カサブタ剥がして「つぅ~!」
今日、ちょっと前に書いた、足首の凹んだとこにできてる大きくてブ厚いカサブタが、恐ろしいことに、リトル剥がれ始めてることを発見しちゃった。あたしから見えるほうが、何ミリか浮き上がってるんだけど、それはフチの部分だけで、それ以外の9割以上の部分は、まだ完全に癒着してる。だから、とてもじゃないけど剥がすことなんかできないし、もしも剥がしたりしたら、確実に血が噴き出すと思う。だから、あたしは、カサブタの浮いてる部分を何かに引っかけて「ベロッ!」ってやっちゃわないように、バンソコをバッテンに貼って、その上から伸び縮みするホータイでテーピンクして、パーフェクトに保護した上から、さらにガンダムみたいな固定器具を装着した。
で、この「カサブタ」ってのは、別に傘をさした豚のことじゃなくて、ちゃんと「瘡蓋」っていう漢字もあるように、正真正銘の正しいニポン語であり、標準語であり、世界の中心で「ニポンではケガしたとこにできるゴワゴワしたアレのことをカサブタって呼ぶのだぁ~!」って叫んじゃってもいいほど、メジャーな名称なのだ‥‥って、あたしは思ってた。だって、あたしは、ちっちゃいころから、転んでヒザ小僧をケガしたりしたら、血が止まって、しばらくしてからできてくるゴワゴワしたアレのことを「カサブタ」って呼んでたし、そのカサブタを気にして、いじってるあたしに向かって、母さんは、「カサブタをいじっちゃダメよ」って言ってたもん。だから、あたしは、ケガした時にできるゴワゴワしたアレの名前は「カサブタ」ってワケで、これは、ニポン全国共通の呼び名だと思ってた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、このマクラの流れからも分かるように、あたしがずっと「カサブタ」って名前だと思ってたアレのことをぜんぜん違う名前で呼んでた人がいた。それは、九州出身の知り合いなんだけど、その人は、カサブタのことを「つ」って呼んでたのだ。たとえば、「ブタカサ」とか、「カサカサ」とか、その程度なら理解できるけど、たった1音で「つ」って、なんなんだよ?
それで、あたしは、ニポン各地で「カサブタ」のことをどんなふうに呼んでるのかリトル調べてみた。そしたら、北海道は「がんべ」「かさびた」、青森は「かさぴた」、岩手は「かさっこ」「かっちゃ」「かさぴたこ」、福島は「かさっぴだ」「かさぴた」、宮城は「かさぷた」「かさこ」、新潟は「かさっぺた」「かさべた」、福井は「かさっぱち」‥‥って感じで、ほとんどが本家本元の「カサブタ」が変化したものだってことが分かった。北海道では、白樺の皮のことを「がんび」って呼んでて、カサブタがその「がんび」に似てることから、カサブタのことを「がんべ」って呼ぶようになったそうだけど、それ以外の「かさびた」とか「かさぴた」とか「かさっぺた」とかは、どれも「カサブタ」が変化したものだってことは一目瞭然だ。
他にも、ニポン各地に、「かさぼた」とか「へた」とか、明らかに「カサブタ」が変化したと思われる方言がいっぱいあったけど、ちょっと違ったのが、徳島の「こうろ」とか、沖縄の「へーがす」「にーぶたー」だった。でも、沖縄の「にーぶたー」も、「ぶたー」の部分が「カサブタ」の「ブタ」っぽいし、「へーがす」はナニゲに「剥がす」が変化したっぽいし、なんとなく分かる。それから、徳島の「こうろ」も、ちょっとお上品だけど、言われてみればそんな感じもする。
だけど、九州の「つ」ってのは、どう考えても変だ。それで、九州での呼び名をもっと詳しく調べてみたら、「つ」って呼んでるのは、福岡、長崎、宮崎、熊本、鹿児島だったんだけど、これらの地域でも、「つ」じゃなくて「つう」って呼んでる人もいるし、福岡では「とう」って呼んでる人もいた。でも、分布の具合や使われてる頻度を見ると、圧倒的に「つ」が多かったから、「つう」とか「とう」とかは、「つ」が変化したものだと考えられる。つまり、お母さんが子供に、「カサブタ剥がしちゃだめよ」って言うとこを「つ剥がしちゃだめよ」って言うワケで、それじゃ言いにくいから、自然と「つう剥がしちゃだめよ」って変化してったんだと思う。九州だから、「だめよ」じゃなくて、たぶん、「つう剥がしちゃだめとよ」とか、「つう剥がしちゃだめばってん」とか、「つう剥がしちゃだめでごわす」とかだと思うけど、どれにしても、最初は「つ」だったのが、使ってるうちに「つう」とか「とう」とかに変化してったんだと思うから、基本的には、九州ではカサブタのことを「つ」って呼んでるワケだ。
もちろん、これだけじゃなくて、大分の一部で「ひせ」って呼んでるのを始めとして、地域によっては「つ」と関係ない呼び方をしてるとこもあったけど、九州でのカサブタの呼び方を総合的に見ると、1つの結論が導き出された。それは、「すごく短い」ってことだ。「つ」は1音だし、「つう」「とう」「ひせ」は2音だし、他の地方の呼び方と比べると、九州だけが突出して短い。
‥‥そんなワケで、あたしは、ここで、ある話を思い出した。それは、「青森の人は会話が短い」ってことだ。よくテレビとかでも話題として取り上げられてるけど、青森では「食え」のことを「け」、「食う」のことを「く」と、たった1音で表現するから、自宅に招いたお客さんに、何か食べ物を出して、「け」と言えば、お客さんは「く」と答えて食べるってワケで、世界一短い会話が成立する。たぶん、これは、脚色された話だと思うから、実際に「け」と「く」だけで会話してる人はほとんどいないと思うけど、この話題を耳にするたびに、その理由としてもっともらしく付け加えられるのが、「青森は寒いから、長くしゃべってるのが大変で、なるべく短く会話を終えようとするために、会話がだんだん短くなって行った」って理由だ。
だけど、そんなことを言ったら、青森よりも北にある北海道は、もっと会話が短くならなきゃおかしいワケで、これは、まったく信憑性のない理由だ。普通に考えたら、「青森は会話が短い」って前提ありきで、完全にアトヅケで考えられた理由っぽく感じる。他にも、「青森の人はシャイだから、他人と長い会話ができない」なんて理由を言ってた人もいたけど、これも良く分かんない。だから、その理由に関しては分かんないけど、青森の方言による会話が、他の地域の方言よりも短いことだけはホントのことで、それは、「食え」を「け」って言うように、1つ1つの単語の短さに起因してる。
で、ここで話はクルリンパと戻るんだけど、多くの単語を短くしてる青森で、カサブタのことは「かさぴた」って短くしないで呼んでるのに、ずっと南の九州では、「つ」って1音で呼んでるってことだ。だから、この言葉だけで判断することはできないけど、「青森は寒いから言葉が短くなった」ってのが、なんだかアヤシゲな感じがして来た。そして、暖かい九州で、なんで「つ」って1音で呼んでるのかっていうと、これにもちゃんとした意味があった。
九州では、カサブタのことだけを「つ」って呼んでるワケじゃなくて、サザエやツブ貝などの巻貝のフタのことも「つ」って呼んでるのだ。そして、お魚のウロコのことも「つ」って呼んでる。つまり、巻貝のフタやお魚のウロコを想像すれば分かるように、弱い内側を保護するための硬いフタ状のものが「つ」ってワケで、そう考えると、カサブタだって、立派に「つ」の一種になるってワケだ。だから、九州では、何の意味もなく、カサブタのことを「つ」って呼んでたワケじゃなくて、ちゃんとした意味があって呼んでたワケで、あたしは、目から「つ」が落ちた(笑)
で、あたしは思いついたんだけど、左向きのお魚の絵を描く時に、そのお魚の体にウロコを描く場合、たいていは「つ」「つ」「つ」「つ」「つ」‥‥って感じに描くと思う。そしたら、この絵を九州の人が見たら、お魚の体全体に「ウロコ」「ウロコ」「ウロコ」‥‥って書いてあるように見えるってことだよね? これって、すごく面白いことだと思う。
それから、もう1つ思いついたことがある。「たちつてと」って、「た」は「田」とか「他」があるし、「ち」は「血」とか「地」があるし、「て」は「手」、「と」は「戸」って、どれも1音の言葉があったけど、「つ」だけは無かった。ムリすれば、三重県の津市の「津」ってのがあるけど、これは固有名詞だから、オールマイティーな言葉とは違う。だけど、今回、カサブタのことだけじゃなくて、巻貝のフタやお魚のウロコのことも「つ」って呼ぶってことが分かったから、これで、「たちつてと」が全部そろったことになる。
‥‥そんなワケで、あたしの足首のカサブタは、大きさといい厚みといい、お魚のウロコってよりは、サザエのフタっぽい感じなんだけど、どっちにしても、「カサブタ」ってよりは、「つ」って感じがする。だけど、ムリヤリに剥がしたら「つぅ~!」って叫んじゃうと思う‥‥つ~か、そんな恐ろしいこと、絶対にできっこないから、自然に取れるのを待つしかない。だから、あたしは、しばらくは足首の「つ」のことは忘れて、靭帯の復旧にいそしもうと思う今日この頃なのだ。
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