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2007.04.11

有言実行の男

Rh2
意味不明なアメリカのコミックスみたいなアニメで始まるようになっちゃった今シーズンのF1なので、「あれ?」って思って、チャンネルを替えちゃいそうになる。ま、何度も観てるうちに慣れて来るとは思うし、どんなに意味不明なオープニングでも、カンジンのレースさえキチンと放送してくれればいいんだけど、前回の開幕戦みたく生中継でもない限り、あのフジテレビに「キチンとした放送」なんていうハイレベルなことを望むのは、アベシンゾーに分数の足し算をやらせるようなもんで、所詮、「無理な注文」だろう。だから、あたしたち地上波しか見られない一般市民は、最初っから「キチンとした放送」なんて期待してないし、今回のマレーシアGPも、その「期待通り」‥‥じゃなくて、「期待してない通り」に、大幅にカットされてた。

だけど、去年までと違ったのは、今までは何も言わずに好きなだけカットしてたのが、今シーズンからは、ちゃんと報告するようになったのだ。去年までは、CMが明けると、マシンの順位がビミョ~に変わってて、「え?」って思うことが多かった。それで、画面の上のほうのちっちゃい数字の周回数を見ると、CM前は「残り47周」とかだったのが、CM明けには「残り41周」とかになってた。だけど、今回のマレーシアGPでは、CM明けに、ちゃんと「CM前から15周進みまして~」とかって言ってた。0.1秒に命を懸けて走ってるF1で、サクッと15周もカットしちゃうのも口が鈴木アングリだけど、それでも、ちゃんと説明してくれるのは嬉しい‥‥って、こんなことに素直に喜んでもいいのか、ハタマタ、これも「あるある大事典」の効果なんだろうって感心すればいいのか、それとも、都知事選の結果みたく呆れ果てたほうがいいのか、あたしゃ自分でも判断できない今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?(笑)


‥‥そんなワケで、オトトイの日曜日は、東京都民が全世界の笑い者になった東京都知事選の他に、三十路の乙女心がバクバクしちゃうモータースポーツの最高峰、F1の第2戦、マレーシアGPの決勝戦が行なわれた。北朝鮮のカルト教団、悪名高き「ナンミョー池田教」の組織票に頼らないと、ロクに選挙にも勝てない厚顔無恥な政治家とは違って、紳士のスポーツであるF1は、ホントの実力がモノを言う世界だ。だから、ストレスばっか溜まっちゃうヤラセの茶番選挙のあとには、F1を観戦して、身も心もスッキリ&サッパリってワケだ。

で、前回は開幕戦てこともあり、観戦するファンとしても、各チームのニューマシンの仕上がり具合とか、ワンメイクになったタイヤの問題とか、新レギュレーションとか、チーム移籍したベテランたちとマシンとのマッチングとか、ルーキーの腕前とか、いろいろとチェキする点もあった。そして、前回でザッと分かったので、今回は、純粋にレースそのものを楽しむことができた。それで、最初っから書いちゃうけど、今回のマレーシアGPは、ヒサビサにコーフンした素晴らしいレースだった。

スターティンググリッドは割愛しちゃうけど、ポールから、マッサ、アロンソ、ライコネン、ハミルトンていう、フェラーリとマクラーレンとが交互に並ぶ形で、マッサ、アロンソ、ライコネンまでは当然として、開幕戦で大活躍したハミルトンの4番グリッドは、マシンのスペックだけじゃないってことを全世界に知らしめた‥‥ってのは大ゲサだけど、ものすごいことだと思う。メジャーリーグでは、レッドソックスの松坂大輔にスポットが当たってるみたいに見えるけど、それは、レッドソックスの地元のボストンと、ニポンが騒いでるだけのことで、世界的に見たら、まったく扱ってないスポーツニュース媒体のほうが遥かに多い。だけど、F1におけるルイス・ハミルトンの活躍は、世界中のスポーツニュース媒体で取り上げられ、絶賛されている。

ま、メジャーリーグはアメリカだけのスポーツで、F1は世界のスポーツだから、それを比べるのはおかしな話だけど、他の国でのルイス・ハミルトンの取り上げ方を見ると、ニポンがどれほどモータースポーツに対して意識が低いのかってことが良く分かる。だって、ニポンとは無関係なレースだったらまだ分かるけど、F1て言えば、ニポン製のマシンも参加してるし、ニポン人のドライバーやチームも参加してるし、タイヤだって日本製のワンメイクだし、何よりも、このニポンは開催国の1つなのだ。それなのに、年間のレースの9割以上が録画で、それも、3割近くをカットした上に、深夜の1時、2時に放送されてる。

モータースポーツの最高峰のF1ですら、こんなレベルなんだから、他のモータースポーツに対してのニポンの意識の低さは、さらにひどい。Fポンにしろ、ラリーにしろ、テレビで放送されることなんかマレだし、四輪以上にニポン人が活躍してる二輪なんか、タマに日本テレビが深夜に放送してるくらいで、ほとんどスルーされちゃってる。だから、イタリアじゃサッカーの中田英寿よりも遥かに知名度が高くて、空港を顔パスで通れちゃうほどの原田哲也が、このニポンじゃ知られてない。イタリアにおけるニポン人の知名度としては、野球の松坂大輔を「1」だとすると、サッカーの中田英寿が「10」で、二輪の原田哲也が「100」って感じになる。決して大ゲサじゃなくて、イタリア人で原田哲也の名前や顔を知らない人は、ほとんどいないだろう。だけど、このニポンだと、知ってる人よりも、知らない人のほうが遥かに多い。

‥‥そんなワケで、こんなことばっか書いてると、いつまで経っても本題に入れないので、この辺でクルリンパと話を戻して、やっとこさ、F1のマレーシアGPの決勝戦をスタートさせちゃうけど、この日は、気温34℃、路面温度56℃っていう、前回のオーストラリアGPとは比べものになんないほどのホットなコンディションだった。で、バリチェロがエンジン交換のペナルティーでピットスタートを選択した他は、それなりに美しくスタートしたんだけど、「ヒサビサにコーフンした」って最初に書いたように、今回のレースは、ショッパナから素晴らしかった。

スタート直後の1コーナーの飛び込み合戦で、2番グリッドからロケットスタートしたアロンソが、マッサをパスしてトップに浮上したんだけど、そのバトルで開いたインを利用して、4番手スタートのハミルトンが、一気にライコネン抜き去り、次の切り返しでアウトからマッサを抜いて2番手に躍り出たのだ! すごすごすごすごすごすぎる! デビュー2戦目のルーキーから見たら、ベテランのライコネンや先輩のマッサは雲の上の人のハズなのに、まったく気後れすることなく、互角以上の勝負をしてる。サスガ、「クモ以外には恐いものはない」って豪語してるだけのことはある。世の中で「クモ」だけが苦手ってことは、これで、あと、「オカラ」が大好物だったら、「花山大吉」ってことになる‥‥てことは、立場が逆転しちゃって、先輩で現チャンプのアロンソが「焼津の半次」なのか?(笑)‥‥なんて、こんなネタを書くと、またまたあたしのことを40代だとか50代だとか言い出す人が出てきちゃいそうだけど、F1用のイヤープラグ(耳栓)をしてるオカゲで、雑音がまったく耳に入らないあたしとしては、今日も今日とてマイペースだ。

‥‥そんなワケで、あたしとおんなじに我が道を行くハミルトンは、自分とおんなじイギリス出身の先輩ドライバー、ホンダのバトンにも、時代が変わったってことを認めさせた。イギリスのモータースポーツ紙は、今シーズンの開幕前に、自国からの新旧2人のドライバー、ハミルトンとバトンとの攻防を期待してたけど、その質問に対して、バトンは次のように答えてる。


「僕がイギリスのモータースポーツ界のナンバーワンだった時代は、ルイス(ハミルトン)のF1デビューによって終わりを告げたよ。今シーズンはハミルトン対バトンだって? そんなことアリエナイザーだよ。彼のマクラーレンは、僕のホンダとは比べ物にならないほど速いんだからね。モータースポーツは、自分のチームのマシンで戦うしかないんだから、遅いマシンに乗っている僕は、フェラーリ、ルノー、マクラーレン、BMWというトップ4のチームのマシンには追いつけないだろう。そして、マクラーレンに乗ることができたルイスは、今後、数レースは、確実に僕よりも上位に入るだろう」


そして、このバトンの言葉通りに、ハミルトンは、デビュー戦で3位の表彰台に上がり、今回の第2戦では、ナナナナナント! アロンソとワンツーフィニッシュを決めて、2位に入賞した!‥‥って、ついイキオイで、先に今回の結果を書いちゃったけど、ここまでトッチラカシて書いて来ちゃったら、今さら、レース内容を細かく書いてる余裕はない。だから、このままマイペースに我が道を行っちゃうけど、バトンの言うように、今のホンダのマシンには、上位グループと戦う力は無いから、おんなじイギリス人同士の攻防だとしたら、レッドブルのデビッド・クルサードか、ホンダの去年のマシンのお下がりだってウワサされてるスーパーアグリのアンソニー・デビッドソンのほうが、マシンのスペック的には、バトンのライバルって感じになる。

どっちにしても、今や世界のモータースポーツの頂点に君臨してるF1だけど、もともとはイギリスで始まったレースだから、バトンだけじゃなく、クルサードも、ハミルトンも、デビッドソンも、きっと、自分の国で発祥したレースに自分の国を代表して参戦してるって意識があるんだと思う。そんな現在のイギリス人ドライバーたちに対して、かつてのイギリス人チャンプ、デーモン・ヒルは、「ルイス・ハミルトンこそが次のイギリス人F1チャンプになる素質を持っている」って分析してる。

まあ、「分析」って言っても、乗ってるマシンを見れば、レッドブルやスーパーアグリがチャンプになれるワケはないし、ホンダにしたって、去年みたいなタナボタの1勝があればラッキーって程度で、ドライブしてるバトン自身が断言してるように、とてもじゃないけど上位チームのマシンとはマトモに戦えるレベルじゃない。だから、この4人のイギリス人ドライバーの中で、誰が1番チャンプに近い場所にいるかって言えば、どう転んでもハミルトンてことになる。前出のデーモン・ヒルのコメントは、開幕前の3月初旬のものだけど、こんなふうに言ってる。


「デビッド(クルサード)は多くのイギリス人たちに希望を与えた時代があったし、ジェンソン(バトン)は今も希望を与え続けている。多くの人たちは、彼等の成功に希望を抱いていた。でも、今は、ルイス(ハミルトン)がいる。ルイスは、彼にとって、もっともふさわしいチームにいる。才能のあるジェンソンがチャンプになれないのは、指導者とチームの選択を誤るという大失敗をしたからだが、ルイスは、ロン・デニスという最高の指導者のもと、マクラーレンという最高のチームにいる。これは大きな違いだ。ルイスがチャンプになるための障害は、チームメイトのアロンソと、2台のフェラーリだけだ」


で、大先輩のデーモン・ヒルから、こんなにキツイコトを言われちゃったバトン自身も、このヒルのコメントを聞いた上で、次のようにコメントしてる。


「ルイスのF1デビューは、僕の時とはぜんぜん違うよ。僕はトップチームじゃないウィリアムズからのデビューだったけど、彼は、いきなりトップチームからのデビューだし、それまでに積んで来たキャリアも、僕とは段違いだ。僕は今まで運なんてものは信じてなかったけど、ルイスのデビューを見て、少しは運てものを信じるようになったよ。彼は、僕とは違って、『正しい時期に正しいチームにいる』ってことだよ。そして、素晴らしい仕事をしている。まったくすごいとしか言いようがないよ」


‥‥そんなワケで、この前も書いたけど、各メディアは、ルイス・ハミルトンのデビューに当たって、彼が「F1初の黒人ドライバー」だってことばかりを書き立ててた。だけど、フタを開けてみたら、シビレまくっちゃう熱い走りで、わずか2戦にして、その突出した実力を見せつけてくれた。つまり、開幕戦の前に彼が言ってた「ボクの肌の色のことで、いろんなメディアに取り上げられることは、いい意味で利点だと思ってる。だけど、ボクは、この肌の色のオカゲでここまで上って来たワケじゃないよ」って言葉の意味が、ようやく、ハッキリして来たと思う今日この頃なのだ。


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