失恋しました‥‥
この前、「ときめきメモリアル3」をやった感想を書いたら、あたしにこのゲームをくれた人(女性)から、「確かに非現実的な女の子が出てくるのですが、色んなタイプの女の子がいて、それぞれ趣味も性格もちがうので、そのキャラにあった接し方とか口説き方を模索しながら、他の女の子のごきげんもとりつつ、バランスを考えて、最後に告白されるまでを楽しむゲームなので、わたしは結構おもしろく遊べました。すべての女の子をいかに一回目でベストエンディングにもっていくかっていうところとか、あとは、夏休みのデートで行くお祭りの縁日でのミニゲーム(金魚すくいとか射的とか)にも、けっこうハマったりしておもしろかったです」ってメールが来た。それで、あたしは、もう一度だけ、別の女の子を相手にしてやってみることにした。
だけど、この前、告白された「牧原ゆきこ」以外だと、ピンクの髪のアラレちゃんみたいなのは生理的に受けつけないし、黄色の髪のタカビシャ女は絶対にイヤだし、やかましいけど、変な関西弁の緑色の髪の女か、途中でちょっとだけ出て来た合気道部の女か、どっちかかな?‥‥なんて思いつつ、ゲームをスタートさせてみた。そしたら、最初に、桜が舞い散るナントカ坂のとこで女の子と出会うんだけど、この前は「牧原ゆきこ」だったのに、今回は、この前は一度も登場しなかった黒髪ショートの女の子だった。黒髪っていうか、正確に言うとグレーなんだけど、他の女たちがピンクだの黄色だのメチャクチャな髪の色だから、おとなしいグレーは、限りなく黒髪に見える。それに、顔つきもキリッとしてるし、どこか、デビュー当時の玲奈ちゃんをホーフツとさせる感じで、あたしは、胸がキュンとしちゃった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、その子を彼女にしようと思ったんだけど、前回は一度も登場しなかったから、どの部活に入ればいいのかも、どこに行けばいいのかも分からず、とりあえずは普通の高校生活を送ってた。ただ、ひとつだけ気をつけたのは、「誰かを誘って帰る」とかの時に、誰も誘わずに、まっすぐ帰るようにしてた。それで、そんな生活をしばらく続けてたら、ある日、下校の時に、その子が現われたのだ! あたしは、「待ってました!」って感じで、話しかけたら、「神条芹華(しんじょうせりか)」っていう名前を教えてくれた。「せりか」だなんて、なんか、20年前の暴走族が、10代のうちに結婚して、産まれた女の子につけたみたいな名前だったけど、暴走族の場合には、きっと「瀬梨華」とかって3文字の漢字をあてるハズだから、「芹華」って漢字なら、まあいいか。で、あたしも前回で学習したから、今度は、自分の名前の「子」を「雄」に変えて、ちゃんと男の子の名前で登録してた。だから、相手から呼ばれてもヘンテコな感じにならない。
それで、あたしが何よりも嬉しかったのは、芹華が、第一印象の通りに、男っぷりのいい女の子だったってことだ。ヤタラとぶっきらぼうだし、男言葉に近い話し方だし、なかなかクールでカッコイイ。せっかく外見が好みなのに、これで、あのピンクのアラレちゃんみたいなしゃべり方だったら、全身が脱力しちゃうとこだった。それで、ガゼンやる気が出て来ちゃったあたしは、前回に学んだことを思い出しながら、芹華を彼女にすべく、楽しい高校生活を始めたってワケだ。前回は、何も分からずにやってたし、好きでもない女のゴキゲンをずっと取り続けてたもんだから、理不尽なことばっか気になっちゃったけど、今回は、好きな女の子にアタックするワケだから、1つ1つのことがワリと楽しい。何度目かに、初めてデートの誘いをOKしてもらった時なんか、ホントに嬉しかった。
とにかく、芹華は、すごく男っぷりが良くて、ゲームの設定上は、あたしが男で相手が女なのに、なんか、男性にリードされてるような気分になって来る。だから、「あたしは男役なんだ」って自分に言い聞かせながらゲームをしなくても、普通の感覚で進めることができた。それで、あたしは、芹華が「ブラックコーヒー」を好きだってことが分かったので、わざわざ「園芸」を趣味にして、時間のある時に、セッセと「コーヒーの木」を育てて、自家製のコーヒー豆を作って、オリジナルブレンドの研究までして、美味しいコーヒーを作ったりもした。それで、芹華のお誕生日にプレゼントしてみたら、すごく喜んでくれた。
今回、何よりも助かったのは、芹華が帰宅部だったことだ。どっかの部活をやってたら、あたしもその部活に入んなくちゃなんないから、やることが増えちゃう。そして、部活が無かったぶん、コマメにデートに誘い続けることができて、毎回、毎回、待ち合わせには遅れて来る芹華だったけど、「デートの待ち合わせで女の子を待ってる時の男の子の気分って、こんな感じなのかな?」なんて思ってみたりもした。それに、いつも遅刻して来る芹華だったから、タマに早く来てて、照れて「たまたま早く目が覚めちゃったんだよ」なんてイイワケするとこが、すごく可愛かった。
そして、高校2年生になったころには、あたしのことをニックネームで呼んでくれるようになったから、あたしも、「呼び方を変える」にしてみた。だけど、相手のキャラから言って、「芹華ちゃん」にすると嫌がられそうな気がしたから、「芹華」って呼び捨てにしてみた。そしたら、「うん、いいよ」って言ってくれて、この時も嬉しかった。ただ、あたしのほうは、本名は男性の名前にしてたんだけど、ニックネームのほうは思いつかなくて、「きっこ」のままにしてたから、「きっこ」「芹華」って呼び合うことになっちゃった。
‥‥そんなワケで、なかなか仲良くなれたっぽいし、デートでどっかに行くと、そのあとにお茶を飲みに行ったりする時に、「あたしがおごるよ」って言ってくれて、お茶を飲んでても、「コーヒーもう一杯飲もう。あたしがおごるよ」って言ってくれて、「ここはオレのおごりだ」が好きな言葉のあたし的には、もうサイコーだった。そして、ふだんはモノトーンで男っぷりのいい服装が多い芹華なのに、夏祭りや花火大会の時の黒の浴衣と、夏に海に行った時の白のキャミと、初詣に行った時の白のコートが、あたしのツボの内角高めにストライクだった。それから、クリスマスイブにマンションに呼んでくれて、すき焼きを作ってくれたんだけど、その時は、トップスはいつもの黒のセーターだったけど、ボトムスがブルーのプリーツスカートだった。いつもは上半身しか見えないから、制服以外はパンツスタイルなんだと思い込んでたあたしは、ちょっと胸がキュンとしちゃった。
そんなこんなで、いろんなことがありつつも、おかしなこともあった。芹華は、人ゴミよりは自然の中のほうが好きなので、あたしは、秋になったので山に紅葉を見に行こうって誘ってみたら、二つ返事でOKしてくれて、「楽しみだね」とまで言ってくれた。そして、いよいよデートの当日、お天気も晴れたし、待ち合わせの駅に行ったら、困った顔の芹華が現われて、「大事な用事ができて今日はどうしても行けなくなった」って言う。それで、楽しみにしてたデートは無しになっちゃったから、その次のお休みの日に電話して、もう一度、「山に行こう」って誘ってみた。そしたら、ナナナナナント! 「そこはこの前、行っただろ? 別の場所ならいいよ」ってノタマッたのだ!
おいおいおいおいおーーーーい!
あたしは、好きになった女の子がワガママで、振り回されてる男の子の気持ちってこんな感じなのかな?‥‥なんて思いつつ、別の場所に行くことにした。だけど、2人のラブラブ度はどんどん上がって来たみたいで、朝は向こうから迎えに来てくれるし、下校の時も向こうから誘ってくれるし、デートも向こうから誘ってくれるようになった。そして、ある日のこと、下校時にバッタリ会ったら、これから用事があって学校に戻んなきゃなんないって言う。それまでも、顔にバンソコを貼ってたり、体のあちこちを痛めてたり、両親がいなくて1人で暮らしてたり、いろいろと謎があったんだけど、この時は、あたしに、「元気でな」なんて言うもんだから、あたしは心配になって、学校に様子を見に戻ることにした。
そしたら、あまりにもトンデモナイ展開で、あたしはブッ飛んじゃった。学校に戻ったら、芹華は、屋上で、恐い魔物と戦ってたのだ。で、ゲームをしてる人に分かるように、芹華が自分語り風の説明をしてくれたんだけど、芹華は子供のころから超能力みたいなのを持ってて、それに目をつけた政府が、芹華の両親を拉致して、両親を人質にして、いろんな学校にいる魔物を退治するようにって指令を出したって話だった。なんなんだ、それ?
で、芹華は、その魔物にやられそうになっちゃうんだけど、そこで、あたしに対して、「逃げろ!」って言う。あたしは、「逃げる」か「芹華を守る」かを選択するんだけど、こんなの誰だって「芹華を守る」に決まってんじゃん。そして、あたしが魔物から攻撃されて時間を稼いでる間に、倒れてた芹華が復活して、それどころか、スーパーサイヤ人みたく髪の色まで変わっちゃって、かめはめ波みたいなのを発射して魔物をやっつけた。これはこれで面白かったけど、普通の高校生として、普通の恋愛をしてたあたし的には、あまりの飛躍っぷりにリアリティーのカケラもなくなっちゃって、それからあとは、ちょっとシラケちゃった。だって、手からかめはめ波みたいなのを出すような彼女、普通はNGじゃん(笑)
‥‥そんなワケで、魔物との対決にはマイッタけど、それでも、このイベントでますます芹華と仲良くなれたあたしは、完全にラブラブ状態で、卒業式を迎えることになった。前回の「牧原ゆきこ」の時よりも、何倍も仲良くなれてたし、これなら絶対に告白してもらえるっていう安心感もあったから、最後はギリギリまで楽しもうと思って、卒業式の前日までデートを楽しんでた。あたしが何か話しかければ、ホッペを赤くして照れちゃうし、サイコーにいい雰囲気になってた。そして、あたしは、男っぽい芹華が、どんなふうに告白してくれるのか、すごく楽しみにしてた。
そして、ついに、卒業式を迎えたワケだけど、前回の時には、下駄箱を開けたら、靴の上に手紙が置いてあって、例のナントカ坂に呼び出されて、そこに行ったら、あたしが彼女だと思ってた牧原ゆきこが現われて、今さらながらの告白をされたってワケだった。で、今回もおんなじなんだろうと思ってたあたしは、開けた下駄箱の靴の上に、手紙がなかったから、「あれ?今回は別のイベントなのかな?」って思いつつ、そのままコントローラーのボタンをピコピコと押してたら、何もないまま、終わっちゃった! そして、「長いようで短かった3年間だけど、何か大切なことをやり残したような気がする」って、あたしの思いをセリフにしたのがダーッて流れて来て、エンディングの歌が流れ始めた。
あたしは、しばらく唖然としちゃって、意味が理解できなかった。あんなに仲良くなってたのに、つーか、あたしの3年間の高校生活は、すべて芹華ヒトスジだったのに‥‥。芹華を守るために、魔物とも戦ったのに‥‥。あたしの脳裏には、修学旅行の自由行動で、芹華のほうから誘ってくれて、一緒に過ごした日のこととか、初詣でオミクジを引いて、お互いにもっと相手と仲良くなれることをお祈りした時のこととか、クリスマスイブに、すき焼きを作ってくれた時のこととか、いろんな思い出が走馬灯のように流れ始めた。そして、いつもはきつい表情をしてる芹華が、一瞬だけ笑った時の可愛い顔が浮かんで来た‥‥。
それで、あたしは、ホントに失恋しちゃったみたいな気持ちになって、ショボーンってなっちゃった。なんか、胸の奥が痛い。そして、このゲームに夢中になってる男の子たちの気持ちが、なんだかちょっとだけ分かったような気がした。だけど、あたし的には、この結果が、どうしても納得できなかったから、ネットで攻略法を調べてみた。そしたら、それぞれの女の子に、告白させるための条件てのがあって、次のようになってた。
牧原ゆきこ 特になし
相沢ちとせ 文系レベル25以上
河合りさ 理系レベル25以上
御田まり 芸術レベル30以上
橘えみ 運動レベル20以上
神条せりか 運動レベル20以上、体力150以上
渡井かずみ 根性150以上
あたしは、これを見てガクゼンとした。「体力」ってのは、何もしないで居眠りしてないと補給されないんだけど、あたしは、「0」にならなきゃ死なないんだと思って、ほとんど居眠りしないで、デートばっかしてたのだ。基本的には、「50くらいまで下がって来たらリトル休んで補充する」って感じでプレイしてたから、最終的には、どんなに多くても100以下だったハズだ。文系も、理系も、芸術も、運動も、ぜんぶレベル30以上になってたから、問題なのは、この「体力150以上」って部分だったのだ。
‥‥そんなワケで、あたしは、3年間の高校生活をムダに送っちゃったワケで‥‥って思いかけたんだけど、そうでもなかったってことに気づいた。こんな決まりごとがあるなんて知らなかったから、告白はされなかったけど、考えてみたら、楽しいデートをいっぱいしたし、いろんな思い出を作ることができた。逆に言えば、この決まりごとを知ってて、セコセコと休みながら、最終的に「体力150以上」を残すようにプレイしてた人よりも、あたしのほうが数多くデートしたってことになる。つまり、あたしは、「明日のジョー」のように、真っ白に燃え尽きるまで、芹華との日々を楽しんだってことになる。だから、告白はされなかったし、結果的には失恋しちゃったけど、それでも、あたしこそが、誰よりも芹華を愛してたのだぁ~~~!って、負け犬の遠吠えだけが虚しく響く今日この頃なのだ(笑)
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