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2007.09.25

アヴェンゲリヲン晋劇場版・序

西暦2006年、国民の格差拡大による世界的危機、「コイズミインパクト」から復興しつつあった現代に、突如、「アベ」と呼ばれる謎の敵が襲来する。「アベ」は、その正体も目的も不明だが、さまざまな増税、年金問題、憲法改悪で国民に戦いを挑んできた。この謎の敵「アベ」に国民が対抗する唯一の手段が 「汎用人型決戦兵器アヴェンゲリヲン」である。国際連合直属の特務機関の世田谷支部「ニコタマ」によって主人公、碇シンゾを含む3人の少年少女がその操縦者に抜擢された。今、国民の命運を掛けた戦いの火蓋が切って落とされる。果たして「アベ」の正体とは? 少年たちの、そして国民の運命は?


主題歌 「Beautiful Land (美しい国)」

歌 西田ヒカル


It's Beautiful Land~♪

も~しも~願い~ひと~つだけ~叶うなら~♪

総~理のイスに~座らせて~どんなに短くてもいいよ~♪

Beautiful Land~♪

迷わ~ず~右だけを見つめている~♪

Beautiful Land~♪

自~分の無能さ~まだ知らないの~♪

It's Beautiful Land~♪

麻生のバカは~少年マンガ~♪

ウソついてばっか~ヲタクは好きじゃないの~♪

福田のバカは~鼻の下伸ばして~♪

何を聞いても~「知りません」と答える~♪

年金なんかどうでもいい~♪

拉致なんかどうでもいい~♪

国民なんか関係ない~♪

根性なしかもしれない~♪

もうバレてるけど~♪



「サンイン戦」での歴史的惨敗から、1ヶ月ほどが過ぎた8月の終わりのある日、第3新東京市の永田町には、朝から雨が降っていた。首相官邸跡地に建てられたマンションの一室では、だらしなく寝ていた葛城アキエが、布団から足を出して、鳴り響く目覚まし時計を止めていた。ボサボサの髪をかきむしりながら大あくびをしたアキエは、「サンイン戦」後から元気のないシンゾを心配して、部屋を見に行った。時計を見ると、もう8時なのに、まだ起きて来る気配がない。


‥‥あいつ、今日もズル休みする気かしら?‥‥


シンゾの部屋のドアをノックするアキエ。


アキエ 「シンゾく~ん!起きなさ~い!今日も休む気ぃ~?もう5日目よ~?初号機はもう完全に直ってるのよ~?パイロットのあなたがそんなことでどうするの~?」


しかし、いつまでも返事がないので、そっとドアを開けてみると、ベッドはモヌケのカラで、机の上に置手紙があった。シンゾは、どうやら家出をしたらしい。アキエの脳裏には、1ヶ月前の「サンイン戦」で、敵からの攻撃だけでなく、背後の味方からも集中砲火を浴び、ボロボロにやられてしまったシンゾのアヴェンゲリヲン初号機の姿が蘇って来た。


‥‥家出か、ムリもないか‥‥


すると、突然、玄関のチャイムが鳴った。アキエは、シンゾが戻って来たのだと思い、急いで玄関のドアを開けると、そこには、2人の少年が立っていた。


アソウ 「あの~、ボクたち、シンゾ君と同じクラスのアソウとフクダです」

フクダ 「ボクがフクダです」

アキエ 「もしかして、初号機のエントリープラグに入った‥‥?」

フクダ 「はい!そのセツはご迷惑をおかけしました!あれからシンゾ君がずっと休んでいるので、心配して見に来たんですが‥‥」

アキエ 「‥‥シンゾ君はね、お腹をこわして、今、ナンミョー町のKO病院に入院してるの‥‥」

フクダ 「ああ、そうなんですか。これ、机に溜まってた癒着企業からの嘆願書と裏献金、シンゾ君に渡してください」

アキエ 「わざわざ悪いわね。ありがと」


2人を見送ったアキエは、部屋に戻ると、無責任に職責を放り投げて家出してしまったシンゾに怒りがこみ上げて来た。碇(いかり)だけに(笑) そして、シンゾの部屋のドアを思い切り蹴飛ばした。

場面は変わって、走る電車の座席に座っているシンゾ。ウォークマンのイヤホンを耳にしたまま、ずっとうつむいている。聴いているのは、自分で編集したアグネス・チャンと西田ひかるのヒット曲集だ。そして、ウォークマンのカセットテープは、何度も何度もリバースを繰り返し、電車は、何度も何度も始発駅と終点駅とを往復し続けていた。

結局、シンゾの乗った電車は終電となり、終着駅に停止してしまった。アテもなく、夜の繁華街を歩くシンゾは、気がついたら、場末のオールナイトの映画館で一夜を明かしていた。一方、特務機関「ニコタマ」の本部では、戦術作戦部作戦局第一課の作戦部長である葛城アキエと、技術開発部の赤木ユリコが、暗い表情で向かい合っていた。


アキエ 「彼、もう戻らないかもしれない‥‥」

ユリコ 「何があったの?」

アキエ 「彼は、生まれてこのかた、何の苦労も努力もしたことがないボンボンだから、苦しんでいる国民の気持ちなんかぜんぜん分からないのよ」

ユリコ 「でも、それは、彼が選んだことじゃないわ」

アキエ 「分かってる。だから、彼も苦しんでたのよ。これで肩の荷が下りたでしょう」

ユリコ 「‥‥‥‥」

アキエ 「あの子にとって、アヴェに乗ることが苦痛でしかないのなら、もう乗らないほうがいいわ‥‥」

ユリコ 「でも、パイロットは必要よ」

アキエ 「彼は、何とか国民の支持を集めようとして、ムリしてリーダーシップがあるフリをしてたから‥‥ホントは腰抜けの弱虫なのに‥‥」

ユリコ 「ヤマンバのジレンマ、ね‥‥」

アキエ 「ヤマンバのジレンマ?」

ユリコ 「そう、田舎の女子高生が、少しでも都会の流行を取り入れようとしたのに、都会じゃトックに廃れてるヤマンバのメークとファッションをマネしたことから、ヨケイに時代遅れになっちゃったっていうことよ」

アキエ 「努力したことが逆効果になった‥‥ってこと?」

ユリコ 「そう‥‥」


結局、家出していたシンゾは、「ニコタマ」の保安諜報部員たちに連れ戻されたのだが、いつまでもウジウジと煮え切らないシンゾの態度に、アキエの堪忍袋の緒が切れた。


アキエ 「シンゾ君!いいかげんにしなさい!そこまで言うのなら、国民のことも、年金問題のことも、拉致問題のことも、ぜんぶ忘れてモトの生活に戻りなさい!」

シンゾ 「国民のことなんか‥‥年金問題のことなんか‥‥拉致問題のことなんか‥‥ボクは最初から考えてないよ‥‥考えてるフリでもしなかったら、誰もボクのことを見てくれないと思ったから‥‥」

アキエ 「もういいわ!好きにしなさい!」


唯一の家族だと思っていたアキエから、三行半(みくだりはん)を叩きつけられてしまったシンゾは、ショックでお腹が痛くなってしまった。シンゾは、ちびまる子ちゃんの山根くんと同じくらい、胃腸が弱かったのだ。精神面が未熟なだけでなく、知能も低く、体も弱かったシンゾには、所詮、アヴェンゲリヲンのパイロットとなって、この国を守ることなどムリだったのだ。ウスウスは気づいていた自分の無能さをアキエからハッキリと指摘されてしまったシンゾは、うちひしがれてしまい、荷物をまとめて出て行ってしまった。

一方、自分が強く言い過ぎてしまったことを後悔したアキエは、愛車のルノーアルピーヌA310で、駅までシンゾを追いかけた。ちなみに、このアキエのルノーアルピーヌA310は、登場するたびに右ハンドルになったり左ハンドルになったりするけど、所詮はテキトーに作ってるアニメの世界のことなので、細かいツッコミはやめて欲しい。

駅のホームでは、大きなバッグを提げたシンゾが、うつむいたまま、電車が来るのを待っていた。しばらくすると、ホームに電車が入って来て、シンゾの姿は道路側からは見えなくなった。と、同時に、アキエの車が到着した。車から降りたアキエは、ホームの電車を見つめる。電車はゆっくりと発進した。


‥‥シンゾ君、さよなら‥‥


アキエは心の中でつぶやき、遠ざかる電車を見送った。ここで、シンゾが電車に乗らずに、そのままホームにとどまっていれば、まだ少しはミドコロもあったのだが、残念なことに、無知で無能で無責任な上に、胃腸まで弱いシンゾは、国民の命と生活を守る「アヴェンゲリヲンのパイロット」という重責を途中でホッポリ投げ、トットと自分だけ逃げてしまったのだ。イチルの望みを胸に抱いて駅まで駆けつけたアキエは、肩を落としてニコタマ本部へと帰って行った。


アキエ 「総指令、シンゾ君は出て行ってしまいました‥‥」

モリ 「なにぃ? 本当に出て行ってしまったのか?」

アキエ 「ええ‥‥彼は職責にしがみつくことなく、パイロットの座を無責任に放棄してしまいました‥‥初号機のパイロットはどうしましょう?」

モリ 「サードチルドレンが出て行ってしまったのなら、あとは、コイズミチルドレンを使うしかないだろう‥‥」

アキエ 「コイズミチルドレン? あんなもの、何の役にも立たないことは、総司令が誰よりもご存知じゃないですか! あんなものを使うくらいなら、開発途中のダミープラグを使ったほうが遥かにマシです!」

モリ 「‥‥うむ、それもそうだな。それでは、コード707を使おう」

アキエ 「コード707! それじゃあ、シンゾ君の学校の生徒の中から‥‥」

モリ 「そのためのコード707だ」

アキエ 「‥‥‥‥」


実は、シンゾの通っていた第3新東京市立第壱中学校には、アヴェとシンクロできる素質のある少年少女を全国から集めてあったのだ。そして、それを「コード707」と呼び、ニコタマの機密の1つとなっていた。


モリ 「実は、こんな時のために、次のパイロットのメボシをつけてある」


そう言うと、モリは、アキエにファイルを手渡した。そのファイルを見たアキエは、顔色が変わった。


アキエ 「フクダ君を‥‥フクダ君を乗せるんですか? 彼は、妹さんがアヴェの戦闘のマキゾエで大ケガをしたために、アヴェを憎んでるのです。それよりも、以前からアヴェのパイロットになりたいと言って、あれこれと根回しをしていたアソウ君のほうが良いのでは? アソウ君のほうが、フクダ君よりも国民とのシンクロ率も高いですし‥‥」

モリ 「いや、彼はダメだ。アヴェのパイロットは、国民とのシンクロ率が低くとも、私に逆らわずに何でも言う通りに動くロボットでなくてはいけないのだ!」

アキエ 「しかし、フクダ君では、学校の先生方も納得しないのでは?」

モリ 「先生方の7割には、すでにフクダ君を推薦するように手を回してある」

アキエ 「それじゃあ、談合じゃないですか!」

モリ 「葛城一尉、君はまだ分からんのかね? バカな国民どもを騙し、我々が潤い続けるための『フトコロ補完計画』のために、何を最優先するかを!」

アキエ 「えっ?」

モリ 「我々が、仮想の敵であるアベを作り出し、そのアベに都市を攻撃させ、その攻撃から国民を守るためにはアヴェンゲリヲンが必要だというシナリオを作っているからこそ、これほど莫大な予算を自由に使えるのだよ」

アキエ 「それじゃあ、すべては総司令の‥‥」

モリ 「そうだ‥‥だから、アヴェのパイロットなど、国民の英雄でも何でもないのだよ。バカな国民を騙すための単なる飾り物でしかない。一方で恐ろしい敵を作って国民の危機感を煽り、一方ではその敵から守ってくれる強力な兵器を用意し、そのためには莫大な予算が必要だと言えば、どんなに福祉を切り捨てても、どんなに増税しても、バカな国民は何も文句を言わなくなる。これが、この国を動かす一部の選ばれし人間だけが潤うための『フトコロ補完計画』なのだよ」

アキエ 「だから、アヴェのパイロットは、能力は低くても総司令の言う通りに動くフクダ君のほうがいいと‥‥」

モリ 「その通りだよ、葛城一尉‥‥」


そう言い切ったモリ総司令の目は、趣味の悪いサングラスに隠されていたが、誰よりも悪どく笑っていた‥‥。



※下記のサイトで、テレビ版の「エヴァンゲリオン」を1話から10話まで無料で観ることができます。今回の元ネタは、第4話の「雨、逃げ出した後」なので、観たことのない人は、この回だけでも観ていただけると、いろいろなネタの意味が分かると思います。

「エヴァンゲリオン無料視聴」
http://streaming.yahoo.co.jp/p/t/00066/v01247/


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