絶対に正当化できない戦争
たった1発で、何の罪もない10万人以上もの人たちが殺され、何とか生き残った人たちも、地獄のような苦しみの中、次々と死んで行った原爆。被爆者本人だけでなく、その子供も、そのまた子供も、何代にも渡って、未だに苦しみ続けている原爆。人間が作りだしたすべての悪しき物の中で、もっとも醜く、もっとも凶悪で、もっとも恐ろしい悪魔、それが原爆だ。そして、その原爆という悪魔を体験したのは、世界中で、この国だけなのだ。
それなのに、どうして、この国は、また戦争へ向かおうとしているんだろう? どうして、「小型であれば原子爆弾の保有も問題ない」などと平然と言えるような狂った人間が、世界唯一の被爆国の総理大臣をつとめているんだろう? いくら自分が戦争を知らない世代だからって、今でも世界のあちこちで戦争が行なわれてるんだから、何の罪もない一般市民たちが、戦地に引きずり出されて、腕を引きちぎられ、足を吹き飛ばされ、頭を撃ち抜かれ、脳みそをぶち撒けて死んで行くことが、どれほど理不尽なことなのか、少しくらいは理解できないのだろうか? それとも、死ぬのは虫ケラのような国民だけで、自分たちだけは安全な場所にいられるから、何とも思わないのだろうか?
あたしは、戦争が大っ嫌いだ。それは、あたしのおじいちゃんが戦争の犠牲になって殺されたからだけじゃなくて、おんなじ人間同士が殺しあうなんて、これ以上、悲しいことはないと思うからだ。そして、人の命を救うための研究費の何百倍もの税金が、人の命を奪うための武器、弾薬のために使われてる国なんて、どう考えてもマトモじゃないと思ってる。
あたしは、ヘアメーク仲間たちと、1年に数回、老人ホームに行ってる。おばあちゃんたちにヘアメークをしてあげるボランティアのためだ。そして、時々、おじいちゃん、おばあちゃんたちから、悲惨な戦争の話を聞かされる。昨日の晩ご飯に何を食べたのかも思い出せないお年寄りたちが、涙を流しながら話すのは、60年前の地獄のような戦争の体験談だ。戦争という悪魔は、1人1人の心の中に、生涯、消えることのない深くて醜い傷を刻み込むものなのだ。
あたしは、直接は戦争を知らないけど、何人もの戦争体験者から悲惨な話を聞き、戦争ほど理不尽なものはないと思った。あたしとおんなじに、戦争を知らない世代の人たちでも、アニメの「火垂るの墓」を観れば、誰でも涙を流すと思う。マンガの「はだしのゲン」を読めば、誰でも胸をしめつけられるほど悲しくなると思う。それなのに、どうして、戦争へ向かおうとしてるこの国を止めようとしないんだろう? あたしたちには、「選挙」っていう、合法的に戦争を止める手段が与えられてるっていうのに‥‥。今、あたしたちが止めなかったら、もう手遅れになってしまうのに‥‥。
‥‥そんなワケで、戦争のできる「美しい国」へと邁進し続ける狂った政府は、過去の歴史的事実を改ざんして、まるで北朝鮮のようなデタラメな歴史教科書を作り、子供たちを洗脳しようとしている。太平洋戦争末期の沖縄戦における沖縄の人たちの「集団自決」が、日本軍による命令によって行なわれたっていう絶対に覆らない事実を教科書から削除しようとしているのだ。日本軍は、沖縄の人たちに手榴弾を配り、「米軍は鬼畜だから、沖縄に上陸して来たら、女は強姦されて、男は戦車で轢き殺される」というデマを流して、「そうなる前に、この手榴弾で、自らの命を絶て!」と命令して、強制的に「集団自決」をさせた。それなのに、まるで沖縄の人たちが、日本軍とは無関係に、自分たちで勝手に「集団自決」したように教科書の表記を改ざんするなんて、戦争の醜い部分や悲惨な部分にフタをするばかりか、お国のために死ぬことを「美徳」のように思わせるための完全な洗脳教育だ。
2年前にアメリカ軍のヘリが敷地内に墜落したことでもオナジミの沖縄国際大学の助教授で、沖縄戦研究者の吉浜忍氏は、「検定意見で日本軍の『集団自決』への関与がぼかされたが、軍隊が誘導したのが実態だ」と指摘し、「国によって沖縄戦が書き換えられた。これまでの研究や調査を逆転させようという政治的意図を感じる」と危惧している。また、沖縄歴史教育研究会の代表、宜野湾高校教諭の新城俊昭氏は、「『強制』という軍の関与を示す言葉が抜けると、住民が自ら死んだという殉国美談になってしまう」と懸念している。
そして、関東学院大教授の林博史氏は、「(集団自決は)軍の強制そのもので、これを覆す研究は皆無といえる」と指摘した上で、「(80年代の教科書検定以降)各教科書は、研究成果を踏まえて軍に強いられた自決であることを書いてきた。それを今回は、日本軍による加害性を教科書から消し去ろうとした。事実をあいまいにする政治的なひどい検定だ」と批判している。
この日本軍の命令による「集団自決」で、177人もの人たちが自決させられた沖縄の座間味村では、日本軍の関与を削除した教科書の検定に対して、多くの戦争体験者たちが怒りの声が上げた。座間味村の中村一男さん(73)は、「日本軍は各家庭に、軍が厳重に保管していた手榴弾をあらかじめ渡し、米軍の捕虜になるぐらいなら死になさいと話していた」と証言している。自らの家族も「集団自決」しかかった中村さんは、「(集団自決に軍の関与がなかったとする改ざんは)歴史を歪曲することだ。私たちが戦争体験を語るのは事実を伝え、むごい戦争を二度と起こさないため。(国は)事実は事実として後世に伝えてもらいたい」と言っている。
また、「集団自決」しようとする家族を引き止めて、生き残ることができた宮里薫さん(74)は、「教科書の書き換えで、(集団自決が)軍命でなくなったのはおかしい。あれは軍の命令だった。僕の家にも一発の手榴弾があった。軍のものだから、民間が勝手に取ることはできず、渡されたのは『住民は死ね』ということだ。軍命がないというのは、住民の実感に合わない」と批判している。
この、ニポン政府による、戦争を「美徳」とするあまりにも酷い歴史的事実の改ざんに対して、国内だけでなく、海外メディアからも疑問や批判の声が相次いでいる。アメリカの「ニューヨーク・タイムズ」では、4月1日付の記事で、「日本の文部科学省は、太平洋戦争末期の沖縄戦の集団自決をめぐる教科書の記述から、日本軍の強制による集団自決に関する部分を強制的に削除させた」と伝えている。国は、沖縄の人たちを騙し、強制的に自決させただけでなく、その事実すらも、強制的に教科書から削除させたってワケだ。そして、「ニューヨーク・タイムズ」では、「これこそが、日本の安倍政権が自分たちにとって都合の良い政府見解を日本国民に押し付けつつ、歴史自体の書き換え作業を進めていることの何よりの証拠である」と激しく批判した。
戦争へと向かうために、なりふりかまわぬ政府のやり方は、あまりにも悪質極まりないけど、自国の人たちを苦しめた日本軍の軍令ですら、その事実を改ざんしようとしてるんだから、他国の人たちを苦しめた従軍慰安婦の問題なんて、どう転んでも、政府の言ってることなんて信じらんないよね。そして、ここまでアカラサマな改ざんが横行しちゃうと、歴史の教科書なんて、ホントに北朝鮮レベルのメチャクチャなものが出来上がりそうだ。岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会の事務局長、小牧薫氏は、「(これほど酷い歴史的事実の改ざんが行なわれるようでは)今後、沖縄戦そのものが削除される恐れもある」って危惧してる。
で、数日前、今までにも何度か紹介したことがある「戦争を語りつぐ60年目の証言/戦争を知らない世代の人々へ」っていうサイトの75才の管理人さんから、あたしのとこに、次のメールが届いた。
沖縄戦「集団自決」強制の賛否について
こんばんわ、きっこさん。
昨年7月頃に私どもの「戦争を語りつぐ60年目の証言」サイトを「きっこの日記」に紹介して頂いた管理人です。その節はアクセス増加のきっかけをつくって下さり感謝しています。今では市民層の証言を80名分ほど収録して公開しております。
最近の政治家や官僚が、戦争の実態を知りもせずに、かつての日本軍を正当化しようとする傾向には腹立たしい思いがします。そこへ昨日、件名の通り、文部省による教科書検定の結果が報道されました。(付設しているブログでは賛否両論を紹介しています)
賛否両論を読んで感じるのは、いずれも表面的な事実にばかりこだわっていることです。当時の軍人一人が言ったとか言わないとかが問題ではないのです。集団自決の真因は軍部によって強制された観念、すなわち捕虜になることを恥とし、天皇のために死ぬことを名誉とする考え方にあります。
その根拠は、今ではすっかり忘れ去られている「戦陣訓」であり、国家神道に他ならないのです。「生きて虜囚の辱めを受けず」という言葉に表されているように、日本兵は捕虜になるより自決せよと教育され、靖国神社へ祀られること、戦死することが名誉とされていたのです。国民を戦争に総動員した当時にあっては、一般住民も軍隊と同じ考えで動くことを強制されたのです。
当時の日本社会の縮図といえる軍隊内部では、兵隊個人の自由や人権が完全に無視され、暴力と差別による絶対服従が強制されていたことは、当サイトに収録している下記の2つの証言を一読して頂ければ明白です。
「暴力で締めつけた日本軍の実態」
http://www.geocities.jp/shougen60/shougen-list/m-T14-1.html
「陸軍歩兵二等兵の体験」
http://www.geocities.jp/shougen60/shougen-list/m-T15-2.html
事のついでに申せば、「慰安婦」問題に関する政府答弁の賛否両論についても、当時の実態を知らないままに、国家神道のイデオロギーを強制された国民や軍隊を正当化する政治家(とくに安倍首相)の軽薄な考え方に危険な傾向を痛感しないではいられません。まして戦前の日本を懐かしみ復活させようとする意図は断じて肯定できません。戦争の正当化によって「美しい国」が作れるはずはないからです。
過去において、如何に朝鮮民族を差別化し植民地化を強制したかを無視して、過去のことだから現在の拉致問題とは「関係ない」とうそぶく態度は、全く論理性と歴史認識が欠如している証拠と言わざるを得ないのです。
つい長いメールになりましたが、政治家や官僚の言動に惑わされないよう、何とか庶民層の戦争体験をもっと多くの人々に知ってほしいと痛感するこの頃です。
きっこさんが戦争を知らない世代の代表として、過去の軍部権力の正当化に異を唱えて下さることを期待して止みません。
「戦争を語りつぐ60年目の証言」
http://www.geocities.jp/shougen60/
‥‥あたしは、戦争を知らない世代だから、何を言ったって、想像の上での話になっちゃう。だけど、アベシンゾーみたいに、自分の都合に合わせて歴史的事実を改ざんして、自分の都合に合わせた机上の空論を唱えてるようなウツケ者にだけはなりたくないから、あたしは、できるだけ、戦争体験者たちの話を聞くようにしてる。そして、いろいろな物証を見るようにしてる。で、こんなメールも届いた。
お名前:NN
E-mail:xxxxx@xxxxx.ne.jp
コメント:きっこさんこんばんは、いつも読ませてもらってます。昨年の暮れ、母親の遺品を整理していたら、平成四年に死亡した父親の「軍隊手牒」が出てきました。せっかく今まで残った手牒ですので、写真に写してサイトにアップしました。検索したらかなり出てきますが、思い切って「履歴」も中にいれました。勅諭(ちょくゆ)は省略しましたが(明治十五年一月四日、大正元年七月三十一日、昭和元年一二月二十八日の日付のです)。学徒動員なんてよく話題になったりしますが、まだ学生が「徴兵猶予」された時ですね。田舎で小さな農業をしていた20才そこそこの青年の数年間の「履歴」です。運よく生き残ったものですが・・・暇なときでも覗いてください。
http://homepage3.nifty.com/nononn/gntito/gt.htm
‥‥そんなワケで、あたしは、このNNさんの貴重な「軍隊手牒」の画像を拝見させてもらったんだけど、中までハッキリと見たのは初めてだったので、その内容の恐ろしさに、自分の目を疑った。この「軍隊手牒」の中には、「応召および出征時の心得」として、ふだんから準備しておくようにと、「戸籍の整備」と「遺言の準備」があげられている。つまり、いつ戦争になって、いつ呼び出しが来てもいいように、ふだんから戸籍をきちんとして、遺言も用意しておけってことだ。こんなことが、田舎の小さな農家で働く20才そこそこの青年にまで、国から強要されていたのだ。
だけど、ホントの恐ろしさは、そんなことじゃない。その先を読み進むと、実際に戦争になり、呼び出しが来て、戦地へと強制的に引きずり出されることになった場合の心得として、「応召時の処置」ってのが書かれてる。読みやすいように、句読点を入れて書き写したけど、それが、以下の文章だ。
「軍人ひとたび征途につくや、もとより生還を期せざるのみならず、戦場に在りては、ひとり敵中に突進して、遺骸(いがい)を残さず、あるいは勇戦奮闘して、敵弾に粉砕され、一片の肉片だにとどめず、または単機敵中深く進撃して、再び帰らざることありゆえに、遺骸の帰らざるは草むす屍(かばね)、水漬く屍の信条を発揮せる真に日本軍人の本分をまっとうしたるものなることを家族に銘肝(めいかん)せしむるとともに、写真、毛髪、爪等を残し置くを可とす。」
これは、「この国を守るためにがんばって戦ってくれ」とか、そんな甘っちょろいレベルじゃない。「戦地に行くからには、最初っから生きて帰って来られるとは思うな」って書いてあるのだ。つまりは、最初っから、「お国のために死ね」って命令してるワケだ。それにしても、国が、国民に対して、「敵弾に粉砕され、一片の肉片だにとどめず」って、とてもマトモな神経とは思えない。こんなデタラメ、どう見たって、北朝鮮とおんなじだ。完全に狂ってるよ、これ。
あたしは、当時の教科書とかも、ちゃんと読んだことはないから、知識がないけど、この文中に出て来る「草むす屍(かばね)、水漬く屍の信条」ってのも、「信条」って言ってるくらいだから、きっと、当時の子供たちに洗脳教育してたセリフなんだと思う。お国のために、天皇陛下のために、自分の命など捨てて、最後の1人になっても敵陣へと突進して犬死することが、「美徳」であり「愛国心」だって洗脳してたんだと思う。
‥‥そんなワケで、ここまで読んで来ても、それでも、戦争することが間違ってないとか思ってる人たちは、最後に、沖縄戦でアメリカ軍が撮影した映像と、自らの命を捨てて、敵艦へと突っ込んで行った神風特攻隊の映像をリンクしておくので、それを見て欲しい。アメリカ軍の砲弾を浴びて、焼けただれて路傍に転がってる焼死体や、爆撃で上半身が吹き飛んでる死体など、戦争を肯定する人たちは良く見て欲しい。お国のために、天皇陛下のために死ぬことが美徳だと洗脳され、命を捨てて敵艦へと向かって行ったのに、その手前の海に突っ込んで爆発して、ムダに死んでいった神風特攻隊の少年たちの姿を見て欲しい。この映像を見れば、どんな思想を持ち出して来ようとも、どんな理屈を並べようとも、戦争など絶対に正当化することはできないと思う今日この頃なのだ。
「沖縄戦1」(4分少々)
http://www.youtube.com/watch?v=a7u7zdR8Sbs
「沖縄戦2」(4分少々)
http://www.youtube.com/watch?v=JS64LDgz-E8&mode=related&search=
「神風特攻隊」(3分少々)
http://www.youtube.com/watch?v=wKdqq3UVOo0
※これらの映像は、戦争を正当化したい例の圧力によって、そのうち削除されると思いますので、興味のある人は、なるべく早めにご覧ください。
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