エヴァンゲリオン~奇跡の価値は~
今年になってから、あたしは、10年も前のアニメ、「エヴァンゲリオン」について、何度か日記に書いた。それは、パチンコの「エヴァンゲリオン」だけじゃストーリーが分かんなかったから、YOU TUBEで、テレビアニメの全26話と、劇場用アニメの「シト新生」と「まごころを君に」を観たからだ。それで、あたしなりの感想みたいなもんを書いてみたんだけど、そしたら、すごくたくさんの人たちからメールをいただいた。それで、10年も前のアニメなのに、今でもたくさんのファンがいるってことも分かったし、だからこそ、今でも、パチンコの人気機種になってるんだなって思った。
パチンコだけじゃなくて、劇場用アニメのほうも、今年の夏から新シリーズが始まるそうだし、このまま行くと「エヴァンゲリオン」も、「ドラえもん」や「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」みたく、国民的アニメになる日が来るかもしんない。だけど、「エヴァンゲリオン」の場合は、「ドラえもん」や「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」みたく、1話1話が完結してるタイプのアニメじゃないから、国民的アニメにするためには、1話完結のギャグマンガにしなくちゃなんないだろう。で、こんなことを書くと、またまたディープなエヴァンゲリオンマニアたちから、怒られちゃいそうな気がする(笑)
まあ、あたしの場合は、あくまでも、パチンコの「エヴァンゲリオン」こそが重要なのであって、アニメのほうは、パチンコをより楽しむためにオマケで観たってワケで、重要度を比率にすると、パチンコが9でアニメが1って感じだ。だから、アニメが10の人から専門的なことを言われても、アニメが1のあたしとしては、とても太刀打ちできない。だって、あたしの場合は、とりあえずアニメはぜんぶ観たけど、それでも、エヴァンゲリオンについてる掃除機のコードみたいなヤツの名前を「アンビリーバボーケーブル」だと思ってるレベルだからだ。パチンコ屋さんはやかましいから、伊吹マヤが「ナントカケーブルが切断されました!」って言うのが、何度聞いても「アンビリーバボーケーブル」って聞こえちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、今日は、あたしとおんなじレベルの人たちのために、アニメの「エヴァンゲリオン」について、あたしが、ものすごくタメになったメールを紹介しようと思う。
お名前:N
E-mail:xxxxx@xxxxx.ne.jp
コメント:きっこさん、初めまして。グラタンが好きだけどマザコンではないNと言います(笑)かれこれ2年近く「きっこの日記」を拝読しています。このメールが届くかどうか分かりませんし、何百もの同じ種類のメールがすでに届いているかもしれませんが、「ひきこもりのためのエヴァンゲリオン」について説明させて下さい。
1.まず、庵野監督は引きこもり気味だった時期があります。彼は親しい人間に裏切られ、人間不信に陥り、人に裏切られるくらいなら最初から薄い関係でいよう、という消極的な生き方で引きこもりがちな日々を過ごしていました。碇シンジと似ています。母親は死に、父親には捨てられ、道端で拾った自転車のせいで補導された際に父の名前しか言わなかったのにシンジを引取りに来たのは育ての夫婦。シンジは父に必要とされていないとガッカリし、また親にさえ見放された子というのを深く理解しないように冷めた性格になっていきました。
2.監督は自分の状況を打破したいと思っている時期に仕事に誘われてエヴァをつくりました。碇シンジの「シンジ」は、最近のガメラの監督などもしていた庵野監督の親友「樋口真嗣」からとっています。(ちなみに樋口監督はエヴァの絵コンテも1話分担当してます) 絶対失敗したくない、状況を打破したい、「逃げちゃダメだ」(笑)ということで、庵野監督は自分を追い込み作品に取りかかります。ATフィールドは「自分が傷つきたくないから相手との間につくる壁」です。これがあると人間と深い関わりを持つことは不可能だ、という監督のメッセージです。冷めた性格である主人公のシンジは、無表情のレイと対極的なアスカの二人に振り回されます。ここは「アニメだけを信じて引きこもっている若者」の心をつかみます(笑)
3.世間を恐れないで外に踏み出そうとネルフに居場所を見つけ、友達も作り順風満帆だったシンジに障害がいくつも降りかかります。親友のトウジに大けがをさせたり、一緒に風呂にまで入って心を通わせた使徒のカヲル君に裏切られたり、です。再びシンジは「誰も傷つけたくないし、自分も傷つきたくない」と考えます。そこで監督のメッセージが入ります。「アニメを見るのはいいが、現実世界にもふれるべきだ」というメッセージ。それが「現実描写(実写」)」として挿入されるのです。普通のアニメとして見ていた引きこもり達はかなりの混乱に陥ります。そして誰かとエヴァについて話し合いたいという願望の元、現実世界へ踏み出すのです。エヴァにハマった人間同士なら最初から傷つけたり傷つけられたり、ということは無いでしょう。独りぼっちの引きこもりが、エヴァについて話し合うために友達をさがす、これが「人類補完計画」です。シンジの行動にイライラし、「オレだったらこうする!」という気持ちが、社会へ踏み出す一歩に繋がるのです。シンジが完璧だったら「シンジほど上手く生きることはできないよなぁ」で終わるのです。自分に自信があり、社会の中に自分の居場所があり、人付き合いの上手な人間にとって、「エヴァンゲリオン」というアニメは「バカバカしいアニメ」の一言になるでしょう。でも、引きこもりにとっては「けっこう救いのあるアニメ」だったのも事実なんです。
すでにお分かりの通り、僕自身「元」引きこもりです。監督の思惑通りに上手に社会復帰したわけではありませんが、エヴァが無ければ、現時点で生きていたかどうかも分からないような負け犬のゴミ人間です。きっこさんが特に嫌う人種なんじゃないでしょうか。エヴァは普通の人には難解なアニメかもしれません。ただ、一部の人間にはアニメ以上の存在だった、というのを知って貰いたくてメールをしました。普段、これほど長い文章を書くことがあまりないので、読みにくい箇所が多数あるかと思いますがお許しを。今度もお体に気を付けて下さい。では、失礼します。N
‥‥そんなワケで、あたしは、読者からのメールは、基本的にはぜんぶ目を通してるけど、いつも言ってるように、フリーメールのアドレスのものは自動的にゴミ箱に行くようにしてるし、ちゃんと届いたものでも、最低限のマナーも守ってないものは、読まずに削除してる。それで、このNさんのメールは、きちんとマナーも守ってるし、とても分かりやすく丁寧に書かれてたので、あたしは、珍しくお返事をしてみた。
送信者: xxxxx@xxxxx.ne.jp
宛先: xxxxx@xxxxx.ne.jp
件名: 「きっこの日記」より。
日時: 2007年01月1X日
Nさま、はじめまして。
「きっこの日記」のきっこです。
とても丁寧で分かりやすいメールをどうもありがとうございました。
Nさまの説明で、あたしが不要だと思っていた実写部分の意味や、必要以上にシンジの苦悩するシーンが織り込まれている意味など、なるほどと、とても良く理解できました。
あたしは、エヴァンゲリオンのストーリーや世界観などは、別に難解だとは思いませんでした。あまり真剣ではなく、ウトウトしながら観ていたのですが、それでも、最後まで観たら、いろいろなツジツマが合ったので、良く分かりました。もちろん、ものすごく細かいマニアックな部分までは分かりませんでしたが、それでも、「シト新生」までを観て疑問だった部分、意味不明だった部分は、「まごころを君に」を観たことによって、ほとんどが解消されました。
ただ、Nさまが教えてくださったような、監督の背景などについて知らなければ、あたしの解釈が限界だと思いました。あたしは、「まごころを君に」の後半の部分を観て、アニメの世界にばかり没頭していて現実逃避している人たちに対する「嫌がらせ」「皮肉」として作ったんじゃないか?と思ったのですが、監督自身も引きこもりの時期があり、そこから脱却するために作ったアニメだと言うことを知れば、それは、現実逃避している人たちに対する「嫌がらせ」や「皮肉」ではなく、「みんなにも気づいて欲しい」「みんなにキッカケを与えたい」という思いが見えて来ます。
Nさまのメールで、もっと深い部分まで知ることができて、本当に良かったと思います。
どうもありがとうございました。
次回、エヴァンゲリオンについて日記に書くことがあれば、Nさまのメールを紹介させていただきたいのですが、よろしいでしょうか? もちろん、お名前やアドレスはすべて伏字にしますが、あたしと同じように思っている人たちに、エヴァンゲリオンの背景について、理解して欲しいと思いました。
きっこ拝
送信者: xxxxx@xxxxx.ne.jp
宛先: xxxxx@xxxxx.ne.jp
件名: 大変恐縮です by N
日時: 2007年01月1X日
こんにちは。
きっこさまのF1に関する日記の時はシューマッハもビックリのスピードで読み飛ばす不届き者のNです。正直、メールの返信が来るとは思っていなかったのでちょっぴり動揺しています。
いきなり本題に入りますが、エヴァンゲリオンの解釈については、きっこ様の解釈が「普通の解釈」であり、それ以上掘り下げる必要はないと思います。「引きこもり(あるいは引きこもり気味な性格)からの脱却」、というキーワードでいくつかのパズルを完成させることができると僕は考えましたが、それは僕にとって都合のいいキーワードを結びつけた上での結論であり、同じく都合のいいキーワードを並べ立てて最後には「地獄に堕ちる」とのたまうインチキおばさんと同次元とも言えます。きっこ様の言うように、監督は「健全な人間はこういうアニメになんかハマってはダメだ!」っていうメッセージを伝えたかったのかもしれません。
とにかく、僕自身エヴァンゲリオンに救われた過去があり、毎回楽しみにしているきっこ様の日記でエヴァンゲリオンを否定され続けるのはちょっとつらいな、と感じたため発作的にメールを出してしまったというわけであり、とてもきっこ様の日記で紹介されるレベルではないと思いますが、次にエヴァの話題をする時にもし僕のメールが利用できそうだとお思いでしたら、添削しながらどうぞ好きに使って下さい(笑)
最後に、エヴァンゲリオンのコミック本1巻の巻末にある庵野監督のコメント全文書きます。
時は、2015年。
過半数の人間が15年前に死んでしまった世界。
コンビニの棚が埋まるくらいまでの、奇跡的な復興を遂げ、
生産、流通、消費、経済がもどっている世界。
その光景を見慣れたものとし、閉じた終息を当たり前の事としている人々の住む世界。
次世代を担うべき子供の数が減少している世界。
日本では壊滅した旧東京を切り捨て、長野県に遷都。第2新東京市を建設、次代遷都計画をダミーとした、迎撃要塞都市・第3新東京市を建設している世界。
これが『新世紀 エヴァンゲリオン』のおおまかな世界観です。
悲観的なビジョンで彩られている世界観です。
あえて、楽観的な気分を排除した舞台から、物語をスタートさせました。
そこにいる14歳の少年は、他人との接触をこわがっています。
その行為を無駄とし、自分を理解してもらおうという努力を放棄し、閉じた世界で生きようとしています。
父親に捨てられたと感じたことから、自分はいらない人間なんだと一方的に思い込み、かといって自殺もできない、臆病な少年です。
そこにいる29歳の女性は、他人との接触を可能な限り軽くしています。
表層的なつきあいの中に逃げることで、自分を守って来ています。
二人とも、傷つくことが極端にこわいのです。
二人とも、いわゆる、物語の主人公としては積極さに欠け、不適当だと思われます。
だが、あえて彼らを主人公としました。
「生きていくことは、変化していくことだ」と云われます。
私はこの物語が終局を迎えた時、世界も、彼らも、変わって欲しい、という願いを込めて、この作品を始めました。
それが、私の正直な『気分』だったからです。
『新世紀 エヴァンゲリオン』には、4年間壊れたまま何もできなかった自分の、全てが込められています。
4年間逃げ出したまま、ただ死んでいないだけだった自分が、ただひとつ
『逃げちゃダメだ』
の思いから再び始めた作品です。
自分の気分というものをフィルムに定着させてみたい、と感じ、考えた作品です。
それが、無謀で傲慢で困難な行為だとは知っています。
だが、目指したのです。
結果はわかりません。
まだ、自分の中でこの物語は終息していないからです。
シンジ、ミサト、レイがどうなるのか、どこへいくのか、わかりません。
スタッフの思いがどこへいくのか、まだわからないからです。
無責任だとは、感じます。
だがしかし、我々と作品世界のシンクロを目指した以上、当たり前のことなのです。
『それすらも模造である』
というリスクを背負ってでも、今はこの方法論で作るしかないのです。
私たちの『オリジナル』は、その場所にしかないのですから……
1995 7/17 雨とくもりの日に スタジオにて
長文、乱文、失礼しました。
P.S.
エヴァンゲリオンの映画版は僕にとって未だに難解な作品です(笑) N
‥‥そんなワケで、このメール対するあたしの返信と、それに対するNさんからの返信は割愛するけど、この2通のメールだけでも、あたしとおんなじに、「エヴァンゲリオン」を作った庵野監督の背景や思いを知らなかった人たちにとっては、「なるほど!」って部分が多いと思う。もちろん、Nさんの解釈が「正解」って意味じゃなくて、人それぞれ、いろんな解釈があっていいと思う。「エヴァンゲリオン」を観た人それぞれが、その人なりの解釈をすればいいワケで、あたしの解釈を押しつける気もないし、Nさんの解釈がすべてだとも言わない。だけど、少なくとも、あたしは、Nさんのメールを読んだことによって、自分だけじゃ理解できなかったいろんなことが分かって、「エヴァンゲリオン」の世界をより深く感じることができた。そして、せっかく理解できたんだから、パチンコが9でアニメが1のあたしとしては、この世界観に包まれたまま向かう場所と言ったら、もちろん、駅前の北朝鮮だ(笑)
でも、あたしの地元のパチンコ屋さんは、前作の「セカンドインパクト」は、1列ぜんぶ、端から端までズラーッと並んでるのに、今度の新機種の「エヴァンゲリオン~奇跡の価値は~」は、ナナナナナント! たったの5台しか入らなかった! だから、どう考えても、開店前から並ばなかったら打てないだろうと思ってた。だけど、昨日の夕方、チョロっと見に行って、打ってる人たちを後ろで見てたら、ちょうど1人がやめたので、あたしは「おおっ!」って思って、ソッコーでその台をキープした。その人だけなのか、その人の前の人もいたのかは分かんないけど、とにかく、1100回も回してて、当たりが0の大ハマリ状態の台だった。
あたしは、1万円札を入れて打ち始めようとしたんだけど、前の人が熱くなってたみたいで、ハンドルがベトベトだったから、「ウヒャ~!」って思って、紙おしぼりを取って来て、ハンドルを拭いてから打ち始めた。ま、そんなことはいいんだけど、とにかく、画面がひとまわり大きくなってて、絵もキレイだし、1000円で25回以上は回るから、悪くはない感じだった。
だけど、画面が大きくなったぶん、画面の右側のエヴァンゲオンのフィギュアが、前のは大きくてメタリックでカッコ良かったのに、今度のは子供のオモチャみたいにチャチくなってた。 それで、細かいことは抜きにして、フランク・ザッパに言うと、基本的には、「セカンドインパクト」の前の第1作の「エヴァンゲオン」の焼き直し版て感じだった。レイとアスカとシンジの、それぞれのエヴァンゲオンのリーチも、レイのライフルと言い、アスカのサメみたいな使徒を押さえるのと言い、シンジの相手のATフィールドを破くのと言い、どれも第1作とおんなじだった。他にも、バネル予告のアスカとか、いろんなとこが第1弾とおんなじで、機種は新しくなったのに、内容は昔に戻ったみたいな感じがした。
で、先に結果を言っとくと、6500円で180回くらい回したとこで、パネル予告がシンジの次の碇ゲンドウまで発展して、名前の分かんない白衣の女性の背景がカットインして、シンジのエヴァンゲオンのリーチでノーマルが揃って、再抽選で確変に昇格した。それが1セットで終わって、時短でノーマルを引き直して、またまた再抽選で確変に昇格して、次も確変で、次のノーマルで終わり。 それで、5箱出たんだけど、最後の時短後に1箱つっこんじゃったから、約7000発で、交換したら20500円だった。「セカンドインパクト」なら、あと1000発もつっこめば引き直せる流れだったんだけど、初めての機種で流れが分かんなかったから、1箱つっこんだとこで止めることにした。
‥‥そんなワケで、ハッキリ言って、新しい「エヴァンゲリオン~奇跡の価値は~」は、「セカンドインパクト」よりも大ハマリするようになってるみたいだし、高確率の予告がハズレまくるみたいだ。何しろ、あたしと相性の良かったアスカの弐号機のリーチもぜんぶハズレ、パネル予告がシンジまで発展してもハズレ、極めつけは、レイの群予告が出たのにハズレだった。まあ、台にもよると思うけど、少なくとも、あたしが打った台と、左右の2台は、思いっきりハマってた。あたしのは、前の人からの連続だと1300回もハマってたワケだし、あたしの両隣りも、700回とか800回とかハマってて、それまでに積んでたぶんをみんな飲まれてた。だから、あたしは、せっかくNさんのオカゲでエヴァンゲリオンのディープな世界を垣間見たんだけど、パチンコを打つ時は、新機種は遠慮して、爆発力のある「セカンドインパクト」のほうを打とうと思う今日この頃なのだ。
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