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2006.12.21

九ちゃんの原料

あたしは、ちょっと前から、水槽のお魚たちのエサを「ネリエ」に切り替えた。何でかって言うと、しばらく前の「釣りロマンを求めて」に、「潮来(いたこ)のプレスリー」、こと、村田基(はじめ)が出てて、ヘラブナ釣りのベテラン釣り師と一緒に、管理釣り場でトラウトを釣ってたんだけど、その時に、村田基が、「ヘラ師はいつも左手でネリエを練ってますから~」って、左手をニギニギしてて、それがすごく面白かったから、あたしも、ネリエをニギニギしてみたくなったからだ。それで、近所の環八沿いにある釣具の上州屋に、児島玲子ちゃんの出てる釣り雑誌を買いに行った時に、ついでにネリエのコーナーも見てみた。

そしたら、袋の大きさも中身も、いろんな種類のネリエが並んでたんだけど、その中に、「九ちゃん」て言うのがあった。キュウリのキューちゃんが大好きなあたしとしては、見過ごすことはできないし、袋を見たら、「こい、まぶな、はや、やまべ、もろこ、くちぼそ、たなご」って書いてあるから、家のお魚にピッタンコだし、値段も283円で、すべてのネリエの中で一番安かった。あたしが、いつも、観賞魚屋さんで買ってるエサは、その半分の150円くらいなんだけど、箱の大きさはタバコくらいで、それと比べると、「九ちゃん」のほうは4倍か5倍くらいの量だから、こっちのほうがお得ってワケで、あたしは、買ってみることにした。

それで、お家に帰って来てから、お味噌汁用のお椀に「九ちゃん」をテキトーに出して、そこにお水を入れて、指でかき混ぜてみたんだけど、ちょっとお水が多かったみたいで、ドロドロになっちゃった。だから、少しずつ「九ちゃん」を足しながら、ちょうどいい感じになるまで混ぜてったら、どんどん量が増えてって、結局、オニギリくらいのカタマリができちゃった。数匹のクチボソと黒メダカのエサとしては、どう考えても多すぎる。だけど、あたしは、村田基がやってたみたいに、左手でニギニギしてみたら、その感触が不思議と気持ち良くて、水槽の前で、いつまでもネリエをニギニギしてた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、左手でニギニギした「九ちゃん」を5mmくらいに丸めて、水槽にポトンと落としてみた。そしたら、クチボソたちが突撃して来て、アッと言う間に消えて無くなった。今まで、ずっとおんなじエサだったから、新しい種類のエサになって、コーフンしてるみたいだ。そして、細かくなって水面に浮いたのは、黒メダカたちがパクパク食べてるし、なかなか好評だった。だけど、1回ぶんのエサとしては、小指の先ほどの量でも多いくらいだから、あたしの作ったオニギリくらいのカタマリは、いったい何日ぶんになるんだろう?って思った。

それで、あたしは、残りのネリエをどうしていいか分かんなかったから、とりあえず、ラップで包んで冷蔵庫に入れといた。そして、次の日も、次の日も、そのネリエをあげてたんだけど、4~5日くらいしたら、ネリエの一部が黒っぽく変色してることに気づいた。良く見てみたら、カビだった。それで、そのカビの部分を捨てて、大丈夫そうなとこをあげたんだけど、カビはどんどん繁殖しちゃって、結局、オニギリくらいのカタマリのうち、8割以上を捨てることになっちゃった。

で、昆虫並みの学習能力が自慢のあたしとしては、次からは、その日のぶんだけのネリエを作ることにした。左手の手のひらの上に、「九ちゃん」をちょっとだけ出して、お水を一滴ずつ垂らしながら指で混ぜてって、小指の先くらいのお団子を作る。そして、そのうちの半分くらいを朝、残りを夜ってふうにした。これで、ムダはなくなったし、まだ袋にはタップリと「九ちゃん」が入ってるから、何ヶ月も持ちそうだ。

だけど、この方式には、ひとつだけ欠点があった。それは、左手でニギニギできないってことだ。もともとは、ヘラ師のように、ネリエを左手でニギニギしてみたくて「九ちゃん」を買って来たワケだし、実際にニギニギしてみたら気持ち良かったのに、そのニギニギができないってことは、ちょっと悲しい。だけど、毎日、ネリエをニギニギして、あの感触をタンノーするためには、庭に池のある豪邸にでも住んで、でっかいコイか何かを何匹も飼わないとムリな話だ。あとは、左手でニギニギできるくらいのネリエを作って、小指の先くらいはお魚たちにあげて、残りはあたしが食べる‥‥って選択肢もある。

あたしは、猫たちに新しいキャットフードを買って来た時は、毒見って言うか、味見って言うか、念のために自分で食べてみることにしてる。だって、自分の食べらんないものなんか、大切な猫たちに食べさせたくないからだ。だから、それとおんなじ理屈で考えたら、あたしが食べらんないネリエをお魚たちに食べさせるのは、飼い主としてアベシンゾー、つまり、飼い主として無責任ってことになる。だけど、サスガに、人間とおんなじ哺乳類の猫と、ぜんぜん違う魚類とは一緒にできないから、あたしは、ネリエを食べてみる前に、「九ちゃん」の袋の裏に書いてある原料を見てみた。そしたら、「さなぎ粉、麦加工品、パン粉、魚粉加工品」て書いてあった。

それで、あたしは、麦加工品やパン粉や魚粉加工品はともかくとして、「さなぎ粉」って何だろう?って思って、インターネットで調べてみたら、ナナナナナント! カイコのサナギを粉末にしたものだってことが分かった! 「うお~!」って叫んでも、別に「魚」にカケてるワケじゃないけど、虫が苦手なあたし的には、危ないとこだった。調べる前に食べてたら、大変なことになるとこだった。若槻千夏じゃあるまいし、虫なんか食べられるワケないし、もしも何かの間違いで虫を食べちゃったとしたら、それから何日もずっと気持ち悪い状態が続いて、気持ち悪いまま大晦日になって、気持ち悪いまま除夜の鐘を聞いて、気持ち悪いまま新年を迎えて、気持ち悪いまま2007年がスタートしちゃうとこだった。

‥‥そんなワケで、インターネットのオカゲで、カイコのサナギの粉末を食べずにすみ、ギリギリセーフだったあたしだけど、ここで、もうひとつ、いいことがあった。それは、左手でニギニギして気持ちいいと思ってたネリエだったけど、その中にカイコのサナギを粉末も混じってるって知ったら、トタンに気持ち悪くなったってことだ。つまり、もう、ネリエをニギニギしたいと思わなくなったってワケだ。だから、毎日のエサの時も、直接、手のひらの上で作るのはやめて、ラップの上で作ることにした今日この頃なのだ。


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