« 米メディアが警戒する安倍首相初訪米の中身 | トップページ | 最高裁が従軍慰安婦の事実を認めました »

2007.04.28

環境のために環境破壊?

いよいよ今日から、「環境にやさしい」を謳い文句にした「バイオガソリン」の試験販売が、東京都15ヶ所、神奈川県15ヶ所、埼玉県11ヶ所、千葉県9ヶ所、計50ヶ所の首都圏のガソリンスタンドで始まった。この「バイオガソリン」は、トウモロコシやサトウキビなどの植物を原料にしたバイオエタノールを3%ほど混合したもので、当面は、レギュラーガソリンとおんなじ値段で販売されるそうだ。それで、ガソリンスタンドによっては、今までのレギュラーガソリンとバイオガソリンとを選択できるお店もあるけど、中には、レギュラーガソリンをすべてバイオガソリンに替えたお店もあり、そういったお店では、「当店のレギュラーガソリンは環境にやさしいバイオガソリンです」っていう大きな看板を出してたりする。

だけど、このバイオガソリンって、ホントに環境にやさしいんだろうか? シロートのあたしの感覚だと、環境にやさしいのは「たった3%のバイオエタノールの部分」であって、残りの97%は、今まで通りのガソリンなんだから、ほとんど変わらないような気がする。それどころか、バイオエタノールの発熱量はガソリンの60%程度なので、3%のバイオエタノールを混合すると、計算上は1.2%ほど燃費が落ちるそうだ。

つまり、3%のバイオエタノールを混合したからって、単純に3%ぶん二酸化炭素の排出量を抑えられるワケじゃなくて、燃費が落ちたぶんを考えると、実際には1%強から2%弱の効果しか望めないのだ。こんなわずかな効果しか望めないんなら、わざわざこんなややこしいガソリンなんか入れるよりも、普通のガソリンを入れて、「アイドリングストップ」や「空吹かし」や「ムダな加速の自制」や「トランクに積みっぱなしのゴルフバッグを下ろす」ってことを徹底したほうが、よっぽど二酸化炭素を抑えられるし、環境にやさしいような気がする今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、ほとんど毎日、車に乗ってるし、あたしの車は、排気量の大きい別の車のエンジンに積み換えてあるし、圧縮比も高くしてあるし、インジェクションをダウンドラフトタイプのツインキャブに交換してあるし、触媒だけは入れたけど排気システムはタコ足とスポーツ管だし、電磁ポンプも追加してるから、偉そうなことは言えない。環境に良さそうな部分としては、フルトラを始めとした電装系くらいだけど、それだって、環境のためじゃなくて、チューニングのトータルバランスのために組んでるワケだから、偉そうなことは言えない。だけど、あたしは、そんなこと何も知らなくて、売ってた中古車を買ったら、それがレース用にフルチューンされたものだったってワケだ。なんせ、あたしは、買ってから何年間も、自分の車は「1000ccのエンジンを1100ccにしたもの」って思ってたのに、5年もしてから、「別の車種の1200ccのエンジンに積み換えたもの」ってことを知ったくらいだ。

だから、いくら自分でチューニングしたんじゃないって言っても、限りなく環境を無視した車に乗ってるあたしとしては、車の排気ガスに関する環境問題について書く時に、どこまで自分のことをタナに上げていいのか良く分かんない。だけど、燃費の問題だけで言えば、ガンガン走ってても平均で15km前後で、高速で一定速度で走ってると、20km近くになる。だから、1リッター当たり10km前後の車に乗ってる人よりは、遥かに環境にいいハズだ‥‥と思う。自信ないけど(笑)

で、話はクルリンパと戻って、今日から試験販売が始まった「バイオガソリン」だけど、ドシロートのあたしじゃなくても、「たった3%混ぜただけで意味あるの?」って思った人も多いと思う。たとえば、あたしの大好きな「ガリガリ君」に、「果汁1%」とかって書いてあるけど、あれが分かる人っているの?果汁が1%入ってるガリガリ君と、果汁が入ってないガリガリ君を順番に食べて、どっちが果汁入りなのか判断できる人なんているの?‥‥ってことだ。つまり、ガリガリ君を始めとした、比較的値段の安い食べ物や飲み物で、「果汁1%」とかって表示してあるのは、果汁を入れることによって味を良くしようとかって意味じゃなくて、あくまでも、「果汁をぜんぜん使わずに作ってるワケじゃないですよ」っていうアピールのためなんだと思う。そして、ホントに果汁を使ってる効果を味の上で出したいんなら、最低でも20%や30%くらいは入れて、そのぶん、値段を高くすると思う。

だから、あたしは、バイオエタノールをたった3%だけ混ぜた「バイオガソリン」て、どうしても、この「果汁1%」の食べ物や飲み物とおんなじような感じがしちゃう。ほとんど意味のない量のバイオエタノールの混合は、消費者に対するイメージや企業のイメージアップのためのもので、ホントに環境のための効果を狙ってるとはトーテー思えない。そして、たった3%しか混ぜてないものをギョーギョーしく「バイオガソリン」なんて名づけて大宣伝するのは、なんか、「果汁1%」のジュースを「果汁100%」だってウソついて売ってるような感じがしちゃう。

あたし的には、こんなに大々的に「環境にやさしい」「環境にやさしい」ってアピールするんなら、「果汁100%」とは言わなくても、せめて「果汁30%」くらいじゃないと納得できないんだけど、その技術を一般の車にフィードバックしてるモータースポーツの世界では、一歩先に、「果汁100%」の環境ガソリンが使われ始めてる。F1に次いで人気のあるインディカーシリーズでは、今シーズンから、使用燃料が「100%エタノール」になった。そのため、今までよりもパワーが落ちるので、エンジンは3000ccから3500ccへとアップしたんだけど、燃費が向上したぶん、搭載できるガソリンタンクの容量が小さくなった。

それで、先週の4月21日に、栃木県の「ツインリンクもてぎ」で、インディカーの今シーズンの第3戦が開催されたんだけど、唯一の日本人ドライバー、松浦孝亮が、スタート直後にスピンして、ウォールにツッコミを入れちゃって、わずか数秒でリタイアしちゃった。だから、もともとモータースポーツのことなんかほとんど扱わないスポーツ紙も、松浦がリタイアしたことだけをチョロっと書いただけで、使用燃料が「100%エタノール」になったことなんか、ぜんぜん触れてなかった。で、あたしの大好きなダニカ・パトリックとか、往年の‥‥って言ったら失礼だけど、サラ・フィッシャーとか、女性ドライバーたちもそれなりにがんばったし、せっかくだから、インディカーの第3戦についてもうちょっと書きたいんだけど、そうすると、大幅にダッフンしちゃうことが分かりきってるから、後ろ髪を引かれつつ、サクッと話を戻す。

‥‥そんなワケで、モータースポーツの世界では、すでに「100%エタノール」のガソリンが使われてて、これなら、看板に偽りなく「環境にやさしい」ってことが言えると思う。その上、通常のガソリンにエタノールを混合したものは燃費が悪くなるけど、「100%エタノール」なら燃費も良くなるんだから、こっちのほうが遥かにいいと思う。だけど、「100%エタノール」だと、普通の車は動かない。エタノール用に開発したエンジンじゃないと動かないから、一般のガソリンスタンドで販売しても意味がない。だから、この技術が一般にフィードバックされるのは、まだまだ先の話だと思う。だけど、一般の車も「100%エタノール」に対応するようになって、みんなが「100%エタノール」を使うようになれば、ホントにそれが「環境にやさしい」ってことになって、地球温暖化をストップさせることにつながるんだろうか?

最初に書いたように、バイオエタノールの原料は、トウモロコシやサトウキビなどの植物で、それらは無尽蔵にあるワケじゃない。農作物として、畑で作らなきゃなんない。で、ニポンでは、まだバイオエタノールの本格的な生産が始まってないので、今は、小麦を原料にして作ったバイオエタノールをフランスから輸入してる。それで、その輸入や国内での運搬で使用される重油や軽油などの燃料の増加を考えると、現時点では、バイオガソリンなんか販売しないほうが環境のためにいいらしい。つまり、国内で販売されるすべてのバイオガソリンによって減少する二酸化炭素の量よりも、輸入や運搬によって増加する二酸化炭素の量のほうが遥かに多くて、トータルで見ると、今までよりも環境を破壊しちゃうことになるそうだ。

だから、現状だと、いくら消費者がバイオガソリンに切り替えても、何の意味もない。それどころか、バイオガソリンを販売してるガソリンスタンドまで、わざわざ遠回りして給油しに行くような人がいたとしたら、そのぶん、ヨケイに二酸化炭素を排出することになっちゃう。つまり、今のバイオガソリンの試験販売ってのは、石油業界が表向きのポーズのためにやってるだけの話で、環境破壊企業の社員たちが、「再生紙を使用してます」って印刷してある名刺を配りまくってるのと似たようなもんなのだ。

もう誰でも知ってると思うけど、再生紙を作るためには、パルプから紙を作る以上にコストが掛かり、その製造過程で使う大量の電気などを考えると、ものすごく環境を汚染してる。だから、ホントに環境のことを考えてるんなら、再生紙で名刺を作るんじゃなくて、バカバカしい「名刺交換」なんていう時代遅れの風習を廃止すべきなのだ。それとおんなじで、石油業界がホントに環境のことを考えてるって言うんなら、国内で使用するバイオエタノールは国内ですべて生産するようにして、さらに、「100%エタノール」に対応した車の開発と平行して進めなかったら、何の意味もないどころか、ヨケイに地球温暖化を進めちゃうってワケだ。

だけど、バイオガソリンの問題は、これだけじゃない。世界で一番多くのバイオエタノールを生産してるブラジルでは、世界からの需要に合わせて、原料のトウモロコシ畑を拡大し続けてるんだけど、その波に乗って、多くの果樹園や農作物を作っていた畑などが、バイオエタノール用のトウモロコシ畑へとコロモガエをしてるそうだ。バイオエタノール用のトウモロコシなら、人間が食べるワケじゃないから、他の果物や農作物ほど手間が掛からない上に、大企業がマトメて買い取ってくれるから、農民たちにしてみたら、すごく美味しい仕事になる。

だから、ブラジルの農民たちは、われ先にバイオエタノール用のトウモロコシ畑を始めちゃって、その結果、果物や農作物が不足し始めてる。特に、果物に関しては、ジュースの原料を作ってた大規模な果樹園などが、次々にバイオエタノール用のトウモロコシ畑に替わっちゃったために、世界的に果汁の値段が高騰し始めてる。そして、このまま進むと、トウモロコシや小麦などの値段も高騰して、世界的な食糧難になるって危惧してる学者もいる。

それ以前に、あたしとしては、いくら環境のためとは言え、世界には食べ物が無くて餓死してる人たちがいっぱいいるのに、車の燃料のためなんかに食べ物の畑を潰しちゃうなんて、こんなことが許されるの?って思う。そして、今のままでもいろんな問題が起こり始めてるのに、さらには、地球の酸素を作り出してる大切な森林を伐採してまで、バイオエタノール用のトウモロコシ畑を拡大しようとしてる計画もあるってんだから、これじゃ、本末転倒もいいとこだと思う。

‥‥そんなワケで、今、地球では、1分間に、30万平方メートルずつ、森林が伐採されて無くなり続けてる。これは、東京ドームにすると、6.5個ぶんの面積だ。それだけの広さの森林が、1日でも、1時間でもなく、1分間ごとに消失してるのだ。だから、今日の「きっこの日記」を読むのに、5分掛かったとしたら、その間に、東京ドーム30個ぶん以上の森林が、この地球上から消えたってことになる。そして、一度消失した森林をモトに戻そうとしたら、何十年もの時間が掛かるのだ。こんな現状で、たった3%のバイオエタノールを混ぜたガソリンを販売して、「環境にやさしい」とアピールする石油業界。そのバイオエタノールの原料を作るために、さらに森林を伐採し、運搬のために今まで以上の二酸化炭素を排出し、それでも、「環境にやさしい」とアピールする石油業界。なんだか、あたしには、環境問題が大きく取り上げられるようになって来て、風当たりが強くなって来た石油業界が、苦肉の策として始めたイメージアップのための茶番劇にしか思えない今日この頃なのだ。


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ 1日1回、応援のクリックをお願いしま~す♪
   ↓   ↓
人気blogランキング


|

« 米メディアが警戒する安倍首相初訪米の中身 | トップページ | 最高裁が従軍慰安婦の事実を認めました »