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2008.01.21

日曜はダメよ

こないだ、「今年の冬は寒くないからラクチンだ」なんて言ってたのもトコノマ、数日前からだんだん寒くなり始めて、今じゃ、オナジミの「室内で白い息」、ア~ンド、「洗濯物が凍ってバリバリ」になっちゃった。だから、室内でもコートを着てるし、今も、手袋をしてキーボードを打ってる。それで、ゆうべは、あまりにも寒くて凍死しそうだったから、ホットウイスキーを飲むことにした。しばらく前に、ブラックニッカが700円ちょい、トリスが600円ちょいで売ってて、あたしは、ニポンのウイスキーはサントリー派なんだけど、ブラックニッカは、CMの松尾貴史さんの飲み方があまりにも美味しそうなので、機会があったら買ってみようって思ってた。それで、トリスと100円しか違わないし、松尾貴史さんのペアグラスの応募券と応募ハガキがついてて、写真を見たらすごくステキなグラスだったので、当たる確率は低そうな感じだったけど、ブラックニッカを買ってみたのだ。

だから、我が家には、しばらく前からブラックニッカがあったんだけど、2リットルの紙パックの焼酎を先に飲み切っちゃいたかったから、ブラックニッカには手をつけてなかった。だけど、ゆうべの寒さに対抗できるのは、おんなじお湯割りでも、アルコール度数の高いウイスキーしかないって思ったあたしは、ついに、ブラックニッカの封を切る決意をしたのであった。そして、みんなで海辺へ行きましたとさ。めでたし、めでたし‥‥って、そんなワケには行かないから、ちゃんと続きを書くけど、ホットウイスキーは、ホントなら、グラスにウイスキーを3分の1くらい入れて、そこにレモンスライスを1枚入れて、それから熱湯を注ぐと美味しくなる。だけど、残念ながら、ゆうべはレモンがなかったので、単なるお湯割りにした。一瞬、焼酎のお湯割りみたく梅干しを入れてみようかとも思ったんだけど、凍死しそうな極限状態でのチャレンジは、命取りにもなりかねないので、今回は辞退させてもらった。

ホットウイスキーは、とにかく温かくて、グラスを持ってるだけで、感覚がなくなりかけてた両手の指が生き返って来た。そして、電気毛布にくるまりながら、チビチビと飲んでたら、体も少しずつ温まって来た。それで、2杯、3杯と作って飲んでたら、吐く息は真っ白なのに、体はポカポカになって、何だか幸せな気分になって来た今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、さっきの「そして、みんなで海辺へ行きましたとさ」ってのは何?って思ってる人は、最後まで読めば謎が解けるし、このセリフで、ある有名な映画を思い出した人は、なかなかの映画ファンだと思う。で、この流れからも分かるように、あたしは、ホットウイスキーのオカゲで体がポカポカして来たので、久しぶりに映画を観ることにした。それで、普段は見ないほうのビデオラックの、二重になってる奥のほうの列を見てみた。ここには、10年以上は観てない映画やライブのビデオが並んでるのだ。

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で、あたしは、大好きな映画、「日曜はダメよ」を観ることにした。あたしは、この映画を観ると元気マンマンになれるから、昔は落ち込んだ時に観ることが多かったんだけど、もう長いこと観てなかったから、ゆうべは別に落ち込んでたワケじゃないけど、ヒサビサに観てみることにした。

「日曜はダメよ」は、1960年の映画だから、もう半世紀近くも昔の作品で、もちろんモノクロなんだけど、最近の終わってる映画なんかとは、比べものにならないほどワンダホーなのだ。ギリシャのピレウスっていう港町が舞台で、あたしの大好きなメリナ・メルクーリが、主役の娼婦、イリヤを演じてる。もう、このイリヤが最高で、スタイルはバツグンでセクシーだし、とにかくカッコイイし、元気で明るいし、まっすぐに生きてて、ホントに素晴らしい。

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昔の映画だから、ネタバレで書いてくけど、オープニングでは、港で働く男たちに、笑顔で手を振りながら小走りしてるイリヤが、どんどん服を脱いでっちゃう。堤防の上には、イリヤが脱いだシャツやスカートやサンダルが点々と並んでて、港の男たちが、みんなボーゼンとしてる中、ブラとショーツだけになったイリヤは、そのまま海へ飛び込んじゃう。そして、海の中から顔を出して、バシャバシャと子供みたいにハシャギながら、笑顔で船の上の男たちを挑発する。


「奴隷でなきゃ来たら?」


ようするに、「こんなにセクシーなあたしがここにいるのに、すぐに飛び込んでこないあんたたちは奴隷なの? そうじゃなかったら、早くあたしのとこに来なさいよ」って意味だ。そして、船の上でペンキ塗りをしてた男が、まっさきに海に飛び込んでイリヤのとこに泳いで行くと、それを皮切りに、次々と男たちが海に飛び込んで、イリヤの周りは男だらけになっちゃう。

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イリヤは、自分の気に入ったお客しかとらない娼婦で、この港町の娼婦たちのリーダー的な存在だ。そして、この娼婦たちを食い物にしてるのが、通称「顔なし」って呼ばれてるボスで、見た目はタモリに似てるんだけど、娼婦たちから高いショバ代(部屋代)を巻き上げてる。だけど、娼婦たちは、みんな明るく元気に暮らしてる。そして、イリヤは、月曜から土曜まではお客をとってるんだけど、日曜だけはお休みにして、ドアに「ギリシャ悲劇観劇のため休業」って札を吊るして、路面電車やバスに乗って、大好きな野外オペラを観に行くことにしてる。これが、英語のタイトルになった「Never on Sunday (日曜はダメよ)」って意味なのだ。

で、イリヤは、人とは違った独特の感性をしてるから、他の観客たちが涙を流すような悲しいシーンになると、1人でケラケラと大笑いして手を叩いたりする。そして、大満足して帰って来ると、自分のお客の男たちを集めて、観て来たオペラの物語を話すんだけど、ギリシャ悲劇だから悲しいストーリーなのに、勝手にストーリーを変えちゃって、ハッピーエンドのお話にしちゃう。そして、どんな悲劇であろうと、ぜんぶ最後は「そして、みんなで海辺へ行きましたとさ。めでたし、めでたし」って締めくくっちゃう。だから、イリヤの話を聞いてる男たちも、最後の部分になると、みんなで声をそろえて、「そして、みんなで海辺へ行きましたとさ。めでたし、めでたし」って合唱して、大笑いしちゃうのだ。


‥‥そんなワケで、この映画は、ある日、ピレウスの港に、大型客船が到着して、1人のアメリカ人の哲学者、ホーマーが降り立ったところから、この物語は始まる。ちなみに、このホーマーの役を演じてるジュールズ・ダッシンは、この映画の脚本も監督もやってて、イリヤ役のメリナ・メルクーリの実際の恋人だった。そして、この映画が公開されたあと、結婚した。で、このホーマーは、娼婦って職業を見下してて、娼婦なんかにはマトモな人間などいないって思ってる。それで、港町の酒場で知り合った魅力的な女性、イリヤが、娼婦だと知って、何とか足を洗わせようとする。イリヤに教養と道徳を教えて、娼婦なんかくだらない職業だってことを分からせようとするってワケだ。だけど、最後には、教養に満ちた哲学者のホーマーよりも、娼婦のイリヤのほうが、遥かに「人にとって大切なもの」を知ってたことが分かるのだ。

もしかしたら、これから観てみようと思う人もいるかもしれないので、あんまり詳しく書くのもナンだから、ここからは大マカなことだけにするけど、ようするに、この映画は、イリヤをはじめとした娼婦たちと、イリヤたちのお客である町の男たちや船の男たちと、イリヤたちを食い物にしてる「顔なし」の一味、そして、場違いな学者のホーマー‥‥っていう図式で成り立ってる。そして、あたしの大好きなシーンがいっぱい出て来るんだけど、それをぜんぶ書いちゃうと、ほとんどを語り尽くすことになっちゃうので、これ以上、細かいことは書かないことにする。

とにかく、ギリシャの弦楽器、ブズーキの音楽がサイコーで、酒場でのバンドの演奏も素晴らしいんだけど、イリヤが、自分のお部屋で、1人さみしくレコードをかけて、それに合わせて歌うシーンが涙を誘う。


「Ta Paidia tou Peiraia (港町ピレウスの子どもたち)」

窓から送るの
1、2、3、4つのキス

港に飛び来る
1、2、3、4羽の鳥

私はほしい
1、2、3、4人の息子

大人になれば
ピレウスの誇りとなるわ

世界中を探しても
こんな港は2つとない

不思議な魔力を持つ
私のピレウス

たそがれの訪れに
港が私に歌いかける

若者と歌のこだまが満つ
ピレウスの港


‥‥そんなワケで、こんなに魅力的な女性がいるの?ってくらいステキで、元気と感動を与えてくれる映画、「日曜はダメよ」だけど、主演のメリナ・メルクーリは、この映画で、カンヌ国際映画祭の主演女優賞を受賞した。そして、このあともたくさんの映画に出演したんだけど、ある時、政治家に転身しちゃう。そして、ギリシャの文化大臣にまで上りつめちゃったのだ。

メリナの実家は、もともとが政治家の家系で、おじいさんは30年以上もアテネの市長をつとめてたし、お父さんも内務大臣だった。だから、すごく立派な家庭で育ったみたいに感じるけど、このお父さんは、メリナのお母さんが妊娠中に、若い女優とカケオチしちゃったのだ。そして、おじいさんまでもが若い愛人を作ったもんだから、メリナの家庭はメチャクチャだった。幼い少女にとって、お父さんやおじいさんてものは、本来は、誰よりも尊敬すべき人なのに、それが、大切なお母さんを泣かせるようなことをしたんだから、メリナの心はズタズタになり、人を信じることなどできなくなった。そして、「男なんて所詮はこんなもの」っていう認識を持つようになったのだ。

そんなメリナは、女優を目指すようになり、16才で演劇学校に合格したんだけど、普通の学校へ進学させたかったお母さんに、猛反対されたのだ。それで、メリナがとった行動は、男を利用することだった。メリナは、地元で有名な大金持ちのボンボンと結婚して、その男に学費を出してもらい、演劇学校へと進んだのだ。だけど、そのボンボンには、すでに正妻がいて、メリナのほうも愛情なんかなかった。メリナは、自分の夢を叶えるために、このボンボンを利用しただけだった。事実、メリナにも複数の恋人がいたし、これも、平然と家族を裏切ったお父さんやおじいさんを目の当たりにして来たからの行動だろう。

念願の女優として舞台に立つことができるようになったメリナは、映画にも出られるようになり、そこそこ活躍するようになる。そして、30才の時に、映画監督のジュールズ・ダッシンと出会い、恋仲になり、1957年の「宿命」、1958年の「掟」を経て、1960年の「日曜はダメよ」で、一躍、トップ女優の仲間入りを果たしたってワケだ。このあと、メリナは、ずっと書類上のダンナだった大金持ちのボンボンと離婚して、ジュールズ・ダッシンと正式に結婚することになる。

‥‥そんなワケで、1967年4月21日、ギリシャで軍事ク-デタ-が起こり、軍人たちが武器を使って政権を奪い取るっていう大事件が起こった。どこの国にも、オツムのネジが右巻きの大バカがいるんだよね。ナントカに刃物とは良く言ったもんだ。そして、昔のニポンの特高警察とおんなじように、ちょっとでも「自由」だとか「平和」だとか「平等」だとかを口にすると、それだけで「反政府」って決めつけられて、何の罪もないギリシャの市民たちが、次々と軍事政権による拷問にかけられたのた。

そんな折に、アメリカでマスコミのインタビューを受けたメリナは、「ギリシャでは、多くの無実の市民たちが、軍事政権による拷問で苦しめられているのです」って語った。そしたら、これを聞いたギリシャの軍事政権は、メリナを「政府にタテつく非国民」だって言って、ギリシャ国籍を剥奪して、全財産を没収するって言い出したのだ。それで、メリナは、こんな気の狂った政府に苦しめられてるギリシャの人たちを救うのは自分しかいないって思って、「国籍を剥奪されようとも、私は死ぬまでギリシャ人です!」って言って、愛するギリシャのために、軍事政権と戦う決意をしたってワケだ。

そして、メリナは、アメリカを拠点にして、女優を続けながら、ギリシャの人たちを救うための政治活動を始めるんだけど、自分たちにとってのジャマ者を消すためなら、どんなに卑劣なことでも日常チャーハンな軍事政権は、この時から、メリナの暗殺を企てるようになった。実際、メリナが講演をする場所に、時限爆弾が仕掛けられたりと、何度も命を狙われたのだ。

だけど、暴力で世の中を支配しようなんていう、野蛮で知能の低い軍事政権なんかが長続きするワケがない。このギリシャの軍事政権は、1974年に起こったキプロス島の民族紛争を鎮圧できなかったために、自滅しちゃったのだ。そして、キプロス島は、南部がギリシャ系民族、北部がトルコ系民族に分断されたまま、今日に至ってる。ちなみに、東西ドイツが統一したあとは、世界中で、こんなふうに分断されたままの国は、朝鮮とキプロスだけなのだ。

で、国民を苦しめ続けた軍事政権が自滅してくれたオカゲで、無実の罪で投獄されてた多くの国民は解放されて、ギリシャにも平和が戻った。そして、この記念すべき年に、メリナは、「日曜はダメよ」の舞台になった港町、ピレウスから国会議員に立候補したんだけど、残念ながら落選しちゃった。だけど、女優を続けながらも、愛するギリシャのために政治活動も続けて、2年後の1977年の選挙で、ついに初当選する。そして、1981年、56才になったメリナは、文化大臣に選出されたのだ。

メリナは、ギリシャの文化や芸術のため、多くの活動をした。たとえば、ギリシャのパルテノン神殿にあった多くの彫刻は、ギリシャがトルコの支配下だった時代に、イギリス人が持ってっちゃった。だから、ギリシャの国宝みたいな彫刻が、ギリシャじゃなくて、イギリスの大英博物館に展示されてるってワケだ。ようするに、ニポンの北方領土とおんなじで、火事場ドロボーみたいなもんだ。だから、文部大臣になったメリナは、国際会議の場において、イギリスに対して正式に返還を要求したのだ。だけど、イギリスは、火事場ドロボー仲間のロシアとおんなじで、未だに返還要求に応じていない。でも、今まで誰も言わなかったことをハッキリと意思表示したってことが評価されることで、メリナの行動によって、ギリシャ国内でも、この問題に対する関心が高まったのだ。

‥‥そんなワケ、メリナは、こうした文化や芸術の問題だけでなく、女性の地位向上のためにも戦い続けた。もともとが一夫多妻制の国で、どっかの都知事の脳みそとおんなじくらい男性中心の考え方をしてるギリシャでは、女性の地位がすごく低い。たとえば、結婚する場合でも、特例を除いて、女性のほうがたくさんのお金や財産を持参しないと、結婚できないのだ。そうした前時代の悪しき風習などを廃止するためにも、メリナは尽力した。それは、まさに、娼婦たちの生活向上のために、自らが先頭に立って戦った、「日曜はダメよ」のイリヤそのものだった。そして、メリナは、文部大臣を2期つとめ、1994年3月6日、肺ガンのために、68才の生涯を閉じたのだ。あたしは、すごく久しぶりに「日曜はダメよ」を観たのに、おんなじとこで胸がジーンとして、おんなじとこで感動して泣いて、おんなじとこでスカッとして、最後には、ものすごく元気になれた。そして、洗濯物も凍るようなお部屋だけど、とっても幸せな気持ちで眠ることができた今日この頃なのだ。


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