老人が自殺する国
2月16日付の毎日新聞のインターネット版に、東京都荒川区町屋の商店街で、長年、お豆腐屋さんを営んで来た親子が、将来に不安を感じて自殺したという記事があった。記事によると、先月の30日に、52才の男性店主と79才の母親の2人が首を吊って亡くなっているのが発見され、チラシの裏に書かれた遺書には、「収入が減り、先行きが不安」と書かれていたそうだ。
政府が経団連とグルになって推し進めて来た「大企業優遇措置」によって、近くに大型スーパーなどが作られ、お客を根こそぎ持って行かれ、かつては賑わっていた商店街も、シャッターを下ろす店が増え始め、最近では「シャッター通り」などと呼ばれるようになってたそうだ。そして、去年の春に、近くに28階建ての大型マンションができたことによって、住人の数は増えたのに、そのマンションの中にはスーパーも併設されてたから、買い物客は戻って来なかったそうだ。
該当記事
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070216k0000e040079000c.html
あたしは、この記事を読んで、何とも言えない気持ちで胸が痛くなった。今年、傘寿を迎えるハズだった、たった1人のお母さんに、「一緒に死のう」って言わなきゃなんなかった時の息子さんの気持ちや、自分がお腹を痛めて産んだ息子から、そんな言葉を言われたお母さんの気持ちを思うと、涙が出て来る。何も悪いことをせず、ずっと一生懸命に働いて来たのに、それでも、親子で死を選ぶしかなかったなんて、あまりにも気の毒だ。イノシシ被告だの村上被告だのアパの元谷ファミリーだのって、悪いことをしてるヤツラが私腹を肥やしてゼイタク三昧してるのに、こういったマジメに働いてる人たち、爪に火を灯すような生活をしてる人たちは、生活苦から次々に自殺して行く。それでも、「景気は回復した」と言ってハバカラナイ総理大臣なんて、もうこの国に必要無いと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、この荒川区町屋にできた28階建ての大型マンションてのは、住友不動産の「マークスタワー」って言って、1戸が1億円前後もするチョー高級マンションだ。1階と2階には、スーパーの「赤札堂」を始め、衣料品店などがショッピングモールを形成してて、雨の日でも、一歩も外に出ないで買い物を済ませることができる。そして、2階には、小児科、整形外科、眼科、内科などの医療機関もあるそうだし、何よりも呆れ返るのは、隣接する地下鉄千代田線の町屋駅のホームに、このマンションの居住者専用のエントランスが作られてて、そこから自分の住んでる居住フロアへと直結してるエレベーターがあるそうだ。
つまり、このマンションに住んでる人たちは、一歩も外に出ないで、自宅と最寄りの駅のホームとを行き来できるワケで、その上、マンション内に、スーパーから病院まで何でもそろってんだから、こんなマンションを建てられても、地域の商業は何ひとつ活性化しない。それどころか、今まで地域の商店や医療施設を利用してた人たちまでが、このマンションへと買い物に行っちゃうかもしんない。
で、地域のことをまったく考えてない、この自分勝手なシステムは、不必要なものをすべて排除する「ダイレクト」ってことを売りにしてるから、マンション内で買い物を済ませられることを「ショッピング・ダイレクト」、地下鉄の駅まで直接行けることを「メトロ・ダイレクト」って呼んでる。そして、このマンションにある、もう1つの「ダイレクト」が、27階に作られてる展望施設の「スカイ・ダイレクト」で、ここから眼下を眺めて、滅びゆく地域の商店街を見下ろして、特別意識を満喫するってスンポーだ。
こんなワンダホーなマンションをおっ建てた住友不動産はと言えば、北海道札幌市で、インチキ設計士に作らせた耐震強度が基準の80%台しかない偽装マンションが発覚したけど、契約者たちの全額返済の要求に対して、「今回の強度不足は売買契約を取り消せるほどのレベルじゃない」って抜かしてることでオナジミだ。そして、他にもいろんなウワサがあるけど、中でも、何よりもウサン臭いのが、アパとの癒着だ。藤田社長が告発して、耐震偽装の疑いで工事が中止になってるアパの「アップルガーデン若葉駅前」を始めとして、数多くのアパの物件を扱ってるのが住友不動産で、この「アップルガーデン若葉駅前」にしたって、売主がアパ、設計がタムラ建築設計、販売が住友不動産って言う、アパのお得意の一気通貫だ。そして、マンションを買うほうの人にしてみたら、あの住友不動産が販売してんだから、マサカ、震度5の地震で倒壊の恐れがあるインチキマンションだとは思わないだろう。
‥‥そんなワケで、小さな商店を営んでる人たちから、何十年ものローンを組んでマンションを買う人たちまで、マジメに働いてマジメに暮らしてる人たちに降りかかって来るのが、政府が大企業だけを優遇し続けて来たシワヨセだ。そして、そのうちの何パーセントかの人たちは、荒川区のお豆腐屋さんのように、生活苦と将来への不安から、自殺して行く。ニポンの年間の自殺者の数は、平成9年(1997年)までは2万人台前半だったのに、平成10年(1998年)には、一気に9000人近くも増えて、3万人を突破した。これは、平成10年に、経済成長率がマイナスに転じたことから、倒産や失業による自殺が急増したからだって言われてる。そして、平成10年以来、ずっと、8年間も連続して3万人を超えてるんだから、いくら政府が「景気は回復した」って言っても、現実には、ぜんぜん回復してないことが一目瞭然だろう。
ちなみに、アメリカの年間の自殺者の数も、ニポンとおんなじくらいで約3万人なんだけど、アメリカはニポンの2倍以上の人口なんだから、比率で見たら、ニポンはアメリカの2倍以上の自殺者が出てるってことになる。さらに、ちなみに、原爆による広島の死者は約14万人、長崎は約7万人だから、この8年間の自殺者の総数は、広島と長崎の原爆の死者の数を遥かに超えてしまったのだ。
で、この異常とも思える年間3万人を超える自殺の原因はって言うと、1位が「健康問題」で全体の約4割、2位が「生活苦」で約3割、3位が「家庭問題」で約1割ってなってる。だけど、これらは、3万人を超える自殺者すべてを調べたワケじゃなくて、遺書が残ってた人やご遺族の話などから、大まかな原因が分かったものだけで割り出した数字だ。それに、あたしは、たった1つの原因だけで自殺する人よりも、「重い病気の上に生活苦」というような、複合的な原因のほうが多いと思う。それに、「健康問題」が原因だとされてる人だって、実際には、ちゃんとした治療を受けられるだけのお金が捻出できなくて、生きることを諦めた人だって多いだろう。もしも、何千万円ものお金があったり、国の医療システムが社会的弱者にまで手をさしのべていたら、死ななくても良かった人は数え切れないほどいたと思う。そして、3位の「家庭問題」にしたって、「お金が原因で家庭問題が起こった」「お金さえあれば自殺しないでも良かった」って人もたくさんいると思う。
だから、あたしは、あくまでも推測だけど、自殺者のほとんどは社会的弱者であって、もしも必要なだけお金があったり、必要なフォローを国から受けることができてたなら、死なずに済んだ人たちだったんじゃないかって思う。この8年間に、たった1人でもいいから、「人の心」を持ったマトモな人間が総理大臣になっててくれて、「大企業の税金を下げてサラリーマンの税金を上げる」だとか、「1本10万円のブランデーの税率は変えずに1本140円の発泡酒を増税する」だとか、「政治家は何でもタダなのにお年寄りの医療費負担は値上げする」だとか、こんな北朝鮮みたいなことをやらずに、「強きをくじき弱きを助く」の精神でこの国の舵取りをしてくれてたなら、少なくとも、10万人以上の人たちは自殺しなかったと思う。
だけど、いくら無責任な政府でも、これほど自殺者が増えちゃうと、形だけでも何らかの対策をしとかないとカッコがつかない。それで、去年の6月には、「自殺対策基本法」ってのが制定された。だけど、これまた、カメムシ大臣並みに現実が見えてないアホが考えたみたいで、自殺しようとする理由が、「健康問題」だろうと「生活苦」だろうと「家庭問題」だろうと、どんな理由だろうと、たいていは精神的におかしいっ決めつけてて、まるで病気の1つとして扱ってるのだ。そして、「精神科医との適切な連携の確保」が重要だってことを謳ってる。このズレまくったトンチンカンな認識も、次の第1条を読めば分かると思う。
「この法律は、近年、我が国において自殺による死亡者数が高い水準で推移していることにかんがみ、自殺対策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、自殺対策の基本となる事項を定めること等により、自殺対策を総合的に推進して、自殺の防止を図り、あわせて自殺者の親族等に対する支援の充実を図り、もって国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。」
なんてワンダホーな他人事なんだろう。大企業や一部の権力者だけを優遇して、そのツケをすべて社会的弱者に押しつけて来た自民党の「企業癒着政策」こそが、今の格差社会を作り上げ、これほど自殺者を増加させた根本的な原因なのに、何も分かってないんだか、それとも、分かってるけどトボケてんだか、どっちにしても、ここまでシラジラシイことをノタマッてて恥ずかしくないのかね。何にしても、この法律が施行されてからも、自殺者の数はぜんぜん減ってないし、特に、今世紀最悪の弱者切り捨て法、「障害者自立支援法」が施行されてからは、障害者や障害者の家族の自殺が急増した。そして、続いては、「金のないヤツは死ね!」とでも言うような、残酷極まりない「リハビリ打ち切り制度」ができたために、重い後遺症に悩みながらも、リハビリを続けることができなくなり、将来に絶望して自らの命を絶つ人たちも出始めた。こういった「人殺し法案」を次々に強行採決しておきながら、何が「自殺対策基本法」だ? 笑わせるな!
‥‥そんなワケで、チマタでは、イジメ問題に関連して子供たちの自殺のニュースが取り上げられてるから、なんだか子供たちの自殺が増えてるように感じるだろう。だけど、それは、子供たちを将来の戦争ロボットにするために、教育基本法を改悪したい政府による情報操作であって、実際には、子供の自殺の何倍も増えてるのが、高齢者の自殺だ。昔から、「老人が自殺する国は滅びる」って言われてるそうだけど、あたしの場合は、ちゃんとした本じゃなくて、「ジョジョの奇妙な冒険」の最初のころに書いてあったのを読んだだけだから、もしかしたら、荒木飛呂彦がテキトーに作った言葉かもしんない。だけど、この言葉が荒木飛呂彦の創作だったとしても、生活苦と将来の不安から、52才の息子が79才の母親を道連れに自殺し、それを1億円のマンションの住人が遥か上から見下ろしてるような国には、どう考えても、未来なんてないと思う今日この頃なのだ。
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