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2007.02.25

深夜の娯楽番組

Chigaku1
前にも書いたことがあるけど、観たいテレビ番組を録画したのに、そのVを観る時間が無くて、どんどん溜まる一方の人って多いと思う。あたしも、2年くらい前までは、観てないVがマウンテンだった。それで、時間のある時にマトメて観ようと思ってても、やっと時間ができると、その時にも観たいテレビを放送してて、そっちを優先しちゃったり、新しいドラクエが発売になってテレビどころじゃなかったり、お友達から電話が掛かって来て長話しちゃったりって感じで、いつまで経っても録画したVは減らない。それどころか、そんな間にも別の番組を録画したりして、さらに溜まってく。挙句の果てには、空いてるVが無くなっちゃって、まだ観てないVの中から、「もう、これは観ないでもいいか」なんて感じで、ずっと観なかったうちに興味の薄れちゃった番組を探して、その上から録画しちゃう始末。これじゃあ、何のために録画してんだか分かんない。

で、あたしはハッと気づいたんだけど、その時はホントに見たくて録画してんのに、録画した時点で「いつでも観れる」っていう安心感を得られるから、それが、いつの間にか、「録画しただけで満足」って気持ちに変化したんじゃないか?‥‥ってことだった。だから、あたしは、それ以来、コレクションしてるMAXとか児島玲子ちゃんとかの出る番組以外は、録画することをやめた。観たい番組は、その時にテレビの観られる状況にいた場合だけ、観ることにした。そしたら、ジャマだったVのマウンテンも片付いて来たし、そのVのマウンテンを見るたびに「早く観なきゃ!」って思ってた変な責任感みたいなのからも開放されて、すごく気がラクになった。

結局、こういうのって、そのまま続けてたら、買っただけで満足してしちゃって読まない本、買っただけで満足しちゃって着ないお洋服、買っただけで心が満たされちゃって箱のまま積んであるブランド品なんかとおんなじで、物欲に支配されてる現代人ならではの「目的を見失っちゃってる迷走感覚」へと発展してくような気がした。あたしの場合は、読みたい本は図書館で借りて来るし、着もしないお洋服や使わないブランド品なんか買うワケないけど、いくら時間が無いからって、最終的には見ないで消しちゃうような番組を録画し続けてたのは、この「目的を見失っちゃってる迷走感覚」に近いと思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、大好きな「釣りバカ日誌」をテレビで放送する時も、絶対に録画はしない。30分の番組ですら、なかなか見る時間が無いのに、2時間もある映画なんか録画しちゃったら、絶対に何ヶ月も観れないのが分かってるからだ。「何ヶ月も観れない」っていうか、観ようと思えば観られるんだけど、「いつでも観れる」っていう安心感から、そのままホッタラカシになって、他のことを優先してるうちに、だんだんに埋もれてくってワケだ。

だから、この前も、鯉太郎くんが生まれる時の「釣りバカ日誌4」をやってて、みち子さん役が、嫌いな浅田美代子じゃなくて、好きな石田えりだったんだけど、録画予約はしなかった。それで、9時までに帰って来れたら「観る」、間に合わなかったら「観ない」って決めてた。たまたま早く帰って来れたから、焼酎のお湯割りの梅干し入りを用意して、飲みながら観ることができたけど、別に観れなかったとしても、最初から決めてると、ぜんぜん気にならないから不思議だ。

ま、「釣りバカ日誌」に関しては、どれも何度も観てるし、どうしても観たければ、レンタルビデオを借りて来ることもできるし、他にも観る方法はある。だけど、映画とかじゃない通常の番組、再放送の予定のなさそうな番組の場合は、その放送を見逃しちゃうと、二度と観られない可能性のほうが高い。だからこそ、それほど観たくなくても、念のために録画してたワケだし、録画したことによって「いつでも観れる」っていう安心感が得られた時点で、もう満足しちゃって、観ないVが積み上げられて行ってたってワケだ。だから、最初は、この気持にフンギリをつけて、録画グセをやめるのは大変だったけど、テレビなんか観なくても死にゃあしないし‥‥って思ったら、ワリとサクッとやめることができて、結果、日常生活の中のムダが1つ減って、すごくラクになれた。

‥‥そんなワケで、あたしは、観たい番組は録画しないで、その時間にテレビの前にいて、観られる状況の時だけ観るってことにしたんだけど、そんなあたしが、今、楽しみに見てるテレビ番組の1つに、土曜日の深夜のNHK教育テレビの「高校講座・地学」がある。深夜1時半から「数学」、2時から「化学」、2時半から「地学」なんだけど、3時に「地学」が終わると、君が代が流れてテレビ自体が終わるから、ものすごく「場末」な感じがして、ワビやサビも味わうことができる。

ちなみに、1時半からの「数学」は、良くテレビに出てる髪がボサボサのホームレスみたいな先生のヤツで、あの先生って、自分だけが納得しながらどんどん進んでくし、しゃべり方も乱暴でザツだから、あんまり面白くない。今日の放送では、直角三角形の短いタテの辺を「a」、長いヨコの辺を「b」、1番長いナナメの辺を「c」にして、aの二乗とbの二乗を足すとcの二乗になるっていう「ピタゴラスの定理」をやってたけど、いつもながらにザツだったし、生徒役の人も演技がヘタで、教育番組としては70点くらいだったけど、娯楽番組としては30点以下だった。

そして、続いての「化学」は、「酸と塩基」についての回で、塩基ってのはアルカリのことだから、ようするに、酸性とアルカリ性でリトマス試験紙の色が変わるっていうアレだけど、これまた、すごくつまんなかった。もちろん、教育番組なんだから、つまんなくて当然で、教育番組を娯楽番組として観てるあたしのほうに問題があるんだけど、そんなあたしを大満足させてくれるのが、このあと、深夜2時半からの「地学」なのだ。

これは、去年の春にスタートしたぶんの再々放送のシリーズで、最初は、金曜日の深夜の「生物」を観てたんだけど、それよりも、こっちの「地学」のほうが何倍も面白いので、今は、あたしの1番の楽しみになった。とにかく、司会&進行&生徒役の平野麻樹子ちゃんのキャラがサイコーで、可愛いし、品があるし、各回の先生たちとのやり取りにおける、小学校の学芸会みたいな三文芝居があたしのツボだ。これは、決して悪く言ってるワケじゃなくて、すごく微笑ましくて、この三文芝居を観たくて、深夜まで起きてるようなもんだ。

特に、講師が女性の安達修子先生の回は、修子先生も可愛いし、2人のやり取りがメッチャ微笑ましい。前々回の第12回の「野外観察に出かけよう」の時は、台本通りの質問をする麻樹子ちゃんに対して、これまた台本通りに、修子先生がその質問をさえぎって「ちょっと待った!」ってやると、麻樹子ちゃんは大ゲサに両手を広げて「ええっ!」とかやって、その中途半端なオーバーリアクションに、思わず「欧米かっ!」ってツッコミを入れたくなる。なんだか、「高校講座」って言いながらも、小学生や幼稚園児を対象にしてるみたいなお芝居で、ホントに可愛い。

それで、その回は、修子先生と麻樹子ちゃんが、麻樹子ちゃんの出身地の千葉県の白里海岸に行って、そこを基点にどんどん内陸部へと向かい、大網駅のほうまで調べて来たんだけど、海岸からずっと内陸部の大網駅の周りでも、空地の土に貝ガラがたくさん混じってて、昔はこんなとこまで海だったってことを教えてくれた。もちろん、スタジオだけじゃなくて、この野外観察の中でも、修子先生と麻樹子ちゃんとの数々のワンダホーなやり取りがある。

で、今日の放送は、第14回の「地球の深部を探る」だったんだけど、講師は伊藤孝先生で、今、話題のそのまんま東を劇画タッチにしたみたいなビジュアルの先生だ。なかなか説明上手で、難しいマントルの話とかも分かりやすく解説してくれるんだけど、やっぱり、その説明に欠かせないのが、麻樹子ちゃんとの絶妙のやり取りだ。そして、麻樹子ちゃん以外のミドコロとしては、制作スタッフの演出のセンスだ。今回は、昔の炭鉱で働く人たちの映像を紹介するところで、泥臭いルーツ・レゲエをBGMに流してた。これは、暗に「奴隷」をイメージさせるための手法としては、曲調が楽しすぎて、分かる人にしか分からないから、BGMとしての役割を果たしてないと思うけど、この番組の趣旨を踏まえてみれば、この「分かる人にだけ分かる」って程度が、ベストの選択だってことが分かる。「ライオン丸G」もそうだったけど、こういった演出をされると、あたしは、「やるなっ!」って思う。

それで、今回は、北海道まで飛んで、2つの大型プレートがぶつかってできた日高山脈のアポイ岳に登って、地球の内部を構成してる「カンラン岩」を調べたんだけど、伊藤先生と麻樹子ちゃんだけじゃ頼りないので、地元の博物館の三浦先生が、案内をすることになった。で、この三浦先生が、もう言葉じゃ説明できないほどの、美味しすぎるキャラだったのだ。

最初、大きなカンラン岩でできてる博物館の看板の前に、伊藤先生と麻樹子ちゃんがスタンバってて、伊藤先生が看板を指差して、「これはカンラン岩なんだよ」って説明した。それで、麻樹子ちゃんは、「へぇ~そうなんですか~!じゃあ、こんな大きなカンラン岩も見たことだし、せっかく北海道まで来たんだから、美味しいラーメンでも食べに行きましょう!」って言って、その場を立ち去ろうとする。もちろん、台本通りのユルユルのやり取りで、小学校の学芸会みたいなホノボノとしたお芝居だ。

それで、あたし的には、これだけでも十分にツボだし、この先は、流れとして、慌てた伊藤先生が、「おいおい、ここまで来たんだから、ラーメンは後回しにして、まずは博物館の中を見なくちゃ!」なんて言うんだと思ってた。だけど、あたしの想像は、いい意味で裏切られたのだ。ナナナナナント!麻樹子ちゃんが立ち去ろうとしたら、その大きな看板の後ろから、変なオジサンがピョ~ンと飛び出して、抑揚のない棒読みのセリフで、「博物館を案内しましょう!」って言ったのだ! あたしは、真夜中の3時近くだってのに、テレビの前でひっくり返っちゃった!

それで、そのオジサンこそが、その博物館の三浦先生だったんだけど、テレビに出るのが始めてなのか、とにかく、緊張しててガチガチで、動きはロボットみたいで、右手と右足が一緒に出そうだし、セリフはカミカミだし、なんか、ヒジとかヒザとかアゴの関節とかに、CRC-556を噴きかけてあげたい気持ちと、このまま最後まで見届けたい気持ちとで、あたしのテンションは一気に最高潮に達しちゃった。当然、ホントにCRC-556を噴きかけることはできないし、もしも噴きかけることができたとしても、それでガチガチの動きが滑らかになるとは思わないけど、このあたしの思いが通じたのか、ここから先の展開で、ミラクルが起こったのだ。

‥‥そんなワケで、地表に現われてる天然のカンラン岩を観察するために、アポイ岳の山頂を目指した一行なんだけど、その道のりは長く険しく、なかなか大変だった。だけど、これは、登山の番組じゃないから、その行程を長々と放送してる余裕も意味も無い。で、この番組の製作スタッフがセレクトした編集は、山道を登って行く一行を早送りで放送したのだ。そして、ギャグみたいに早送りでテケテケテケテケと登り続ける一行に対して、ナレーションの堀秀行が、いつもの軽妙な調子で、「登ります登りますまだまだ登ります~」ってやってくれたもんだから、もう、とても教育番組なんかじゃなくて、完全にバラエティーのノリだ。

そして、やっとのことで、大きなカンラン岩が露出してる地点に到着した麻樹子ちゃんは、さっそく台本通りに、そのカンラン岩を割って持ち帰ろうと、ハンマーを振り上げた。そして、これまた台本通りに、伊藤先生が「待ったぁ~!」って叫んで、麻樹子ちゃんを止めた。それで、ここは国立公園だから、カンラン岩を割るのは絶対にダメだし、落ちてるカンラン岩のカケラを持ち帰ることもダメだって教えてた。この一連の流れの小芝居も、なかなかの完成度で、あたしにとっては、ほぼパーフェクトなツボだった。

とにかく、この「高校講座・地学」は、平野麻樹子ちゃんあっての番組だけど、やたらと可愛い安達修子先生や、ビミョ~なサワヤカさを持ってる伊藤孝先生の他にも、鈴木文二先生や松本直記先生など、バラエティーに富んだキャラが満載な上に、今回の三浦先生みたく、予想外の大ヒットも登場しちゃうから、これからも目が離せないことウケアイだ。で、そんな先生たちと、毎回、素晴らしいやり取りを繰り広げてる麻樹子ちゃんは、1979年2月18日生まれの28才、「Sarah Project」所属の女優さんで、何よりもワンダホーなのは、博物館学芸員の資格を持ってるのだ。だから、この「高校講座・地学」のMCに抜擢されたのも、この肩書きがモノを言ったのかもしんない。

‥‥そんなワケで、この、あまりにも楽しすぎるスーパー娯楽番組、「高校講座・地学」は、通常の放送は毎週金曜日の午後3時からなんだけど、そっちのほうは、今度の3月2日の放送が、全42回の最終回だ。だけど、土曜日の深夜の再放送のほうは、まだ14回が終わったとこだから、まだまだずっと楽しめる。ちなみに、第1編の「宇宙の進化」、第2編の「地球のしくみ」、第3編の「地球の歴史」、第4編の「大気と海洋」に大きく分かれてて、今は、第2編の「地球のしくみ」をやってるとこだ。だから、今は、火山とかマグマとかだけど、次の第3編の「地球の歴史」に入ると、化石とか恐竜とか人類の誕生とかになって来て、ますます楽しくなって来そうだし、麻樹子ちゃんと先生とのやり取りも、さらにエスカレートして来るだろうから、これからも、あたしは、絶対に録画はしないで、土曜日の深夜はちゃんと起きてて、シッカリと観て行こうと思う今日この頃なのだ。


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