコを入れてる」って言っちゃうのは、デマって言えるほどの拡大解釈だと思う。ニポンで言えば、アイヌだけに伝わってる風習だったり、沖縄の一部の島にだけ語り継がれてる民話みたいなものを「ニポン全国のこと」としてテレビで紹介しちゃうみたいなもんだから、絶対に誤解を招くだろう。
それから、チベットに関しても、やっぱり、一般的にはニポンの十二支とおんなじで、ウサギはウサギだ。だけど、ネパールのカトマンズ地方の一部の地域に住むタマン族の中には、ウサギの代わりにネコを入れてる人たちもいるそうだ。これは、ニポンでも、普通の「兎」って言葉と、十二支に使う「卯」って言葉が違うように、チベットでも、普通に使うのとは別の、十二支専用の言葉があって、その「ウサギ」に該当する言葉が、「ネコ」に似てるそうだ。それで、普通の言葉に直す時点で、間違って「ネコ」って訳しちゃったのがカン違いの発端らしい。だから、おんなじタマン族でも、十二支の4番目を「ネコ」だと思ってる人もいれば、「それは間違いで、正しくはウサギだ」って思ってる人もいるそうだ。
つまり、チベットにおける「ウサギの代わりにネコ」ってのは、いろんな民族がいるチベット文化圏の中の、たった1つの民族の中に、間違って伝えられたものであり、それも、その民族の中にも、間違いだってちゃんと認識してる人たちもいるってことだ。だから、これも、タイのパターンとおんなじで、100%のデマとは言えないけど、この事実をもって、いかにもチベット文化圏のすべての十二支が「ウサギの代わりにネコ」だって言うのは、大きな間違いだと思う。
ま、所詮はテレビなんだし、所詮はTBSなんだから、モノゴトを面白おかしくするために、1のことを10や100にして大ゲサに伝えるのはお家芸なんだろうけど、くだらない芸能人のゴシップとかならともかく、他国の文化について伝える時には、この手法は自重すべきだと思う。他国の文化に対して、こんなテキトーなことをしちゃってるクセに、他国のニポン料理屋に対しては、「すしポリス」だとか言う、ミニスカポリスも笑いながら逃げ出しちゃいそうなバカ丸出しの調査隊を派遣して、国民から巻き上げた血税を3億円近くも使って、ちゃんとしたニポン料理かどうか見に行くってんだから、これほどアホなことはないだろう。ヨソの国のやってることに文句を言う前に、この国のマスコミの偏向報道や捏造報道が、どれほど他国の文化をバカにしてるのか、それを調査して厳しく取り締まるほうが先だと思うんだけど‥‥なんて、明け方にこんなこと書いてたら、フジテレビの意味不明なアニメ、「親子クラブ」が始まっちゃったよ、もう‥‥あたしは、このアニメの「ロンパパ」って言う不気味な生物が、夢にまで出て来るほど苦手なんだよ‥‥(笑)
‥‥そんなワケで、スキだらけの自称チャンピオンに対して、立ってるだけでナゼかぜんぜんパンチを繰り出さない挑戦者を見ても、その試合の裏で、どんな取り引きがあったのかを推測できないような人たちには、もう何を言ってもムダだと思うけど、未だにテレビや新聞の報道が正しいなんて信じてる人たちは、この「はなまるマーケット」でのデタラメ放送が、どれほど間違った知識を蔓延させたのか、そして、どれほど他国の文化をバカにしたのかってことを考えてみて欲しい。そして、それでも分かんない人たちは、きっと、ウサギの代わりにネコどころか、ウサギの代わりに「カメ」が並んでるような十二支の国の国民なんだと思うから、これからも、ずっと、スポーツから政治まで、すべてテレビや新聞の垂れ流す茶番劇を鵜呑みにして、楽しい人生を送ってって欲しいと思う今日この頃なのだ。
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