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2007.04.27

にんにく好きな女

V3071
ちょっと日にちが経っちゃったけど、こないだの日曜日に、「かがり火よさこい in セリオン」の後夜祭の野外コンサートに行った秋田の皆さん、かがり火のように燃え上がって、よさこっちゃいましたかぁ~?‥‥なんてことも言ってみつつ、ここんとこ、疲れがたまってたあたしは、タマにはパワーのあるものを食べようと思って、深夜のコンビニに寄ってみたら、お菓子のコーナーに、カールの「本格にんにくあじ」ってのを発見した。それで、あたしは、カールとかうまい棒とかって、歯に詰まるから苦手なんだけど、もう何年もカールなんか食べてなかったし、カールのにんにく味ってどんなのか興味があったので、試しに買ってみた。

実は、あたしは、にんにく好きで、疲れがたまってなくても、時々、にんにくがムショーに食べたくなる。だけど、次の日のお仕事のことを考えると、食べるワケには行かないし、土日にお仕事が集中してるあたしにとって、普通のにんにく好きの女性みたく、「週末にんにく」なんてワケにもいかない。だからって、にんにく好きにとっては、「無臭にんにく」なんてのはモッテノホカで、あの匂いがしなかったら、にんにくを食べる意味がない。

だから、あたしは、好きなのに食べられない、食べられないからヨケイに食べたくなるってワケで、次の日に匂わない程度に、パスタを作る時にちょっとだけ入れてみたり、お酒を飲んでる時にシソ漬けや味噌漬けのにんにくを2粒だけ食べてみたりって感じで、オノレの欲求を抑えてた。だけど、1年に1回くらい、全身がにんにくの匂いになっちゃうくらい食べたくなるから、1年に1回くらい、地元のポカポカランドの向かいにあった、にんにく料理専門の飲み屋さんに行って、にんにくの丸揚げをはじめとして、にんにく料理の数々をカタッパシから食べたりしてた今日この頃、皆さん、あたしって匂いますか?(笑)


‥‥そんなワケで、あたしの好きだった地元のにんにく料理屋さんは、今はもう無くなっちゃったけど、それでも、1年に1回くらいは、何も気にしないで、にんにくをいっぱい食べたくなる。だけど、にんにくって、たいていの場合は、何かのお料理の脇役として使うパターンが多い。スライスしたにんにくをオリーブオイルで炒めてからパスタに絡めたり、ミジン切りしたにんにくをギョウザに入れたり、すりおろしたにんにくをラーメンに入れたりって感じで、たしかににんにくの味や匂いはするんだけど、にんにくそのものを食べたいあたし的には、どうも満足できない。やっぱり、どうしても、粒のまんまのにんにくを食べたくなる。

だから、地元にあったにんにく料理屋さんの「にんにくの丸揚げ」は、あたしの理想的な食べ方だった。にんにくをそのまんま、球根みたいな形のまんま丸ごと揚げると、にんにくの上の部分がお花のようにひらいて、不思議なドライフラワーみたいな感じになる。それをお箸で1個ずつ取って食べるんだけど、粒の外側の薄皮はカリカリに揚がってるから、すごくキレイに中身が出て来る。そして、ちょうどいいやわらかさで、生のにんにくの味の味の角が取れて丸くなってて、とにかく美味しい。ハッキリ言って、1人で何個でも食べられるほど美味しい。

あたしは、「花粉症対策カレー」の中にも、にんにくを粒のままいっぱい入れるんだけど、カレーに入れて煮込むと、そんなに匂わなくなる。そして、何日か経つとドロドロに溶けちゃうから、「にんにくを食べてる」って感じはしなくなる。だけど、この「にんにくの丸揚げ」は、いかにも「にんにくを食べてる」って感じで、あたしの欲求を完全に満たしてくれる。でも、あたしは、キッチンが汚れるのがイヤなのと、1人ぶんの揚げ物をするのは油がもったいないから、自宅では揚げ物をしないことにしてる。特に、「にんにくの丸揚げ」なんかしちゃったら、油全体がにんにくの匂いになっちゃって、天ぷらとかの他の揚げ物に使えなくなっちゃうから、自分で作ることは絶対にアリエナイザーってワケで、地元のにんにく料理屋さんが無くなってからは、もう何年も食べてない。

‥‥そんなワケで、久しぶりに「アリエナイザー」って言葉を使ったついでにダッフンしとくと、数々のアリエナイザーたちを倒して地球の平和を守ってくれた「特捜戦隊デカレンジャー」のデカレッド役だった載寧龍二(さいねいりゅうじ)が、深田恭子ちゃんとラブラブなんだってね! ゆうこりんと濱口も、事務所の妨害にメゲズにまだホソボソと続いてるけど、デカレッドと深田恭子ちゃんにもがんばって欲しい‥‥なんてことも言ってみつつ、にんにくの話だけど、にんにくはユリ科の多年草だから、ナニゲにユリの球根に似てる。だけど、お花は、ユリとは似ても似つかないもので、長い茎の先に、小さなお花がたくさんボール状に咲いて、ネギ坊主みたいな感じになる。色は、白とか淡いパープルとかで、すごく可愛いんだけど、鼻を近づけて匂いをかぐと、ちゃんとにんにくの匂いがする。

そんなにんにくの歴史は古く、紀元前3750年ころのエジプトの王様のお墓から、にんにくをかたどった飾り物が発掘されてるし、紀元前1300年ころに造られたツタンカーメン王のお墓からは、乾燥したにんにくが発見されてる。当時の古代エジプトでは、にんにくやタマネギが栽培されてて、ピラミッドを造らさせてた奴隷たちに、にんにくを食べさせてたって言われてる。もちろん、古代エジプトだけじゃなく、ヨーロッパ、インド、中国など、にんにくは世界的に食べられてたけど、ニポンに入って来たのは、他の文化とおんなじように、中国から朝鮮半島を経て伝わって来た。

ハッキリした年代は分かんないけど、ニポン最古の文献、「古事記」(712年)の中にも、にんにくに関する記述があることや、朝鮮半島との交流の歴史とかから推測すると、3世紀の半ばから6世紀の終わりまでの古墳時代であることは間違いない。で、ニポンの場合は、にんにくは最初は「大蒜(おおびる)」って呼ばれてて、「にんにく」って呼ばれるようになったのは、中国から伝わって来た仏教が一般的に定着し始めた、平安時代ころだって言われてる。これは、当時のお坊さんたちが、厳しい修行に耐えるために、にんにくを食べたことから、仏教用語で「耐え忍ぶ」って意味の「忍辱(にんにく)」って言葉を「大蒜」の呼び名にしたからだ。だから、今では、「大蒜」とか「蒜」とか「葫」って書いて「にんにく」って読ませてるけど、もともとはアテ字‥‥っていうか、アテ読み?だったってワケだ。

‥‥そんなワケで、当時のニポンの食生活では、お魚以外の動物の肉はほとんど食べなかったから、にんにくのパワーはものすごかったんだと思う。それこそ、「ドラゴンボール」の仙豆(せんず)みたいに、1粒食べれば元気マンマンて感じだったと思う。だから、日常の食べ物としてじゃなくて、病気になった時とか、体力が落ちた時とかに、お薬のような感じで口にしてた。それで、厳しい修行の時に、最初はにんにくを食べてた仏教でも、あまりにも元気マンマンになっちゃうことから、そのうち、「人の心を乱すもの」として、食べちゃいけないことになった。そして、「古事記」に出て来るお話でも、にんにくは、ものすごいパワーを見せつけてる。にんにくは、ヤマトタケル御一行様が東へ遠征したクダリの第54話に出て来るんだけど、フランクザッパに語ると、こんなお話だ。


天皇の命令で、東への遠征を申しつかったヤマトタケル御一行様は、数々の神様たちに行く手をはばまれてた。そして、ヤマトタケル御一行様は、そうした神様たちをやっつけながら、東へと進んでた。つまり、RPGみたいなもんで、「神様」って言っても、全知全能の神様とかじゃなくて、「もののけ姫」に出て来るイノシシの神様みたいなのがいっぱいいて、旅人を襲ったりもしてたってワケで、ようするに、モンスターってワケだ。

で、船に乗って東へと進んでたヤマトタケル御一行様に、海峡の神様が襲いかかった。海峡の神様は、ものすごい荒波を立てて、船が進めないようにと妨害した。船の高さを遥かに超える荒波は、船の上から次々に襲いかかり、前に進めないどころか、このままじゃ沈没しちゃう。海峡の神様の狙いはヤマトタケルの命だから、船を沈めてヤマトタケルを殺そうって作戦だった。それで、「もうダメだ!」ってことになったら、ヤマトタケルの奥さんのオトタチバナ姫が、「私が、愛するヤマトタケルさんの身代わりになります!」って言って、辞世の歌を詠んだ。


 さねさし相武の小野に燃ゆる火の火中に立ちて問ひし君はも


これは、「相模の野に燃え立つ炎の中に立って、私のことを心配してくれたあなた」って意味で、ここまで説明すると長くなっちゃうからハショルけど、相模の地で権力者に騙されて火責めに遭った時に、自分のことを心配してくれたヤマトタケルに対する感謝の歌だ。そして、オトタチバナ姫は、愛するヤマトタケルにこの歌を残すと、何枚かのタタミを海の上に敷いて、その上に降り立った。そして、オトタチバナ姫は、そのまま海に沈んで行き、自らの命を海峡の神様のイケニエにすることによって、狂ったように荒れていた海を鎮めたのだ。

そして、それから1週間の航海をして、ようやく陸地に到着したヤマトタケルは、海岸に流れついたクシを発見する。それは、自分の身代わりになったオトタチバナ姫のクシだったので、ヤマトタケルは改めて涙を流して、そのクシを丁重に葬った。そして、気持ちも新たに陸地を進むヤマトタケル御一行様に、次々と新手の神様たちが襲いかかるも、最愛の奥さんを失ったヤマトタケルには、もはや失うものなどなく、マゴロクソードでバッタバッタとなぎ倒して行った。

で、足柄山の坂の途中で、ヤマトタケル御一行様がお弁当を食べてたら、この山の神様が、白い鹿に化けて現われて、行く手を塞いだ。それで、これは強敵だと思ったヤマトタケルは、お弁当の食べかけだったにんにくを1個手にして、「えいやっ!」っと投げつけた。すると、そのにんにくは、神様の目に当たり、神様はアッケなく死んでしまった。そして、強敵を倒したヤマトタケルは、その坂を登りきってから、自分たちがここまで辿り着けたのも、自分の身代わりになってくれたオトタチバナ姫のオカゲだと思い、「ああ、わが妻よ! わが妻よ! わが妻よ!」って、3回叫んだ。そして、そのことから、この地を「吾妻(あづま)」と呼ぶようになった。


‥‥そんなワケで、このお話はまだ続くんだけど、ぜんぶ書いてたら大変だから、今日はここまでにしとくけど、「古事記」の原文では、この、にんにくは「蒜(ひる)」って書かれてる。だから、「野蒜(のびる)」のことなんじゃないかって説もある。だけど、険しい峠を越すためにパワーをつけなきゃなんないっていうシチュエーションとか、強敵の神様がアッケなく死んじゃうこととかを考えたら、そこらに普通に生えてて、お味噌をつけてカリカリと食べる野蒜なんかに、そんなパワーがあるとは思えない。やっぱり、ドラキュラもやっつけちゃうほどのパワーを持ったにんにくだって考えるほうが、自然だと思う。

で、このお話は、8年後の「日本書紀」(720年)にも、マイナーチェンジ‥‥っていうか、加筆したものが登場する。で、こっちのニューバージョンでは、場所が変わってて、飛騨の信濃坂(現在の神坂峠)で、おんなじように、白い鹿に化けた神様に襲われて、おんなじように、にんにくを投げつけてやっつける。そして、そのあと、霧が立ち込めて道に迷うんだけど、白い犬が道案内をしてくれたりもする。さらには、山の神様が「にんにくが苦手」ってことが分かったから、旅人たちはにんにくを体に塗ってから、この峠を越すようになった‥‥ってオチまでついてる。

だから、古代のニポンのにんにくは、単なる食べ物ってよりも、滋養強壮とか、魔除けとか、そういった意味合いのほうが強かったんだと思う。だけど、あたしが食べるのをためらうように、にんにくには、そのパワーと比例するかのように、強い匂いがある。「源氏物語」の第二帖、「帚木(ほうきぎ)」では、今のあたしたちとおんなじように、にんにくの匂いを気にする女性が描かれてる。この「帚木」では、男同士が集まって、今までのガールフレンドたちとの面白い話を言い合ってるんだけど、その中で、藤式部の丞(とうしきぶのじょう)が、こんな話を始めた。


ある夏の日、ガールフレンドの1人を訪ねたら、妙にヨソヨソしくて、顔を見せてくれない。それで、しばらく顔を出さなかったから、ヤキモチを焼いてるのかと思ったら、そうじゃなくて、「夏バテで、にんにくを食べたとこだから、匂いがするので今は会うことができません。明日のお昼に来てください」って言うんだ。だから、オレは、こんな歌を詠んだんだ。


 ささがにのふるまひしるき夕暮れにひるますぐせと言うがあやなさ


「ささがに」ってのは「クモ」のことだけど、クモが活動を始めるのは暗くなってから、つまり、オレたちの恋愛タイムってワケなのに、その恋愛タイムに訪ねて来た恋人に向かって、「昼間になってから来てください」ってのはナッシングだろう?って意味さ。それに、この歌の「ひる」は、昼間の「昼」と、にんにくの「蒜」とをカケてあるんだから、なかなかだろ? それで、オレが、この歌を残して立ち去ろうとしたら、その子ったら追いかけて来て、こんな返歌を詠んだんだ。


 逢ふことの夜をし隔てぬ仲ならばひる間もなにかまばゆからまし


「毎晩逢ってるような仲だったら、昼間から逢っても恥ずかしくはないでしょう?」ってね。どうだい、オレのモテモテぶりは?


‥‥そんなワケで、この話を聞いてた源氏や中将たちは、口々に、「そんなうまい話があるもんか。どうせお前の作り話だろう?」「もっとマトモな話をしろよ!」ってツッコミを入れるんだけど、藤式部は、涼しい顔をして、「いや~これ以上の話はないよ」なんてトボケてる‥‥ってのが、「源氏物語」の「帚木」の一幕だ。

このお話からも分かるように、にんにくには、夏バテを解消するパワーがある反面、急に訪ねて来た恋人を追い返しちゃうようなキョーレツな匂いもあるワケで、この辺の感覚は、現代とおんなじだ。で、長い長い寄道を終えて、ようやく、話はクルリンパと戻るけど、コンビニでカールの「本格にんにくあじ」を買って来たあたしは、いくら「本格」って書いてあっても、いくらアルミホイルで包んで丸焼きにしたにんにくの写真がついてても、所詮はお菓子なんだから、夜中に突然、藤式部が訪ねて来ても大丈夫だろうって、タカをくくってた。

で、あたしは、コーヒーを煎れて、それほど期待しないで袋を開けてみた。そしたら、ものすごいにんにくの匂いが広がって、袋に鼻と口をつけて呼吸をしたら、ラリっちゃうんじゃないか?って思うほどのキョーレツなにんにくワールドが炸裂しちゃった。それで、とにかく1個食べてみたら、これがヤタラと美味しくて、ヒサビサに歯に詰まるカールの食感を懐かしみつつも、あたしは、パクパクとやめられなくなっちゃった。ただ、1つだけ言っとくと、どう考えても、コーヒーには合わなかった。麦茶とか普通のお茶とかなら合うと思うけど、にんにく味のお菓子とコーヒーの組み合わせは、納豆ご飯を食べながら牛乳を飲むくらい合わなかった。

‥‥そんなワケで、疲れ気味のあたしは、晩ご飯代わりに、栄養がありそうなカールの「本格にんにくあじ」をパクパクと食べてたんだけど、3分の1くらい食べたとこで、変な形のカールを発見した。それで、あたしは、「失敗作がまぎれ込んでたのかな?」って思って、手に取って良く見てみたら、失敗作にしては左右対称で、ワザと作ったみたいな形になってた。それで、手のひらに乗せてしばらく眺めてたら、ハッと気づいた。これは、カールおじさんの顔だ! 念のために、袋の裏のカールおじさんの絵と見比べてみたら、麦わら帽子といい、大きな口といい、ソックリだった。それで、あたしは、このカールおじさんの形のカールが、プレミアなのか、1袋に1個入ってるのか分かんなかったけど、とりあえず、普通のカールと並べて、記念に写真を撮ってみた今日この頃なのだ。


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