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2007.05.07

セクハラの温床

5月3日に、横山ノックが亡くなって、4日にお通夜が行なわれたみたいだけど、その様子を午後のワイドショーで見てて、あたしは唖然とした。それは、お通夜に来てた桂ざこばのセリフが、あまりにも非常識極まりないものだったからだ。レポーターからマイクを向けられた桂ざこばは、横山ノックのセクハラ事件について触れて、「ノックさんはいい人だった。セクハラはしていない」って意味のコメントをしたのだ。

どんな悪人であっても、亡くなった人を悪く言わないってのは、世の中のマナーっていうか、習慣みたいになってる。裏金を1億円も貰ったのに、「記憶にない」ってトボケきった橋本龍太郎にしたって、亡くなった時には、みんな口々に「素晴らしい政治家だった」って、歯の浮くようなセリフをノタマッてた。もちろん、あたしも、亡くなった人を悪く言わないってのは理解できるけど、それにしたって、限度があると思う。横山ノックに対して、どんなに「いい人だった」「素晴らしい人だった」ってホメタタエたって構わないけど、ちゃんと裁判を行なって、強制わいせつ罪で「懲役1年6月、執行猶予3年」の有罪判決を受けてる事件に対して、その事実を否定するようなコメントをするってことは、単に故人をホメルこととは、まったく次元の違う話だ。

今回の桂ざこばのコメントは、司法の判断を無視した非常識極まりないものであり、被害女性を冒涜するものだ。こんなデタラメが通用するんなら、「死んだ者勝ち」の世の中になっちゃう。男が、「立場」と「腕力」という、精神的にも物理的にも女性が逆らえないものを悪用し、自分の性欲を満たすために女性に乱暴するという卑劣極まりない性犯罪は、被害女性に一生消えない心の傷をつける。それなのに、裁判でハッキリと有罪判決を受けてる上に、横山ノック本人も、その公訴事実を認めてる案件に対して、「セクハラはしていない」って、桂ざこばって、いったい何様?‥‥なんて思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、横山ノックの強制わいせつ事件ってのは、1999年4月の大阪府知事選期間中に、選挙活動のアルバイトをしてた、当時21才の女子大生に対して行なわれたものだ。横山ノックは、ずっとこの事実を否定してて、裁判には公務を理由にまったく出廷しないのにも関わらず、法廷以外では、テレビや新聞などの取材を精力的に受けて、「真っ赤なウソだ」「まったくのデマだ」と、この事件が被害女性の狂言であるかのように発言し続けてた。ホントに何もやってないのなら、ちゃんと裁判に出廷して、法廷で無実を訴えるべきなのに、ナゼだか知らないけど、裁判を無視して、世論に訴える作戦をとったのだ。だけど、最後にはもう逃げられないって覚悟して、結局、公訴事実を認めたってワケだ。で、次の文面が、横山ノックが裁判所に提出した意見書だ。


「意見書」

私は今日に至るまで、女子大生の訴えは事実無根であると主張し続けてまいりましたが、私が、被害を訴えている女子大生に対して、公訴事実として述べられた日時・場所において、「強いてわいせつな行為をした」と糾弾されても言い訳のできない行為に及んだことは間違いありません。この私の行為によって、生涯消すことのできない心の傷を与えてしまった女子大生に対しては本当に申し訳なく、心よりおわび申し上げます。
今となっては遅きに失するとのご批判を受けるかもしれませんが、本公判にのぞむに当たっては、今日までの間違った態度を改め、すべて真実を申し述べ、いかなる法の裁きにも服する覚悟であります。詳細については、公判を通じて明らかにされると信じますが、私が女性に対して行った行為の大要は次に述べる通りであります。
私はまず右手でズボンの上から、女性のひざから太ももにかけてさするように触っていたが、女性が嫌がっているのも知らず、つい、その手を両足の付け根付近にまで差し入れた。それでも女性はさしたる抵抗を示さなかったことから、さらに行為をエスカレートさせてしまい、ついには女性のズボンの中に手を差し入れ、下着の端から指を女性の下腹部にまで伸ばしてしまったのです。
これが偽りのない事実のすべてです。公訴事実として読み上げられたうち、女性の両足を無理やり開こうとしたことはなく、午後5時半ごろから午後6時ごろまでの間、ずっと下腹部をもてあそんでいたわけでもありません。今考えれば、女子大生が嫌がっていると感じることができなかったのも、すべて私のおごりであったと心から反省しており、私が女子大生に対して行った行為が強制わいせつ罪として裁かれることに異議はありません。以上。


‥‥そんなワケで、横山ノックは、被害女性の訴えの中の「両足を無理やり開こうとした」「午後5時半ごろから午後6時ごろまでの間、ずっと下腹部をもてあそんでいた」などの部分は否定したけど、実際にセクハラ行為を犯した事実は認めてるのだ。そして、自らの罪を認め、「懲役1年6月、執行猶予3年」の有罪判決を受けたってワケだ。もちろん、この判決に対しても、不服として控訴もしてない。つまり、自分の犯した卑劣極まりない犯罪の事実も、裁判の判決も、すべてを認めて受け入れたってことだ。

それなのに、どんなに横山ノックにお世話になったのか知らないけど、その現場も見てない桂ざこばが、「セクハラはしてない」って主旨の発言をするのは、あまりにもトンチンカンのオッペケペーだ。たとえば、「本人も認めてるし、裁判でも有罪判決を受けてるけど、私は何かの間違いだったと信じたい」とかって感じのコメントなら、分からなくもないし、社会的にもギリギリセーフだと思う。だけど、あたしがワイドショーで見た桂ざこばは、ハッキリと、「していない」って断言してた。つまり、「冤罪だ」って言ったワケだ。あたしは、これは、大問題だと思う。もしも被害女性が見てたら、どんなにショックを受けただろう。

有名人が訴えられた場合、1つの可能性として、騒ぎを長引かせたくなくて、やってもいない罪を認めちゃうようなケースもあるかもしんない。だけど、この事件の場合は、お笑い芸人として頂点を極め、政治家としても大阪府知事まで上りつめた人間の名誉が懸かってるんだから、ホントに事実無根なら、絶対に認めるワケがないと思う。それが、自分の罪を認めただけじゃなく、こと細かに、どんなことをしたのかまで意見書で述べてるんだから、誰がどう見たって、実際にセクハラをしたとしか思えない。

そして、有罪判決を受けて、本人もその判決を不服としてないのに、何で関係ない桂ざこばがシャシャリ出て来て、すべての事実を否定するようなヨマイゴトをノタマッたんだろう? 正直、とても良識のある大人の発言とは思えなかった。もしも、これが、故人に対する思いやりとでも思って発言したんだとしたら、あまりにも非常識だし、とても、50年も60年も生きてる大人の感覚とは思えない。感情だけで無責任な発言を繰り返す、そこらの幼稚園児と変わらない。

‥‥そんなワケで、あたしは、セクハラ事件についは触れずに、ただ単に「ノックさんはいい人だった」「ノックさんは素晴らしい人だった」ってホメタタエルだけでも、被害女性にとっては、とても腹立たしいことだと思う。だけど、それくらいは、社会的に許されることだとも思う。でも、今回の桂ざこばのコメントみたいに、いくら故人を思うあまりの発言だとしても、心に一生消えない傷を負わせた被害女性のことをウソツキ呼ばわりするような主旨の発言は、絶対に許されないと思う。そして、こんな感覚のバカどもがいるから、いつまで経っても、陰湿で卑劣な性犯罪がなくならないんだと思う今日この頃なのだ。


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