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2007.05.06

お前は落ちるな!

Emi2
事故から1週間が過ぎて、じん帯が損傷してる右足の痛みは変わんないけど、左足や左腕、肩や腰など、他の部分はタダの打撲だから、ずいぶんラクになって来た。だから、ベッドで上半身を起こす時も、最初はホントに苦労してたけど、今は、1分もあれば起こすことができるようになった。だけど、上半身を起こしたら、今度はテディベアみたいな体勢でいなくちゃなんないから、それもつらくなって来る。それで、右足はまっすぐに伸ばしたまま、左足をベッドから下ろしてみたり、いろいろと工夫してるんだけど、何よりつらいのは、背もたれがないことだった。

それで、あたしは、介護ベッドみたく、リクライニングして背中を預けられるようになってたらどんなにラクだろう‥‥って思ったんだけど、そこで、ハッとひらめいた。それは、マッサージチェアだ。マッサージチェアなら、自由な角度にリクライニングするし、何よりもワンダホーだと思ったのは、曲げられない右足を乗せるためのオットマンまでついてるからだ。だけど、あたしのマッサージチェアは、もう半年以上は動かしてなくて、単なる「お洋服置き場」になっちゃってる。

別に、あたしは、森三中の黒沢みたく「片づけられない女」ってワケじゃないんだけど、一度着ただけで、洗うほどじゃないお洋服とか、暖かくなったと思ったら、また寒くなるから、仕舞うに仕舞えない冬物とか、そんなのをポンポンと置いてるうちに、だんだんに前方後円墳みたいになって来ちゃって、結局、マッサージチェアとしての役割はなくなり、「2~3日のうちに着そうなお洋服を一時的に置いとく場所」になっちゃった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、今こそ、マッサージチェアを「チェア」として活用すべき時だって思って、ものすごく大変だったけど、上に積み重ねてあったお洋服をどけた。これは、あくまでも、「片づけた」とか「仕舞った」とかじゃなくて、「どけた」って感じなんだけど、体が動かせないから、それで精一杯だった。そして、約半年ぶりくらいに座り、オットマンを伸ばして右足を乗せて、背もたれをリクライニングで45度くらいに倒してみたら、ベッドとは比べ物になんないほど体がラクになった。それに、ヒジカケがあるから、左腕もラクで、天国みたいだった。

マッサージチェアは、リビングのテレビをナナメから観る角度に置いてあるから、テレビはいつでも観られるし、場合によっては、毛布を持ってくれば、このまま寝ることもできる。だから、あたしは、このマッサージチェアを定位置にして、生活することに決めた。それで、ケータイと、テレビのリモコンと、お水のペットボトルと、テッシュと、タオルと、魚肉ソーセージと、きんかん飴をマッサージチェアのワキに並べて、のんびりすることにした‥‥って言っても、これだけのものを持って来るのに、足の激痛に耐えながら、ちょっとずつ動いて、すごく時間ず掛かった。マッサージチェアの上のお洋服をどけたのも入れると、すでに1時間以上は掛かってる。

それで、立ったついでにおトイレも済ませて、完璧な状態にしてからマッサージチェアに座って、背もたれを一番ラクな角度にして、テレビのスイッチを入れた。だけど、どのチャンルネルもつまんない上に、何よりも耐えられなかったのが、桑田佳祐のCMだ。何だかしんないけど、どのチャンネルに替えても、桑田佳祐のやかましい歌と気持ち悪い映像が流れる男性エステのCMが、これでもか!これでもか!って繰り返し流されてて、ノイローゼになりそうだった。しばらくはガマンしてたんだけど、あまりにも何度も何度も流れるから、あたしは、もう限界になって、テレビを消した。それにしても、サラ金のCMに出て自殺者の増加に加担してるバカアイドルにも腹が立つけど、桑田佳祐も仕事くらい選べよ‥‥。

‥‥そんなワケで、あたしは、桑田佳祐の気持ち悪いCMなんかを見るために、こんなに苦労して居場所を作ったワケじゃないから、ものすごくガッカリした。それで、いろいろと考えたんだけど、DVDを観るためには、また立ち上がってテレビのとこまで行かなきゃなんないし、観終わるたびに、次のDVDに替えに行かなきゃなんない。つまり、1時間とか2時間おきに立ち上がんなきゃなんないワケで、せっかくラクな体勢になったのに、ぜんぜん意味がない。それで、いろいろと考えた結果、プレステをやることにした。プレステなら、コードはテレビにつないだままだから、電源のコンセントを入れて、コントローラーを持って、本体をズルズルと引っぱって来るだけだ。

それで、あたしは、必死に立ち上がったんだけど、しばらく右足をオットマンに乗せてたから、一気に足首に血が下がって、また激痛との戦いになった。これがあるから、立つのがイヤなんだよね。だからこそ、一度座ったら動かなくていいように、苦労して必要なものを並べたのに、マサカ、桑田佳祐のセイで立たされるハメになるとは‥‥。で、あたしは、何とかテレビのとこまで行って、プレステのコンセントを差し込んだんだけど、もう体力が限界で、ソフトを探して交換するなんてできなかった。だから、セットしたままになってる「ときめきメモリアル3」でいいやって思って、コントローラーを持って、マッサージチェアのとこまで戻って来た。

で、マッサージチェアに座って‥‥って書くと、何でもないことみたいだけど、立ってる体勢からマッサージチェアに座るのが、これまた大変だ。松葉杖を壁に立てかけて、マッサージチェアのヒジカケを持ちながら、右足を少しずつ前に出しつつ腰を下げてく。ようするに、コサックダンスで右足を前に出したみたいなカッコになるワケで、そこから、お尻をナナメにマッサージチェアに乗せて、両腕の力だけで、ちょっとずつ、ちょっとずつ、お尻を奥にズラしてく。動くたびに右足に激痛が走るけど、ちゃんと座れた時の天国みたいなラクチンさのために、最後の力をふりしぼってがんばる。

‥‥そんなワケで、やっとのことでラクな体勢になれたあたしは、ペットボトルのお水を飲んでから、そのまま30分くらい休んだ。そして、リトル復活したので、ゲームを始めることにした。何しろ、本も読めない、テレビもなかなか観られないって状態が続いてたから、大きな画面が見られるのは、それだけでも嬉しい。「ときめきメモリアル3」は、最初は何も分からずにプレイして、牧原ゆきこに告白してもらったんだけど、ムカツク女だったから面白くなかった。そして、2回目は、あたしのタイプの神條芹華とラブラブになれて、ドキドキしながら告白を待ったのに、卒業式の日に下駄箱にお手紙が入ってなくて、告白してもらえなかった。

それで、あたしは、「あんなにラブラブになれたのに、どうしてフラレちゃったんだろう?」って思って、攻略法を調べてみた。そしたら、それぞれの女の子に、それぞれ告白されるための条件があって、芹華の場合は、あたしの体力と運動が、ある一定のレベル以上になってないとダメだってことが分かった。それで、どうしても芹華のことが忘れられなかったあたしは、もう一度プレイして芹華に告白してもらったんだけど、男っぷりのいい芹華の照れながらの告白に、あたしのハートはチュクチュクしちゃって、あたしのお鼻はヒクヒクしちゃって、あたしのお目々はシクシクしちゃって、そりゃあもうコーフンした。

で、前にも書いたけど、このゲームって、髪がピンクでアラレちゃんみたいな顔したウットオシイ女とか、髪が緑色でインチキ関西弁を話すナレナレシイ女とか、髪が黄色でヤタラとタカビシャな女とか、出て来るのが、あまりにもムカツク女ばっかで、とてもじゃないけど3年間も付き合えない。それで、あたしは、男っぷりのいい芹華を好きになったんだけど、その次に「この子なら付き合えそう」って思ったのが、合気道部の橘えみって子だった。髪も濃いムラサキで、このゲームの中じゃマシなほうだし、話し方も礼儀正しいし、前回か前々回の時に公園みたいなとこでバッタリと会った時には、淡いピンクに白のパイピングのすごく可愛いカーデを着てて、ちょっと好きな感じだった。

だから、今回は、橘えみを彼女にすべく、ゲームをスタートさせた。そしたら、このゲームって、最初に「伝説の坂」ってとこで桜吹雪が舞って、登場する女の子たちのうちの誰かとランダムに出会うんだけど、ナナナナナント! それが、橘えみだったのだ! それで、あたしは、吉田照美よりもやる気マンマンになっちゃって‥‥って、吉田照美のやる気マンマンは、もう終わっちゃったけど、とにかく、時間は無限にあるし、体はラクだし、のんびりと楽しむことにした。

何しろ、今回は、橘えみが合気道部だってことも分かってるし、橘えみから告白される条件が「運動レベル20以上」だってことも分かってるし、あたしのやることは簡単だ。もえぎの高校に入学したら、ソッコーで合気道部に入部して、あとは、部活と体育ばっかしてればいいってワケだ。それで、その通りにしてたら、すぐに橘えみと仲良くなれたし、ワリと早い時期に最初のデートに誘うことができて、話はトントン拍子に進み始めた‥‥って思ったのもトコノマ、ぜんぜん勉強しないで、部活と体育ばっかしてたら、脳みそまで筋肉でできてるような大バカ野郎になっちゃって、期末テストがさんざんで、大恥をさらしちゃった。それで、このままじゃ、脳みそがクルミくらいの大きさしかなくて、ニポン語もロクにしゃべれないヘリウムバカ、アベシンゾーみたくなっちゃうから、あたしは、大アワテで、他の学科の勉強もすることにした。

‥‥そんなワケで、橘えみは、礼儀正しいし、話し方はキチンとしてるし、性格はオットリしてるし、趣味が書道と活け花だし、実家が造り酒屋だし、文学に造詣が深いし、デートの時の私服は品がいいし、あたしは、なかなか気に入った。だけど、それは、好きな相手としてってよりも、自分が「こんな女性になりたいな」って思う「理想の女性」としてのタイプだった。この前の芹華の場合は、デート中、あたしが男役でゲームをしてるってことを忘れさせてくれるほど、芹華は男っぷりが良くて、普通に男性とデートしてるみたいな気持ちになれた。でも、橘えみの場合は、理想的なニポン女性って感じで、たしかに「いい子」なんだけど、あたしの恋愛対象ではなかった。

だけど、何度かデートして、だんだん仲良くなって来たころ、ハッと気づいたんだけど、この子、なんだかオッパイが大きい。キャラ的には細身の感じだし、ふだんは制服か合気道の道着だから分かんなかったけど、私服で体をひねったりすると、ヤタラと胸が目立つ。それで、あたしは、夏休みに海に誘ってみたら、ブラウンのシンプルなビキニなんだけど、すごくグラマラスな悩殺ボディーで、ふだんのオシトヤカな感じとのギャップで、あたしはドキドキ縄文式土器になっちゃった。この時のあたしは、完全にエロオヤジのノリだった(笑)

最初の牧原ゆきこの場合は、小学生みたいな子供っぽい水着だったし、芹華の場合は、色気のカケラもないスポーティーなセパレーツだったけど、2人とも胸は小さいし、特に芹華はペタンコだから、別に何とも思わなかった。だけど、この2人とは比べ物になんないほど成熟した橘えみのボディーは、同性としてもうらやましい限りだった。そして、夏祭りや花火大会に誘うと、白地にナデシコの柄の浴衣を着て来てくれて、「お母さんに仕立ててもらったのです」なんて言ってたけど、とってもステキだった。ちなみに、ナデシコは、平安時代に中国から「カラナデシコ」が伝わって来たため、それまでのニポンのナデシコを「ヤマトナデシコ」って呼んで、区別するようになった。それにしても、理想的なニポン女性をモチーフにしたっぽい橘えみに、ヤマトナデシコの柄の浴衣を着せるなんて、このゲーム、なかなか考えられてるね。

‥‥そんなワケで、あたしは、もう3人目なので、いろんなイベントも勝手知ったるって感じで、ワリとサクサクと進んでった。だけど、橘えみはこんな感じの女の子だったから、あたしは、やっぱり、恋愛感情は芽生えなくて、それよりも、だんだん自分を見てるような気持ちになって来た。うまく説明できないし、このゲームをやったことのある男性には理解してもらえないと思うけど、理想的なニポン女性を演じてる自分に対して、架空のボーイフレンドを操作してデートで楽しませてあげてる‥‥って感じだ。それで、あたしは、自分の喜ぶことをすればいいワケだから、デートスポットの選択や会話の話題の選択も簡単で、2年生になったころには、完全にラブラブ状態になれて、「えみちゃん」て呼べるようになってた。だけど、ここで、大事件が起こったのだ。

ある日のこと、部活に行ったら、他の部員たちが、「橘さんが大ケガをして入院した」って言ってるのだ。それで、あたしは、すぐに電話をしてみたんだけど、留守電になってて通じない。だけど、他に、こっちから連絡をする方法がないから、心配しながら、そのまま生活してた。そしたら、しばらくして、「えみちゃんのお見舞いに行くかどうか」って選択肢が出たから、あたしは、「待ってました!」とばかりに、病院に直行した。病室に入ると、えみちゃんはベッドに寝てて、あたしがお見舞いに来たことをとっても喜んでくれた。それで、自分のことを話し出したんだけど、本日二度目の‥‥って言うか、これこそがホントのナナナナナント! えみちゃんは、こんなことをノタマッたのだ!


「階段から落ちて、足のじん帯を切ってしまいました‥‥」


おいおいおいおいおーーーーい! お前は落ちるな!‥‥って言うか、お前も落ちたのか?‥‥って言うか、ブルータス、お前もか?‥‥って言うか、なんなんだ? この展開! ハッキリ言って、あたしは、寒気がした。えみちゃんのことは、彼女ってよりも、自分の分身みたいに感じ始めてたのに、その子が、あたしとおんなじに階段から落ちて、あたしとおんなじに足のじん帯を切るなんて、なんか、誰かがコッソリとあたしの私生活を覗いてて、それをゲームに反映させてるみたいに思えて来て、なんだかゾッとした。

正確に言うと、えみちゃんは、「ナントカカントカ靭帯ナントカ」って、難しいケガの名前を言うんだけど、あたしの診断書に書いてあるのと、ほとんどおんなじケガの名前だった。唯一、違うのは、えみちゃんは階段の一番上から落ちたって言ってて、あたしは階段の真ん中あたりから落ちたってことなんだけど、それにしても、あまりの偶然の一致に、あたしは、なんだかナマナマしい気分になった‥‥って言うか、階段から落ちて、じん帯を切って、動けないから、ゲームでもやって気晴らししようと思ってたのに‥‥。

それで、結局、えみちゃんは、年明けまで半年近くも入院してたから、あたしは、ラブラブ度をアップできる修学旅行の自由行動も、11月のあたしのお誕生日も、クリスマスも、お正月の初詣も、ずっと1人ぽっちでさみしく過ごした。だけど、そのぶん、退院して来てからいっぱいデートして、3年生の時は楽しく過せた。クリスマスには、すごくステキなワンピで高級レストランに誘ってくれたし、その帰り道、雪が降って来てホワイトクリスマスになって、相合傘の中、プチ告白もしてくれた。お正月には、すごくシックな晴れ着で来てくれたし、いろんなことがありながらも、最終的には、ちゃんと条件をクリアしてたから、卒業式の日に告白してもらえた。

あたしは、途中で休んだり寝たりしながら、トータル約8時間くらいで3年間の高校生活を終えて、えみちゃんから告白してもらえたんだけど、このゲーム中に、1つだけ困ったのは、えみちゃんの親友が芹華だったってことだ。あたしが街をブラブラしてると、えみちゃんと芹華が2人で歩いてるとこに、バッタリと出くわしたりする。そうすると、あたし的には、ヒトコトじゃ言えないような複雑な気持ちになる。今でも大好きな芹華に、あたしがえみちゃんと付き合ってることを知られたんじゃないかっていう後ろめたさもあるし、あたしの大好きな芹華とデートしてるえみちゃんに対しての嫉妬もあるし、えみちゃんを自分の分身だと思うことによって、まるで自分と芹華がデートしてるみたいにも思える幸福感もあるし、もう、脳みそもハートもスキャナーズになっちゃいそうなくらい、あたしは挙動不審になっちゃった。

‥‥そんなワケで、あたしは、このゲームをやると、自分が高校生だった時のことをいろいろと思い出す。とは言っても、あたしの高校時代は、バイトとバンド活動に明け暮れてて、恋愛どころじゃなかったけど、それでも、しつこく誘って来る男の子を利用して、自分の行きたいライブをおごらせたりって、デートらしきこともしてた。だから、あたしは、理想的なニポン女性の橘えみっていうよりも、タカビシャで最悪な御田まりみたいな女子高生だったと思うんだけど、それでも、当時のことを思い出すと、ナゼか胸がキュンとする。ただ、マッサージチェアに体を預けて、プレステのコントローラーをカチャカチャしてると、なんだかエヴァンゲリオンを操縦してるみたいな気分になって来るから、恋愛ゲームよりも、やっぱ、激しいシューティングゲームとかのほうが楽しいような気がする。だけど、あたしは、シューティングゲームは持ってないし、それ以前に苦手だから、今度は、パチンコの「エヴァンゲリオン・セカンドインパクト」のソフトを入れて、アスカになりきって楽しもうと思う今日この頃なのだ。


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