恐怖の手作りチョコレート
もうすぐ2月14日、バレンタインデーってワケで、いつもは「そんなの関係ねえ!」(古)って思ってるあたしだけど、今年は、自分の本、「きっこの日記 R」の発売日なので、ナニゲに意識してる。もちろん、本は買っていただくんだから、あたしからのプレゼントとは言えないけど、それでも、読んでくださる人、1人1人が、うんと楽しんでもらえるように、感動してもらえるように、いろんなことを考えてもらえるように、心を込めて原稿を書き、何ヶ月もかけて編集した。だから、最初から最後まで、あたしの思いがいっぱい詰った「手作りの本」てワケで、それが、バレンタインデーの日に、たくさんの人たちのところへ届くと思うと、言葉にならないほどの感慨がある。
で、「手作り」って言うと、バレンタインデーに「手作りチョコレート」をプレゼントする女の子がいっぱいいるワケで、何も言わずに黙って渡すんならいいけど、「これ、私の手作りなの♪」ってノタマッて渡すパターンが多い。そして、そんな話を聞くたびに、あたしは、「ふざけんな!」って思う。だって、すでに完成してるチョコレートを買って来て、それを溶かして、別の形にして固めたものが、何で「手作り」なの? こんなの、コンビニのお弁当を買って来て、その中身を自分のお弁当箱に移し替えて、「これ、私の手作りなの♪」って言ってカレシに渡すのとおんなじことじゃん。
チョコレートを「手作り」だって言いたいんなら、西アフリカから「カカオの実」を輸入して、「カカオ豆」と呼ばれる種を取り出して、その皮をむいて「ニブ」と呼ばれる実にして、その「ニブ」を100度以上の高熱ロースターで焙焼(ばいしょう)してから、擂り潰して「カカオマス」を作り、それに、ココアバター、砂糖、ミルクを加えて良く混ぜ合わせて、圧力をかけたパイプの中を通して全体的になめらかにしてから、長時間、練り上げる「コンチング」という作業で味と香りを高めて、温度を調節してココアバターを安定させてから、型に流し込んで、冷やして固めて、それで出来たチョコレートを渡せ!‥‥なんて思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、こないだも書いたけど、テキトーに切ったお野菜やお肉を炒めて、そこにお水を入れて煮込んで、そこに市販のカレールーを入れたものを「得意料理」って言うのも、この「手作りチョコレート」とおんなじことだ。こんなもん、とてもじゃないけどお料理とは言えない。カレーにしても、シチューにしても、市販のルーを買って来た時点で、すでに、インスタントやレトルトとたいして変わらない。だって、お料理で何よりも重要なポイントは「味つけ」なのに、それを市販のルーに任せちゃうんだから、この時点で、もう、その人が作ったことにはならないからだ。
自分でいくらお野菜を切ろうとも、いくらアクをすくいながら煮込もうとも、味つけを市販のルーに任せた時点で、それは、S&Bが作ったカレーであり、ハウス食品が作ったシチューなのだ。だから、得意料理を聞かれて「カレー」って答えたいんなら、カレシに「手作りのカレーよ♪」って言いたいんなら、市販のカレールーなんか使わずに、クミンやカルダモンやコリアンダーやガラムマサラやレッドペッパーやターメリックやニンニクやショウガを使って、ちゃんと「手作り」するべきなのだ。
だけど、市販のカレールーを入れるだけじゃなくて、そこに、隠し味みたいな感じで、お醤油を入れてみたり、ケチャップを入れてみたり、蜂蜜を入れてみたり、インスタントコーヒーを入れてみたり、摺り下ろしたリンゴを入れてみたりって、それぞれの人に、ちょっとしたオリジナルがある。また、市販のルーに関しても、どこそこのメーカーの中辛と、どこそこのメーカーの辛口を半分ずつ入れるとか、それぞれの人のやり方がある。こうした作業は、もちろん、それぞれの人が「この方法だと美味しくなる」って信じてるからやってるワケだけど、ホントはそれだけじゃないのだ。実は、「市販のルーを使ってる」っていう引け目から、何らかのプラスアルファの手間を加えることによって、「プチ手作り感」を味わってるのだ。
だから、バレンタインデーの「自称・手作りチョコレート」の場合にも、買って来たチョコレートを湯せんして溶かして、それをそのままモールドに入れて固める女の子はほとんどいない。たいていの場合は、そこに生クリームを加えてみたり、アーモンドを加えてみたり、ビスケットを加えてみたりと、何らかのプラスアルファの手間を加えることによって、「プチ手作り感」を味わってる。そして、相手を思う気持ちがエスカレートしすぎちゃって、すでに病的になっちゃってる女の子の場合には、さらに、自分の唾液を加えたり、自分の血を加えたり、自分の髪の毛を加えたり‥‥ってことになる。特に、絶対に恋が成就する可能性のない男性アイドルとかに思いを寄せてる女の子の場合には、このパターンが多いそうだ。
だから、男性アイドルをかかえてる芸能プロダクションでは、バレンタインデーにファンの女の子たちから送られて来た大量のチョコレートに関して、所属するアイドルたちに、「手作りのものは絶対に口にしないように」って注意してるところも多い。だけど、これは、チョコレートに限ったことじゃない。「ファンから送られて来た手作りの食べ物は口にしない」ってのは、アイドルに限らず、タレント一般の常識で、これは、「そのタレントを逆恨みしてる者が、ファンを装って毒物を入れた食べ物を送って来る可能性もある」ってことからだ。
‥‥そんなワケで、ヒトクチに「手作り」って言っても、食べ物の場合は良し悪しで、お互いが認識してるお友達や知り合いならいいけど、顔も名前も知らない人から送られて来た「手作りの食べ物」ほど恐いものはない。なんせ、今は、ちゃんとした大手のメーカーが販売してるギョーザにも毒が入ってる時代なんだから、どこの誰かも分かんない人間の作ったものを口に入れるなんて、一種のギャンブルだ。
何で、あたしが、こんなことを書いたのかっていうと、あたしは「黒魔術」に興味があって、いろんな本を読んだり、いくつかのメンバー制のサイトを覗いたりしてるんだけど、そうしたサイトの一部では、バレンタインデーが近づくと、必ず、「食べた人が自分に好意を持つようになるチョコレートの作り方」ってのが何パターンも紹介されるからだ。そして、それらの中には、溶かしたチョコレートの中に自分の血を加えるだの、自分の髪の毛を細かく切って加えるだの、自分の爪を切って粉末にして加えるだのって、さらには、ここには書けないような毛だの血だのを加えるような、トンデモないレシピが平然と紹介されてるからだ。
だから、すでに恋人同士だったり、夫婦だったりすれば、こんなチョコレートを作ることなんかアリエナイザーだけど、男性アイドルに異常な高熱を上げてる病的な女の子だったら、この恐怖のレシピ通りのチョコレートを作って送り、バレンタインデーの日の深夜には、真っ暗なお部屋にローソクだけを灯して、変な呪文でも唱えながら、その男性アイドルのポスターを凝視してるかもしれない。そう考えると、「ああ、あたしは男性アイドルなんかじゃなくて良かった♪」って思えて来る。何しろ、思いつめた女の子の怨念ほど、恐ろしいものはないからね。
‥‥そんなワケで、あたしは女性だけど、くだらない男性アイドルなんかに夢中になるほど知能は低くないし、ましてや、一方的に思い込むような自己チューでもない。あたしが願ってるのは、地球上から核兵器や原発がすべてなくなり、戦争がなくなり、人殺しの道具がなくなり、世界中の人たちや生き物たちが、安心して幸せに暮らせるようになることだ。だから、バレンタインデーに発売される「きっこの日記 R」には、あたしの平和への願いはいっぱいこめてあるけど、原料のパルプの中に、あたしの血だの毛だのは入ってないから、皆さん、安心して読んで欲しいと思う今日この頃なのだ(笑)
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