水銀イルカにご用心
今年の4月13日の日記、「イルカに乗ったアベシンゾー」や、4月17日の日記、「イルカの話題あれこれ」などで、あたしは、ニポン人が地域によってはイルカを普通に食べてるってことについて、皆さんからのメールをたくさん紹介させていただいた。そして、その中で、「イルカにのった少年」でオナジミの城みちるさんの奥さま、山本けいこさんからのメールも紹介させていただいた。ま、興味のある人は、過去ログを読んでいただくとして、それから5ヶ月が過ぎた今、「君に!(君に!)君に!(君に!)君に~会うため~や~って来た~♪」ってワケで、またまたイルカに乗ったニュースがやって来ちゃった。もちろん、前回の時とおんなじで、グッドニュースじゃなくてバッドニュースなんだけど、そう言えば、年内再結成がウワサされてるレッドツェッペリンの曲で、「Good News Bad News」ってのがあったような気がして、今、CDを見てみたら、「Good Times Bad Times」だった。やっぱ、あたしの記憶力って、こんなレベルなんだな。
で、あんまりダッフンしないように進めてくけど、今回のイルカに乗ってやって来たバッドニュースってのは、イルカの追い込み漁でオナジミの和歌山県太地町で、地元で獲って売られてるイルカ肉(クジラ肉)から、厚生労働省が定める規制値の10倍もの水銀が検出されたってことだ。もちろん、今や、マグロからもタップリと水銀は検出されてるし、全国のいろんな漁港で水揚げされてるお魚の中にも、規定値を超えた水銀を含んだものはいっぱいあるから、これだけなら、そんなにバッドニュースってワケでもない。じゃあ、何がバッドニュースなのかって言えば、この規制値の10倍もの水銀を含んだイルカ肉が、地元の幼稚園や小学校や中学校の給食で、子供たちに食べさせられてたってことなのだ。そして、さらには、この水銀に汚染されまくってるイルカ肉を政府が補助金まで出して、全国に広めようって計画してる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、まずは、前回のオサライって意味も込めて、クジラとイルカについて簡単に説明しとくけど、「クジラはすごく大きくてニポン人が昔から食べて来たもの、イルカはクジラよりもずっと小さくて可愛いもの」って考えは大間違いだ。和歌山や静岡の一部を始めとして、全国の数箇所で食用のために捕獲されてるクジラは、名前こそ「クジラ」ってついてるけど、見た目は、ひと回り大きなイルカって感じで、当然、知能もイルカと変わらない。そして、クジラじゃなくてイルカも、食用としてたくさん捕獲されてて、その身は加工されて、クジラ肉として売られてる。
だから、食用として考えた場合には、クジラとイルカの区別はない。全国の水族館とかで、楽しいショーを見せてくれるイルカたちとまったくおんなじ種類のバンドウイルカやカマイルカたちも、何十頭、何百頭と捕獲されて、クジラ肉として全国に流通してるのだ。たとえば、今回、水銀問題が伝えられた和歌山県太地町の年間の捕獲ワクは、バンドウイルカが990頭、スジイルカが550頭、ハナゴンドウが550頭、アラリイルカが470頭、マゴンドウが300頭、カマイルカが170頭、オキゴンドウが40頭で、これらは、水産庁が決めてる数字だ。そして、現地の漁師たちは、この捕獲ワクに沿ってイルカやクジラを捕獲して、食肉として出荷してるってワケだ。
あたしが1番好きな水族館、「しながわ水族館」には、サーフっていうオスと、カイ、サンディー、ホップ、ランていう4頭のメスのバンドウイルカがいる。好きだけど入園料が高くてメッタに行けない「エプソン品川アクアスタジアム」には、アンク、ネイル、ファイン、レイニィ、スノーウィていう5頭のバンドウイルカと、芸ができないことでオナジミのラッキーを始めとして、ナタリー、ロロ、リップっていう4頭のカマイルカがいる。そして、しばらく前には、オキゴンドウのイシュトも仲間入りした。
あたしは、「新江の島水族館」よりも「しながわ水族館」のほうが好きだし、「八景島シーパラダイス」よりも西伊豆にある「三津(みと)シーパラダイス」のほうが好きだし‥‥って、これだけでイルカショーマニアには、あたしの趣味が分かっちゃうと思うけど、あたしが1番好きなのが、「三津シーパラダイス」のカマイルカたちだ。残念ながら、お食事タイムにバケツのお魚を食べさせることができるのは、バンドウイルカのイヨカンやカボスたちだけなんだけど、イルカショーでは、両方のイルカを見ることができる。そして、シリウス、ポルックス、アトラス、カノープスを始めとしたカマイルカの他にも、オキゴンドウのブルートもいる。
それから、大爆笑の海獣ショーが観られることでオナジミで、マニアには「聖地」って呼ばれてる三浦半島の「油壺マリンパーク」では、マイケル・ジャクソンの「スリラー」に合わせて踊るバンドウイルカのジョイとフィンがいる。どのイルカたちも、タマにしか会うことはできないけど、たとえ1年ぶりに会ったととしても、必ず、前に会った時のことを思い出すし、人間とおんなじで、1頭1頭に性格や特徴がある。だけど、こんなイルカたちが、何百頭って単位で残酷に殺されて、クジラ肉として売られてるのだ。それも、規制値の10倍もの水銀を含んだものが、「獲りすぎて肉が余っちゃった」って理由で、地元の幼稚園や小学校、中学校に無料で寄付されて、何も知らない子供たちがパクパクと食べてるのだ。
‥‥そんなワケで、イルカたちに芸を仕込んで見世物にしてるのも人間なら、それを観に行って喜んでるあたしも人間てワケだ。イルカたちを殺してクジラ肉として販売してるのも人間だし、イルカたちの体内に規制値の10倍もの水銀が溜まるほど海を汚したのも人間なら、それを買って食べてるのも人間だし、そうした話題を日記に書いてるあたしも人間てワケで、改めて、この地球で何よりの元凶は「人間」なんだなって再確認しちゃったワケだ。
だけど、人間は、何かを食べなかったら生きてけないワケだし、和歌山県の太地町を始めとしたニポンの各地に、古くからイルカを食べて来た食文化があるワケだから、前回も書いたように、あたしは、イルカ漁を全面的に否定する気はない。それに、あたしは、「牛や豚は殺して食べてもかわいそうじゃないけど、イルカは殺して食べたらかわいそう」って感覚も理解できない。だから、イルカ漁を否定できるのは、完全なベジタリアンだけだと思うし、当然、動物の皮で作った靴やバッグやベルト類もいっさい使用せず、腕に蚊がとまって血を吸い始めても、手で叩かずに、最後まで血を吸わせてあげるような人じゃなかったら、イルカ漁に対して文句を言えないと思う。
そして、あたしは、一応はできるだけお肉は食べないようにしてるけど、それは、自分から進んでは買わないようにしてるってだけのことで、どこかで出されたら普通に食べてる。だって、すでにお料理になって、目の前に出されたお肉なのに、それを食べずに残して、そのまま生ゴミとして捨てられるよりは、あたしが感謝して残さずに食べたほうが、殺された動物のためにもマシだと思うからだ。それに、あたしは、動物の皮で作ったバッグも、パンプスも、お財布も、ベルトも使ってるし、腕に蚊がとまれば叩いて殺すし、腕にとまらなくても、夏場は蚊取り線香をつけて、飛んでる蚊を殺してる。ゴキブリホイホイでゴキブリを殺したこともあるし、電気毛布の温度スイッチを「ダニ」ってとこにすれば、目には見えないけど、きっとたくさんのダニが熱くて死んでるんだと思う。
そして、あたしは、お肉はできるだけ食べないようにしてるけど、お魚は普通に食べてる。だから、たとえ、イルカ漁が残酷でイルカたちがかわいそうだって思っても、それを言える立場の人間じゃない。だから、今回も、あたしは、イルカ漁そのものの是非については私見を述べるつもりはない。それに、今回の問題で、あたしが何よりも気になったのは、イルカ漁そのものについてのことじゃなくて、「獲りすぎて肉が余っちゃった」って部分なのだ。つまり、需要を上回る「ムダな殺戮」が行なわれてたってことで、これは、対象がイルカであろうが牛であろうが関係ない。もしも、キチンとした管理体制のもとにイルカ漁が行なわれていたら、殺されなくても良かったイルカが何頭もいたってことになる。そして、もっともっと重要な問題が、多量の水銀を含んだイルカ肉が、子供たちの口に入ってたってことだ。
‥‥そんなワケで、クジラ肉やイルカ肉のPCB汚染や水銀汚染は、何年も前から分かってたことで、だからこそ、厚生労働省は、さまざまな基準を設けてるワケだ。平成15年6月3日に公表された厚生労働省の「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」では、「多くの魚介類が微量の水銀を含有しているが、一般に低レベルで人の健康に危害を及ぼすレベルではない」としながらも、「しかし、一部の魚介類では食物連鎖により蓄積することにより、人の健康、特に胎児に影響を及ぼす恐れがあるレベルの水銀を含有している」って断言して、特に水銀の蓄積量の多い「バンドウイルカ」「ツチクジラ」「コビレゴンドウ」「マッコウクジラ」「サメ」「メカジキ」「キンメダイ」に関して、妊娠してる女性や、これから妊娠する可能性のある女性に対して、次のような摂取基準を設定してる。
(1) 2ヶ月に1回以下(1回60~80gとして):バンドウイルカ
(2) 1週間に1回以下(1回60~80gとして):ツチクジラ、コビレゴンドウ、マッコウクジラ、サメ
(3) 1週間に2回以下(1回60~80gとして):メカジキ、キンメダイ
つまり、たとえばバンドウイルカの肉だったら、たった60g食べただけで、それから2ヶ月は食べちゃダメってワケで、もしも食べたら、お腹の赤ちゃんに悪い影響が出ちゃうってことだ。で、今回、太地町の子供たちが給食で食べ続けてたのは、妊娠中の女性なら「1週間に1回以下」って設定されてる「コビレゴンドウ(マゴンドウ)」の肉だった。だけど、この「1週間に1回以下」ってのは、あくまでも「規制値以内のPCBや水銀」が蓄積されてる肉のことであって、今回の「コビレゴンドウ」の肉からは、規定値の10倍もの水銀が検出されてるのだ。部位によっては、15倍以上もの水銀が検出たれた肉もあり、それだけじゃなくて、PCBの値も規制値を超えていた。そして、この肉は、昨年末から今年の5月にかけて、最低でも7回は給食に使われてたそうだから、この給食を毎回残さずに食べてた子供たちは、単純計算で、厚生労働省が定めてる規制値の700倍から1000倍もの水銀を摂取したことになる。
この検査の過程や細かい数値については、1ヶ月前の8月1日付の「JAPAN TIMES」に詳しく書かれてるけど、この記事の中で、熊本大学のエキノシゲオ博士は、このイルカ肉の水銀レベルが、「1950年代の悲劇である水俣の水銀汚染災害の時に、検査された何種類かの魚介類のものよりも数値が高い」って言ってる。水俣病の時よりも水銀を多く蓄積してるイルカ肉を子供たちに何度も食べさせてた上に、クジラ肉として一般にも売りまくってたなんて、あまりにも恐ろしい話だ。そして、さらに恐ろしいことが、9月4日付の「JAPAN TIMES」に書かれてた。それは、「水銀に汚染されたイルカ肉を無視している日本のメディアと政治家たち」って記事なんだけど、この記事の中で、この問題に取り組んでる太地町の町会議員、山下順一郎氏は、次の報告をしてる。
「政府は、国内でのイルカ肉の消費を大衆化するために、約3億3000万円もの税金を投入して、新たなイルカの屠殺場を作ろうとしているのです。そして、太地町は、イルカ肉産業を活性化させるために、(目の前の水銀汚染問題にフタをして)、イルカ肉を学校給食に使って消費拡大の道を選んだのです」
‥‥そんなワケで、9月4日付の「JAPAN TIMES」の記事のタイトルの通り、ニポンのメディアは、これほどの大問題をまったく取り上げない。どうでもいい朝青龍のことは、もうウンザリするほど連日報道してんのに、国民の命に関わるこんなに重要なことが、テレビでも新聞でもまったく報道されない。あたしの知る限り、この問題を取り上げたのは、インターネット新聞の「JANJAN」だけで、市民記者の佐久間淳子さんが書いた「晴れない『汚染鯨肉を給食に使用』の疑惑」って記事だけだ。つまり、インターネットをしない人はまったく知らないワケだし、この「きっこの日記」だってインターネット上のものだから、やっぱり、知らない人は知らないワケだ。だから、妊娠中の女性でも、ダンナさんがお土産でもらって来た、イルカ肉を加工して作った「クジラ肉のオツマミ」をパクパクと食べてたり、キンメダイの煮付けやメカジキのソテーをパクパクと食べてたりするかもしんない。そして、キンメダイとおんなじくらい水銀やPCBで汚染されてるのに、業界と癒着してる自民党の政治家からの進言で、厚生労働省が「危険」だって発表することのできないマグロに至っては、ニポン中の人たちがパクパクと食べてるワケだし、1番水銀の多い大トロの部分なんか、バカみたいに高いお金を払って、ありがたがって食べてるってワケだ。ちなみに、飼い猫に「マグロのキャットフード」ばかり与え続けてたら、含有されてた水銀が原因で神経に障害が起こったって事例もある。ま、あたしの場合は、どのお魚よりも水銀が少ないメザシ(カタクチイワシ)がメインだし、それだって、1週間に1回か2回、3匹か4匹食べてるだけだから、いくら妊娠しても屁のカッパなんだけど、カンジンの「妊娠させてくれる相手」がいない今日この頃なのだ(笑)
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